暗黒の空ノムコウ

 グレース(コルチョネーラ) [2016/08/24 12:50:03] 
 

イスラさんはルークさんの答えにこう反応した。

>「仲間だから、生きろ?
>......わからない。
>でも――わかる、かもしれない」

 「仲間とは素晴らしいものなんです。
  喜びを二倍にし、悲しみを半分にする存在。
  きっとわかると思いますよ。」


今まで仲間らしい仲間に巡り逢わなかったのだろうか。
兄弟や家族とも縁が薄そうに見える。
その中でたまたまファッティさんだけは大事にしてもらえた。
彼の本質が見抜けなかったのは仕方無いことだったのかもしれない。

   *   *   *

僕らは遺跡の脅威から完全に脱した。
気分は空中散歩である。

>「よっしゃあ!
>オレたち生きて出られたんだよな!
>風が気持ちいいぜー!
>高いから見晴らしもいいしな」


 「これはなかなか無いレア体験ですね。
  飛行艇なら今後も乗れる可能性はありますが、
  さすがに絨毯は無いでしょうし。ちょっと自慢できそうです。」

もちろんこれに乗って見ることができる景色も感動的なものだった。
異国の街並みも見えることだろう。
これを絵として残せる画力が僕には無いのだから
目に焼き付けておくことにしよう。


ナーゼルさんはものすごく高齢なんだろうか。
もっとも年齢そのものが存在しないのかもしれない。
ただ、マスターに呼び出される間しかランプの外に出られず、、
マスターの願いを叶えるためしか魔法は使えないらしい。


 「じゃあ貴方ががもし重度の病気になったら、
  マスターにそれをお願いしてもらわないと治らないってことですか?」

この質問はスルーされる気がする。


実はそういうコントを見たことがある。
マスターはなかなかそのお願いを言ってくれない。
もちろんコントだから笑って見ていられるが、
実際はすぐ気づいてやらないといけないだろう。
もっとも、こういう時の魔神って病気にはならないんだろうが。


>「僕はこの役目が不幸だとか感じてはないよ。
>マスターたちに幸せを届けられる仕事だからさ。
>......でも、やっぱり、自由に生きられたら幸せだなって思う時もあるよね」


もしも、マスターがナーゼルさんに魔神業(?)を引退してもらうことを望んだら
この世界で自由に生きることもできるのかもしれない。
まあ、魔神としての能力は残らないかもしれないが、
自分の人生を自由に生きることはできる。


イスラさんががルークさんに後ろから話しかけてくる。

>「お礼、言ってない。......ありがとう」

 「お。初めて笑顔を見せましたね。」

彼女はうっすらとチャーミングな笑みを浮かべていた。

   *   *   *

空中散歩は異様な変化を見せていった。
急激に周囲の景色が変わっていく。

灼熱の太陽と青い空が
月も星もない漆黒の宇宙へと変わっていくのだ。
天変地異を予感させるような光景だった。

誰もが不安に感じ、大事な人の安否を気遣う。

>「この感じ、まさか......」

ナーゼルさんは何かに気が付いたようだ。
そして、アラジンさんには街に近づかないように忠告する。
しかし、アラジンさんは、大事な人がいる街が危機的な状況とあって
街に行くことを望んだ。


 「ナーゼルさんは今の現象にお心当たりがあるようですが、
  それが何か仰っていただけますか?
  もしかして...ですけど...」

僕は一旦言葉を切ってから切り出した。

 「ブラックホールとか言わないでしょうね!?」


空想小説の類だが、ここだって本の中の世界だ。
あながち不可能な現象でもないだろう。

答えを聞いてから僕は答える。


 「僕らはこの国に平和をもたらすためにやってきたんです。
  もちろん、僕らは PERFECT HUMAN ではありませんけど。
  でも、街が、ましてやお城が危機的な状況とあれば放置はできません。
  アラジンさんが助かっても国が滅亡する可能性はあり得ます。
  それに、僕らにはまだここにはいない仲間がもう一人います。
  彼女がもう乗り込んでいるかもしれませんからね。」

やや大げさな表現ではあるが、
ハッピーエンドに導くという役目を説明するよりも
そう言ったほうがいいだろう。
「幸せをもたらすためにやってきた」と言いたかったが、
これは保証できない。だから「平和」という表現に留めた。


過去の実績からして、僕らはヒーロー、ヒロインのもとに飛ばされる傾向がある。
つまり、セスさんが王女の近くにいる可能性が高いのだ。
彼女一人に背負わせるわけにはいかない。


* * * * * * *


コルチョネーラです。

街に向かいます。

・喩えボケ「ブラックホール」
・流行語ネタ「PERFECT HUMAN」
・スルーネタ(ナーゼルに質問してもスルーされるのが慣習化するのが前提)

・タイトルはこっそりタイムリーネタ狙いです。


まあ、街から逃げる、はないですね。
情報を収集して本当にブラックホールだったら対処できないでしょう。

魔神の力を入手したファッティさんは自身のために力が使えているようですね。
入手したはいいが他人のためにしか使えない、という落とし穴を期待したんですけどね。
魔神の力でデーモンルーラー技能を得たのか、はたまた元々持っていたのか。
魔法は想定していたけど、魔神対策はしてなかったなぁ。