この街のつながり
>「教えて。
貴女の思ったまま全てを。
私はこの地を守る者として......全ての事実を受け止めるわ」
栄光の間にて、再び私たちは向かい合っていた。金の光を放つ彼女は、その理由を理解している。
「いろいろ、考えてみたけど」
私は見たこと、感じたことをそのまま話すことにした。
演奏は本物であったこと。
客に一切危害を加えなかったこと。
遠方から訪ねてくるほどのファンがいること。
姿を見て逃げ出す人もいたが、正体を知ってなお受け入れる人も少なくなかったということ。
それらを述べて、私は結論を言う。
「私は彼らの演奏、とても気に入ったよ。また聴いてみたいとも思うし、彼ら自身には、害はないと判断した。......けれど」
一呼吸おいて、続けた。言い淀みはしなかった。
「別の争いを生む火種になる可能性は、十分にある。蛮族に対する認識を改めた人がいる一方で、恐怖をさらに募らせた者もいるでしょう」
何せ、起こった出来事からすれば、蛮族の集団が人族に紛れてすぐ近くまで来ていたという事なのだから。最後の演奏を聞かず、蛮族と見るや逃げ出したのは真っ当な反応といえる。
「今回の公演については、キャピレット家なる名家の手助けがあって成立したらしい。けれどああいう蛮族の後援をする者があるならば、それを起点に有害な蛮族の侵入を許す足掛かりになる可能性はある」
「そしてそれを危惧し、過剰に排斥しようとする動きがもし生まれるならば、両者の対立は起こって当然といえる」
だから、受け入れようとする者とそうでない者の間で争いが起こるかもしれない。そしてその争いの場所は、この街以外にはあり得ない。
「......あなたは穢れからこの街を守っている。でも、この街で起こるそれがもし人族同士の争いだったら、あなたには手が出せるの?」
完全に憶測だけれど、人族のあれこれに妖精であり、また大きすぎる力を持つ彼女が介入できるのだろうか。いや、そうでなくても。
「私にはこの街に「つながり」ができた。大して多くないけど、大事なものだ」
アイリ、アポロ、親たち。それにグローリアもだ。
「もし必要になったら、また私を頼ってくれ。可能な限り力になると約束する」
PL
直接話せる機会貰えたので前回の予定以上にいろいろ話します。
また力になるよと約束もします。
テンペストには竜になった話もします。