【B-2-4】王女の求めるもの
>「王女様でしたか、これは失礼致しました。
> 私の名前はセスシナングと申します。
> 祖の言葉で『揺れる木の葉』を意味するとか」
セスシナングはその名前を姫に告げつつ。
ゆっくりと跪いてみせる。
「セスシナング......揺れる木の葉、か。
優しげで良い名前ね。
ふふ、それと......そんなポーズは必要ないわ。
誰か通りかかったら邪魔になってしまうでしょ?」
アティファはそうセスシナングに立ち上がるように言った。
セスシナングは立ち上がりながら。
ふと最初の目的に気づく。
>「ところで、こちらは貴方のものではありませんか?
> あなたとぶつかってしまった後、そばに落ちていたのですが...」
それは大通りで拾った青石の首飾り。
「まあ、気づかなかったわ......それは彼への贈り物なの。
よかった、ありがとう。
あなたにはお礼を言ってばかりね」
セスシナングの差し出した首飾りを彼女は受け取る。
どうやら彼女自身の持ち物ではなく。
誰か、それも男性への贈り物だという。
>「それにしても、アティファ様は何故このような場所にいらしたのですか?
> 貴方のような方が訪れるには危険な場所だと思いますが...」
>「先程のような方々にまた出会ってしまう可能性もあります。
> 宜しかったら、このまま『護衛』を続けましょうか?」
青石の首飾りを返し終えると。
セスシナングは疑問を投げかけてみた。
何故王女たる身分のアティファが一人でこんな路地裏を歩いているのか、と。
「それはね、簡単な話よ。
城の中にいると退屈なの。
満ち足りているけれど、ただそれだけ。
だから時々私は街にこっそり出かけていたわ。
でも、流石にこんな路地裏にひとりで来るつもりは最初はなかった。
ただある時迷い込んで、ここで出会ったのよ――彼に」
もともとアティファは城での生活に退屈感を覚えていたらしい。
だから、時々城下町を一人で散策していたが。
ふと路地裏に迷い込んだとき、ある男性に出会ったのだという。
「彼は、確かに貧しく、何の力も持っていなかったわ。
でも彼は自由に生きていた。
一人でも生きようとしていた。
真っ直ぐに、誰かに敷かれた道を行かず、自分の道を拓きながら。
そんな彼の自由さ、強さに私は憧れたのよ」
――憧れた。
そこには文字としてのそれ以上の意味をセスシナングは感じ取れただろうか。
「――アラジン」
数歩足を進ませながら話していた彼女は振り返り、ある名前を紡ぐ。
「それが彼の名前なの。
どうせならうちの近衛兵長ももっと彼を見習ってくれればいいのだけど。
いつもガミガミうるさくて堅すぎて嫌になるわ。
それに比べてセスシナングはマシね。
でも、あまりかしこまった態度ばかり取られると困っちゃうわ。
私が嫌というより、そんな態度だと私が王女だって他の人に気づかれちゃう。
でも、ちゃんと心掛けてくれるなら、あなたに護衛頼もうかしら?」
どうやらアラジンとは、アティファの出会った者の名前であったようだ。
それに、アティファの傍には近衛兵長なる人物がいるらしい。
彼はおそらくアティファの護衛であろうから。
正直なところ、今のような状況には頭を痛めているかもしれない。
「アラジンの家は、もう少し曲がって行ったところよ。
ちっちゃくてぼろぼろな家だけどね、ふふ」
けれどアティファは気にせず行く。
セスシナングは彼女の護衛を務めるならついていくといいだろう。
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あんみつ@GMより
こちらセスシナングのルート進行です。
とりあえず会話メインのターンが続くかな。
セスシナングはアティファについて護衛になれます。
ついて行く場合このままアラジンの家のそばまで向かうことでしょう。