【D-1-2】正面か裏か
>「もしかして、囚われた心は魔神が...その...食べちゃうと...?」
グレースの質問にナーゼルは頷く。
「うん、そんな感じだね。
指輪に願ったものは知らず知らずに心を囚われ。
最後には指輪の魔神に同化してしまうんだ、全てがね」
その指輪に願ったが最後。
身も心も全てが魔神に囚われてしまうのだという。
そして新たな指輪の魔神が誕生するのだ。
* * *
>「待ってください、アラジンさん。
> 宮殿にいるのはアティファさんだけではありません」
アティファの名を呼び、宮殿へとかけようとするアラジンをセスシナングが呼び止める。
「あんた、アティファを知ってるのか?
てか、他に誰がいるっつうんだよ!
王様とか兵士じゃねーのか?」
アラジンはアティファの名を思いもよらぬところから呼ばれたことで足を止める。
それは勿論、彼に付き従うナーゼルも同じだ。
>「皆さん、ファッティさんという方をご存知でしょうか?
> 彼が黒い指輪を使った途端、彼はおぞましい魔神へと姿を変え、
> アティファさんを攫って行きました。ファッティさんは今、あの宮殿にいます。
> アティファさんだけでなくこの国そのものを手に入れるつもりです」
そんなアラジンたちにセスシナングは説明する。
アラジンの依頼主であり、イスラの主人であるというファッティが。
魔神に姿を変え、強大な力で国すらも手に入れようとしていることを。
「あのデブ野郎......ふざけやがって。
許せねえ、アティファに手を出しやがったら、絶対に」
ファッティに対して怒りの感情を燃やすアラジンに対し。
「そんな、嘘。
――嘘」
イスラは口を抑えて、蒼白な表情だ。
そんな話をしている傍ら。
>「ランプがむき出しになっていると、ファッティさんが警戒してしまうでしょう。
>これで包んで持っていたほうがいいです。
>それと、アラジンさん。 今の王様とお妃様が生前退位をされた場合、
>次に王位に着くのはどなたになりますか?」
グレースはアラジンにランプを隠すように伝えながら聞く。
「アティファじゃないか、確か。
そういうルールはオレ、よくわかんねえけどさ」
わかった、と頷いてランプを包みながら。
アラジンはわからないながらもアティファではないかと語る。
であれば、その夫となれば王座につくことも難しくないだろう。
だが、魔神と化したファッティがそこまで論理的な行動をするかは別だが。
一方ルークはその間着替えをしていた。
こっそりとサービスシーンである。
>「ナーゼルさん、
> 貴方の力でファッティさんを元の姿に戻すことは可能ですか?」
さて、セスシナングの話へと戻すと。
彼女はナーゼルにファッティを元に戻すことができるか尋ねた。
「僕だけの力だと、残念ながらできないよ。
僕と魔神の力はほぼ同等だからね。
でも、マスターが願ってくれるなら僕の力が魔神に勝る。
そうすれば、僕は魔神の力を抑えることができると思うんだ。
だけど、それでも......僕は100を10にすることはできても0にはできないかな」
ナーゼル単体では無理だが、アラジンが願うことで魔神に対抗できるという。
だとしても、その力をゼロにすることはできない。
つまり完全に元のファッティに戻すことはできないという。
>「状況は良くないな、あまり無策で潜入すればそれだけでも危険性が高まる
>一体一であれば状況はいいが....セスさんがさっき戦っていたみたいに何体でもあのレベルの魔神を出されれば攻撃に対処しきれなくなることがあるな
>できれば強襲できればいいんだが....アラジン、正面以外からの侵入経路はあるか?」>「アラジンさん。
> 宮殿からどう抜けだしていたか、アティファさんから何か聞いていませんか?
> 例えば、隠し通路とかですね」
また、ルークとセスシナングは問う。
アラジンにアティファが使っていたような侵入経路はあるのかどうか、と。
「......あるぜ。
本当は秘密なんだけど、こんな時だもんな。
大通りと路地裏の間にあるバザーの方に抜け道があるんだ。
オレもそっから中に入ったことがあるからわかるよ。
――べ、別に構わないだろ」
アラジンはその抜け道について知っているようだ。
そこはアラジンも実際に通った実績があるという。
こっそりアティファに会いに行ったこともあるんだろう。
>「先程、ファッティさんは『追ってきた場合は容赦なく私を殺す』と仰っていました。
> それはアラジンさんや、皆さんにとっても例外じゃないはずです。
> それでもアティファさんを助ける覚悟はありますか、アラジンさん」
最後にセスシナングは覚悟を問う。
アラジンはお世辞にも強くない。
であれば、うっかり死んでしまうこともあるかもしれない。
それでもアティファを助ける覚悟はあるのか、と。
「正直な話するとさ、魔神とかよくわかんねえけど怖いって思うぜ。
オレなんて弱っちいし逃げたいって思うに決まってんじゃん。
でも、こいつ――ナーゼルの力が役に立って。
そのためにオレの力が必要だっつうなら、オレは逃げねえ。
絶対、アティファを助けてやるんだ、オレの手で。
だって、オレはあいつのことが――好きだからさ」
間違いなくアラジンの足は震えていた。
だが、彼の目には確かに熱がこもっていた。
アティファを助けたいという思いで。
――ふと耳を澄ませれば、宮殿の方から戦いの音が聞こえてくるかもしれない。
おそらく魔神と兵士たちが戦っているのだ。
「んで、どうするんだよ。
このまままっすぐ行くのか?
それとも、隠し通路から行くのか?
早く決めないならオレは一人でも行くぜ。
アティファに何があるかわかんねえからな」
アラジンは冒険者たちに選択を求める。
正面からぶつかるか。
裏から回るのか。
正面から行くならば、危険かもしれないが早く辿り着ける。
隠し通路から行くならば、安全かもしれないが時間がかかる。
どっちがいいかについては人によることだろう。
時間がかかるならアラジンは一人で行くというが。
それは間違いなく危険なはずだ。
ナーゼルの力では無限の力を抑えることしかできず、無くすことはできないのだから。
そしてイスラはというともう何も言えなくなっていた。
彼女に道筋を与えなければ、この場からすぐに動くことはできないだろう。
それは――逆もまた然りだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
進行になります。
セスシナングとアラジンのやり取りでRPを1点差し上げましょう。
皆さんは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・正面へ行く
・隠し通路へ行く
分かれて行動することはできますが、
二つの向き先は離れているためどちらかで何かがあった場合、
すぐに救援に向かうことはまずできないと思っていてください。
イスラについてはよほどなことがなければこの場から動きません。
ただしうまくやれば一緒に行動してくれることでしょう。
他に何かあれば、ご自由にどうぞ。