新たな人生を
アラジンさんの最後の願い。
僕らの言葉を聞いた上で、結論を出したようだ。
もちろん、ある程度は決めていたのかもしれない。
「アラジンさんカッコイイですね...」
アラジンさんは言った。
自分の夢、自分の大事な人の夢は自分で掴むと。
もちろん自分の手で叶えてあげた大事な人の喜ぶ顔というのは
自分自身をも幸せにする素敵な笑顔だ。
魔法で叶えるよりもずっと価値がある。
あ、そうそう。
アティファ女王の手を自然に取るというところもポイントだ。
ここで赤面したりしないから余計にカッコイイ。
>「オレ、ちょっとだけわかったんだ。
>魔法のランプはなんでも願いを叶えられるけど、三つまでしか叶えられない。
>でもオレたちは簡単に願いを叶えられるわけじゃないかわりに。
>三つなんて数に留まらないくらい夢や願いを叶えられる......そうだろ?」
「逆にランプの願い事が無制限ですと、色々問題が出そうですからね。」
まずマスターがランプを手放さないだろうし、
それが当たり前になってしまうと、自分は神だと勘違いする人が出そうだ。
願い事は3つくらいだからちょうどいいのだと僕は思う。
アラジンさんは最後の願いで、ナーゼルさんと友達になることを望んだ。
天から降り注いだ光が彼を人間の少年へと変える。
もしかして、ナーゼルさん自身は神の媒介者か何かだったのだろうか。
ナーゼルさん自身が把握いていないうちに変化するということは
そういうことなのかもしれない。
初めて、彼の足が現れた。
>「言ったろ?
>オレとかアティファの夢はオレが掴み取ってやるって。
>けどさ、お前と友達になりたいって願いだけは
>お前がいなくなっちゃ絶対に叶えられないんだ。
>だから願ったんだよ。
>お前に、オレと友達になって欲しいってさ。
>勿論、なってくれるよな?」
やっぱりそういわれたら嬉しいに決まっている。
ナーゼルさんを必要とするマスターはたくさんいた。
しかし、魔法の力じゃなく、ナーゼルさんの人柄の良さを
気に入ってもらえたのだから。
自由になったという悲願とはまた違った嬉しさがあるだろう。
涙が頬を伝うナーゼルさんに僕はランプを包んでいた
大判のバンダナを差し出す。
「どうぞ。このバンダナお返ししなくていいですよ。
これは僕からの誕生日プレゼントです。」
まあ、ちょっと趣味が悪いけど使い勝手はいい。
「ねえ、アラジンさん。
人間としての第一歩を歩み始めたナーゼルさんですけど、
事実上今日がナーゼルさんの誕生日ということになるわけですよね?
皆でお祝いしませんか?」
もちろん僕はイスラさんとファッティさんの所にも行く。
「生きていれば、人生どうにかなるんですよ。
そして、この世に生まれたことに感謝するんです。
誕生日は、人に祝ってもらってこそ喜びがあります。
良ろしければ、ご一緒しませんか?」
そういう習慣を二人でもすればいい。
イスラさんやファッティさんだって誕生日はあるはずだ。
僕?
僕は拾われた立場だから、ナーゼルさんと同じく、
本当の誕生日はわからないけど、一応二月にしている。
そうして、僕が誕生祝いを企画し、乗っているところに、
頭の中で声が聞こえてきた。
>『物語は......綴られた。
>役割を全うせしものには......証が送られることであろう』
「――そんな。」
無情にもこのタイミングでの帰還命令だ。
「皆さん申し訳ありません。
大変お名残惜しいのですが、
僕らはそろそろ帰らなければならなくなりました。
どうか、皆さんお幸せに。」
ああ、二人の婚礼まで見届けることも叶わなかったが、
誕生パーティすらできなかったとは。
エリックさんももう少し待ってくれればいいのに――
僕は皆に手を振った。
僕らは光に包まれ、この世界を後にしたのだった。
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コルチョネーラです。
なんかほろっとしちゃいましたね。
アラジンさんがカッコイイです。
グレースのキャラでは模倣できないけど
こういうのも素敵ですね。
もう必要なくなったランプは
イカランプとして第二の人生を歩んでもらいたいです(笑)
というか、セスさんが読書の供として持ち帰るとかありでしょうか?
彼女だけ財宝の部屋に行ってなかったので、
何も貰ってないんですよね。
彼女だけ手ぶらというのもあれかなぁと思いまして。
15:09:21 コルチョネーラ@グレース ≫ 欠片ダイス 2d6 <Dice:2D6[1,3]=4>
欠片ダイス運の無さは健在です!
レディファーストにして良かった。
みなさんごめんなさい。