水の魚のランチになりに
奴らとまた相見えた際に太刀打ちできないからな」
「奴ら?」
お姫さんと知り合いみたいだけど、
その時になにか強敵と戦った...ってことなのかな?
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...
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ギルマンへの尋問からは、大した情報は引き出せなかった。
まぁこんなところかね。
「で、こいつはどうします?」
「知ってる範囲は吐いてくれたようだし、ね」
人里も近いし、生かして帰すわけにはいかない。
せめて楽に死なせてやろう。
背後にまわり、刺剣を抜く。
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...
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「カイルさん、ちょっとこっちに来てください!
ここにこんなものが......!」「わかった、今向かう......!」
「ん?」
話していると、向こうのタビットさんが何か見つけたらしい。
ヴォルディークや皆がそちらに向かう。
オレも続こうとする...だけど、不意に声が聞こえた。
この場にいる、他の誰の声でもない声が。
『穢れで......よく見えないや。
(誰だ?)
立ち止まり、周囲を見渡す。
聞こえるか聞こえないか、そのかすかな声に反応したのはオレとナディンだけみたいだった。
でも、蛮族たちを倒してくれたのはキミたちなんだよね?
ボクからキミたちにお願いがあるんだ。
この川を......ボクたちを助けて......!』
(どこから・・・川の中からか?)
声の聞こえる先をたどると、そこは皆が向かった先。
声に導かれるように、オレは川へと走った。
そうして生まれるのは大きな波だ。
まるで巨大な口を開けた魚の顔のように。
『オレたちを呼ぶのはお前か?』
妖精語で呼びかける。
聞こえているのかいないのか、水の魚はオレたちを飲み込もうとしていた。
間一髪、ルートがその場を逃れるのが見えた。
(よし)
水の魚の腹の中がどうなっているかは分からないが、外ではルートが待ってくれるようだし、
だったら誘いに乗ってやろうじゃないか。
羽根帽子が飛ばされないよう抑えつつ、水の魚の開いた口...その奥の暗い穴の底を見る。
あまりいい気持ちはしないね。
「頼む、間に合ってくれ...!」
急いでロープを取り出し川へ放り込む。
(ルート・・・)
飲み込まれる一瞬、こちらにロープを放つルートの姿が見えた。
すまない、心配させるけどちょっと行ってくるよ。
そして、ざぶりと。
あるいは、ごくりと。
水の魚がオレを飲み込んだのだった。
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-PLスキュラ-
次回投稿日まで誰からも制止がなかったばあい、ギルマンプロフェットに止めを刺します。
チャーミングの呪歌があるし、痛い描写とかはいいですよね。
そして魚の回避はしません!
ばっちこーい。