【プロローグ-1】ケットシーとの出会い

 GM(あんみつ) [2016/07/31 00:25:38] 
 

冒険者たちは薄桃色のモヤに包まれていた。

ふいに、風が吹いた。
風は、あっという間にモヤを吹き飛ばしてしまい、一気に視界が開けた。
そして、冒険者たちは自分たちがとても美しい広大な湖のほとりに立っていることを知る。

空の青を写し取ったように、青く澄んだ湖。その湖面すれすれのところを、白い鳥が飛んでいる。
高く、険しく、切り立った断崖が、まるで大神の手のひらのように湖を包み、
その上からは幾筋もの滝がゴォゴォという音を響かせながら、絶え間なく流れ落ちている。

自分たちが立っているのは、断崖に囲まれた湖の唯一の岸辺だ。

「おやや? もしかして、お客さんかな?」

ふいに、背後から交易共通語で話しかけてくる声がする。
振り返ると、黒い毛並みの猫がいる。
猫は、身長が1mほどで、2本の足で直立し、青い帽子を被っていた。
古代種妖精のケットシーだ。

「これは、ボクからのプレゼントさ。
 ほらほら、遠慮せずにかけてみて!」

ケットシーは、冒険者たちに<妖精のメガネ>を手渡す。
<妖精のメガネ>を装着した者は、妖精後の会話ができるようになり、
ルーンフォークでも妖精が見えるようになる。

ケットシーは、冒険者たちに向かって、次のように言う。

「ようこそ、<天の及ぶところその悉くに並ぶ者なき叡智と、
 地上のありとあらゆる財宝にもってしても代え難い美貌とを兼ね備えたる偉大なる魔術師、
 すべての妖精たちにとっての妹にして姉、神々に愛されし者、
 "妖精女王"アラマユ・ハメスタガラス様が、この世に生み出した至宝、
 荘厳にして優美なる妖精たちのための永遠の楽園――妖精郷>へ!
 ボクの名前は、グラタン。
 アラマユ様から、この妖精郷の管理人を任されているケットシーだよ」

そのままグラタンはぺこりと、冒険者たちに向けて頭を下げて。

「お客さんが来たんなら、宿を再開しなきゃね」

嬉しそうに笑いながら、湖に歩み寄り、帽子の下から取り出した小さな銀の鍵を湖に投げ入れる。
すると、どこからともなく、ゴーン、ゴーンという鐘の音が響いてくる。
驚いてあたりを見渡すなら、四方の空に鐘楼が浮かんでいるのが見えるだろう。

しばらくして、鐘の音が鳴り止むと、冒険者たちの目の前の岸辺から湖の真ん中に向かって、
真っ直ぐに伸びる石造りの橋が、湖の底から浮かび上がってくる。
そして、橋の先には白く塗られた壁に、薄桃色の屋根の小さな建物が現れる。

グラタンは、その建物を指差し、

「あれが、妖精郷自慢の宿屋<七色猫のおもてなし亭>だよ。
 さあ、ついてきて。
 久しぶりのお客さんを歓迎して、おいしいお茶をご馳走するよ」

そう言ってから、手近な冒険者の手を取ってスタスタと石の橋を渡り始める。

建物に近づくと、玄関口の上に猫の形をした看板が掲げられていて、
魔法文明語で『<七色猫のおもてなし亭>』と書かれていることに気づくだろう。

   *   *   *

グラタンは中に入り、冒険者たちを食堂に案内する。

「ちょっと待ってて。お茶を淹れてくるから」

そう言い残して部屋を出て行ってからほどなく、グラタンは人数分のカップを持って戻ってくる。
カップは、温かい紅茶で満たされていて、芳香な香りのする湯気が立っている。
一口飲めば、その紅茶が最高のものであることがわかる。

どうやらグラタンは、嬉しくて仕方がないという様子だ。

「さて、何から話そうかな」

彼はひとつそう呟いてから。

「そうだ、まずは、お客さんのことを教えてよ。
 お客さんはどうしてこの妖精郷へ?」

そう冒険者たちに問いかけてきた。


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あんみつ@GMより

それではどうぞよろしくお願い致します。

最初なので処理や描写は極めて事務的に。
皆さんは<妖精のメガネ>を受け取ります。
このメガネをかけることで、妖精が見えるようになり、妖精語が話せます。

ケットシーに対して魔物知識判定が可能です。
目標値は9/16です。

皆さんは1D6を行っていただき、まずは導入の決定をしてください。
一番多く集まった導入を皆さんの導入、つまり妖精郷に来た目的とします。

では、キャラクターシートと最初の投稿お待ちしております。

※追記

導入決定の方法を少し変えました。先に三つの導入タイプについて公開します。
背景、妖精郷にきた原因、妖精郷での目的についてはそれぞれ以下のものとなります。

1~2:【導入1:妖精の財宝を手に入れろ】
○背景:引退した冒険者から妖精郷の伝説について聞いた。
○原因:古地図を頼りにして、とある遺跡の最奥の部屋で魔法陣を発動させた。
○目的:できるだけ多くの財宝を手に入れること。特に<妖精王の冠>がお目当て。

3~4:【導入2:妖精の財宝を手に入れろ】
○背景:「妖精郷の伝説」について顔見知りの露天商や冒険者の主人から聞いた。
○原因:露天商から入手した本を頼りにして、とある遺跡の隠し部屋で魔法陣を発動させた。
○目的:妖精郷消滅の謎を解明すること。

5~6:【導入3:行方不明の少女を探せ】
○背景:エマ・ローズワースという女性を探して欲しいという依頼を受けた。
○原因:エマが行方不明になった山で突如霧に包まれて、気がついたら妖精郷に来ていた。
○目的:エマを探し出すこと。もしくはエマの持ち物を持ち帰ること。

導入は各PC毎に個別でもいいかなーと思います。たぶんなんとかなる、はず。