おやつ、の前に
「......あ」
目当てのお店による途中、ふと目に入った服飾店。
「ごめん、ちょっと寄らせてもらうね。買いたいものがあったんだ」
そういって店に入って、
「うーん。んー」
軽く悩んでから、これとこれを、と店員に渡す。
それは二つの帽子。色は白のものと黒のもの、つばが広くて柔らかな形。私の趣味なのでやはり華美でないが、生地の良い物。無地のようであるが、ワンポイントで小さく花の装飾があしらってある。
「丁度帽子が欲しいと思ってたんだよね。ほら、アイリにも」
代金を支払った後、白い方の帽子をアイリに被せた。我ながらよく似合うものを選べたと思う。
「プレゼント。セットで買って安くしてもらったし、お金は気にしないで」
子供の帽子にするには少しだけ大人っぽい気がするが、そこはアイリも気に入ってくれるのではないだろうか。
「あなたもどうかな。これなんか似合うと思うんだけれど」
折角だから、グローリアにも勧めてみるのだった。
......言ってから思ったが、姿を変えられる彼女には必要なかったかもしれない。
***
>「ここ、ここですよ!」
アイリがはしゃいで駆け寄ったのは、目を引く色の焼き菓子屋。アイリの話だと、動物型のケーキが売りなんだったか。
混み合っているように見えたが、意外にすんなり座れた。今日はついている日なんだね。
>「ねえ、アイリちゃん。
よかったらおすすめのお菓子三人分買ってきてくれないかしら?
お金はこれで払っていいわ。
ティキ、あなたもいいわよね?」
席に着くと、突然グローリアがそんなことを言う。同時に私に向けてした目配せは、明らかに何らかの意図ありきのものだった。
私はごくわずかな動きで頷いてみせてから、グローリアの言葉に同意した。
「もちろん。―アイリ、悪いけどお願い。支払いもその方が混まなくていいしね......あ、お菓子はアイリのセンスにお任せするよ」
お菓子を買いに行くアイリを見送って、少し居住まいを正す。
何か二人でなければできない話があるのだろうか、彼女の言葉を待った。
PL
買いたいものは帽子でした。
グローリアに勧めたのは白のオプティモ。お金はティキが払うつもりがあったり。
お菓子はアイリに買ってきてもらい、グローリアの話を聞きます。なんだろう。
帽子二つで50ガメルほどのものにします。