見つかってしまいました。
>「ありがとう――セス。
> じゃあ、行きましょう?
> ちゃんと守ってちょうだいね」
「ふふ、お任せ下さい」
ほら、『門』達も少しだけ熱を帯びてカラカラと震えているようです。
任せろ、と言いたいのでしょう。
貴方達が買って買ってとせがんだ、矢(シルフさん曰く、弓は無くてもいいそうです)や杖が役に立ちますよ。
いいえ、これらの出番はない方がいいのですけれど。
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しばらく歩いて辿り着いたのは、質素な家の前でした。
ここがアラジンさんのお家なのですね。
>「ねえ、アラジン?
> 中にいるかしら?」
アティファさんが声を掛けますが、返事はありません。
お出かけ中なのでしょうか。
>「残念......留守なのかもしれないわね。
> 今日出かけてるなんて聞いてなかったのに」
「きっと、買い物や散歩に出かけているのですよ。
少しお待ちすれば、お戻りになるはずです」
話を聞いた限りは、アラジンさんは活動的なお方だという印象を受けました。
そういえば、アティファさんがアラジンさんにプレゼントをお渡しするということは、今日は何か特別な日なのかもしれません。
例えば...
>「......あ」
「どうかしましたか?」
私の漠然とした思考を遮断したのは、人間の男性でした。
この方がアラジンさん...ではないようです。
>「探しましたよ、アティファ様」>「私は探してなんて頼んでいないわよ、ハフィーズ」
ハフィーズさんと言うらしいこの方、アティファさんを探しに来たようです。
彼女の言っていた『頭の固い近衛隊長』とはこの方なのでしょうか。
>「私の役目はご存知の通り、アティファ様をお守りすること。
> 姿が見当たらなければ、例え砂漠の向こうまでも探すのは当然のことです。
> ――さあ、アティファ様。
> 宮殿の方まで戻りましょう」>「嫌よ、戻らないわ。
> あそこにいたって退屈なだけだもの」>「お気持ちはわかります。
> ですが、大通りを歩くのならまだしも。
> このような......」>「それ以上言うと怒るわよ、ハフィーズ」
>「――失礼致しました。
> ですがやはり、私にはアティファ様を城に連れ戻す義務があります。
> どうか、私と共にお戻りください」
まあ、どうしましょう。私はお二人の間でしばらくおろおろしていました。
お二人は会話の応酬を繰り返していましたが、お互いに譲る気配はありません。
アラジンさんがいらっしゃらない以上、アティファさんはお城に戻るのが正解なのかもしれません。
でも、それだと私はどうすればよろしいのでしょう。
次にアティファさんとお会いできるのはいつになるのでしょう。
私が物語のこの時間に飛ばされ、アティファさんに出会ったのは何か意味があるはずなのです。
物語において、『待つ』という事程面白くなく、退屈な選択肢はありません。
私は決心しました。今の私はアティファさんの護衛です。
「捜しに行きましょう、アラジンさんを」
アティファさんも、アラジンさんも、そう望んでいるはずです。
「初めまして、ハフィーズさん。私、セスシナングと申します。
先程こちらでアティファ様とお会いしました」
目線を合わせるように片膝を付いて、ハフィーズさんに自己紹介をします。
自己紹介は基本です。
「私は乱暴者に襲われそうになっていたアティファさんをお助けしました。
私は見ての通りのリルドラケンで、力には自信があります」
自分で言って何ですが私は強いのでしょうか?
失笑するかのように宝石が揺れました。
大丈夫です、私、強いです。
「私がアティファ様にお付きしますので、
どうか、本日のアティファ様の外出をお許しいただけないでしょうか?」
目には目を歯には歯を。真面目な方には真面目に。
正直にお願いをしてみます。
もし駄目だったら...どうしましょう?
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○PL
皆様が面倒な状況になってる中、こちらはのんびり会話パートです。
でもそろそろ何かが起こりそうな予感ですね。カテゴリ名的にも。
取りあえず正直に『自分が護衛するから外出許してください』とお願いします。
駄目だったらどうするかも一応考えているのですが、どうなってしまうのでしょうね(他人事