貝殻を一つ、手に持って
――そんなアシーデにヴァーミリオンは提案をするが。
アシーデの方は鼻で笑ってみせる。
「......センセイ、もうやめよう」
ヴァーミリオンに制止の声を掛ける。
センセイは『尋問ではなく交渉を』という立場でスキュラと話していたみたいだけど、
この蛮族がソレに感謝し、取引に応じようとしている風には見えなかった。
ちらりとナディンの顔を見る。
(次にスキュラが怪しい動きをしたら、殺ろう)
そう目で伝える。
無様に宿命を受け入れるのではなく、最後まで抗うことこそ美しいのよ!』
そう言ってスキュラは魔法を唱えようとする。
聞き取れない古代語を止め、スキュラは魔法語の詠唱を開始した。
『交渉』はここまでだ。
「ナディン!」
ヴァーミリオンにタックルをしかけ、スキュラの正面から突き飛ばす。
...やったか?
..
...
....
すべて片付いたころ、まるで見ていたかのようにファウントが現れた。
いや、実際に『見える』んだったっけ。
彼らについてはボクは基本的に関与しない。
キミたちの好きにすればいいよ』
好きなように、か。
「それはつまり、コイツを法の裁きに掛け、そ
のためにココや泉の御方のことを多くの人に話してもいい...って事かい?
この毒神の神官とは関係ないけど、
オレたちは古の妖精たちについての調査も命じられてあの川に来ていたんだし、ね」
ファウントはどう答えるだろうか。
誰に何を話そうともこの世界は安泰だと確信しての『好きにすればいい』なのかな。
..
...
....
その後、オレたちはファウントから礼をされ、報酬をもらい、元の世界へ帰る事になった。
「妖精の世界、か」
普段、妖精を召喚する側だったオレが、今日は逆に召喚される側になった。
オレが妖精たちにマナを支払い報酬とするように、今日は不思議な蒼い貝殻を報酬として受け取った。
...あのとき、ファウントの依頼を断ったらどうなっていただろうか。
...あのとき、オレたちがスキュラと神官に敗れていたらどうなっただろうか。
...オレはいつも、召喚した妖精が何を思い何のために契約を果たすのか、考えたことがあっただろうか。
よく生きてるよなぁ、オレも。
ふふっと、少しだけ笑みが湧く。
今度から召喚した妖精のことをもう少し労ってやろう。
妖精使いとして、妖精に見捨てられないようにするためにも、オレはそうすることにしたのだった。
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-PLスキュラ-
報酬を受け取って元の世界に戻ります。
PL各位
メディクはどうしましょうか。
この世界で殺すのもなんだか穢れ的にイヤな気もするし、
元の世界に連れ帰ってからアレするなり、コンチェルティアに引き取ってもらうなりしたほうがいいかな?