【A-2-5】城崩す番犬
人形たちは助けるつもりはない。
そう口にするケンに。
>「オメーもモーちょい考えろッテ。人形族のトップが倒れタラ、即瓦解ダロー。
> マダ、魔法陣ドーにカモ、してネーのにソーなったラ魔神が地下へ雪崩こむゼ。」>「テメーの一番は皆の安全じゃネーノ?
> ナノに、ソノ手段が連中の根絶ヤシしかネーと思考が固まっチマッてル。
> ソンなバカに見えネーのにヨー。
> 自分の心の原点ヲ見失ったラ終いダゼー。」
リリは苦言を呈す。
ケンは人形族を倒すことにばかり心が囚われているのかもしれない。
だが、それ以上に大切なことがあるはずなのだ、と。
「俺の......俺の、一番か」
ケンはアリサの前で胸に手を当てて目を僅かに閉じる。
>「マー、ドーしテモ嫌ってンナラ先に地下行ってナー。」
リリは一人でも戦う覚悟を見せる。
なんとなくあの魔神は魔術師に対して強力そうな気もしなくもない。
「待ってくれ。
言っただろう、君は俺たちにとっても必要になるんだって」
ケンは当初の言葉通りアリサに一人戦わせるつもりはないようだ。
それはアリサの力がケンたちにとっても必要となるかもしれないから。
――加えて。
「それに、君が気づかせてくれたからな。
俺にとって一番大切なのは何なのか。
一番大切なものを守るために必要なのは何なのかに。
......それだけじゃない、君と一緒にいると何か掴める予感がする。
封じ込められたものまで、開いていくような予感が」
ケンはそこまで言い切ると人形と魔神の間に入っていく。
かの魔神の正体はキューゼルダス。
魔法使いに対してはめっぽう強い相手だがケンのような戦士には太刀打ちできない。
アリサが控えている安心感からケンの動きも悪くなく。
短い間に魔神は切り捨てられるだろう。
「どうして......人間が地上にいるんだい?」
女王の人形は驚いたような顔でアリサとケンを交互に見遣る。
「お前には関係のないことだろ......」
ケンがそう口に出したときのことだった。
「なんだ......!」
王城の魔法陣が激しく輝き出す。
まるでアリサの接近に反応するかのように。
魔法陣の輝きが増すごとに。
周囲のマナが凄まじい速さで消費されていく。
女王と魔道士の人形が体をくてんと崩す。
予感というレベルではなく。
良くないことが目前で起きようとしていたのは明らかだった。
揺れる地面。
城が崩れ出す音。
吹き上がる土煙。
「な、なんということ......!」
向こう側が見えるようになったその時。
本来目前にあったはずの人形族の城は無残に崩れ去っていた。
城の上に現れた物体に押しつぶされたのだ。
それなりの大きさを誇るものの積み木やブロックのようなもので作られた城である。
当然、衝撃には弱い。
そしてその衝撃をもたらしたものこそ――漆黒の獣。
獣といってもただの獣ではない。
犬の頭が三つ。
アリサはその正体を見抜けるだろう。
地獄の番犬とも呼ばれる魔神――ケルベロスであると。
「......さっきまでのよりも強そうだ。
あいつについても知っているか?」
ケンはすぐに次の戦いの準備を始める。
ただ今回ばかりはケンでも楽に勝てるわけではないだろう。
「お待ち!」
そんな二人に声をかけたのは人形族の女王であった。
「妾も城を壊されて黙っているわけには行かないね。
この憤り......魔法によって吐き出させてもらおうじゃないか。
いつもよりマナが減っているからってね......妾のことを舐めるんじゃあないよ」
人形の女王も二人に協力してくれるようだ。
協力というより、ただ怒りをぶつけたいだけというのが正解かもしれないが。
マナの減少という制限を受けても尚、女王は少しは魔法を使えるようだ。
本来であればその力は相当なものであったろう。
ケルベロスを召喚した魔法陣。
それ自体の効力は今非常に弱まっている。
召喚のために魔力を使いすぎたのだ。
今ならアリサの力で止められるチャンスがある。
あれも一つの魔法。
魔破の力を用いれば、消滅させられるかもしれない。
魔法陣自体が弱まっている今こそが狙い目だ。
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あんみつ@GMより
アリサとリリルート進行となります。
謎の魔神(キューゼルダス)との戦闘については
シチュエーション戦闘形式で処理します。
一つ目のダイスが1ゾロではなかったので、戦闘には問題なく勝利できます。
MPの消費は必要ございません。
魔法使い以外には弱いので。
もう一つの予備ダイスは魔物知識判定に成功しました。
達成値は15なので正体が判明します。魔神【ケルベロス】です。
また女王は魔法生物【ホムンクルス】相当のデータを持ちます。
戦闘についてはオート戦闘形式(ver3)で処理します。
位置は以下のようになっております。
ケル 10m ケン 3m アリサ・ストロー・女王
戦闘の発生に対し、アリサは必ず以下の3つを行ってください。
先制判定についてはケンが16だったので指輪を割って18で成功しています。
・先制判定用ダイス(目標値18)
・6つの戦闘スタイルから1つの選択
・2D6の戦闘処理用ダイスを5~15個
カスタム行動で以下のようなものをご記述いただいても構いません。
・敵キャラクターを狙う順番
・状況毎の詳細な行動(選択したスタイルより優先します)
・PCの行動順
ケンは《攻撃》を選択します。
カスタム行動として以下の5つを設定します。
・基本的にアリサの後に行動します。
・攻撃可能な範囲で現在HPが最も低い相手に攻撃します。
・練技は魔晶石から使用します。
・鼓咆は抵抗系を優先します。
・賦術はSランクを使用します。
女王は《攻撃》を選択します。
カスタム行動として以下の4つを設定します。
・基本的に最後に行動します。
・攻撃可能な範囲で現在HPが最も低い相手に攻撃します。
・補助魔法や《魔法拡大/数》は原則使用しません。
・ケンのHPが25%を切っている場合、【アース・ヒール】を使用します。
とりあえずご自由な戦術でどうぞ。
ついでに見識判定に成功しているので魔法陣に対する方法がわかります。
力が弱まっている間なら【ディスペル・マジック】で達成値15以上出せば解除できますね。
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20:54:42 あんみつ@GM ケン先制判定 2d6+10 Dice:2D6[5,1]+10=16