巨大化した魔神は
ナーゼルさんの憶測によると、
ファッティさんが魔神化するとすれば、願いが叶って満足する瞬間らしい。
余韻を楽しむ時間もなく、その一瞬だけで代償を求めるとは、
やはりあの指輪は、指輪の主が生きながらえるための代物だ。
願いを叶えるという謳い文句は誘うための餌に過ぎない。
「魔神のすべてが性格の悪いものだとは思っていませんからね。」
肯定したら、ナーゼルさんも性格が悪いことになってしまう。
ただ、ランプと指輪が同じ遺跡に存在していたことを考えると、
ランプは寧ろ、指輪を使ってしまった人を
救済する意味合いもあったのかもしれない。
少なくとも、砂漠の民は救済しようという趣旨だったのか、
ランプを置いた人がどういう意向だったのかはわからない。
砂漠の民の願いや想いに差はなく、
ナーゼルさんの魔法の威力に変化はないようだ。
* * *
アラジンさんは、隠し通路から行こうとする僕らの案を承諾してくれた。
もちろん王女を早く助けたいという想いには応えていくつもりだ。
その場で立ち尽くしてしまい、動けなくなったイスラさんも、
僕らの熱意が通じたようだ。
>「容易く、男の手、取るな。
>――そう、教えられた」
「ファッティさんに、ですか。これはまた...」
忠実に言いつけは守っているようだ。
でも、彼女の瞳には迷いはなく、強い意志が見てとれた。
>「私、ファッティ様......救う、必ず。
>だから、行く。
>――共に」
「ええ。貴女なら救えますよ。僕も協力します。」
イスラさんが自分の意志で行動を起こす。誰に命令されるわけでもなく。
これこそが相手の心に響き、引いては救う要因となりうるのだ。
* * *
隠し通路を僕らは進む。
薄暗いが真っ暗ではないので問題なく進むことができた。
>「ここから城の廊下に出られるんだ」
そこには石壁があった。それを押すと
城の廊下に繋がっていた。
やはり攻め込まれた時の非常口といったところだろう。
それにしても、昼間であるはずなのに不気味な闇に包まれている。
普通に夜でもここまで暗くはないだろう。
>「あ、あいつは......!」
>「あれが、ファッティ様?」
僕は庭園を除くとそこには、変わり果てた巨人がいる。
あれがファッティさんなのか?
>「そうです、あれが、ファッティさんです」
「ちょ...巨大化してるなんて聞いてないですよ?!」
セスさんの回答に思わずツッコミを入れてしまった。
それにしてもずいぶんと変わり果てた姿だ。
ファッティさんの周りには兵士が倒れている。
彼らを助けることも、正面から行けば可能だったかもしれない。
その代り、僕らは疲弊していたり、
不意を突くことはできなかったかもしれない。
そして、漆黒の球が三つ。
ファッティさんは、もうロイヤルファミリーを捉えていたのだ。
王と、王妃。アティファさんの両親だ。
それを指輪の中に閉じ込めてしまった。
殺さなかったのが幸いだと信じたい。
>「やった、やったぞ......!
>これで邪魔者は全ていなくなった。
>これで......俺は全てをを手に入れることができる。
>俺の願いが叶ったのだ!」
王と王妃がいなくなれば、
すべてを手に入れられると思っているようだ。
実際そんなに世の中は単純ではないのに。
しかし彼は、頭を抱えて苦しみだした。
「願いが叶ったってことは...つまり...」
>「マズい、マズいよ。
>あのままじゃ魔神に完全に同化しちゃう!」
ナーゼルさんの憶測は当たっていたようだ。
指輪の恩恵はもう終わり、もう代償の回収に入ったのだろうか。
このままだとファッティさんが魔神に乗っ取られる。
これでは野望も何もあったものではないな。
>「だいぶ近づいてきたから、
>マスターが願えば僕が魔神に抵抗できるかもしれない。
>そうすれば魔神の力を弱めながら、魔神化を少しでも抑えられる。
>マスター、願うなら早く願って!」
「僕らじゃどうにも対処できません。
ナーゼルさんに頑張ってもらうしかないです。
アラジンさん、お願いします。」
他に方法が無い。ここはアラジンさんに二つ目のお願いをしてもらうしかないだろう。
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コルチョネーラです。
ランプ使ってもらうことを希望します。
ファッティさんが無敵じゃあ何しても無理ですし。
18:51:55 コルチョネーラ@グレース ≫ 予備ダイス 2d6 <Dice:2D6[5,1]=6>