一段落
>「私は神殿で仕事があるから帰ることにするわ。
何があったのかはよく知らないけど、アイリちゃん元気出して。
――ティキ、貴女に後のことは任せたわよ、全部ね」
グローリアの言葉に、私はゆっくり頷きを返した。
***
重い足取りを導くように、手を引いて歩いた。そろそろアイリ宅に着こうかという時、家の方から走ってくる小さな人影が。
>「アイリ!」
あの少年はアポロか。朝に会った時とはうって変わって生き生きとした表情をしている。これは、もしかすると......
>「アイリ、おれシュガー見つけたんだぜ!
街中走り回ってさ!
......じゃなくて」
やっぱり。やるじゃないか、少年。
その後アポロは、謝るべきことをちゃんと謝り、頭を下げた。そしてアイリの母の持つ籠の中には、確かに白い鳥の姿があった。
>「......シュガー!」
アイリは抑えていたものがあふれだしてしまったらしく、その声は涙声。
「よかったね、アイリ。シュガーが見つかって」
そしてアポロは詫びにとなのか見覚えのあるチケットを取り出した。もしかしてあれは、トゥルー・ソウルズのチケットではないか。
>「......アポロって本当にドジだよね。
わたし、同じチケットもう持ってるの」
が、あいにくとそれは私が二人分持っているのだ。
そして二人は口論へ。
それをアイリの母が厳しく諭す。
その光景にけらけら笑っていると、彼女は私の方へ歩いてきて、話しかけてくる。私はそれに笑顔で応えた。
>「あなたがティキさんでよろしいかしら?
どうやらうちのアイリが懐いてしまったみたいで。
ご迷惑かけていたらごめんなさいね。
それにこの後一緒にステージを見る約束までしてるみたいで。
大変でしたら断っても構いませんからね?」
「迷惑など!むしろ、あちこち案内を頼んで随分連れまわしてしまいました。あの子にはとても感謝しています。―改めまして、ティキ・ラウリといいます。こんななりですが、本来は冒険者を生業としています」
「それと、公演にはもともと私も行くつもりでしたから、よければこのまま引率しましょう。開演は日暮れからのようですから、子供には送り迎えが必要です......ああ、というか」
袋からチケットを二枚取り出す。
「アポロは自分の一枚と余分に一枚。そして私のはここに二枚。一枚余ってしまうので、折角ですからご一緒にどうですか?」
何にしても、子供二人だけで向かわせるよりは、私が引率として同行した方が親は安心できるだろう。
「アポロ、私も君が一緒で構わないよ。トゥルー・ソウルズの公演、楽しみだね」
PL
もうあらかたやりたいこともできたので、いよいよ公演に向かいます。
チケットに一枚余りがあるので、アイリの母を公演に誘います。