古来よりの力
質問中。
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「......えっと。
わたしが答えられることから答えるね。
ファウント様は偉大な妖精様なの。
結界でわたしたちを守っているのよ。
水でできた大きな魚は......ファウント様の力かもしれない。
だとしたら、みんなはわたしたちの世界に行ったのかも。
もしかしたら、わたしたちを助けるために?」
ファウントなる者は高位の妖精らしい。
また、あの魚はどうやら悪意のある襲撃ではなかったようだ。
危急の用ゆえに強引な手段を取らざるを得なかったといったところか。
...なら、皆は無事なはず。
よかった。本当に、よかった。
図らずも涙が出そうになったが顔を叩き押しとどめる。
「それで、水がおかしくなった理由だっけ?
いつから、とかどうやって、とかはわからないの。
でも......何かが混じっていくかのように水が濁っていったのは覚えてるわ」
毒、またはそれに類する物を使った可能性が高いな。
ただそれが流れて消えていっていないということは...。
「悪そうな人は、そうね。
黒っぽい格好をしていたわ。
でも剣みたいなものも持っていた気もするの。
連れていたのは女の人みたいだったけど。
あれは、人じゃないわ、嫌な感じがプンプンしたもの」
格好は把握した。
いまいち分かりづらいが、相手は人だけじゃない感じか。
「あと、わたしがおかしくなってた理由?
うーん、よくわかんないな」
「もしかして水の力を穢すタイプのものなのかもしれませんね。
だから、この川も、妖精の世界も、そして彼女も穢され、おかしくなった。
......まあ、ただの一説に過ぎませんが」
ミハイルの補足が有り難い。
僕だけだと知識と知恵が全然足りないからな...。
仮説とはいえだいたいそんなところだろう。
「そういえば、悪い人が言ってたわ。
弟が廃れた村で準備を始めてるとかなんとか。
......よくわからないけど」
「そういえば、この川の上流から少し行ったところに......。
<大破局>の影響で滅びた村があったと聞いたことがあるな。
流石に今となっては村というより林に近くなっているそうだが」
「......ああ、あそこか。
確かに何かこっそり企むなら都合のいい場所かもしれないね」
「確かにあまり人が立ち入らないですし。
そういえばかつての村人の死霊が出るなんて噂も聞きますが」
廃れた村と死霊の噂。
噂の方は邪教の輩をそれと勘違いしたか、はたまた故意に流し人を近づけないためか。
単純に無関係で本当に死霊が出たら嫌だな。
「外れかもしれないが、行ってみるか?
正直なことを言うと、俺は念のために確かめておきたい。
街の脅威になるかもしれないなら、事前に排除しないといけない」
「今のところ他に情報もありませんしそうしましょうか。
依頼の危険調査に関係もないとはいえないような気がしなくもありません」
念のためだ。それにウィリに一度手伝うと言った以上反故にはできない。
そうだ。ウィリの処遇の件も考えねば。
「ウィリさん。これはお願いなのですが――」
「っと。これは僕一人で決めていいことではないので、
ヴォルディークさん達の意見も聞きたいです」
帰ってもらうことや安全になるまでどこかに隠れてもらうのも考えたが。
この一件、邪教の輩以外に水と妖精への対策が必要だ。
その二つを兼ね備えているウィリがいれば優位に進めるはず。
先程のようにおかしくなりこちらを襲う危険性もないではないが...。
「もしよろしければこの件の解決の為に同行してもらえませんか?
危険はありますが、僕が前に立ち出来る限り防ぎますので。
いざとなれば逃げてもらっても構いません」
シャロクも言っていた。
数は力だ、と。
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PL
これで無関係だったらどうしよう。
・【かつての村の跡】に向かう。
・ウィリに付いてきてもらう。
を宣言します。