【E-2-1】別れの前に
劇場から一人出てカプリは夜のコンチェルティアを歩いていた。
彼女の傍をパストラーレが舞い、最後にはカプリの頭上に降りる。
グラスランナーとは自由な種族だ。
気のままに現れて、気のままにいなくなる。
今回もそうなるはずだったかもしれない。
――だが、ちょっと違った。
「探したで、カプリちゃん!
俺が戻ったらヴィクトリアちゃんがまだお礼言えてない言うからな。
結構あちこち歩き回ったんやで?」
カプリを見つけたのはグレイである。
彼の後ろからはヴィクトリアが歩いてくる。
「もしかしてコンチェルティアからもう発たれたりするのですか?
本当なら今回のお礼として私の家までしっかりとご招待させていただきたいのですけど」
ヴィクトリアがカプリの元へ近づいてくると。
グレイは数歩横へと足を動かす。
「今回の彼らの公演、それなりに成功であったと私は思っておりますわ。
まだまだ課題はありますけど、私に出来ることを一つ一つやっていきたいと思いますの。
だから、カプリさんにどうかお礼をさせてください」
ヴィクトリアがカプリに差し出したのは髪留めだった。
赤い薔薇のモチーフが美しい。
質に出せば、それなりの値段で売れることだろう。
「カプリさんにはお金よりもこちらの方が似合うかと思いまして。
不要でしたらお売りになっていただいても構いませんわ。
もともと仕舞い込まれておりましたもの。
有効的に使って頂ければそれが最善だと思いますわ」
ヴィクトリアが渡し終えると、少し外にずれていたグレイが再度カプリに歩み寄る。
「あんな、さっきもう一回ヴィクトリアちゃんに頼んだらな。
俺が協力者として手伝うこと認めてもらえたんや。
全部カプリちゃんのおかげやで、ほんま、おおきにな。
おかげで一歩前進やで!
......ヴィクトリアちゃん自体はあんまり意識してへん気がするんやけど」
グレイもなんだかんだヴィクトリアに受け入れてもらえたようだ。
だからといって彼の望みが叶うかは別の話だが。
――さて、二人はカプリを見送りに来たつもりだが。
別にヴィクトリアの家にまた戻ったっていいだろう。
このまま街を後にするのもカプリらしいかもしれないが。
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あんみつ@GMより
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