【B-3-1】商人と女性

 GM(あんみつ) [2016/07/31 23:23:02] 
 

光から解放されたグレースの前にあったのは、大きな石造りの遺跡だった。
まるでそれは巨大な獅子のように大口を開けている。

ふとグレースは何かを掴んでいるような感覚を覚える。
その正体は黄色い色の栞だった。
こういったものは以前はなかったが、少し魔法のタイプが変わったのだろうか。
黄色い栞には文字が記されている。
系統的にどの言語に属するかは不明だが、グレースはその内容を理解できる。

『物語の登場人物には各々の役割がある。
 黄の栞を手にした者よ。
 世界の中で笑いの物語を紡げ......』

グレースに課された役割。
それは笑いをもたらすことなのだろうか。

   *   *   *

グレースの傍には、一緒に訪れたはずの三人はいなかった。
前回同様他の場所へ散り散りに飛ばされたのかもしれない。

代わりに背後から誰かが近づいてくる。

「そこのお前。
 もしかしてこの遺跡の財宝が目当てか?」

振り返ればでっぷりと太った、男性と。
彼とは真逆ですらりとしたスタイルの女性が立っていた。

「俺たちも、そこのお宝でちょっと欲しい物があってね。
 こいつを遺跡に送り込もうと思ってたんだが。
 よかったら、一緒に行ってやってくれないかね?
 あんたは学がありそうだ、きっと探索の役に立つ。
 ――勿論、礼ならどっぷりさせてもらうつもりだ」

強欲そうな下卑た笑顔を浮かべながら、男は言う。
その間、女性は黙っているままだ。

「本当はな、別の奴を先に行かせてあったんだ。
 どこのドブネズミか分からん奴だが。
 何やら、お金と身分が欲しかったみたいでね。
 色々とチラつかせてやったら、喜んで遺跡に向かっていったよ。
 だが、所詮は貧しい奴だ。
 実際使い物にはなっとらん。
 向かったはいいが、まだ帰ってくる気配がないのだ。
 きっと、遺跡の中で野垂れ死んでいるんだろうよ、哀れな奴だ」

彼の話を聞く限り。
先行して遺跡に潜った人物がいるらしい。
どうやら貧しい身分の者らしいが、その人物は入ったまままだ帰ってこないという。
もう中で命を落としているのだろうか。
それとも、中で助けを待っているのだろうか。
もし中で助けを待っている場合、神官であるグレースが向かえば......命を救えるかもしれない。

「こいつは優秀な俺の部下でなぁ。
 探索ならそれなりにお手のものだ。
 それにお前の頭脳がありゃ、ちゃんと持って帰って来れるだろうよ。
 ――あの魔法のランプをな。
 んで、俺からの依頼受けてくれるかい?」

同行するという女性はそれなりに斥候としての技術があるらしい。
であれば、多少の罠には対応できるだろう。

遺跡に行くか、行かないか。
それはグレースの心持ち次第だ。


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あんみつ@GMより

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グレースは今遺跡の前にいます。

グレースはSQの証として【黄色の栞】を手にします。
【分類:道具】【黄色の栞】を登録しておきます。

グレースは遺跡の前で二人の人物に話しかけられます。
一人は太った商人風の男。
もうひとりはミステリアスな女性です。

グレースは次の行動を選択してください。

具体的なものは以下の3つです。

・男の依頼を受けて遺跡に向かってみる
・男の依頼を受けず遺跡に向かってみる
・遺跡には向かわない

他にも何かございましたらお好きにどうぞ!

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