【C-1-3】泉に到着
ベーグルから砂漠の街の現状を聞いたデニッシュは。
>「地獄かここは...!」
素直に感想を言葉に現した。
彼の言葉にベーグルはうんうんと頷いてから続ける。
「地獄か......あながち間違っていないかもしれないな。
実は街の中で誰かが死ぬと、いつの間にか死体が消えちまってるんだ。
ここが本当に地獄だとすれば......強ちそんなことが起きてもおかしくないしな」
ベーグルの言葉だと街で誰かが命を落とせば。
弔いを終える前に死者が姿を消してしまうのだという。
>「それで、『遺物』ってのは何なんだ?魔道機械の類いか?」
また出発前、ベーグルが語った遺物について尋ねると。
「遺物っていうのは、かつての文明の遺産。
正確に言えばゴーレムの類だな。
昔は魔法文明の王国があったとかいう噂だぜ。
今となっちゃ魔法なんて何もない、ただの灰色の砂漠だけどな。
ちょっとだけ便利な遺物が砂漠にあったりはするもんだが」
彼は遺物について教えてくれる。
その正体は魔動機というよりかはゴーレムに類するらしい。
尤も今ではそういった魔法の類はほとんど伝わっていないという。
あるとすれば......かって使われていた魔法の道具くらいだそうだ。
>「この辺じゃ薪になるようなもんはねーのか?まさか火を使わないなんてことはねーよな?」
パンを焼くには炎が必要だ。
デニッシュは炎を灯すのに必要な薪などがないか尋ねてみたが。
「ここは常に熱くも寒くもねえんだ、まるで空気っていうものが死んじまったみたいに止まっている。
だから暖のために炎を使うことはないし、食料がないから料理に使うこともねえ。
水も貴重だから風呂を沸かしたりもしねえし......正直火なんて使ってる奴は滅多にいねえ。
ただ炎を燃やす遺物が幾つか残っているらしくてさ、使う奴はそれを使っているみたいだ」
どうやらこの世界ではほとんど炎が使われていないらしい。
だから薪のようなものもそう簡単には見つからないだろう。
* * *
デニッシュとベーグルは泉を目指して砂漠を歩く。
視界は極めて良好。
というよりかは何もない。
熱くも寒くもなく日照りも風の動きもないのは不気味ではあるが。
ある意味では進む上で邪魔になるものがないとも言える。
異物たるゴーレムと出会うこともなく、デニッシュたちは魔法の泉までたどり着いた。
「ふぅ、無駄に体力使わずに済んだか。
パンしか食えねえんだから、なるべく体力は温存したいもんだぜ」
ベーグルは軽く伸びをしてから自ら袋の中から瓶を取り出し。
その中に魔法の水を注ぎ込んでいく。
デニッシュも水を入れる袋などがあれば、魔法の水を持ち運ぶことができるだろう。
「ん、デニッシュの足元になんか落ちてねえか?」
水を入れ終えたベーグルがデニッシュの方を見たとき。
彼はデニッシュの足元になにか落ちているのを見つけたらしい。
デニッシュが拾い上げてみれば、それはどうやら古びた箱のようだ。
側面には不思議な文様が描かれている。
「......それ、昔の文明の遺物じゃねえか?
やったな、デニッシュ。
たぶんそいつも持っていけばいいパンと交換して貰えるぜ!」
ベーグルが調べたところ、その模様が魔法文明時代のものであると気づいたらしい。
デニッシュも詳しく調べてみれば、この箱の価値がわかるだろう。
「んじゃ、いいみっけもんもしたし。
とりあえず街に帰るか!
あー、早く上手いパン食いてえなあ」
一通り水を瓶に入れ終えたベーグルは街に戻るつもりのようだ。
デニッシュも一仕事終えれば、戻るといいだろうか。
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あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
前半部ではデニッシュの質問に回答しておきました。
後半部では魔法の泉に到着しております。
水袋など持っていれば、持ち運ぶことができるでしょう。
デニッシュの足元に落ちていた箱について宝物鑑定判定が可能です。目標値は10。
成功すればそれなりに価値がありそうなものだと判断できます。
ベーグルは用事は終わったので街まで戻るつもりなようです。
デニッシュはお好きな行動をどうぞ。