【E-1-3】別れの前に
>「どうぞ。このバンダナお返ししなくていいですよ。
> これは僕からの誕生日プレゼントです。」
「......ありがとう。
僕、泣いたのなんてすっごく久しぶり。
もしかしたら初めてかもしれない。
でも、これが当然なんだよね......今日から僕は人間なんだから」
ナーゼルはグレースのバンダナを受け取りながら言う。
グレースの誕生日プレゼントは、喜んでくれたようだ。
* * *
また帰還までの僅かな間。
セスシナングは城内にいたハフィーズに声をかける。
彼は近くにいた衛兵たちに指示を出してから、少しだけ壁にもたれかかって休んでいた。
>「ハフィーズさん、少しよろしいでしょうか?」
「おや、どうされましたか?
少し休んでいたところなので、構いませんよ」
ハフィーズは相も変わらず真面目な応対で応える。
それでも、流石に少し疲労しているようだ。
>「お忙しい所すみません。
> 先程はありがとうございました。
> お怪我はありませんでしたか?」
「まあ、残念ながら無傷......というわけにはいきませんでしたね。
ただしそれは自分の力不足故。
むしろセスシナング殿にアティファ様を追いかけていただき、助かりました。
おかげで、殿下は今もこうして無事でいるのですから」
彼の気持ちに嘘はない。
ハフィーズはセスシナングを送り出したことを間違いとは思っていないのだ。
例え、あそこで彼が命を落とすことになっても、そうしたのだろう。
――そんなハフィーズに。
セスシナングは別れの言葉を告げる。
>「これからの事はよろしくお願いします。
> それにアティファさんと、アラジンさんも」
セスシナングは別れの前に、ハフィーズに言葉を残す。
「任せてください。
もう二度と殿下を危険な目に遭わせることは致しません。
――しかしあの若者にはいろいろと話を聞く必要がありそうですね。
殿下のことだけでなく、どうやら城への秘密の入口まで知っているようでしたし」
どうやらアラジンにはあまりいい感覚を持っていないらしい。
頑固そうなハフィーズなら仕方ないだろうか。
「ただ、彼も殿下やこの国を救った英雄です。
それについては認めなければなりませんね」
それでも、彼は決してアラジンを認めていないわけではない。
「勿論、それは貴女方も同様です。
私は......いえこの国は貴女方の存在を忘れることはないでしょう」
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あんみつ@GMより
とりあえずいくつかお返し。
エンディングは別カテゴリで。