【C-2-2】不相応な野望
>「きっと、買い物や散歩に出かけているのですよ。
> 少しお待ちすれば、お戻りになるはずです」
「そうね、アラジンのことだからありうるわ。
まったくひどい話じゃない、わざわざ来てあげたのに」
言葉の内容とは裏腹に、アティファは笑いながらセスシナングに返した。
そんな二人を見つけた男性こそ。
ハフィーズなる近衛兵長である。
その彼とアティファは応酬を繰り返していたが。
そこにセスシナングは入り込むことにした。
>「捜しに行きましょう、アラジンさんを」
セスシナングの言葉で二人共そちらの方へと注意を向ける。
そんな二人のうち、まずはハフィーずに向けて。
>「初めまして、ハフィーズさん。私、セスシナングと申します。
> 先程こちらでアティファ様とお会いしました」
「いえ、こちらこそ挨拶が遅れて申し訳ございません。
私はハフィーズ、この国の近衛兵長を務めています」
セスシナングが自己紹介をすれば。
ハフィーズの方も返してくれることだろう。
>「私は乱暴者に襲われそうになっていたアティファさんをお助けしました。
> 私は見ての通りのリルドラケンで、力には自信があります」
>「私がアティファ様にお付きしますので、
> どうか、本日のアティファ様の外出をお許しいただけないでしょうか?」
挨拶を終えたあと、セスシナングは本題を切り出す。
それは自分が護衛をするから、アティファにアラジンの捜索をさせて欲しいというものだ。
「そうよ、私もそれがいいと思うわ。
さっきも危ないところだったけど、セスのおかげで助かったわ」
セスシナングの手助けを得られたのをいいことに。
アティファやその言葉に追随する。
「とはいえ、失礼ながらよく知らない相手に護衛を任せるのには不安が......」
ただハフィーズの反応は芳しくない。
彼はセスシナングをよく知らないのだから当然かもしれないが。
「それに、そもそもアティファ様がここの住人のような者と......」
「ハフィーズ、さっきの言葉忘れたの?」
またハフィーズが何か言おうとしたが。
アティファがそれを遮った。
* * *
――ちょうどそんな話をしているところだった。
「おや、王女殿下に近衛兵長殿ではありませんか。
こんなところで珍しいことですな」
でっぷりと太った豪商らしき男が二人の護衛を連れて通りがかった。
護衛たちは見たところそれなりの練度であるように見える。
「ファッティさん、あなたもどうしてこんなところに?」
アティファが彼に返す。
どうやら、彼はファッティという名前のようだ。
「いえ、ただの市場調査ですよ。
ついでにお二方を見かけたのでご挨拶をさせていただこうと」
話し方こそ丁寧ではあるものの。
どことなく含みのある笑い方をしていた。
「それはそれは、わざわざありがとうございます」
ハフィーズはそう恭しく言った。
「おっと、少し失礼」
だが、突然ファッティは向こう側を向いてしまう。
それにしても彼の様子はおかしい。
なんだかどんどん怒り出しているように見える。
「ふん、使えない奴だ。
あれだけ恩をかけてやったというのに。
まあいい、仕方あるまい」
軽く地団駄を踏んでから。
ファッティは再度こちらに振り返る。
「すみません、お見苦しいところをお見せしまして。
少し、仕事の方がうまくいかなかったようでしたな」
「まあ、それは大変ですわね」
当たり障りのない対応がファッティとアティファの間で交わされる。
「いえ、問題ありませんよ。
ふふふ、やりようは幾らでもありますからね」
そう言ってファッティは布を取り出し。
左手の中指に付けられた指輪を拭く。
その指輪には黒い宝石がつけられていたが。
どうにも......どうにも不安を感じる指輪であった。
「ところで、私は富で解決できるならばそれが一番だと考えていますが。
実力行使が必要であれば、それも仕方ないことと考えているのですよ」
不敵な笑みを零す彼の態度に、流石にハフィーズも警戒の念を顕にする。
「何が、言いたいのですか?」
さりげなくアティファをかばうことのできるいちに彼は移動する。
勿論セスシナングだって、同じようなことはできる。
「私は、価値のあるものや美しいものを愛しているのです。
例えば、そう......宮殿に眠る宝物の数々や。
見目麗しきアティファ様のようなね」
アティファは彼の言葉を聞いて。
怯えた様子でセスシナングの後ろに隠れた。
「つまり、私のしたいことはただ一つ。
この国の美しきもの、全てをいただきます」
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あんみつ@GMより
こちらセスシナングのルート進行です。
二人の仲裁をしていると、ファッティが二人の護衛を引き連れてやってきます。
護衛に対しては魔物知識判定が可能です。目標値は10。
成功すれば【正騎士】相当の実力を持っているとわかります。
このシーンで行いたい行動があれば、どうぞ。