おやつ、の前に

 ティキ(キャスパー) [2016/06/13 00:43:33] 
 

「......あ」

目当てのお店による途中、ふと目に入った服飾店。

「ごめん、ちょっと寄らせてもらうね。買いたいものがあったんだ」

そういって店に入って、

「うーん。んー」

軽く悩んでから、これとこれを、と店員に渡す。

それは二つの帽子。色は白のものと黒のもの、つばが広くて柔らかな形。私の趣味なのでやはり華美でないが、生地の良い物。無地のようであるが、ワンポイントで小さく花の装飾があしらってある。

「丁度帽子が欲しいと思ってたんだよね。ほら、アイリにも」

代金を支払った後、白い方の帽子をアイリに被せた。我ながらよく似合うものを選べたと思う。

「プレゼント。セットで買って安くしてもらったし、お金は気にしないで」

子供の帽子にするには少しだけ大人っぽい気がするが、そこはアイリも気に入ってくれるのではないだろうか。

「あなたもどうかな。これなんか似合うと思うんだけれど」

折角だから、グローリアにも勧めてみるのだった。

 

......言ってから思ったが、姿を変えられる彼女には必要なかったかもしれない。

***

>「ここ、ここですよ!」

アイリがはしゃいで駆け寄ったのは、目を引く色の焼き菓子屋。アイリの話だと、動物型のケーキが売りなんだったか。

混み合っているように見えたが、意外にすんなり座れた。今日はついている日なんだね。

>「ねえ、アイリちゃん。
 よかったらおすすめのお菓子三人分買ってきてくれないかしら?
 お金はこれで払っていいわ。
 ティキ、あなたもいいわよね?」

席に着くと、突然グローリアがそんなことを言う。同時に私に向けてした目配せは、明らかに何らかの意図ありきのものだった。

私はごくわずかな動きで頷いてみせてから、グローリアの言葉に同意した。

「もちろん。―アイリ、悪いけどお願い。支払いもその方が混まなくていいしね......あ、お菓子はアイリのセンスにお任せするよ」

お菓子を買いに行くアイリを見送って、少し居住まいを正す。

何か二人でなければできない話があるのだろうか、彼女の言葉を待った。


PL

買いたいものは帽子でした。

グローリアに勧めたのは白のオプティモ。お金はティキが払うつもりがあったり。

お菓子はアイリに買ってきてもらい、グローリアの話を聞きます。なんだろう。

帽子二つで50ガメルほどのものにします。