1-竜の還るところ
遥か漆黒がどこまでもどこまでも続いている。
たまに耳に聞こえてくるのは竜のいびきかそれとも咆哮か。
ティキは今山に囲まれた。
巨大な谷間の上にいる。
ニコデムスに跨って......。
そこは鳥たちの王国の一角。
竜の大口と呼ばれる場所であった。
名が示す通りドラゴンの棲む地である。
* * *
ティキがこの地に迷い込んだのはまさに偶然のことである。
依頼帰りだったのか。
それともちょっとした散歩だったのか。
ある時ティキはニコデムスに乗りながら空を飛んでいた。
大人の階段を上り始めた相棒の背中は実に頼もしい。
その日も......風は気持ちよかった。
風の妖精の声もきっとよく聞こえるだろう。
そんな中最初に異変を感じたのはニコデムスであった。
竜として――翼持つものとしての本能だったのだろうか。
ニコデムスはティキに異変を告げようとしたかもしれない。
しかしそれでも間に合わない。
ティキにはそしてニコデムスには空気が変わる感覚があっただろう。
いやそれよりはむしろ世界が変わるような感覚が。
――そしてまさしく世界が変わっていた。
気がつけば直下に広がるのは巨大な大穴。
ティキとニコデムスは知らず知らずの間に鳥たちの王国へと入っていたのだ。
それも竜たちの棲む極めて危険な場所に。
どこまでも続く闇の中には何が待っているのだろうか。
高度を下げていけばその正体を知ることができるかもしれない。
それとも大穴の傍の岩場に一度降り立って状況を把握するのが吉だろうか。
――もしくはこんな危険そうな場所などさっさと立ち去ってしまおうか。
少なくとも現在敵性存在たりえそうなものの姿はない。
いつまで現在の状況が続くかはわからないが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
それではセッションを開始させていただきます(*´∀`*)
こちらティキのカテゴリです。
キャスパーさんはこちらのカテゴリにご投稿ください。
各PCに共通して【MQ:鳥たちの王国から脱出する】を課します。
まずはSQ決定ダイスを1D6お振りください。
SQの一覧は以下の6つです。
ダイスの出目と数字が同じものが本セッションにおけるティキのSQとなります。
====================================
SQ1:バードウォッチャー(5種類以上の魔物と遭遇)
SQ2:プレゼントゲッター(戦利品を除いて2つ以上のアイテムを持ち帰る)
SQ3:スポットビューアー(3つ以上のエリアを訪れる)
SQ4:ウィングバスター(3種類以上の魔物を倒す)
SQ5:アナザードラゴン(ニコデムスを除いて1種類以上の"ドラゴン"と名のつく魔物と遭遇)
SQ6:シークレットハンター(【分類:秘密】の情報を3つ以上入手する)
====================================
【分類:地名】に『竜の大口』を登録しておきます。
現在ティキたちは【ア:竜の大口】にいます。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の3つです。
・穴の深いところへ行ってみる
・穴の周囲に着陸する
・マップ上の別の場所(イ・エのどれか)を訪れる。
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『1-竜の帰るところ』にチェックを入れて投稿してください。
耳鳴りがする。
記憶があいまいだ。
険しい山々の連なり、私の目でも見通せるか疑いたくなる黒。この風景を見下ろしながら、私は記憶をたどった。
ケイトからニコデムスを引き受けて、仕事へ行って、そして終えて......ニコデムスが何かに気づいたような素振りを見せたのは覚えている。
私は今......?
ふいに聞こえ出した、足に添う鱗の感覚と鞴のような呼吸音。それだけで、少し安心できた。呼吸を整え、つとめて悟られぬようニコデムスに声をかける。
『何が起こった?』
『......わからない』
尋ねても、ニコデムスはかぶりを振るのみだった。辺りを見るに、少なくともここが安全な場所だとは思えなかった。
傍に妖精を従えておくべきだったか?いや、今からでも遅くはない。腿に取り付けた宝石飾りにある、ガーネットに触れる。
《古き友よ、我が召喚に応えて出でよ。門を潜りて―》
......いや、待て。
ニコデムスが要る時点で身を隠せないのは明白だが、この上あれまで呼ぶといよいよ目立つ。となれば、呼ぶのはあちらだ。
《......お前に任せる。フィルギャ》
ガーネットから手を離し、ペリドットと水晶、二つの宝石に触れる。二つの石をもって一つの門とし、古代妖精を呼び出す召喚法。
《お呼びかしら?ティキ》
《お呼びだよ。不本意ながら》
発光とともに門をくぐって現れたのは、淡く光る成人に近い容姿をした美しい少女だった。これでも古代妖精だそうだが、知り合いの同族が私の姉に惚れ込んだとかなんとかで、それならとこいつは妹の私のところへやって来たらしいのだ。
そして、こいつは私に惚れている。
《あっニコ、久しぶり》
ついでに言うとニコデムスはすでに丸め込まれている。今も、フィルギャに頭を撫でられてご満悦だ。
《ねえ、ティキ。こんなつまんない場所じゃなくてさ、もっともっとくつろげるとこに呼んでほしいんだけど。あなたンちとか森の中の清流とかさ。あ、温泉も好きよ私》
言いながらも、彼女は周囲の状況をもう把握できているようだった。
《ヴァンニク連れてきたげるからお湯沸かさせましょ。木っ端妖精なんかちょっと脅せばすぐよ》
フィルギャはけらけらと笑いながら大穴の縁の一点を指さす。そこは見通しがよく身を隠しやすそうな場所だった。
口はよく動くが手はそれ以上に動かす手合いは、どうにも口を出しづらい。そのポイントへ飛んでいくよう、ニコデムスへ指示を出した。
「一度地上に降りる。大穴の中の様子を縁から探って、進めそうなら降りてみる」
PL
いよいよはじまりますね!皆様よろしくお願いします。
穴の底まで下りるつもりではありますが、ひとまず周囲に降りて様子を探ります。
SQはSQ5:アナザードラゴン(ニコデムスを除いて1種類以上の"ドラゴン"と名のつく魔物と遭遇) となりました。
固有サブクエスト引き当てちゃったよひゃっほう
00:18:04 キャスパー@ティキ SQ 1d6 Dice:1D6[5]=5
17:52:03 キャスパー@ティキ サモンフェアリー 行使 2d+14 Dice:2D6[3,1]+14=18
熱狂の酒・飼い葉は服用済みでお願いします。
(追記)
探索判定を忘れていました。以下、結果を追記します。
21:46:22 キャスパー@ティキ 探索判定 2d+15
Dice:2D6[5,3]+15=23
ティキは契約したてのフィルギャを呼び出した。
彼女は必ずティキにとっての助けとなるであろう。
――いや、もうすでになっているだろうか。
どこまでも続いていそうな大穴の縁。
状況を見渡しやすく、かく隠れやすいポイントを見つけ。
ニコデムスをそこに着陸させる。
降り立った地面は極めてゴツゴツとしている。
剣のように尖った岩――切り立った崖。
あまり心休まる風景ではないだろう。
しかしニコデムスの探索の結果、極めて危険なものはなさそうだ。
最低限の安全性は確保されていると言えるだろう。
穴を覗き込んでみてもその深さは窺い知れない。
小石など投げ込んでみても反射する音など聞こえるはずがなかろう。
ずっとずっと眺め続けてみるとごく稀に闇の中がぼわんと明るくなることがある。
それはまるで闇夜を仄かに照らす蝋燭の灯火のように。
もっともそれすらごくごく一瞬のこと。
次の瞬間には穴の中は再度漆黒に染められていく。
辺りを見渡してみれば周囲の様子を知ることができよう。
背後に聳えるのは巨大な山だろうか。
向こう側には空に浮かぶ島らしきものが見える。
* * *
しばしの時がすぎる中。
何かが近づいてくる予感をニコデムスは抱いていたかもしれない。
そしてそれは予感では終わらず現実のものとなる。
見上げればまるで大剣のように巨大な岩の上に一匹の獣の姿。
あれは犬であろうか。
いや、ただの犬ではなさそうだ。
あの犬には羽が生えているのだから。
かの魔物は幻獣ケルブ。
幸運を呼ぶ神の使いとも言われし霊獣である。
ケルブは巨大なニコデムス、次にティキに気づく。
そしてそのまま岩から飛び降りて......少し離れた地面に立つ。
ケルブは二体の異分子にむかって何やら口を動かして言葉を発す。
されどその言語をティキもニコデムスも理解することはできないだろう。
魔法文明時代の失われた言葉であったからだ。
それからほんの少しケルブは静止して見つめていたが。
ゆっくりとティキたちに背中を向けて岩場の向こうへと去っていこうとする。
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あんみつ@GMより
熱狂の酒・飼い葉については了解しました!
ティキは空ずっと飛んでるから一人だけ変えたところを当てるなんて流石だぜ(・∋・)
ケルブについて魔物知識判定が可能です。目標値は12/15です。
ケルブは魔法文明語しか話せなかったため言語による意思疎通はできません。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の4つです。
・大穴の中へ入る。
・ケルブの後を追う。
・もう少しここで様子を見る
・マップ上の別の場所(イ・エのどれか)を訪れる
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
「あれは......?」
闇夜を見通す目はあれど、ここから深い穴の底を把握することはできないようだ。
だがこの目は、穴の中にほのかに光る、何らかの光源を見逃さなかった。ほんの一瞬ではあったが、あそこには間違いなく何かがある。
さらに周囲に目を向けると、背後に特に大きな山、その向こうには......あれは何だろうか、島のようなものが見える。それも、宙に浮かんで。
「よくわからないな、ここは。また妖精の仕業か?」
《あ、なんか私にわかんない言葉で貶してない?》
《してない。近い》
私の頭にのしかかるフィルギャをひっぺがしていると、ニコデムスがまた何かを感じ取る。
『しばらく見ない間に鋭くなったな。―上にいるな』
『そう』
ニコデムスの背に乗ったままそちらへ目をやると、見上げるような巌の上に翼の生えた犬のような獣の姿があった。
それはすぐにこちらに気づき、私たちの前に降り立つ。そして私たちに向けて言葉のようなものを発した。
《何よ?アレは》
《ケルブ、幻獣だ。幸運を呼ぶとかなんとか......言ってること、わかったか?》
《ぜーんぜん》
『強い?』
『わかるんだろ?私たちの敵じゃない』
ケルブはこちらをしばし見つめた後、おもむろに背を向け歩き出す。何か喋っていたのは、警告か何かだろうか。
《......慌てて逃げてるようには見えないわねぇ。悠々としちゃってさ》
「追ってみるぞ。穴を調べるのは後でもできる」
あの幻獣はついてこいと示したようにも見えたし、ただこちらへの興味を失ったようにも見えた。だが何より、私があれに興味を持った。それだけで追う理由は十分だ。
振り返り、ひときわ高い山を目印に現在位置と浮遊島の方角、幻獣の進行方向を頭に叩き込む。さらに、スケッチブックとペンを取り出してそれらを簡単に描き込んだ。
かなり短い時間でかいたが、まあまあの出来だ。
「―よし、行こう」
後を追うよう指示を出したのだが、ニコデムスはゆっくり歩きながらもしきりに空に顔を向けたがる。どうしたのか問うと、
『ドラゴンがいるかも。ニオイがする』
と返ってきた。どこにいるとか、距離はどうかとか聞いてみたものの、そこまでは分からないようだった。
『......会ってみたいか?』
『うん』
『わかった。だが、ひとまずはケルブを追う』
まだ周囲を気にするニコデムスを諌めながらも、私は高揚していた。耳につけた、龍の瞳石に触れる。また龍に会えるかもしれない。その強大な存在に、私は多少なりとも魅了されているのだ。
フィルギャにも会話の内容を伝えると、自分はニコデムス以外に見たことはない、ぜひ見たいと声を弾ませた。
「楽しみだ」
『タノしみ』
《楽しみね》
それぞれ一様に期待を胸に、私達は歩を進めた。
PL
穴の探索はするつもりですがひとまず後回し。
前回の投稿でまもち+15で振ってしまっていましたが、実際は+14です。すみませんでした。
地図作っときます
00:36:20 キャスパー@ティキ 地図作製判定 2d+13 Dice:2D6[3,6]+13=22
ケルブの正体を見抜いたティキたちは。
>「追ってみるぞ。穴を調べるのは後でもできる」
一度その後ろを追いかけてみることにしたようだ。
相手の実力はティキたちに比べればたいしたことはない。
もし仕掛けてきたとしても大抵の危機は乗り越えられるだろう。
* * *
ケルブはごつごつした岩場を止まることなく歩んでいく。
こっそりついて行っているわけではない場合でも決して後ろを向くことはない。
単純に気に留めていないのか。
――それともどこかへ案内しているつもりなのか。
結果はそれほど経たずに明らかとされた。
ケルブはどうやら後者であったらしい。
大穴の縁から十数分歩いたかどうかというところ。
岩場のある地点に木造りの小屋があった。
作りたてほやほやというほどではないが。
歴史を感じるというほどでもない。
適度に生活の跡が残るところだった。
小屋の傍にはまた小屋がある。
サイズはだいぶ小さく犬小屋と称されるレベルのものであろうか。
ケルブはその小屋の傍まで近づくと――中に向けて一度吠えた。
そして再度ティキたちには認識できない言葉で話しかける。
――するとどうだろうか。
小屋の窓に巨大な影が映ったかと思うと。
ドアを開いて出てきたのは巨大な姿。
立派な角。
体中を覆う真紅の鱗。
そして背中の立派な翼。
現れたのはドラゴン――ではなくリルドラケンだった。
種族的な特徴故その性や年齢はややわかりにくいところがあるが......。
その堂々たる立ち振る舞いからして――それなりの年齢の男ではないだろうか。
リルドラケンは低い芯のある声でケルブと理解不能な言語で会話した後。
ティキたちのいる場所へとドシンドシンと歩み寄ってくる。
一歩一歩の足取りは極めて力強い。
「ドラゴン......お前はそれに乗ってきたのだな」
ティキに向けて話しかけられただろうその言葉は交易共通語であった。
これならティキにも理解することができるだろう。
「ここは翼持つ者たちが住まう世界でな。
それは勿論儂やドラゴンとて例外ではないのだ」
ここまではティキに向けて。
『そう......お前のような立派な翼を持つ者は時に引き寄せられるのだ。
このグランド・フェザーが作りし世界にな』
こっちはニコデムスに向けてだ。
使われている言葉はドラゴンたちの用いるものである。
「儂は遥か昔にこの世界にやってきて以来留まり続けておるが。
――お前はこの世界の外に出ることを望んでいるか?
そうならば、ル=ロウドの神殿を訪れるとよい。
神殿にいる巫女がお前を安全に出してくれるだろう」
今度はもう一回ティキに聞こえるように。
おそらく両者の関係を察知した結果であろう。
ティキが騎手で、ニコデムスは騎獣であるのだと。
「それともお前はそんな安易な脱出法は望まぬか?
件の魔剣を作り出した者は多様な方法を用意していたという。
例えば、力を託された竜などのような」
リルドラケンの瞳は鋭い。
まるで何かを見定めようとしているようだ。
「神殿へと向かいたいというのならばケルブを使いに出してやろう。
こいつは儂の言うことならば聞くのでな。
――だがもしその謳われし竜に会いたいと願うなら」
口を動かしながらリルドラケンは小屋の方へと歩み寄り。
......扉の前に立った。
「儂の小屋に寄って行くといい。
いつまでも立ち話はなんだろう?
......尤もまだオトナにはなりきれていないとはいえドラゴンを入れる広さはないがな」
そして、その扉を開く。
まずは自分が中に入るために。
そしてもしかしたらティキが入るために。
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あんみつ@GMより
ケルブについて言ったら大穴近くの小屋まで案内されました。
まだ現時点ではリルドラケンは名前を明かしていないので登録はされません。
一応それなりに老齢で男の赤い鱗のリルドラケンです。
ティキは【分類:秘密】の【王国からの脱出法:その1】と、
【王国からの脱出法:その2】を入手します。
【分類:秘密】に【王国からの脱出法:その2】について登録しておきます。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の4つです。
・大穴の中へ入る
・小屋の中へ入る
・ル=ロウドの神殿への案内を頼む
・マップ上の別の場所(イ・エのどれか)を訪れる
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
「小屋......こんなところに?」
縁からしばらく歩いて、ついた先は小屋。それもさびれたものでなく、今も使われていることがうかがえた。
ケルブが一度吠え、それに呼ばれたのか小屋から一人のリルドラケンが姿を現す。目の覚めるような赤の鱗に、力強い翼と角を持っている。その屈強な肉体を見て、フィルギャがひゅうっと口笛を鳴らした。
>「ドラゴン......お前はそれに乗ってきたのだな」
「なんだか来た、という自覚もないけどね。ここはどこ?」
彼は私とニコデムスへ交互に話しかける。
ここがどういう場所であるかと、なぜ私たちが呼びこまれたかを教えてくれた。グランド・フェザー......世界を作ったというのなら、魔剣の一種とみるべきか。
話はこの場所からの脱出法へと移り、さらに続く。
>「それともお前はそんな安易な脱出法は望まぬか?
件の魔剣を作り出した者は多様な方法を用意していたという。
例えば、力を託された竜などのような」
「竜......」
呟きが漏れる。挑むようにも思える鋭い視線は、むしろ私の選択を揺るぎないものにした。
「なら、小屋に寄らせてもらおう。こいつとこいつ、それから私も、その竜に会ってみたいと言っていたところだ」
ニコデムス、フィルギャを指さし、リルドラケンの後に続く。ニコデムスをその場に待たせ、ひとまず名を名乗った。
「私はティキ。ティキ・ラウリだ」
『ニコデムス』
《あたしフィルギャね。覚えてたらいいことあるかもよ?色男。......あー、私の言葉わかんないかな。とりあえず私もお邪魔するわ》
『それと、次から私とニコデムスに話しかけるときは、ドラゴン語でいい。「友」の言葉くらい喋れる』
PL
行動は小屋の中に入るのを選択します。
十数分ってことは探索時間合わせてもフェアリーウィッシュまだ続いてるよね。
竜に会いたいなら小屋の中に入れというリルドラケンの言葉に対し。
>「なら、小屋に寄らせてもらおう。こいつとこいつ、それから私も、その竜に会ってみたいと言っていたところだ」
ニコデムスとフィルギャを紹介するように指さしつつ、
ティキが答えたのは小屋に立ち入らせてもらう意志のこもった言葉だった。
「......そうか。
お前たちの選択の結果だというのであれば、よいだろう」
威厳あるリルドラケンは大きく頷く。
なんだろう――どことなくその瞳は優しい色を帯びていたような。
>「私はティキ。ティキ・ラウリだ」
>『ニコデムス』
>《あたしフィルギャね。覚えてたらいいことあるかもよ?色男。......あー、私の言葉わかんないかな。とりあえず私もお邪魔するわ》
そして三者が自らの名前を告げれば。
『儂はラドン・カーマイン。
申し訳ないが......生憎妖精の言葉については不勉強でな。
――まあ、とりあえず入るがよい』
* * *
ラドンの小屋の中のイメージは質素なものであった。
嗜好品だとか芸術品だとかの類はほとんどない。
唯一あるとすれば、壁にかけられた一枚の図だ。
洞窟の中、天井に空いた崩れた穴から差し込む光の下。
その巨大な体で見るものに圧倒させるのは――竜だ。
見たところ赤子はおろか子供ですらない、巨大な成体のドラゴンである。
『あの大穴の最奥にはドラゴンが一匹いる。
2000年近い時を生きた巨大な竜だ。
この世界が生まれた時からいるという噂だ』
ラドンはその絵を眺めつつ語る。
であれば、この絵のモデルこそ......そのドラゴンなのであろうか。
『ただあの穴に巣食うのは奴だけではない。
飛竜やまだ若い竜たち。
中には竜の姿をした魔神すらいるという。
容易く近寄って生きて帰れる場所ではないぞ』
続けてラドンが語るのはあの穴についてだ。
ただただ深いというだけでなく、危険な竜型の魔物でいっぱいだそうだ。
『それでもあそこへ潜ろうというのだろう?
――ああ、答えを言う必要はない。
お前の目を見ればわかるのでな』
――ラドンの眼光は鋭い。
その瞳の前では些細な嘘や虚勢は砕かれてしまうだろう。
『だが、既に言った通り何の策もなしに潜れる穴ではない。
ではどうやってあの穴は無事に潜っていくか、だが......。
ちょうどいいことにあそこのドラゴン共には一つの特徴がある。
――竜は竜を襲わない......かの地においてはな。
そしてお前にはちょうどいいところに跨って空を舞えるドラゴンがいるだろう?』
小屋の窓からはニコデムスの姿が見える。
ドラゴン同士で戦いが起こらないのであれば、ニコデムスは襲われることはないのだろうか。
だが、ティキは竜ではない。
シャドウ――人族である。
それは妖精たちも同じであろう。
『言わずともわかっているようだな......お前はドラゴンではない。
つまり穴に巣食う竜共の獲物とされることになる。
――そこでだ、もしどうしてもあの穴に潜ろうというのであれば......巫女を頼れ。
巫女には扉を開く術式以外にも様々に奇跡を起こす力がある。
その中の一つが――竜の加護だ』
小屋に入る前に、この世界から出す力を持っていると案内された巫女。
彼女が持っているのはどうやらその力だけではないようだ。
『竜の加護を受ければ、しばしの間お前はドラゴンと同等に扱われる。
つまり、お前もまた同様に竜の敵ではなくなるのだ。
まあ詳しいことは巫女に聞くといいだろう』
そこまで語ったかと思うとラドンは席を立ち、壁の傍にあった袋を漁る。
中から取り出したものは――鋭く尖ったもの。
巨大な竜の牙であった。
『竜の加護を受ける儀式に必要なものだ......持っていくがいい。
巫女のいる神殿に向かうには久遠の雲海か鳥王の霊山を超えていく必要があるが......。
特に拘りがないのならば雲海を飛んでいくがいい。
――無意味に命は落としたくはないであろう?』
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
今回はお話シーンなので登録するものがいっぱい(・∋・)
【ラドン・カーマイン】を【NPC:男性】に登録しておきます。
竜の絵について魔物知識判定が可能です。目標値は18/24。
成功すればその魔物がグレータードラゴンであるとわかります。
ティキは【分類:秘密】の【大穴のルール】を入手します。
また、【竜の加護】を【分類:その他】に登録しておきます。
【古竜の牙】を【分類:道具】に登録しておきます。
ティキはラドンから【古竜の牙】をお受け取り下さい。
【分類:地名】に【久遠の雲海】を登録しておきます。
マップ上では【エ】に該当します。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の4つです。
・大穴の中へ入る
・もう少しラドンと話す。
・【イ:鳥王の霊山】を経由して神殿を目指す
・【エ:久遠の雲海】を経由して神殿を目指す
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
ラドンと名乗ったリルドラケン。その小屋に足を踏み入れて、まず目に入ったのは巨大な竜の図だった。かなり大きい、レッサードラゴン......いや、グレータードラゴンだろうか。
>『あの大穴の最奥にはドラゴンが一匹いる。
2000年近い時を生きた巨大な竜だ。
この世界が生まれた時からいるという噂だ』
そう語るラドンの視線も、その竜の絵にあった。
話を聞けば、かの竜はあの穴の最奥に住んでおり、また穴の中には竜や、竜のような魔物がひしめいているらしい。
『私もそれなりに腕に覚えはあるが......厳しそうだな』
フィルギャのほうへ目をやると、黙って首を横に振った。
「......だが手段がないでもないか。時間はかかるが契約を組み替えて、光と風の魔法で姿と音を消して......匂いはニコデムスの唾液か何かを塗りたくれば......」
厳しい現実を言い渡されても、大人しく帰ろうなどという気は全くなかった。頭をひねりながらぶつぶつと呟く私を見てか、ラドンは言う。
>『それでもあそこへ潜ろうというのだろう?
――ああ、答えを言う必要はない。
お前の目を見ればわかるのでな』
彼は続けて穴のルールと、「竜の加護」―竜と同等の存在を得る奇跡について教えてくれた。先の話にも出てきた神殿の巫女、それを頼れば穴の奥を目指す助けになるのだ。
そこまで話すとラドンは立ち上がり、壁の袋から象牙のようなものを取り出した。私はすぐに、それが象でなく竜の者であるとわかった。しかもかなり立派で、若い竜のそれとはものが違う。
>『竜の加護を受ける儀式に必要なものだ......持っていくがいい。
巫女のいる神殿に向かうには久遠の雲海か鳥王の霊山を超えていく必要があるが......。
特に拘りがないのならば雲海を飛んでいくがいい。
――無意味に命は落としたくはないであろう?』
「......。」
彼から古龍の牙を受け取る。その後居住まいを正し、ラドンに最敬礼をした。
『数々の力添え、痛み入る。こんなものしかないが、せめてもの感謝の印として受け取ってほしい』
道具袋の中から、酒の種の詰まった袋を取り出す。本当にこんなものしかないが、これでも私の趣味で質の良いものを選りすぐって購入したものだ。
そして、一つ浮かんだ疑問を口にする。
『なぜ、見ず知らずの私にここまで......?』
* * *
小屋の前。
ニコデムスに跨り、武装を整え、出発の準備を完了させた。
フィルギャは話の間に魔法の効果時間が切れて元の場所へ帰ってしまっていたため、他の妖精に警戒に当たらせることにした。
触れた宝石は、深紅に輝くガーネット。
《―古き友よ、我が召喚に応えて出でよ。門を潜りて我に聘せよ》
他のよりも少し堅苦しく難解な詠唱ののち、その名を叫ぶ。
《来い―「イフリート!」》
開門と同時に炎と光があふれ出し、頭上を覆う。それは瞬く間に巨人の形を成し、私達へ影を落とした。
《お前も久しぶりだな。調子はどうだ?》
《......うむ、良好である。我に任せよ》
イフリート。火山に住む、炎を纏う巨人の妖精だ。
ラドンに負けず劣らず赤いその巨躯と炎のごとく揺らめく黄金の体毛は、強い熱気と圧倒的な存在感を放っている。
召喚の成功を確認して、ラドンの方へ向き直る。
『本当に、世話になった。では』
若い竜と巨大な火の精を従え、私は飛び立った。
目指すは神殿。そして竜の棲む大穴だ。
PL
ラドンさんとちょっとだけお話してから出発します。
フィルギャ引っ込めて念願のイフリート召喚。久遠の雲海を経由して中央の神殿を目指します。
23:38:09 キャスパー@ティキ 魔物知識判定 2d+14 Dice:2D6[5,1]+14=20
01:21:45 キャスパー@ティキ サモンフェアリー 行使 2d+14 Dice:2D6[2,1]+14=17
また間違えました。サモンフェアリーではなくフェアリーウィッシュです。