防衛と宝石と
『――――――――?』
なにやらスキュラとヴァーミリオンさんが話している。
僕は縛ったメディクを転がして、スキュラに手が届く距離で待機していた。
この位置なら、例え触手に襲われても本体を叩けるはずだ。
話の内容そのものについては分からない。
けれど、この蛮族がまともに話すつもりが無さそうである、ということはなんとなく理解できる。
『あなたたち、私たちというものを分かっていないのかしら?
私たちにとっては力が全て。
だから、私たちはチャンスを逃さない。
無様に宿命を受け入れるのではなく、最後まで抗うことこそ美しいのよ!』
「ナディン!」
「はい!」
スキュラの手にマナが集まり、呪文に応えてその力を現す――その前に、僕の拳が蛮族の頭を打った。
すでに限界ギリギリだったであろう蛮族は、呆気無くその意識を失った。
「それでまあ、これも話す気も無いようですね。
事ここに至って、僕はこの蛮族を生かしておくつもりはありません。
まあ、もしこいつの言葉から何か収穫があるようであれば止めますが......」
再度拳を握り、ヴァーミリオンさんの方を見る。
何もないようであれば、是非もない。
* * *
ファウントさんが一礼するので、私も軽く一礼した。
「それはつまり、コイツを法の裁きに掛け、そ
のためにココや泉の御方のことを多くの人に話してもいい...って事かい?この毒神の神官とは関係ないけど、
オレたちは古の妖精たちについての調査も命じられてあの川に来ていたんだし、ね」
にわかにパーティの面々が騒がしくなった。
多分ファウントさんか、他の妖精が来たのかな。
と、ふと泡が飛んで来る。
この水に石鹸が入ってるわけでもなし、魔法かな。多分ファウントさんの。
そして、それぞれの手でパンと弾けて中から出てきたのは。
青く透き通る玉のような石の入った青い二枚貝だった。
「これは趣味の良いものですね。宝石も綺麗ですし、貝の殻も悪くありません。
しかし、海の貝に耳を当てると海の音、なんて言葉を聞いたことがありますが、本当にあるもんなんですね」
耳......というか聴覚パーツというか、とかく耳の硬質部品に宝石をふれさせる。
水の流れるような、あるいは波の打ち寄せるような音が心地よい。寝る時とかに良さそうかな?
ふと気づくと、にわかに足元が水に浸ってきている。ファウントさんの魔法で陸にあげてくれるらしい。
「あ、メディクくださいメディク。彼は街に引き取ってもらいますから」
見えないけど多分あっちだろう、と当たりをつけて声をかける。
蛮族の方はどうでも良いので、さくっと処分してもらえれば良いかな。
* * *
そうして僕らは陸に戻った。
懐かしの、という程でもないけど、それくらい恋しかった気もする。
「ふうっ......、いやあ、水中世界も楽しかったですが、やっぱり陸は格別ですね。
良い土産話も出来ましたし、依頼主への報告もバッチリでしょう。多分。
蛮族退治も出来ましたし、良いことずくめでした」
朗らかに笑い、街を向いて歩き始める。
そして直ぐ、ルークさんとの合流が必要だったと思い出した。
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PL:配管
メディクはさっさと連れ帰りたいと思ってました。
街につれてって尋問な。
【行動】
とくになし