魚の跡へ

 ルート(初志) [2016/08/19 20:48:51] 
 

「答える義理はない......けど......。
 はぁ......もうどうせ、終わりだ......。
 僕が答えられることは答えるから。
 ――メディク兄さんを......許してあげて......」


許すかどうかは僕の決めることではないけれど。


「兄さんと一緒に蛮族が向かっていったよ。
 いけ好かない奴だったけど。
 ――他は......知らない」


蛮族に通ずるような者が許されることはほぼ無い。
僕はそれを痛いほど知っている。


「不死者の集団を......揃えてコンチェルティアを攻めるつもりだったんだ。
 それに成功すれば、とっておきの薬をくれるって言われたから」

「偉い人から、薬を......貰ったんだ。
 それを使っただけ。
 止める方法は......教えてもらっていない」


「やっぱり、そうですか。――性根が腐りきってる」

ある程度予想はしていた。していたが。

「ウィリさん。...申し訳ありません。これ以上の穢れは止められたようですが
 浄化は...」

即座に何もかも元通り、なんて都合の良い事はなかった。
穢れた水を戻す術は僕にはない。
ちくしょう。




カイル達はそろそろ帰るようだ。


「そろそろ、帰るとするか。
 エミール、こいつを逃さないように連れていってくれ」

「あんたの仲間も......無事だといいんだがな」


「はい。それを、...確認しにいこうかと」


あの時、結界に飛び込まなかった僕には
それを確かめる義務がある。

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PL
川へ向かいますー。