【F-1-1】魔法の洋燈の総括
「やあ、おかえり」
光から抜け出した面々が感じたのは室内の空気感だった。
砂漠のあの激しい日照りはもう遠い昔のこと。
今あるのインクの匂いと、窓から差し込む日差しだけ。
どうや光から抜け出し、エリックのいた部屋まで戻ってきているようだ。
冒険者に声をかけたのも当然ながらエリックである。
テーブルの上には本が開かれた状態で置かれている。
本を眺めてみれば洋燈と少年の絵を中心にして青年と王女の姿が描かれている。
「君たちの描きたい物語にできたかな?
僕としてはなかなか希望があって素敵な感じだと思うけど」
エリックは冒険者たちの紡いできた物語を読んで知っているようだ。
彼の顔がそう語っている。
「誰だって、願うのは簡単なんだよね。
難しいのは願い続けること。
願いなんてそうそう叶うもんじゃないもんね。
まあ、美味しいものが食べたいとか小さな願いなら別だけど、大きな願いになるとさ」
エリックは本を手にして言った。
「現実に三つの願いを叶えてくれるランプがあるなら別だけど。
そんな都合のいいものなんてそうそうないし。
だから、強く諦めず願い続けることが大事なんだろうね。
真直ぐ、正直に、進みたい道を進もうと決められる強さがさ」
それは、まっすぐ進み続けたアラジンのように。
「でも、君たちならそんなこと言われなくてもわかってたよね。
冒険者はそれぞれの理由があって、それぞれに目指すものがあって。
そうして――いつかたどり着きたい場所にたどり着くものだと思ってるから。
物語を創るのって僕たちだけの技術じゃないんだよね。
君たちだって、君たちなりの物語を作り出していくはずさ」
エリックは冒険者たちの活躍の証である本を大事そうに書棚にしまう。
「とりあえずこれが今回の報酬さ。
まああまり多くはないけど受け取って欲しいな。
またいつか......君たちが僕の依頼を受けてくれて、物語を作り上げて欲しい。
僕は待っているよ。
そしてきっと――この本もね」
エリックは今回の冒険者たちを送り出してくれるだろう。
きっとこれから先も冒険者たちはそれぞれの世界を旅しながら広げていくはずだ。
――ちなみに冒険者たちが自らの荷物を後にでも確認すると。
童話の世界に入った際に手に持っていた栞が入っていることに気がつくだろう。
5つのマークが刻まれた栞に触れるとちょっとだけ心が揺れる。
赤色の栞に触れれば勇気がわく。
青色の栞に触れれば仄かに哀しみが広がり。
黄色の栞に触れれば少し気持ちが楽しくなる。
桃色の栞に触れればちょっとだけロマンチックな気持ちになるだろう。
* * *
童話本の作り出す世界は一つに留まらない。
似た世界でも紡ぐ者が変われば、物語の色は変わる。
かつて語られた物語。
世界のサイクルは回りだしていく。
時計塔と海賊船と夢の島。
異国から飛んできた少女。
嫉妬深い妖精と不思議な粉。
そして緑の服を着た永遠の少年。
――物語は無限だ。
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あんみつ@GMより
こちらはエンディング専用カテゴリとなります。
舞台は最初の最初と同じくエリックの家です。
この記事に何らかのアクションを起こす記事を投稿して頂ければ解放といたします。
投稿がない場合も1週間後に強制的に解放処理を行います。
報酬については別途冒険の募集欄にまとめておきますのでご参照ください。
SQ達成報酬としてそれぞれに栞がもらえます。
それでは最後の投稿お待ちしております。
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