泳ぎは苦手だけど
「僕は無事です。
ヴァーミリオンさんは......上がってきてはいない様子ですね。
遅れているのか、溺れているのか、底まで潜っていったのかは分かりませんが......。
まあ、いずれにせよナマさんもいますし。大丈夫でしょう、きっと」
「そっか、じゃあ心配するのはヤメとこう...はぁ、はぁ」
水から上がったばかりなのに、執事さんのほうは息の乱れもなく冷静な様子だった。
ルーンフォークはこういうモノなのか、それとも執事としての落ち着きなのか。
さっきの戦いのときとはまた印象が違って見えた。
..
...
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でも、あいつに比べたらだいぶマシみたい。
それに......そこら中穢れすぎてて、正直よくわからないのよ』
ナイトメアの身の上ではあるけれど、
オレ自身は『穢れ』ってのがいまいちどんなものなのかわからない。
ただ、漠然と『臭い』のようなものなんじゃないかとは思っていて、
それはつまり......これ以上はやめとこう。
惨めな気分になる。
『ファウント......それはこの世界を維持している妖精の主よ。
水底にある貝殻の城に暮らしているの。
いつも眠っているんだけどね。
会いに行きたいなら会わせてあげる。
あなたたちに魔法をかけてあげるから』
この世界。
妖精の主。
貝殻の城。
一気に古の妖精じみた空気になってきた。
よかったねティファーヌさん。
オレたちもボーナスが貰えそうだし、
そっちもよかったね、だ。
『穢れをもたらす者を排除して欲しいのよ。
ある日、外から雪崩込んだ穢れで結界が弱まって。
その弱まった部分をついてあいつらはやって来たわ。
ファウントは強大な妖精だけど、この世界を穢れから耐えさせるのに精一杯。
だから、あなたたちのような救いが必要なの』
街が蛮族に襲われた、エライさんたちは街を守るので精一杯だから
冒険者が代わりに奴らを倒してくれ......って感じかね。
オッケーオッケー、こちとら冒険者だ。
荒事ならおまかせあれってね。
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...
....
『それで、水底の貝殻の城まで行ってみるかしら?』
「んで、妖精さんの言うには『城まで行くか?』って。
オレは行ってみようかと思う。
他に行く場所もわからないし、下にはお姫さんや学者さんがいるだろうし」
ナディンにウンディーネの話すことを伝えながら、自分は城に向かいたい旨を伝える。
そして。
「それじゃあ行ってみるよ。
魔法をかけてもらえるかい、ラーナ」
妖精さんに向き直り、心を落ち着けて魔法を受け入れる体勢になる。
魔法の力は意思の力と相克する。
心に動揺があると、相手を助けるための魔法でも失敗することはあるんだ...
って、叔父貴が言ってた。
だから生きるか死ぬかの場面で癒やしの光が届かなかったりするんだと。
(今頃どこでなにしてるのかな)
自分に剣を教え、魔法の手ほどきをしてくれた伯父のことを思い出す。
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-PLスキュラ-
ルーンフォークは妖精の声は聞こえけど、何を話しているかはわからない
ってぐぐったら出てきたんですけど、この認識でおk?
とりあえずお城に行きますとお返事。