そして物語は終わる。
>「やあ、おかえり」
光に包まれた先は、元いた書斎でした。
急速な気温の変化に鱗が冷えていくのを感じます。
私達の世界に帰ってきた事、
あの世界は物語の中の世界だったことを改めて実感します。
砂漠の街。美しいお姫様。彼女を守る護衛。
太った商人とその従者。
3つの願いを叶えるランプとそれを手に入れた青年、
相対する指輪の魔神。
全てがあの小さな本の中に収められていると思うと、不思議な気分です。
>「君たちの描きたい物語にできたかな?
> 僕としてはなかなか希望があって素敵な感じだと思うけど」
「ええ。色々なことがありましたが、
ハッピーエンドには出来たと思います」
幾つか、救えなかった命はあります。
それが心残りですが、希望を残すことは出来ました。
エリックさんは言葉を紡ぎます。
現実にはそう都合よく魔法のランプなんてアーティファクトは存在しないこと。
代わりに、自分の力で願いを叶えられる強さがあること。
そして、自分で物語を紡ぎ、目指す場所へ辿り着ける力があること。
>「とりあえずこれが今回の報酬さ。
> まああまり多くはないけど受け取って欲しいな。
> またいつか......君たちが僕の依頼を受けてくれて、物語を作り上げて欲しい。
> 僕は待っているよ。
> そしてきっと――この本もね」
「とても貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします」
私は報酬を受け取りました。
お金も大事ですが、貴重な体験をさせて頂いた事が私にとって一番の報酬です。
どこかでまだ、アラジンさん達の物語はまだ続いているのでしょう。
こうして、私の不思議な体験は幕を下ろしたのでした。
―――――――――――――――――
「ありがとうございました、面白かったですよ、とっても。
次はこちらをお借りしてよろしいでしょうか?」
あくる日、私は借りていた本を図書館に返却しに図書館へと行っていました。
新しい本を手に帰路に付き、空を見上げると夕焼けに染まっていました。
次の本はどんな話かは分かりません。完全にフィーリングで手に取りましたから。
表紙には荘厳な顔の獅子が描かれています。
この本の中でも物語の世界が広がっていたりするのでしょうか。
物語の世界といえば、
アラジンさん達は今頃どうしているでしょうか。
彼らの物語は今でも綴られ続けているのでしょうか。
アラジンさんとアティファさんは今もお会いしているでしょうか。
ナーゼルさんはそんな2人を茶化したりしているのでしょうか。
ハフィーズさんは今もアティファさんを探しているでしょうか。
ファッティさんは元気になったでしょうか。イスラさんは今も彼の側にいるでしょうか。
もう私には彼らのその後を知る手段はありません。
出来ることはただ栞に触れて、時々あの時のことを思い出すだけです。
そこでふと、考えました。
私のいるこの世界も、誰かの創った物語の部隊だとしたら?
私の行動や思考も誰かの綴った物語の一部にしか過ぎないとしたら?
すれ違う人々も、空の夕焼けも、この石畳の道も、物語の一部だとしたら?
この世界が本物である事なんて、どう証明できるでしょうか。
「...ふふっ、なんて」
そんな事を考えるのは無駄な事ですね。
私の世界はここです。
私が見て、聞いて、感じることの出来るモノすべてが私の世界です。
世界に本物も偽物もありません。
私はこれからも私の物語を紡いでいきましょう。
さて、帰りましょう。手羽先亭へ。
ナゴーヤさんの豪快な笑い声と、コカゲちゃんの無邪気な笑顔と、
武勇を話し合う冒険者達が待つあの場所が、
いつまでも変わることの無い事こそが、私の願いかもしれませんね。
―――――――――――
◯PL
世にも奇妙な物語的なメタい想像を垂れ流しつつ、
締め日記になります。
○基本名誉点(全員)
剣のかけら10個分:30点分○コネクション(全て使用済みとする)
エリック・ジュべと顔見知り:5点
ルキスラで最近名が聞かれるようになった童話作家。
先祖が高名な魔導師で作家であったと言われ、
彼が遺したという魔法の童話集を持っている。◯称号
《ロマンス・オーサー(セスシナング)》
特殊称号:"ロマンス・オーサー":10点(使用済み)
メモリーアイテム:桃色の栞
『五つのハートのモチーフが描かれた桃色の栞。
触れると少しだけ恋しい気分になる』
○特殊
特殊称号"魔法のランプの登場人物":10点(使用済み)基本名誉点30点
使用済み名誉点25点合計名誉点:55点
頂きます。