【E-1-2】ランプの精に願う

 GM(あんみつ) [2016/09/16 23:08:38] 
 

>「私一人ではあなたを助けることは出来ませんでした。
> ここまで来られたのは、
> アラジンさんを始めとした皆さんが力を貸してくれたからです」

>「特に、アラジンさんはすごく必死だったんですよ。
> 最初に会った時の彼はあなたを助けようと、脇目も振らず駆け出そうとしていたんです。
> とても大切に想われていらっしゃるのですね。羨ましいです」

セスシナングはアティファを地面に降ろした後。
アラジンがアティファを助けようと駆け出していたことを語る。

「まあ......。
 なんというか、アラジンらしいわね。
 私は彼のそういうところが――好きなのよ」

そう返すアティファの表情は。
今までで一番幸せそうであった。

>「さあ、アラジンさんに元気な姿を見せてあげて下さい」

「そうね。
 本当にありがとう、セス。 
 貴女に今日出会えて、本当に幸せだったわ」

アティファはアラジンたちの方へと歩き出した。

   *   *   *

>「アラジンさんが納得のいく願い事をされれば宜しいのではないでしょうか?
> 願い事の3つのうち二つは、危険を回避するためのものでしたし、
> おひとつくらいは、我儘を聞いてもらってもバチはあたりませんでしょう。」

>「最後の願いは大事な友人の為に。
> 今まであなたを助けてくれた友人の願いを叶えるのがいい、私は思います」

>「‥‥アラジンさん。大切な存在と一緒に居られるのって、きっと奇跡なんですよ。
> 強いて言うなら、それこそランプの精に叶えて貰うのに十分なものだと思います」

>「どうか叶えてあげてください。その方は今まで自分の願いを二の次にしてきたようですから」

>「決まっているのなら好きにしな、色々あったが俺は友の願いを叶えるためにここにいる」

冒険者たちの回答を一通り聴き終えて。

「ありがとな、オレも......答えが決まったよ」

アラジンの最後の願いが定まったようだ。
もうその答えは決まっていたのかもしれない。
それでも、冒険者たちの言葉はアラジンを願いへ進ませるためにそっと背中を押した。

「なあ、ナーゼル。
 オレだってさ、夢多い若い男だからな。
 欲しいものなんていっぱいあるんだ。
 でも、ルークは言ってただろ?
 夢や願いは自分で叶えるものだってさ。
 だから、オレは、オレの夢はオレの力で叶えて見せようと思う」

そんなアラジンたちの元にアティファが歩いて近づいてきた。
アラジンはそんな彼女の手をとった。

「他にもアティファが叶えたい夢だっていっぱいあると思う。
 それを叶えてあげて、アティファの喜んでるところを見たい。
 けどな、道具に頼って叶えてやったってかっこ悪いじゃん?
 オレはさ、アティファの願いだってオレの力で叶えてやりたいぜ!」

アラジンはにやっとアティファに向けて笑いかけ。
アティファは少しその頬を赤く染める。

「オレ、ちょっとだけわかったんだ。
 魔法のランプはなんでも願いを叶えられるけど、三つまでしか叶えられない。
 でもオレたちは簡単に願いを叶えられるわけじゃないかわりに。
 三つなんて数に留まらないくらい夢や願いを叶えられる......そうだろ?」

アラジンがアティファを救えたのも。
イスラがファッティに出会えたのも。
確かに魔法のランプがあってこそだろう。

しかし決してそれだけではない。
アラジンやイスラの意思があったから。
彼らの意志を四人の冒険者たちが汲み取り、叶えようとしたから。
人の力があってこそ、今があるのだ。

「つまり、マスターは僕がいらないっていうこと?」

アラジンの言葉にナーゼルは顔を曇らせる。
確かにその言葉は魔法のランプを必要としていないかのようにも聞こえる。
でも――違った。

「いいや、そんなことはねえよ。
 オレにも一個だけ、魔法のランプの力を使わなきゃ。
 ナーゼルがいないと叶えられない願いがあるんだ?」

「本当?
 よかった......嬉しいな。
 じゃあ、マスター、早くその願いを聞かせてよ!」

元気を取り戻したナーゼルはアラジンを急かす。
アラジンはというと神妙な顔付きで。
ゆっくりとその口を開いた。

「じゃあ、言うから、聞き漏らすんじゃねえぞ。
 ――ナーゼル、オレは願うぜ。
 ランプの精ナーゼルを解放して、オレの友達にして欲しい。
 マスターなんかじゃなくて名前で呼んでくれるようにさ!」

「......え?」

何を言われたのかがわからないようなナーゼルの体を。
遥か空から差し込んだ一筋の光が包み込む。
それはまるで、神からの贈り物かのように。
光の中でナーゼルは人に生まれ変わる。
煙に包まれていた下半身はズボンを履いた人間の脚へと変わっていた。

「ど、どうして......マスター?」

彼は人の子供の姿に生まれ変わった自分が未だ信じられないかのように。
両の手で体を触れている。

「言ったろ?
 オレとかアティファの夢はオレが掴み取ってやるって。
 けどさ、お前と友達になりたいって願いだけはお前がいなくなっちゃ絶対に叶えられないんだ。
 だから願ったんだよ。
 お前に、オレと友達になって欲しいってさ。
 勿論、なってくれるよな?」

アラジンはナーゼルに手を伸ばす。

「僕は......いろんなマスターの夢を叶えるのが使命だった。
 使命を叶えるのは僕にとって、当然で。
 マスターたちが幸せになっているのを見て、僕も幸せな気分になってたんだ。
 でも、やっぱり......僕もマスターたちみたいに自由に行きたいって何度も願ってた。
 いけないことだと思ってたけど、何回だって願ってちゃったんだ。
 だけど、叶ったんだね、僕の願い――マスターのおかげで。
 ありがとう......マスター」

ナーゼルはその瞳から涙の筋を流す。
それは願いを叶え続けた彼の隠れた願いが叶った嬉しさの表れだ。

ただし、アラジンはどこか不満足なようで。

「違うだろ、ナーゼル?
 オレはもうお前のマスターじゃない。
 自由になったお前の友だちだ」

ナーゼルは年相応の人の子のような笑顔で。

「うん、そうだったね。
 これからもよろしくね......アラジン!」

アラジンが差し出していたその手をとった。

   *   *   *

そんな彼らを見守ってしばらくしたこと。

『物語は......綴られた。
 役割を全うせしものには......証が送られることであろう』

――脳裏に男の声が響く。
ここからは彼らの物語だ。
冒険者たちのなすべきことは果たされたということだろう。
その言葉を認識すると同時に世界は白い光の中へ溶け込んでいく。

それは世界へやって来た時と同様の感覚だ。
どこかから勢いよくページが捲られる音がする。

最後には本が閉じられる音。
......ふわりと体が浮かぶ。

さあ、帰還の時だ。


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あんみつ@GMより

エンディング前最後の進行です。
アラジンの物語の結末はこのようになりました。
RPを1点以上獲得できますので、セスシナングも達成となります。

本編後編で元の世界に帰りますが、
その前に簡易なアクションなら起こすことは可能です。

また次回エンディングになりますので、剣のかけら計10個を皆様でふりわけておいてください。

あと少しお付き合いの程宜しくお願い致します。