【E-1-1】三つ目に願うなら......
地面に向けて落下してくるアティファ。
彼女を救ったのはセスシナングの翼だった。
「きゃっ」
空中でアティファを抱えるのに成功したため。
大きな衝撃はなくセスシナングはアティファを包み込める。
「ふう......助かったわ、セス。
うふふ、やっぱり貴女は私の立派な護衛ね」
安堵の息を吐いてから。
ゆっくりとアティファはセスシナングに微笑みかけた。
セスシナングが着地するとハフィーズがすぐさま駆け寄る
「ご無事ですか、アティファ様」
「――ええ、セスのおかげでね。
お父様とお母様は?」
アティファはセスシナングのもとから離れ。
指輪に吸い込まれていた国王夫妻の元へと向かう。
「気を失われているようですが、ご無事のようです。
――本当に、良かった。
お前たち、陛下たちをお休みになれるところまで」
ハフィーズはまだ無事な兵士たちに国王たちを場内へと運ぶように命令した。
残された他の兵たちには同じく吐き出された国民たちの介抱を指示する。
「私も城内に戻ろうと思います。
アティファ様はいかがなされますか?」
ハフィーズも一旦城内の様子を見に戻るらしく。
アティファにも声をかけたが。
「いえ、私はもう少しここに残るわ」
彼女はそう言って、まだここに残る意志を示した。
「――承知致しました。
もうあまり危険はないようですが、お気を付けて」
ハフィーズはただそうとだけ言って、国王たちを連れた兵たちと共に城内へ消える。
――残されたアティファはアラジンの方を眺めていた。
* * *
一方グレースはファッティの意識を起こし。
>「イスラさん、彼を起こしましたので側に行ってあげてください。」
イスラにファッティの傍へと向かうよう声をかける。
「わかった、礼......言う」
イスラはグレースに会釈した後。
ゆっくりと目を開けたファッティのすぐそこにしゃがみこんだ。
「う......ああ......」
力なく、少しだけ口を開く。
その瞳の光は弱かった。
「――ファッティ様」
イスラが優しくファッティの胸に手を当てる。
「俺は......俺......は......」
ファッティはその手をつかもうとするが届かない。
魔神に喰われかかったことでその体も心も弱っているのだろう。
病気でも呪いでもなければ奪われた源は癒せない。
それはそれなりに高位の神官であるグレースでも同様だ。
「......ファッティ様」
イスラの顔が悲しげに歪む。
でも、それだけではなかった。
「生きていれば、私、守れる。
必ず、守る」
そこに宿っていたのは決意の炎。
ファッティの命令としてではなく、自分で彼を守りたいと考えたイスラの意志だった。
「イス......ラ......」
彼女の言葉に答えるかのように。
虚ろで弱々しいながらも。
――ファッティは彼女の名を呼んだ。
* * *
「良かった......アティファが無事で」
セスシナングにアティファが抱えられたのを見ながら。
アラジンは胸をそっとなでおろした。
>「アラジン、ナーゼルに奴を弱くしてもらったが....お前の願い、少しだけ叶えた
>あとはお前がやりたいようにやれ」
そんなアラジンにルークが声をかける。
「そうだな、ルークやアメリアたちのおかげだ。
ほんと、どれだけお礼を言っても足りないぜ」
彼はルークの方に振り向いて。
にっと笑ってみせた。
>「姫さん、助けに来たんだろう?
>....なら、行ってやれ。そのために来たんだろう?」
そしてルークはアラジンの背中を押す。
だが、彼の背中を押したのはルークだけではなかった。
「そうだよ、マスター。
僕はマスターの願いが叶うのを見るのが幸せなんだから。
あ、そうだ......せっかくだから最後の願い使ってから行ってみようか?」
ナーゼルが宙に浮かびながら、アラジンの前に躍り出る。
彼の言う通り、まだあとひとつだけ。
願いの力が残っている。
「僕の力でマスターを王子に変えてあげようか?
そうすれば、王女様ともお似合いのベストカップルだよ。
あ、でもせっかくだし救国の英雄みたくすっごく強い剣士もいいかもね。
もしくは大賢者様とか、僕に願えばなんだってなれるよ」
最後の一つの願いを使えば。
アラジンはアティファと釣り合う存在になることだって簡単だろう。
願いの力は、冒険者たちが実際に目にしてきた通りだ。
「その願いって、オレ以外の願いでも叶えられるのか?」
ナーゼルの話を聞きながら、アラジンは問いかける。
ナーゼルは少しだけキョトンとした顔をしながらも。
「マスター以外の願い......?
あ、そうかお姫様の願いだね。
うん、マスターがお姫様の願いを叶えて欲しいと僕に言ってくれたら。
僕がその願いを叶えられるよ。
なるほどなー、そっちも結構ロマンチックかもね!」
たとえばアティファの願いを叶えたいといえば。
アラジンの願いとしてナーゼルが叶えられることを告げる。
「そっか、わかったよ。
――教えてくれてありがとな」
アラジンはナーゼルに礼を言ってから。
今度は冒険者たちの方に向き直る。
「オレさ、感謝しなきゃいけない相手がいっぱいいすぎてさ。
幸せだとは思うけど、こういう時困っちゃうよな。
......それにやっぱりオレの願いだって叶えられるなら叶えたいし、迷っちゃうぜ。
こんなとき、たったひとりのひとつの願いを選ぶなら。
あんたたちならどれを選ぶんだ?」
アラジンは問いかけた。
残されたひとつの願い。
それは、誰のために使うべきだろうか、と。
「まあ、オレなりにも少しは答えは決まりかけてるけど。
――聞かせて欲しいんだ。
みんなの気持ちも」
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あんみつ@GMより
進行ですー!
ここからはちょっとだけですがこちらのカテゴリにご投稿ください。
アティファはセスシナングにがっつり抱えられ助かります。
ほかのところはもろもろ雑多にイベントを処理しました。
ナーゼルはアラジンの最後の願いを叶えたいようです。
アラジンはというと、皆さんに誰の願いを叶えるべきか聞いています。
誰でもいいので、誰かいるなら挙げてみればいいんじゃないでしょうか。
勿論、自分の願いを叶えてくれって言ってもいいのですよ。
他のところはお好きにどうぞ!
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