【C-1-4】砂の街の黒き影
この灰色の世界では基本的に炎は使われないが。
決して例外がないわけではないとベーグルは語る。
>「...! そいつはどこにある!?」
デニッシュはその言葉を決して聞き逃さなかった。
それほどまでにパンを作りたくして仕方なかったのかもしれない。
「悪いが場所についてはオレもよく知らねえんだ。
噂で聞いたくらいだからな。
でも、中央パン工房にはあるんじゃないか?
実際にパンを作ってるわけなんだし」
残念なことに、ベーグルも炎灯す遺物については噂レベルでしか知らないという。
だが、彼の言う通り中央パン工房には存在しているのかもしれない。
少なくとも工房でパンが作られているのは事実なのだ。
* * *
デニッシュとベーグルは何事もなく泉までたどり着いた。
泉から採れる魔法の水は美味しいパンと交換してもらえるらしい。
ベーグルは今からその味に期待しているようだ。
>「同感だ。これでまともなパンが食えなけりゃ暴れるぞ...」
デニッシュもどうやらそろそろ不満が高まってきているようだ。
「まあ、まともなパンを食えることは期待していいぜ。
オレが前に交換してもらったときはちゃんといいパンと交換してくれたからな。
......あー、思い返せば涎が出そうだ」
以前ベーグルが交換してもらった時はそれなりのパンと交換してもらえたそうだ。
であるならば、多少は期待してもいいのかもしれない。
>「そういや、結局パンの借りは返してなかったよなぁ?」
デニッシュには一つ気になることがあったようだ。
パンを受け取って同行したはいいものの。
敵と戦ったわけでもなくただついてきただけになってしまったことが気になるらしい。
「ん、パンの借り?
いいぜ、そんなん別に気にしなくてさ。
このまま何事もなく帰れんならそれだけで十分だ」
ベーグルは別に気にする必要がないと言っている以上。
あとはデニッシュ側の気持ちの問題だろうか。
* * *
二人は灰色の砂漠を抜け、街の中へとやってきた。
街に人通りはほとんどない。
皆家の中に篭ってしまっているのだろう。
体力を補うためのものがパンしかないから仕方がないのだろうか。
「寂しい街だろ?
でも、オレたちはここから出られない。
あの砂漠を越えようとした奴らは何人もいたが全員断念したんだ。
冗談抜きでどこまでも続いているらしいぜ」
ベーグル自体もこの街は寂しい街だと考えている。
ただそれでも、彼らはこの街から出ることができないのだ。
「あれが......中央パン工房だ」
街の中心を目指していくと、大きなドーム状の建物が現れる。
外観だけだと何の建物かはよくわからないが......あれこそが中央パン工房であるらしい。
正面側にはカウンターらしきところがある。
あそこでパンの交換と配給を行っているのだろう。
「とっとと交換しに行こうぜ。
早く旨えパン食いたいしさ」
ベーグルに急かされるままカウンターに向かえば。
魔法の水はシンプルなロールパンと、砂糖をふんだんに使ったパン。
更にはチーズの練りこまれたパンの三つと交換できた。
拾ってきた魔法の箱は、野菜やハムの挟まれたサンドイッチと交換できる。
動植物は全滅したとの話ではあるのだが、工房内では野菜や肉類を使用できるようだ。
「焼きたてのいいパンの香りだな。
これだから泉の水を諦められないんだ。
せっかくだし、どっか適当な場所で食っていこうぜ」
ベーグルもカウンターでパンを受け取ってホクホクとした顔だ。
早速パンを食べないか、とデニッシュに対して提案してくる。
勿論デニッシュはベーグルの誘いに乗るのもいいだろう。
だが、デニッシュは工房の奥へと宙を滑る存在があることにも気づいていた。
それは夢の始まりに見た白い光を反転させたような黒い少年の形の影。
あれこそが、デニッシュにとって倒すべき敵なのだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
デニッシュたちは街に戻ってきて工房でパンと交換して貰えます。
デニッシュは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・黒い少年の影を追いかける
・黒い少年の影を追いかけない(ベーグルとパンを食べに行く)
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)