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「やあ、みなさん。
今回は依頼を受けてくれてどうもありがとう。
君たちに入ってもらいたい物語は......これさ」
沢山の本棚の中に囲まれたインクの匂い漂う部屋。
その中心に置かれたテーブルの上に。
エリックは四人の姿をざっと眺めてから一冊の本を広げた。
虹色の表紙が美しい魔法の童話本――七色の童話集。
今回始まる物語はその中の一篇である。
――"アラジンと魔法のランプ"という名の物語だ。
* * *
事の始まりは毎度のこと、火竜の手羽先亭に一つの依頼が舞い込んだことであった。
依頼人の名はエリック・ジュべ。
童話作家として多少は名の知られている人物である。
彼は、所持している魔法の本絡みで幾度か手羽先亭への依頼を行ってきていた。
その名や依頼について耳にしたことがある者もいるかもしれない。
今回冒険者の面々が受けた依頼は、物語を紡ぐというものだった。
魔法の本の中には物語としての世界が存在しているという。
その世界で冒険者たちが動くことで、登場人物たちの運命が変わり。
最終的な物語が完成されることとなるだろう。
結果として生まれる物語を――エリックは見たいと思っているのだ。
今回の物語世界に挑むのは以下の四人である。
まずは新進気鋭のパーティたる彼方との繋がりだ。
母親仕込みの秘伝で戦う軽戦士――ルーク。
騎手としても神官としても優れた冒険者――アメリア。
そしてそれからもう二人。
白き鱗の妖精操る竜――セスシナング。
探偵風な髪長姫以来の来訪者――グレース。
今回は、彼らが物語の中に挑む。
果たしてどんな物語が待ち構えているのだろうか。
* * *
――舞台をエリックの家に戻そう。
タイトルが記されたページには、ランプの絵が描かれていた。
そしてそれを宙に掲げるのは若い青年だ。
彼もこの物語の登場人物なのだろう。
そのページの隣には登場人物の名前を書く欄があり......。
そこには半端に空白の部分が広がっていた。
ちょうど四人程の名前を書けるような具合に。
「そのページに君たちの名前を描けば......。
光の導きで本の世界へ入っていくことができるはずさ」
エリックの言葉によれば、自らの名前を書き記すことが物語へ至るための合図となるそうだ。
尤も特定の誰かが実際にサインするという行為こそが大事なのであって......。
どの言語の文字だとか、その名前が本名かだとかは一切関与しない。
七色の童話集は......記されたそのものを受け入れるのだ。
「気をつけておいて欲しいのは......一つだけ。
一度名前を記したら、君たちは物語の結末が見えるまで外には出られない。
でも、きっと君たちなら君たちらしい結末を導けると信じているよ」
もしペンがなければ、エリックは彼の仕事道具を貸してくれるだろう。
だが一度名前を記してしまったら、そう簡単には出られない。
何らかの入口から入ったのなら、何らかの出口から出ていかなければならない。
物語世界の出口こそ――物語の結末と言う名の終着点なのである。
* * *
それでも......きっと彼らはその名を記すだろう。
何よりも彼らは冒険者なのだから。
冒険が待ち構えているなら、きっと臆することはない。
最後の一人が自分の名前を書き終えたあと......。
待ち構えていたかのように勝手に物語の最初の一ページは捲られて。
――魔法の光が四人を包み込む。
いざ向かう先は異国情緒溢れる砂漠の世界。
その日暮らしの青年。
自由を求める王女。
怪しげな大商人。
――ランプの精は敵か味方か。
四人の来訪を待っている世界はどのような色をしているだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
それではセッションを開始させていただきます。
依頼を受けるに至るシーンはばっさりカットしました。
もちろんPCの側で好きに書いていただくのは構いません。
現在は本の世界に入る前のシーンです。
【エリック・ジュべ】を『登場人物』に登録しておきます。
【七色の童話集】について見識判定が可能です。
目標値は13。成功すれば『用語目録』に記されたことがわかります。
登場人物に書く名前はどの言語で書いても構いませんし、
好きな名前を書いても構いません。
でも、よっぽど変な事情がない限り登録している名前を書く事を推奨します。
キャラクターシート作成・修正期間は一週間後の8/7までとします。
各PCに共通して【MQ:物語を完結させて外に出る】を課します。
ちなみに募集時に振っていただいた1D6はSQ決定に使用しました。
結果表は以下になります。
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1:ヒロイック・オーサー(HPを5点以上取得する)
2:コメディ・オーサー(CPを5点以上取得する)
3:トラジェディ・オーサー(TPを5点以上取得する)
4:ロマンス・オーサー(RPを5点以上取得する)
5:サポート・オーサー(SPを5点以上取得する)
6:バランス・オーサー(各ポイントを1点以上取得する)
====================================
それに基づき、各PCのSQはこうなります。
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アメリア:トラジェディ・オーサー(TPを5点以上取得する)
グレース:コメディ・オーサー(CPを5点以上取得する)
セスシナング:ロマンス・オーサー(RPを5点以上取得する)
ルーク:ヒロイック・オーサー(HPを5点以上取得する)
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詳細やポイント取得法については『4-著者解説』をご確認ください。
それでは最初の投稿お待ちしております。
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手羽先亭で新たに入った仕事は、エリックさんからのものだった。
依頼に興味のある人はここからエリックさんの家に直接行き、
そこで本人との話を聞いてから出発する。
今回僕は一人だ。
いつも一緒の彼女はいない。
お誘いはあったのだが、より危険な仕事が入り行けなくなってしまったのだ。
だが、それは同時に新たな出会いがあるということでもあった。
僕は、居合わせた人にまずは挨拶をする。
「アメリアさん、ルークさん。ご無沙汰しています。」
「初めまして、グレースと申します。よろしくお願いいたします。」
アメリアさんとは僕が最初の仕事で一緒だった。
冒険者の女性達は強く、逞しい方々が多い印象だが、アメリアさんは違う。
そういう環境からか、とても女性らしい印象が強かった。
ルークさんは、僕よりも後からここに来たエネルギッシュなシャドウの青年だ。
でも既にそれなりの実績を上げているようだ。
アメリアさんに対してそれなりに好意を抱いている。
僕はたまたまそういう局面に初めて彼と出会ったのだ。
...まあ、理解できる。
その後日に図書館で彼と偶然会うことになった。
その時は僕のほうが彼女と一緒だった。
今回の仕事で来られないのは述べた通りだが。
こんな感じで周りに声をかけ、僕が仕事の話を振ることにした。
「エリックさんという絵本の作家からの依頼です。
絵本の中に入って物語を継ぐ、まあ、一言でいえば物語の一員になるんです。
独特の世界観が味わえる素敵な世界ですが、
想定外なモンスターが出る可能性もあります。
宜しければご一緒しませんか?」
ルークさん、アメリアさんは予想通り乗ってくれた。
>「そのお仕事、私もご一緒してよろしいでしょうか?」
見ると白い鱗の竜族の女性のやや控えめな声。
リルドラケンの知り合いは手羽先亭のスタッフ以外は初めてだ。
「興味を持たれましたか?ですよね。もちろん大歓迎ですよ。」
愛称はセスと呼ばれているようだが、僕はセスさんと呼ぶことにした。
* * * * * * * *
ちなみに、本の世界に入った後、いきなり別行動になった。
物語の重要人物の所に振り分けられるのだ。
僕は王子だったが、仲間は姫や魔女に振り分けられた。
今回もその可能性があることを道中話しておこう。
あと、そうだ。ルークさんには大事なことを言っておかなければ。
「額の目は隠したほうがいいです。
物語の住民はシャドウという種族を見慣れていないですから。」
前の仕事ではシィノさんが村人に恐れられた。
仮面を被っても対策にはならなかったのを思い出す。
もちろん住民に敵対していた相手と一緒だったせいでもあったが。
どちらにしても隠したほうがいいだろう。
ルークさんはバンダナで額を隠すようだ。
「肌の色は大丈夫ですよ。暑い地方の出身者ならもっと濃い方もいますから。」
* * *
「エリックさん、ご無沙汰しています。今回も宜しくお願いいたしますね。」
前回と同様に、彼は一冊の本を提示した。
ランプを巡るストーリーだ。
開かれたページの空いている場所。
ここにサインをすると本の中に入れる。
そこから僕らはこの本の登場人物になるのだ。
僕は皆が書いたあと、最後にキッチリとわかりやすい文字でサインをするだろう。
今回も別行動になるのか、みんなと一緒になるのか。
それはすぐに判明することになる。
* * * * *
コルチョネーラです。
皆様宜しくお願いします。
導入は臨機応変に替えられますので、投稿を確認したら直しておきますね。
グレースは周りに声をかけ、興味があった方と一緒に家に向かいます。
手羽先亭にはいろいろな仕事が入ってくる、ので仕事は簡単に受けることはできる
報酬が多い依頼ってのはそんなにないけどな
>「アメリアさん、ルークさん。ご無沙汰しています。」
不意に声をかけられた、男性の声で一度といわず二度くらい聞いたことがあった
ええっとたしか...
「グレースさんか、久しぶりだな」
軽い感じで応対をする、アメリアさんもたしか....酒場であってたよな
あんまりその時のこと覚えてないけど
グレースさんは俺らに依頼を誘ってきた
>「エリックさんという絵本の作家からの依頼です。絵本の中に入って物語を継ぐ、まあ、一言でいえば物語の一員になるんです。
> 独特の世界観が味わえる素敵な世界ですが、想定外なモンスターが出る可能性もあります。
> 宜しければご一緒しませんか?」
絵本の中に入る?
ちょっと理解が追いつかないがまぁ昔読んだ英雄譚とかの登場人物になれるってかんじか?
そんな面白いことなら俺としては大歓迎だ
「想定外なモンスターだって慢心しないで堅実に削れば勝てるはずだ
まぁ...俺が回避して引きつけているうちに後ろの人らで削ってくれればなんとか....だな」
「アメリアさんも一緒に受けようぜ!本の中に入るってなんだかろまんちっくじゃないか?
それにアメリアさんがついていてくれたら三世達も来るだろ、あいつらは頼もしいからなぁ
もちろんアメリアさんの魔法だって頼りにしてるぜ?」
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>「額の目は隠したほうがいいです。物語の住民はシャドウという種族を見慣れていないですから。」
「お?そうか、じゃあ...」
コートの中にしまっていたバンダナを第三の目を隠すように着ける、まぁずり落ちたりしないだろうしこれなら大丈夫だろう
「これでいいか?流石に肌の色まではごまかしがきかねぇからな、まっ気にしても意味ないか」
考え込むのは後でできる、今出来ることだけやっておけばいい
特に本の中とか未知の領域だからな、前情報がほとんどない
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>「そのページに君たちの名前を描けば......。
> 光の導きで本の世界へ入っていくことができるはずさ」
「それが合図か...なんか不思議なもんだな」
迷宮のように入口があったり急に引き込まれたりではなくあくまで自分の名前を書くだけ
>「気をつけておいて欲しいのは......一つだけ。
> 一度名前を記したら、君たちは物語の結末が見えるまで外には出られない。
> でも、きっと君たちなら君たちらしい結末を導けると信じているよ」
「俺ららしいか、どうなるかはわからんが最善を尽くさせてもらうさ
....じゃあペンを借りる」
エリックからペンを借りてサラサラとシャドウ語で名前を書く
「これでいいのか?」
ペンを返して聞く
他のみんなも書き終わると、本がひとりでにめくられていく
「始まりか、どんな冒険が待っているのやら」
期待に胸が躍る
絵本の中―――俺が昔読んだような英雄譚や不思議な話の中に入る
不思議と俺を包み込んできた光は眩しくなかった、むしろなんだか心地が良いものだった
どうもグラフです
よろしくお願いします!
なにか不備などありましたらお手数ですが連絡をいただけたら嬉しいです
修正させていただきます
―火竜の手羽先亭にて―
>「アメリアさん、ルークさん。ご無沙汰しています。」
「あら、グレースさんお久しぶりです。」
グレースさんは、ただの挨拶だけでなく仕事の話も持ってきてくれていたようです。
>「エリックさんという絵本の作家からの依頼です。
> 絵本の中に入って物語を継ぐ、まあ、一言でいえば物語の一員になるんです。
> 独特の世界観が味わえる素敵な世界ですが、
> 想定外なモンスターが出る可能性もあります。
> 宜しければご一緒しませんか?」
「絵本の中に入って物語の一員に...ですか?」
突飛な話ですけど、グレースさんは既に経験済みの様子です。......え?本当に本の中に?
>「アメリアさんも一緒に受けようぜ!本の中に入るってなんだかろまんちっくじゃないか?
> それにアメリアさんがついていてくれたら三世達も来るだろ、あいつらは頼もしいからなぁ
> もちろんアメリアさんの魔法だって頼りにしてるぜ?」
ロマンよりも危険の方が多い気もしますけど......まぁ、頼りにされているのは素直に嬉しいですね。
それに勿論ルークさんも頼りになる人です。少し真っ直ぐすぎる所もありますけど...
「あー、そうですね、受けてみましょうか。ご迷惑をお掛けするかも知れませんけど」
ルークさんの事をグレースさん達に丸投げする訳にはいきませんし、それに私だって興味が無い訳ではありませんしね。
-*-*-*-*-
―エリックの家にて―
「えっと、この絵本の中に"入る"のですよね?」
自分で言ってみても、不思議であることは変化しないようです。本当に不思議......
男性の掲げるランプが印象的な絵、その隣のページにある登場人物欄の不自然な空白、そこに私達の名前を書けばいよいよ絵本に入れるそうです。
手持ちの羽ペンで本の空白の部分に自分の名前を書き記して4人分の名前が埋まるのを待ちます。
最後にグレースさんが名前を書き終えると、ひとりでに絵本のページが捲られて、目の前が眩い光に覆われていきました。
物語の結末は私たち次第......出来ることなら悲しい話にはなって欲しく無いものです。
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甲子 幸と申します
どうぞ、よろしくお願いします。 絵本シリーズ気になってたのですよね。参加できたぜヤッター!
コルチョネーラさん、お久しぶりです。自然消滅した日常日記以来ですね。(PLが展開に置いてけぼりを食らいました)
ニカさんとは、もの凄くお久しぶりです(実は一度だけセッションでご一緒したことがあります。LainGMのセッションですね)
セスシナングはきっと拘りのあるビルドなのだろう事は察してはいました。ご無理を言ってしまい申し訳ないです。
騎獣はエリックの家に入る前に契約証で彫像化しておいた事にして下さい。という要望
本を読むのは好きです。
濃く淹れたお茶を飲みながら、書に思いを馳せるだけで日が沈んでしまう事もしばしばあります。
物語を彩る人や物は、様々な言葉、時には挿絵も組み合わされ、皆活き活きと表現されています。
今ちょうど勇者が悪人を成敗し、囚われの姫を救い出した所です。
そして、勇者が姫と結ばれることが示唆され、物語はエンディングを迎えました。
何ともありがちな英雄譚ですが、ありがちにはありがちの理由があります。
「ふう」
本を閉じて、冷めたお茶を飲み干します。
さて、図書館への返却はいつごろにしようかしら。
本を読むのは好きです。
しかし、物語とは不動の世界。始まりと終わりの決まった世界。
私達は観測者にしかなりえません。
新たな発見と驚きの尽きない現世の方が、感動に満ち溢れている。
私はそう思っていました、今日までは。
――――――――――――――
絵本の中に入り、物語を紡ぐ。
グレースさんという男性が隣で喋っていた依頼の内容は、驚くべき事でした。
取りあえず、今まで受けた依頼の中では一番驚きましたね。
絵本の中に入る、とは一体どういうことなのでしょうか?
紙のようなぺらぺらな薄い姿になってしまうのでしょうか。
話を聞いていると、グレースさんは、一度こういった冒険をしたことがあるみたいです。
グレースさんはぺらぺらでも、紙のようでもないので、
文字通り絵本の住人になるという訳ではないみたいです。安心しました。
「そのお仕事、私もご一緒してよろしいでしょうか?」
折を見てグレースさんに話しかけます。
よく分からない場所に行く不安よりも、好奇心のほうが勝りました。
「私はセスシナングと申します。セスとお呼びください。
妖精使いであり、妖精神の信徒でもあります」
他の同行者は、
ルークさんというシャドウの男性、アメリアさんという人間の女性です。
ルークさんは見た所戦士のようで、アメリアさんは神官さんでしょうか。
グレースさんも神官さんのようですし、怪我をしても大丈夫ですね。
皆さんお強そうで安心しました。
――――――――――――――
依頼人のエリックさんの部屋は、
絵本作家の部屋を思い浮かべたなら、誰もが想像する通りの部屋でした。
インクの匂いが鼻腔をくすぐります。
広げられた本の名前は『アラジンと魔法のランプ』。
ランプを掲げる若い男性の絵が描かれています。
隣のページには登場人物の紹介が載っているようですが、不自然な空白がありました。
ちょうど4人分の名前が入りそうな、空白。
ここに名前を書くことでこの物語の中に入れるようです。
逆に言えば、物語が終わるまでは帰れないということを意味します。
しかし、ここまで来れば臆する理由はありません。
私は私の好奇心を信じます。
「人気の物語はほとんどが大団円で終わります。
皆、悲劇よりも幸せな結末を迎える登場人物が見たいんです。
この物語を誰もが笑顔になれる物語にしましょう」
「それでは、名前を書かせて頂きます。
向こうでもよろしくお願いしますね」
折角なので、祖先の言葉で著名しようと思いましたが、
そもそも竜の言葉に文字はありませんでした。
無難に共通語で書きましょう。
揺れる木の葉――【セスシナング】
――――――――――――――
◯PL
最後の『揺れる木の葉』と言うのは、
ドラゴン語でのセスシナングの意味(独自設定)であって、
実際はセスシナングとだけ記入しました。
それでは改めましてよろしくお願いします。
>甲子 幸さん
申し訳ありません、すっかり忘れていました。
たしかにご一緒していましたね、失礼しました。