3-それぞれの探索
ティキはどことなく決意をした顔でホールを後にする。
両方の手でアイリとアポロと手を繋ぎながら。
左右を見ると二人とも少し眠そうだ。
アイリはティキと一緒に街を見て回っていたし。
アポロはシュガーを見つけるためにきっと走っていたのだろう。
>「私、明日の朝には発つよ。帽子は大事にしてね、私もそうする」
ティキがアイリにそう声をかけると。
彼女はあくびをしそうになったのを隠すように。
「は、はい......わかりました。
また遊びに来てくださいね!」
そう言って帽子を撫でた。
ティキが渡した飴は二人とも拒まずにもらい、舐めて帰ったことだろう。
* * *
二人と別れた後、ティキは1番街を目指し歩いていた。
目的はアステリア神殿にいる彼女に会うために。
夜の神殿はいい具合に暗くなっており。
華やかな調度が神秘的に見えた。
「あら、あなたは......」
神殿の奥にいたのはダフネである。
彼女はティキが来たことに気づくとそのまま栄光の間へと誘う。
* * *
――栄光の間。
きらびやかなその部屋も夜にあっては、静かで落ち着いていた雰囲気に見えた。
ただ一人黄金に輝く彼女を除いて。
「早速来てくれたのね。
どうだったかしら?
......貴女の顔を見ればなんとなくわかる気もするけど」
元の羽根を生やした姿で彼女は佇む。
どうやらグローリアはティキがここまで来た理由がわかっているらしい。
彼女が蛮族共を見極めて結果を告げに来たのだということを。
「教えて。
貴女の思ったまま全てを。
私はこの地を守る者として......全ての事実を受け止めるわ」
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あんみつ@GMより
エンディング用にカテゴリを移動させました。
まずはティキ編のエンディング前半部分です。
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てくてくと。
ヴェンデルベルトは一人劇場の奥を目指していた。
その手には花束。
彼が目指していた先は、劇場の休憩室。
トゥルー・ソウルズの面々が休んでいる場所であった。
コンコン、とノックを叩けば。
「はいはい、ネージャだろ。
ちょい待ちな」
中から男の声が聞こえてきて。
扉が開く。
扉の向こうから姿を見せたのは銀髪の青年であった。
ラルヴァという種族の......スラップである。
「ん、ふさふさなのは同じだけど、ネージャじゃねえな。
誰だ、お前?」
しげしげと姿を眺めるスラップの向こうから顔を出してきたのは。
「あ、さっきお会いした方ですね。
もしかして見ててくれたんですか?」
青髪の青年だ。
彼は薬の効果が切れたのか、もう元に戻っているようだ。
「......部屋に入れたらいいんじゃないか」
奥の方から声がする。
ヴェンデルベルトが直接言葉を交わし。
先ほどステージの上で歌っていた彼――ドレイクのヴォイスである。
――もし中に入っていけば。
ラミアとウィークリングの姿だってあるだろう。
満月の下でしか変貌しないソリッドを除いて彼らはその姿を偽っていない。
角もあるし尻尾もあるのだ。
「来てくれたんだな。
......嬉しい。
実際のところ、どうだった?
あんまり人の耳に合う音だとは......思ってないが」
ヴォイスはヴェンデルベルトに感想を求めていた。
あまり期待はしていないようだが。
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あんみつ@GMより
エンディング用にカテゴリを移動させました。
まずはヴェンデルベルト編のエンディング前半部分です。
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何もかもが緑色の森。
澄んだ風が流れ行く森。
コンチェルティアの森の奥。
そこに広がるもう一つの森こそが風の精テンペストの世界だ。
ティキとヴェンデルベルトは公演を見終えた翌日。
この世界を二人で訪ねてきていた。
ここに来るのはちょうどオレットと訪れた頃以来だろうか。
「ちょっと来るの遅くない?
あたしは結構なる早で来て欲しかったつもりなんだけど。
何のために妖精に呼んでもらったと思っているのよ」
森の奥に鎮座する大いなる風の精テンペスト。
彼女は相当に不満げであった。
まるで古代からの存在とは思えないように。
「待たせたってことは当然覚悟してるんでしょ?
ちゃんと満足させてくれないと憂さ晴らしに使っちゃうからね。
タビットなんかぴゅうと吹けば飛んじゃいそうだし」
そもそも彼女がティキを呼んだ理由は単純に暇だからだ。
別に暇つぶしはなんでも構わないということなのだろう。
だがわざわざ呼んだということは。
裏を返せば面白いことを聞けるんじゃないかと期待していることを意味する。
そんな期待に応えられるかは、二人の対応にかかっているか。
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あんみつ@GMより
こちらはヴェンデルベルトとティキのエンディング後半部分です。
こちらのカテゴリに投稿が確認でき次第、解放といたします。
また投稿がない場合も一週間後に全員解放とします。
報酬は完全確定後に募集欄にまとめとして上げさせていただきます。
>「教えて。
貴女の思ったまま全てを。
私はこの地を守る者として......全ての事実を受け止めるわ」
栄光の間にて、再び私たちは向かい合っていた。金の光を放つ彼女は、その理由を理解している。
「いろいろ、考えてみたけど」
私は見たこと、感じたことをそのまま話すことにした。
演奏は本物であったこと。
客に一切危害を加えなかったこと。
遠方から訪ねてくるほどのファンがいること。
姿を見て逃げ出す人もいたが、正体を知ってなお受け入れる人も少なくなかったということ。
それらを述べて、私は結論を言う。
「私は彼らの演奏、とても気に入ったよ。また聴いてみたいとも思うし、彼ら自身には、害はないと判断した。......けれど」
一呼吸おいて、続けた。言い淀みはしなかった。
「別の争いを生む火種になる可能性は、十分にある。蛮族に対する認識を改めた人がいる一方で、恐怖をさらに募らせた者もいるでしょう」
何せ、起こった出来事からすれば、蛮族の集団が人族に紛れてすぐ近くまで来ていたという事なのだから。最後の演奏を聞かず、蛮族と見るや逃げ出したのは真っ当な反応といえる。
「今回の公演については、キャピレット家なる名家の手助けがあって成立したらしい。けれどああいう蛮族の後援をする者があるならば、それを起点に有害な蛮族の侵入を許す足掛かりになる可能性はある」
「そしてそれを危惧し、過剰に排斥しようとする動きがもし生まれるならば、両者の対立は起こって当然といえる」
だから、受け入れようとする者とそうでない者の間で争いが起こるかもしれない。そしてその争いの場所は、この街以外にはあり得ない。
「......あなたは穢れからこの街を守っている。でも、この街で起こるそれがもし人族同士の争いだったら、あなたには手が出せるの?」
完全に憶測だけれど、人族のあれこれに妖精であり、また大きすぎる力を持つ彼女が介入できるのだろうか。いや、そうでなくても。
「私にはこの街に「つながり」ができた。大して多くないけど、大事なものだ」
アイリ、アポロ、親たち。それにグローリアもだ。
「もし必要になったら、また私を頼ってくれ。可能な限り力になると約束する」
PL
直接話せる機会貰えたので前回の予定以上にいろいろ話します。
また力になるよと約束もします。
テンペストには竜になった話もします。
ノックに答えてくれたのは、ラルヴァの青年。確かスラップと言っただろうか。
「ん、ふさふさなのは同じだけど、ネージャじゃねえな。
誰だ、お前?」
ネージャと言うのは誰だろうか。彼らの仲間であることは間違いなさそうであるが。
「こんばんは。私はヴェンデルベルト・S・ライゼトラウム。どうぞヴェンとお呼びください」
人違いであっても扉を開けて貰えたのは幸いであった。礼儀を持って挨拶をしていると、その後ろからまた人影が見えた。
「あ、さっきお会いした方ですね。
もしかして見ててくれたんですか?」
「はい、先ほどぶりですね。おかげ様で小鳥を見つける事が出来ました。有難うございます。
えぇ、勿論拝見させていただきました」
友好的に接して貰えるのは嬉しいものだ。あんな事があった後であるから、少しは警戒されるかと思ったのだが。
格たる信念を持っていれば揺るがないと言う事なのだろう。
「......部屋に入れたらいいんじゃないか」
そう言ってくれたのはドレイクのヴォイス殿。あぁ、彼はステージ上で見せた姿そのままらしい。
お言葉に甘えて部屋に入らせて貰うことにする。
「来てくれたんだな。
......嬉しい。
実際のところ、どうだった?
あんまり人の耳に合う音だとは......思ってないが」
なんと。あんな情熱的な音を奏でておいて、彼は自信がないらしい。
では僭越ながら、この老体が少しばかり感想を述べるとしよう。
「公演開催おめでとうございます。まずはこれを受け取っていただけますか」
ヴォイス殿が白かったので、短絡的に白にしてしまった花束。けれど彼らの心根には合っているような気もする。
「私はあまり音楽について詳しくありません。けれど、あなた方が音を楽しみ、情熱的に奏で、なにがしかの信念を持ってここにいる、と言う事は分かりました。
あの音を、私はこれまでに聞いたことがない。おそらく、あなた方にしか出せない音なのではないかと思います。
優劣を語るのであれば、万人に受け入れられるものではないかもしれない。
けれど、見ましたか。講演が終わった後の会場を。熱狂じみた瞳をしていた人がいたのを。
あなた方の正体を知って、それでも構わないと惜しみない拍手をステージに向かってしていた人の姿が、見えましたか」
ヴォイス殿を見上げる。フードを被っておらず。ドレイクの角が見える。彼が本気を出せば、私など赤子の手をひねるよりたやすく殺せるであろう、その手を取って、私の左胸へ当てる。
「分かりますか。あなた方の音を聞いてからずっと、この心臓は高鳴っている。
それがどういうことか、あなた方には分かりますか?」
◇ ◇ ◇
「ちょっと来るの遅くない?
あたしは結構なる早で来て欲しかったつもりなんだけど。
何のために妖精に呼んでもらったと思っているのよ」
緑の森の奥で、テンペストは相変わらず暇そうにしていた。暇であるから私達が呼ばれたのであるが。
「待たせたってことは当然覚悟してるんでしょ?
ちゃんと満足させてくれないと憂さ晴らしに使っちゃうからね。
タビットなんかぴゅうと吹けば飛んじゃいそうだし」
流石大精霊。怖い事を簡単に言ってくれるものである。
ティキの話を先にして貰い、次に私の話をすることになった。
とは言え、蛇足になりそうであるが。
公演が終わった後にして貰ったサインと、古代の楽器。それから。
さて、私達の話に満足して貰えるだろうか。
PL柑橘より
お疲れ様でした!
サイン貰ったヤッター!古代の楽器も見せて触らせてもらったヤッター!角とか鱗も触らせてもらったぜヤッター!パンフレットもゲットしましょうねヤッター!
>「ちょっと来るの遅くない?
あたしは結構なる早で来て欲しかったつもりなんだけど。
何のために妖精に呼んでもらったと思っているのよ」
「申し訳ない。これでも知らせを聞いてからすぐに発ったし、街で一日休んだだけなんだけれど」
まあ、ニコデムスの足でなければこんなものだろう。それでもご立腹のようだが。
>「待たせたってことは当然覚悟してるんでしょ?
ちゃんと満足させてくれないと憂さ晴らしに使っちゃうからね。
タビットなんかぴゅうと吹けば飛んじゃいそうだし」
「もちろん。―これはお土産。飲みながら話そう」
袋からワインを取り出して、テンペストに渡した。まあ色々あったけど、中身も包装も綺麗なままだ。
そして私はゆっくりと腰を下ろす。
「そこそこに長い話だし、いくつか数もある。......さて、どれから話そうか」
竜に成った話。古竜と友になった話。ニコデムスの成長。
ああそうだ、コンチェルティアであった出来事。新たにできた小さな友人や、蛮族の楽団と、それからグローリアとのあれこれ。
これだけのことを話せる事を嬉しく思いながら、今までの冒険に思いを馳せた。
PL
すみません、後半部分の投稿を見落としておりました。その返信になります。
そしてみなさん、お疲れ様でした。PC同士の交流は大してありませんでしたが、また皆さんとご一緒できることを楽しみにしています。