【C-1-2】砂漠の旅路へ
心を繋ぐ魔剣についてデニッシュは少し聞き覚えがあった。
一つはどこかで聞いた古い昔話の中で。
人は皆心の中に世界を持っており、その世界と世界を紡ぐ剣があることを。
もしかしたら――今いるのはただの夢の中ではないのかもしれない。
* * *
どこまでも続く灰色の砂漠の中。
デニッシュは色黒の青年と出会った。
>「...いや、なんつーか、道に迷ってな。泉があるのか?」
泉を目指しているという彼に対し、デニッシュは問いかける。
「なんだ、お前......泉を知らないのか?
えっとな......砂漠を言った先に泉があるんだ。
そこの泉に溜まった水はちょっと魔力を持っててな、動力源になったりするわけ。
だから街まで持って帰れば、いいパンと交換してくれるのさ」
青年の話では砂漠を進んだ先に魔力を帯びた泉があるという。
その泉の水を持ち帰れば、何やらいいパンと交換してくれるとのことらしい。
ただそんな彼から受け取ったパンは決して美味いものではなかった。
素材や焼き方などもろもろがよくないのか味も悪いし無駄にパサついている。
>「ごっそさん。美味かったぜ。俺にできることなら協力するぜ」
しかしデニッシュは不満を出来の悪いパンと一緒に飲み込んで。
わざわざ分けてくれた彼に対しては礼を言う。
>「いいぜ。俺はデニッシュだ。よろしくな」
協力の証としてデニッシュが右手を差し出せば。
弓を持った彼も右手を差し出して握手を交わす。
「デニッシュか、オレはベーグル。
泉の方までよろしく頼むぜ」
へへ、とはにかみながら、ベーグルは自己紹介を返す。
デニッシュが同行してくれることを素直に喜んでいるようだ。
「にしてもさ、あのパンがうまく感じるくらい腹減ってたのか?
......だったらちょっと悪いことしたな、まあオレも手持ちはあんまないんだけど。
あれは街に住んでる奴に配られる最低ランクのパンだぜ。
ちゃんとしたパンや美味しいパンはそれなりの対価を払わなきゃもらえないんだ」
どうやらベーグルはデニッシュが美味しいと言ったことを素直に受け止めたらしい。
彼曰く、あのパンは一般に流通する最低ランクのパンのようだ。
「まあ最低ランクのパンとは言え、オレたちが少しでも生きていくには大切なんだけどな。
この砂漠には動物も植物もいない。
まともな食糧になるものは何もないのさ。
オレたちが生きていけるのは、中央パン工房が作っているパンがあるからこそだ。
――パン自体はどうやって作ってんのか、詳しくは知らねえけどな。
泉の魔法の水を欲しがってたりするし、魔法の道具でもあるんだろ」
だけどそんな不味いパンでもこの不毛の砂漠で生きていくには大切らしい。
確かに見渡しても植物や動物の姿を全く感じない。
灰色の空と灰色の砂がどこまでも続いていくこの世界。
たとえ不味くても、今日を生き延びるための貴重な糧なのだ。
「まあ......こんな場所で長話してても始まんねえか。
さっさと泉まで行こうぜ、腹が減って動けなくなる前にさ。
ただたまにうろついてる遺物には注意な、見境なく襲ってくるし」
砂漠は不思議と熱くも寒くもない。
現実の世界とは違うからだろうか。
斥候の技術も持つデニッシュが探索しながら進めば。
砂漠の中で何か見つけるものがあるかもしれない。
もしかしたら逆に何かに見つけられてしまうかもしれないが。
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あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
【NPC:男性】に【ベーグル】を登録しておきます。
見識判定の結果は最初の部分に書いておきました。
また【分類:地名】に【中央パン工房】を登録しておきます。
ベーグルから幾つか話を聞いたあと、砂漠に進むことができます。
デニッシュは探索判定を一つ振っておいてください。
目標値は不明ですが、高ければ高いほどよい結果となることでしょう。
他にも何かあればご自由にお書きください。