悪魔の楽園
建物がよく見える距離まできた。けっこう重くて丈夫そうな壁だ
水袋に栓をして、これからドアを叩こうと考えたときに、ちょうど中から人が出てきた。足を止めて注意を向ける
角がある。目を引くほど大きいわけでも、わたしの夜目が効くわけでもないのに、それだけははっきりと理解できた
「ん、お前さん......どっから来たんだ?」
「え、っと、、、ルキスラから来た......と思う」
少し悩んだけど、とっさに答えた。いつもみたいにフラフラ歩き回ってたら、ここにたどり着いたんじゃないかな
だけど、近くにこんな山はなかった気がするなあ。もしかしたら、ロシレッタから船に乗って、海を渡ってきたのかもしれない
「俺はスミス、この工房の長さ。」
「ああ、わたしはタタラ・スマイサー。冒険者だよ」
あれこれ考えているうちに、向こうの方から近づいてくれた。わたしも挨拶を返しながら、2進む
「お前さん、もしかして俺と同類じゃねえか?」
「あれっ?」
頭の上を触って帽子を確かめる。...落ちてないから、顔色がよくなかったのか
「これじゃ、簡単にわかっちゃうのかな。でも、仮面を着けるのは怪しいし...」
「もしそうなら、ちょっと寄ってかないか。
ここには俺やお前さんの仲間しかいない。
安心していいぞ」
「ぇ、......本当に?ナイトメアしかいないの?」
だからスミスさんは帽子をかぶってないのか。共感してくれる人しかいないから、厚くてきゅうくつな服や帽子で姿を隠さなくても、お互いに嫌な思いをすることはないんだ
「それって......オア、...てっ、天国?」
お父さんとお母さんを連れてこれたら、少しはノビノビした生活がでるかもしれない。わたしには暑いところだけど、剣の加護がある二人なら、きっと快適に過ごせるはず!
あぃゃ、、ぃゃぃゃぃゃ!そうじゃない
裏を返せば、こういう場所に集まって生活しないと、安心できないってことだよ
スミスさんだって悪いことをしてなさそうなのに、先入観を持った人がこの場所を知ったらひどい勘違いするかもしれない
それはやっぱり悲しいことだし、できるだけ早く変えてしまいたい
それでも興味が惹かれることは間違いないから、ここのことはよく知っておきたいな。聞きたいことは山ほどあるけど、質問はその後にしよう
「...うん、そうだね。中を見てみたい!
工房ってなにを作ってるんだろ?」
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PL玉鋼より
ヴォルケーノ工房に入ります!
デニッシュとは対称的かもしれない