残す

 ウィステァリオ(紫乃2) [2017/01/13 20:30:21] 
 

案内された家に行くと、年寄りの夫婦が出てきた。
ピッツとセシリアか。
息子もいるらしいが、この二人の子どもならそこそこいい年だろう。

「ウィステァリオ。リオでいい」

ただで泊めてくれるだって?
そりゃあ嬉しいことだが......なんつぅか、落ちつかねぇな。

「50年前と今ゆーたら何が違うやろなぁ。
 レーゼルドーン方面とか?
 レンドリフト地方も何かえらい変わったらしいやんな?
 あ、フィーとか知らへんのちゃうか?」

「んぁ?」

妖精たちを眺めて気を紛らわせていたところにオレの名前が出た。
何の話してたんだ?

「ラクシアのことはよく知らねぇけど、オレが住んでた森とオレの家族の
 妖精たちのことならいくらでも話せるぞ」

「しかし50年前のラクシアの話か、ふむ。私の所有する書斎にいけば五十年前に書いた大陸情勢のレポートがあるのだが・・・
 持ってきていないからあまり詳しくは話せそうにない、すまぬな」

「レポート? あー、あの文字がずらーっと書いてあるやつか。文字なー」

生まれてからほとんどの時間を妖精たちと過ごしたせいで、
文字はほとんど使ったことがない。
便利は便利なんだろうが、そこまでして覚え、残しておくこともないんじゃねぇかとも思う。
必要なら語り継げばいいし、必要じゃなければじきに忘れる。それだけのことだ。
まあ、伝えたいことを離れた場所や時代に届けられるってところは、なかなか好きだぜ。

それにしても、オレから聞きたいことは特にはねぇしなぁ。んー......。

「なんか妖精郷のおもしろい話ってあるのか?
 すっげぇお宝が眠ってるとか、いろんな花の種が手に入るとことか」


――――PL――――
大変遅くなってすみません!
夜が明けたら「闇の樹」へ向かう、でOKです。