水の魚のランチになりに

 バーク(スキュラ) [2016/07/18 10:45:54] 
 

奴らとまた相見えた際に太刀打ちできないからな」

「奴ら?」

お姫さんと知り合いみたいだけど、
その時になにか強敵と戦った...ってことなのかな?

..
...
....

ギルマンへの尋問からは、大した情報は引き出せなかった。
まぁこんなところかね。

「で、こいつはどうします?」

「知ってる範囲は吐いてくれたようだし、ね」

人里も近いし、生かして帰すわけにはいかない。
せめて楽に死なせてやろう。
背後にまわり、刺剣を抜く。

..
...
....

「カイルさん、ちょっとこっちに来てください!
 ここにこんなものが......!」

「わかった、今向かう......!」


「ん?」

話していると、向こうのタビットさんが何か見つけたらしい。
ヴォルディークや皆がそちらに向かう。

オレも続こうとする...だけど、不意に声が聞こえた。
この場にいる、他の誰の声でもない声が。

『穢れで......よく見えないや。

(誰だ?)

立ち止まり、周囲を見渡す。
聞こえるか聞こえないか、そのかすかな声に反応したのはオレとナディンだけみたいだった。

 でも、蛮族たちを倒してくれたのはキミたちなんだよね?
 ボクからキミたちにお願いがあるんだ。
 この川を......ボクたちを助けて......!』

(どこから・・・川の中からか?)

声の聞こえる先をたどると、そこは皆が向かった先。
声に導かれるように、オレは川へと走った。

そうして生まれるのは大きな波だ。
まるで巨大な口を開けた魚の顔のように。

『オレたちを呼ぶのはお前か?』

妖精語で呼びかける。
聞こえているのかいないのか、水の魚はオレたちを飲み込もうとしていた。
間一髪、ルートがその場を逃れるのが見えた。

(よし)

水の魚の腹の中がどうなっているかは分からないが、外ではルートが待ってくれるようだし、
だったら誘いに乗ってやろうじゃないか。
羽根帽子が飛ばされないよう抑えつつ、水の魚の開いた口...その奥の暗い穴の底を見る。
あまりいい気持ちはしないね。

「頼む、間に合ってくれ...!」
急いでロープを取り出し川へ放り込む。

(ルート・・・)

飲み込まれる一瞬、こちらにロープを放つルートの姿が見えた。
すまない、心配させるけどちょっと行ってくるよ。

そして、ざぶりと。
あるいは、ごくりと。


水の魚がオレを飲み込んだのだった。

─────────────────────────────
-PLスキュラ-
次回投稿日まで誰からも制止がなかったばあい、ギルマンプロフェットに止めを刺します。
チャーミングの呪歌があるし、痛い描写とかはいいですよね。

そして魚の回避はしません!
ばっちこーい。