【B-1-2】気づき、気づかれる

 GM(あんみつ) [2016/07/08 21:43:28] 
 

冒険者たちが目にした川辺。
それはセーラの情報とは大きく異なったものであった。

蛮族の情報もあり、何かがおかしいと感じた彼らは、それぞれに動き出す。

妖精使いのバークが水に近づいてみれば。
自分の契約している妖精たちが不快そうにしているのに気づくだろう。
それはまるで契約前のバークに対する態度にも良く似たもの。
気に入らないものへの嫌悪感の顕れだ。
例えば、そう穢れに対するそれのような。

そしてナマとヴァーミリオンは川の水を調べてあることに気がついた。
この川の水は穢れているのだ。
単なる汚濁などとは異なる、穢れである。
少なくとも自然に発生するものではないだろう。
何らかの原因があるはずだと察するだろう。

ついでにヴァーミリオンは楽器を奏でて呪歌を鳴らす。
それは周囲の魚たちを呼び寄せるメロディー。
川の上流と下流から魚たちがやってくる。
ただ下流からはほとんど魚はやってこない。
流れに逆らってまで泳ぐことのできる魚は少ないのだろう。
上流から訪れた魚たちも弱々しいのは変わりないが。

   *   *   *

調査をしている冒険者たちのもとに現れたのは街の有力者カイルと。
彼の従者たるエミール、相談役のミハイルであった。

>「カイルさん!と誰でしたっけ(笑)。
>とりあえず、お久しぶりです!」

ナマは残念ながらカイル以外は覚えていなかったようであるが。

「前回は別行動だったので仕方ありませんね。
 でも僕たちは覚えていますよ、ナマさんのこと。
 ですよね、エミール?」

「ん、ああ......当然だろう?
 忘れてなんていないさ、僕らとセシリア様の恩人だからね」

エミールとミハイルの方は二人について覚えていたらしい。
こうしてナマと会話したあと、カイルの目線は他の冒険者たちに移る。

「挨拶が遅れて悪かったな、俺はカイル・ヴォルディーク。
 コンチェルティアに住んでいる者だ。
 こっちのタビットがミハイルで、もう一人がエミール」

そう言って至極簡潔に自分たちの素性について語る。
別に隠したいからそうしているわけではなさそうだが。

「ナマさん以外の方は初めまして。
 ミハイル・ロットと申します」

「僕はエミール。
 覚えたいなら覚えてくれて構わないさ」

カイルに続いて二人も自己紹介を行ったあと。

>「友人同士の語らい中に済まない、Mr.ヴォルディーク。
>私はヴァーミリオン、この度はある依頼でこの川に冒険者として調査に来ている。
>ここにいるナマの実力は知っての通り、出来れば彼女の実力を信じて知っている情報を教えて頂くことは出来ないだろうか?
>勿論、機密などを語れとは言わない。
>今は少しでも情報が欲しい。それに其方も我々冒険者の手が借りられる。
>悪い話ではないと思うが...如何かな?」

口を挟んできたのはヴァーミリオンである。
彼はどうやらカイルたちから情報を入手したいようだ。

「あんたたちが怪しい奴じゃないなら別に話せる情報を隠すような真似はしない。
 ただ俺たちも最近蛮族が現れると聞いて調査を始めたばかりでな。
 把握していることはほとんどないんだ。
 現時点で一つ言えるとしたら......確実に何か良くないことが起きているということだ。 
 そもそもこの川の周囲に蛮族が出るなど、基本はありえないことだからな」

期待はずれかもしれないが、カイルたちも何か既に掴んだというわけではないようだ。
彼らにあるのは何か異変が起きているという確信だ。

>「......よし、一応川の周りを軽く調べてみますね。
> 無いとは思いますが、怪しげなマジックアイテムとかあるかもしれませんし」

会話の傍らナディンは川の近くを調べてみる。
よく見れば瓶がひとつ流れ着いているのに気がつくだろう。
瓶の中は川の水らしき水滴でひたりと濡れているらしい。

   *   *   *

「......カイルさん!
 何か良くないものが来ます!」

五人の冒険者と三人の調査隊が集っている川辺。
ミハイルは何かに気がついたようだ。
それは明らかに悪寒と呼べるもの。

ナディンやルートなども同様に気がついただろうか。
僅かに聞こえる水音。
何か近づいてくる気配。

川の上流と下流の両方から蛮族が向かってきているのだ。
どうやら奴らは水棲の蛮族らしい。

「蛮族共か。
 エミール、ミハイル。
 迎え撃つぞ!」

「はい!」

「仰せのままに」

カイルはエミールとミハイルを連れて下流を目指す。

「そっちの奴らは任せたぞ!」

上流から泳いでくる蛮族たちとの距離は近づく。


―――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

それぞれの判定などの結果本文中にあることがわかりました。
カイルたちからはたいした情報は手に入りませんね。

進行の後半で蛮族たちから襲撃されます。
危険感知判定で達成値13以上になれば、気がつきます。

カイルたち三人は下流の蛮族たちの方へ向かいます。
冒険者たちは上流の蛮族を迎え撃つことができます。
一応カイルたちの手伝いをすることも可能といえば可能です。
ちなみにカイルはザイアの神官戦士、エミールはフェンスカバード、
ミハイルはウィザードセージです、一応。

どちらに向かうにしろ、魔物知識判定2回行っておいてください。