【B-3-1】商人と女性
光から解放されたグレースの前にあったのは、大きな石造りの遺跡だった。
まるでそれは巨大な獅子のように大口を開けている。
ふとグレースは何かを掴んでいるような感覚を覚える。
その正体は黄色い色の栞だった。
こういったものは以前はなかったが、少し魔法のタイプが変わったのだろうか。
黄色い栞には文字が記されている。
系統的にどの言語に属するかは不明だが、グレースはその内容を理解できる。
『物語の登場人物には各々の役割がある。
黄の栞を手にした者よ。
世界の中で笑いの物語を紡げ......』
グレースに課された役割。
それは笑いをもたらすことなのだろうか。
* * *
グレースの傍には、一緒に訪れたはずの三人はいなかった。
前回同様他の場所へ散り散りに飛ばされたのかもしれない。
代わりに背後から誰かが近づいてくる。
「そこのお前。
もしかしてこの遺跡の財宝が目当てか?」
振り返ればでっぷりと太った、男性と。
彼とは真逆ですらりとしたスタイルの女性が立っていた。
「俺たちも、そこのお宝でちょっと欲しい物があってね。
こいつを遺跡に送り込もうと思ってたんだが。
よかったら、一緒に行ってやってくれないかね?
あんたは学がありそうだ、きっと探索の役に立つ。
――勿論、礼ならどっぷりさせてもらうつもりだ」
強欲そうな下卑た笑顔を浮かべながら、男は言う。
その間、女性は黙っているままだ。
「本当はな、別の奴を先に行かせてあったんだ。
どこのドブネズミか分からん奴だが。
何やら、お金と身分が欲しかったみたいでね。
色々とチラつかせてやったら、喜んで遺跡に向かっていったよ。
だが、所詮は貧しい奴だ。
実際使い物にはなっとらん。
向かったはいいが、まだ帰ってくる気配がないのだ。
きっと、遺跡の中で野垂れ死んでいるんだろうよ、哀れな奴だ」
彼の話を聞く限り。
先行して遺跡に潜った人物がいるらしい。
どうやら貧しい身分の者らしいが、その人物は入ったまままだ帰ってこないという。
もう中で命を落としているのだろうか。
それとも、中で助けを待っているのだろうか。
もし中で助けを待っている場合、神官であるグレースが向かえば......命を救えるかもしれない。
「こいつは優秀な俺の部下でなぁ。
探索ならそれなりにお手のものだ。
それにお前の頭脳がありゃ、ちゃんと持って帰って来れるだろうよ。
――あの魔法のランプをな。
んで、俺からの依頼受けてくれるかい?」
同行するという女性はそれなりに斥候としての技術があるらしい。
であれば、多少の罠には対応できるだろう。
遺跡に行くか、行かないか。
それはグレースの心持ち次第だ。
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あんみつ@GMより
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グレースは今遺跡の前にいます。
グレースはSQの証として【黄色の栞】を手にします。
【分類:道具】に【黄色の栞】を登録しておきます。
グレースは遺跡の前で二人の人物に話しかけられます。
一人は太った商人風の男。
もうひとりはミステリアスな女性です。
グレースは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の3つです。
・男の依頼を受けて遺跡に向かってみる
・男の依頼を受けず遺跡に向かってみる
・遺跡には向かわない
他にも何かございましたらお好きにどうぞ!
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