「承知した」
アイリは私のプレゼントを、とても気に入ってくれたようだ。
グローリアには受け取ってもらえなかったが、気持ちは伝わっただろう。
***
>「ティキ、貴女に一つ頼みがあるの。
私にはこの地を守る役目があることは言ったでしょう?
例えば、私は穢れの動向を常に見張っているの。
だからつい最近、私は幾つもの穢れがこの街に入ってきたことを感じた。
僅かばかりの穢れなら多いとは言わないけれど、この街にも以前から見られたわ。
......でも今回のものはそれよりも少し濃度が高かった」>「そこでテンペストの知り合いで冒険者である貴女に頼みががあるの。
出会うことがあればその穢れがこの街にとって害となるかどうか確認して欲しい。
ただ、もし害があった場合でも貴女は何もしなくてもいいわ。
教えてくれるだけでいいの、対処するのは私たちの仕事だから」
グローリアが語ったのは、私への頼み事だった。その内容は、街へ入ってきた穢れの、害の有無の調査。
「......実はその穢れの正体について、もう心当たりがある。今この街に蛮族の楽団が来ている、そして私はその公演のチケットを持っている。見極める機会があるんだ」
早口気味に喋る。ちらりとアイリの方を見た。そろそろこちらへ戻ってこようかという頃合いだ。
>「貴女の気持ちに任せるわ。
どうするか、全てをね。
......じゃあアイリちゃんが持ってきてくれたお菓子頂くわね。
ありがとう、噂の通り可愛らしいわね」
アイリが持って来てくれたのは、自分に鳥型のケーキ、グローリアに羽型のケーキ、そして私にドラゴンのケーキ。
「アイリ、知ってたの?いや、知ってるはずないけど。ニコデムスは--私の竜は、紫紺の鱗なんだ。これ、私にぴったりだよ」
アイリのチョイスに感心しながら、ケーキの皿を手前に寄せる。
そしてフォークでソースを少しとり、グローリアに見えるよう皿に『承知した』と手早く書き、ケーキで拭って口へ運んだ。
***
>「うん、程よい酸味と甘味で大人の味だったわ。
さすがアイリちゃんね」
「私のも。ちょうどいい甘さで深い味だったよ」
>「私のも、美味しかったです。
砂糖が甘くて、それに可愛い鳥の形......」
ケーキの感想を言い合っていると、突然アイリがしゅんとした顔になる。
「アイリ?」
>「シュガー、どこに行っちゃったの?。
もしかして、帰ってたりとか......しないかな」
ああ、やはり気にしていたのだ、この子は。
分かっていたことだが、どうしても心の中ではシュガーのことを忘れられなかったのだろう。
「いいよ、戻ってみよう。一度親にも顔を見せておかないと、昼も帰らず出歩いちゃったから心配しているだろうしね」
PL
5番街のアイリ宅に戻ることを選択します。
そろそろちゃんと顔出して説明しとかないと、捜索願出されかねない!