戦場帰りのカレリア
カレリア(SIROWENLI_2) [2016/01/09 18:43:43]
アイヤール帝国最東端
>「僕と冒険に出ないか!」
「この行動に意味があるとは思えないかな。」
頭を胸壁より下げて語りかけてくるタビットを一瞥してから、正面を向いて構える。
ひゅごうっ
大質量が空気を斬る轟音と共に固定式バリスタの弾が敵群に向けて放たれる。
血風領の遠征隊に対する敵の追撃が国境線の防壁にまで到達したのが先刻。
遠征隊の戦利品受け取りの商隊に混じって彼がここに来たのも同時刻。
他の商人たちが戦闘終了まで防壁内側の安全圏に退避したのに対して、彼は単身で防壁上まで上がってきた。
「だからこそ、その情熱に応えるのも悪くない。」
固定式バリスタのトリガーから手を離し、支給品の騎兵銃(トラドール)と私物の拳銃(デリンジャー)に持ち替える。
蛮族の群も門前に迫っている。
体勢を整えた守備隊により程なくして蛮族は撃退され、守備隊の一人が退役した。
* * *
>「ふふん、よく集まってくれたね......同志たちよ!
> 今日は記念すべき"リード様をみんなで全身全霊一生懸命褒め称え隊"の顔合わせだ!
> ――むむ?反応が薄いな。
> せっかく僕が一週間かけて考えた隊名なのに」
「...人は失敗する事で学ぶものさ。」
パンケーキを切り分けながらそう嘯く。
* * *
「そろそろ私の番かな。」
帽子を脱いで一礼する。
「元戦車射手(チャリオット乗り)のカレリア・スオミンだよ。
仕事柄、飛び道具と乗り物と魔動機術に強いかな。」
「あと、お触りは厳禁だよ。
この身は何処かの誰かの未来のためと、未来の旦那様の為にあるからね。」