【D-1-5】貝殻の贈り物
>「ごめんラーナ。
> 泉の御方のところに行くならコレを渡してきてくれないか」
バークは去りゆくラーナに小瓶を渡す。
水の世界を穢すために既に多くを使われた跡とはいえ。
数滴くらい出てきてもおかしくはない。
「気をつけなきゃダメそうね。
もし浴びちゃったら大変なことになりそう」
丁寧すぎるほどに受け取った後、ラーナはそのまま水の底へと潜っていった。
* * *
一方、目の前にいる倒れた者共についてだが。
冒険者たちは一旦止めを刺さず。
二人を縛っておくことに決めた。
そしてまず起こしたのはスキュラの方だ。
バークが気付け薬で目を覚ませる。
ナディンの手で男の方は聖印が奪われ、猿轡を噛まされた状態で置かれている。
――ヴァーミリオンはスキュラに問う。
まずはその名前だ。
『名前?
そんなもの教えたところで何になるの?
このアシーデ様の奴隷......いや食料になってくれるというのかしら?』
彼女の名前はアシーデというらしい。
あまり友好的ではない。
蛮族だからだろうか。
――また、神官との関係について問えば。
『こいつらが忌々しい結界を消すって言うから協力してるだけよ。
ディマイズってのはこいつの弟でしょう?
弱々しくてあまり美味しそうじゃないのがもったいないわ』
アシーデとメディクの関係、ついでにディマイズについても語ってくれる。
『望み、そんなものは知らないわ。
今回の目的は結界を無力化させることよ。
本当ならもっと上手く行くはずだったのだけど、あのディマイズが持ってきたという薬。
......大したことがなかったわね。
それは、こいつの実力も同じだけども』
メディクの望みについて聞かれてもよく知らないとのことだ。
今回の事件の目的についてならば、ファウントの結界を消すことだと語る。
結界が弱まり、消えれば彼女たちのような蛮族でも気楽にこの周辺にやってこれる。
それが協力した理由というものだろう。
――そんなアシーデにヴァーミリオンは提案をするが。
アシーデの方は鼻で笑ってみせる。
『あなたたち、私たちというものを分かっていないのかしら?
私たちにとっては力が全て。
だから、私たちはチャンスを逃さない。
無様に宿命を受け入れるのではなく、最後まで抗うことこそ美しいのよ!』
そう言ってスキュラは魔法を唱えようとする。
彼女が生み出そうとするのは酸の霧、
......尤も、事前に構えていれば冒険者たちの方が先に止めを刺せるだろう。
* * *
スキュラとの交渉を終えた頃。
天高く流れる水柱から何かが姿を現す。
それは......ファウントだった。
例によって、ナディンからは見えない。
『ラーナから聞いたよ。
敵を排除してくれたんだってね。
彼らについてはボクは基本的に関与しない。
キミたちの好きにすればいいよ』
ファウントはまだ気絶したままのメディクを見て、語る。
活かすも殺すも好きにしろ、というところだろう。
『キミたちのおかげで、この世界の運命は大きく変わったよ。
もうこれ以上水が穢されることはない。
そう遠くないうちに浄化されて......ボクの結界の力も戻るだろう。
――本当にありがとう』
ファウントはそのまま一礼。
『約束のお礼をしないといけないね。
これを、受け取って欲しい』
ファウントがそう言うと彼女の周囲から泡が幾つか溢れ出て。
冒険者たちのもとへとふわりふわりと飛ぶ。
そして、それぞれの手でパンと弾けて中から出てきたのは。
青く透き通る玉のような石の入った青い二枚貝だった。
『ボクからのお礼さ。
その中の宝石には水の力が僅かにこもっているんだ。
耳に近づければ、水の流れる音がして......ボクは、好きだ』
ファウントの言葉の通り、宝石を取り出して耳に近づければ。
川のような、あるいは海のような。
雨のような、あるいは滝のような。
水が発する音をその耳で感じられるはずだ。
『まだ少しだけなら余っているから。
欲しいならあげるよ。
キミたちは世界の恩人だもの』
どうやら貝殻にはまだ余剰があるらしい。
誰かほかの人にあげるつもりなら貰っていくといいだろう。
『よし、それじゃあキミたちをもとの場所に返してあげないとね。
ありがとう、本当にキミたちのおかげだよ。
また今度......綺麗になった川を訪ねてくれると嬉しいな』
ファウントは笑顔を作ってから、指を一回転させる。
すると冒険者たちの足元に水が溜まっていき。
上へ上へと圧力をかけてくる。
このまま一気に吹き上げてしまうつもりのようだ。
もし、冒険者たちが望むならばメディクやアシーデの身体も一緒に吹き上げてくれるだろう。
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あんみつ@GMより
進行になります。
ラーナが薬は預かってくれます。
【NPC:女性】に【アシーデ】を登録しておきます。
多分すぐに死ぬけど。
幾つかの情報を語ったあと。
アシーデは【アシッド・クラウド】を唱えようとしてきます。
その前に止めを刺すことが可能です。
お好きな人がお好きな感じでどうぞ。
その後ファウントが姿を現します。
ファウントから【蒼貝の水石】を一人ずつ計4個貰えます。
もっと欲しければ幾つかは追加でくれることでしょう。
その後ファウントが皆さんを脱出させてくれます。
メディクたちも一緒に運んで欲しいなら頼むことができます。
他にも何かあればご自由にどうぞ!