1-麺麭の砂漠
デニッシュは漆黒の中にいた。
夜の闇というよりは何もない無の色だ。
無いといえば今デニッシュの足元にも何もない。
落ちているのだ。
何もない場所へ落下速度はゆっくりと。
「......える......かい?」
声が聞こえた。
それは耳からではなく心に響く声。
言語という概念には囚われないが、意味を知ることのできるもの。
「......聞こえるかい?
ボクは白の心。
心と心を繋ぐ魔剣の半身さ」
声がはっきりすると同時に無の中に光が生まれる。
白く発光するそれは、ぼんやりと人の姿をとっていた。
形状的には人間の少年のものであろうか。
「ボクの役目は心を作ること。
そんなボクはふとあることに気がついたんだ。
簡潔に言うと、キミの心は狙われている。
ボクと同じ魔剣の半身である黒の心によって」
白の心が話している間もデニッシュは下へ下へと落ちていく。
緩やかに、でも確実に。
「だから、ボクはキミをキミの心へと誘うことにした。
ボクは信じて見守ることしかできない。
黒の心の脅威に打ち勝つことができるのは、強き心の持ち主だけさ。
ボクはキミたちがそうであると信じている」
どこまでも落下していたはずのデニッシュであったが。
ある段階で足が何かに触れ、止まるのを感じる。
「キミが触れたのはキミの心の世界の一つ。
キミの力だったり想いだったりの一片が形となった世界。
その世界こそが黒の心、穢れや神の摂理から外れた者たちの標的さ。
だけど諦めないで、怯えないで。
信じていれば......心と心はきっと触れ合うから」
白の心が最後の言葉を紡げば。
デニッシュを包む無の黒に閉ざされた世界は光によって包まれていき。
――その姿をデニッシュの目に映す。
* * *
砂、砂、そして砂。
それがデニッシュが初めて見ることのできた景色だ。
しかも砂といってもその色は灰に近く。
この砂漠からはほとんど命の営みを感じられない。
一匹の虫すらおらず、一本の草すら周囲には生えていない。
ただ砂漠の先に石造りの街らしきものが見えてはいる。
これまた砂漠と同じ灰色で、誰か住んでいるのかすらわからない。
――いや、少なくとも人は住んでいるようだ。
街の方角からデニッシュに向かい、歩いてくる人影があった。
どうやら人間の男性のようだ。
短めのスポーティな黒髪で色黒の肌。
背中には弓を背負っている。
彼はそのままデニッシュの傍までやって来て。
「こんなところで何やってるんだ?
戦えそうな格好だし、あんたも泉が目当てかい?
んなら、オレと一緒だな」
気さくな態度で話しかけてきた。
どうやら彼は泉を目指しているとのことらしい。
ちょうど彼に話しかけられたときのことだった。
デニッシュの腹が音を鳴らす。
この時に自覚することだろう、なんだかデニッシュはお腹がすいているのだ。
「なんだ、腹減りなわけ?
しょうがないな、オレのやつをちょっと分けてやるよ。
ほら、食いな?」
男は自らの袋をごそごそと探し出し。
デニッシュに差し出したのは一個のプレーンな丸いパンだった。
あまり形も良くないし、素材も良くなさそうだ。
デニッシュの方がいいパンを焼けるだろうか。
「パンの代わりに一個お願いがあるんだけど、聞いてくんない?
オレ、今から泉を目指すところでさ。
ほら、泉の周囲ってたまに過去の遺物とか動いてんじゃん?
だから、あんたみたいに戦える相手が一緒だと心強いなって。
ま、無理にとは言わねーし、パン食っても返せって言わないから安心しな」
弓を持った男は泉に行く際の仲間を探しているようだ。
パンを食べた場合も無理に連れて行くつもりはなさそうだが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
それではセッションを開始させていただきます(*´∀`*)
こちらデニッシュのカテゴリです。
ヨ太郎さんはこちらのカテゴリにご投稿ください。
本文前半部は心の世界まで至るシーン。
【NPC:男性】に【白の心】を登録しておきます。
心を繋ぐ魔剣について見識判定が可能です。
目標値は秘密です。試してみたいならダイスをお振りください。
本文後半部は心の世界に至ったシーンです。
【分類:地名】に【ブレッド・デザート】を登録しておきます。
デニッシュは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・弓の男に協力する意思を示す
・弓の男に協力しない意思を示す
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
パンについては食べても食べなくても構いません。
ただ、お腹はすいてます。
このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『1-麺麭の砂漠』にチェックを入れて投稿してください。
気が付いたら落ちていた。
「......おぉオあア!?!?」
真っ暗などこかをひたすら落ちている状況で、しばらく手足をバタつかせ、それでも一向に地面に激突しようとしないと気付き、ようやく考える余裕が出てくると、結論はすぐに出た。
「............なんだ夢か」
最後の記憶が、《火竜の手羽先亭》の厨房で新しいジャムを作り終えてから自室のベッドに入ったとこだった。
やけに落下速度はゆっくりだし、こんな状況に思い当たる節がない。どう考えても夢だなこりゃ。
しかし、夢の中でどこかから落ちて目が覚める、というのは何度か経験してるが、『落ち続ける夢』ってのは初めてだな。いつになったら目が覚めるんだ?なんて考えてたら、
>「......える......かい?」
「...お?」
どこかから声が聞こえた。
>「......聞こえるかい?
ボクは白の心。
心と心を繋ぐ魔剣の半身さ」
「なんだぁ?」
人型の光が現れて話しかけてきた。
>「ボクの役目は心を作ること。そんなボクはふとあることに気がついたんだ。簡潔に言うと、キミの心は狙われている。ボクと同じ魔剣の半身である黒の心によって」
>「だから、ボクはキミをキミの心へと誘うことにした。ボクは信じて見守ることしかできない。黒の心の脅威に打ち勝つことができるのは、強き心の持ち主だけさ。ボクはキミたちがそうであると信じている」
「...んぁ?」
俺の夢なのに何言ってんだかわかんねーよ...
混乱しているうちに、足が地面に着いた。
>「キミが触れたのはキミの心の世界の一つ。キミの力だったり想いだったりの一片が形となった世界。その世界こそが黒の心、穢れや神の摂理から外れた者たちの標的さ。だけど諦めないで、怯えないで。信じていれば......心と心はきっと触れ合うから」
「......おう!任せとけ!」
言ってる意味はよくわからなかったが、断片的な『打ち勝つ』『信じてる』『諦めないで』『怯えないで』などといった単語から、なにやらこいつが俺に期待してることだけは伝わった。
要は、よくわからんが敵みたいな何かをブッ飛ばせばいいのか?なんかそんな感じだろ、多分。
そして真っ暗だった視界に光が差してきた。
* * *
見渡す限りの砂、砂、砂だ。
これが話には聞いたことのある『砂漠』ってやつか?
辺り一面灰色一色で、眺めていたら目がおかしくなりそうな風景だ。
まるっきり悪夢の光景だなこりゃ...
それで、敵はどこにいるんだ?
と思って辺りを見渡すと、遠くに砂漠と同じように灰色の街みたいなもんが見える。
とりあえずそこへ向かおうとしたら、向こうから人影が近付いて来た。
早速敵か?
その人影は弓を背負った人間の男だった。顔を確認できる距離からも、弓を構えることなく更に近付いてくる。
こちらは警戒心は表に出さず、両手はダラリと下に垂らしながらもいつでも攻撃・防御双方に即座に移れる自然体の構えだ。
>「こんなところで何やってるんだ?
戦えそうな格好だし、あんたも泉が目当てかい?んなら、オレと一緒だな」
男は表面上はこちらを警戒する様子もなく、親しげに話しかけてきた。
「...いや、なんつーか、道に迷ってな。泉があるのか?」
言われて初めて、自分が冒険に出る時のフル装備でいることに気が付いた。
パン焼き道具まであるよ...
これならパンが作れるな、などと考えたら腹の虫がなった。
ああパン食いてぇな...
>「なんだ、腹減りなわけ?しょうがないな、オレのやつをちょっと分けてやるよ。ほら、食いな?」
そう言って男は自分の袋の中からパンを差し出してきた。
外で見知らぬ男が差し出してきたパンなんて普通なら警戒して食わないんだが、夢の中でまでそういうのは面倒くせーよな。ありがたくいただくことにした。
「ありがとよ」
しかし、俺の夢に出てくるパンにしちゃ美味そうに見えねーな...
一口食ってみて、やっぱり美味くない。つーか、不味い。
>「パンの代わりに一個お願いがあるんだけど、聞いてくんない?オレ、今から泉を目指すところでさ」
(こんな不味いパン食わせてお願いだと!?こね方も発酵も焼き方も何もかもが不完全のこの出来損ないで!?てめー俺を舐めてんのか!?つーかパンを舐めてんのか!?いっぺん死ぬかコラ!?)
などといった暴言の数々をパンの残りと一緒に飲み込み、笑顔を作る。
「ごっそさん。美味かったぜ。俺にできることなら協力するぜ」
パンは美味くなかったが、いや、不味かったが、それでもこいつが自分の分から分けてくれたパンだ。それだけの価値は認めなきゃならねぇ。例え不味くともだ。
>「ほら、泉の周囲ってたまに過去の遺物とか動いてんじゃん?」
「じゃん?」とか言われたって知らねーよそんなもん...。そんなことよりまともなパン食いてぇよ。
>「だから、あんたみたいに戦える相手が一緒だと心強いなって」
>「ま、無理にとは言わねーし、パン食っても返せって言わないから安心しな」
要するにPT組もうってわけか。さすが夢だけあって、ここらへんは話がわかりやすいな。夢なのにパンが不味いのは納得いかねーけどな。泉とやらに倒すべき敵がいるのか?
「いいぜ。俺はデニッシュだ。よろしくな」
二つ返事でOKして右手を差し出した。パンは不味かったけどな。
しかし長い夢だなこりゃ...
いつ覚めるんだ?
―――――――PL
こんな感じで大丈夫でしょうかね?
しかしパンを作りたくても砂漠では肝心の薪が手に入らないことに気付いてしまった...(汗)
00:30:01 ヨ太郎@デニッシュ 心をつなぐ魔剣についての見識判定 2d Dice:2D6[5,2]=7
心を繋ぐ魔剣についてデニッシュは少し聞き覚えがあった。
一つはどこかで聞いた古い昔話の中で。
人は皆心の中に世界を持っており、その世界と世界を紡ぐ剣があることを。
もしかしたら――今いるのはただの夢の中ではないのかもしれない。
* * *
どこまでも続く灰色の砂漠の中。
デニッシュは色黒の青年と出会った。
>「...いや、なんつーか、道に迷ってな。泉があるのか?」
泉を目指しているという彼に対し、デニッシュは問いかける。
「なんだ、お前......泉を知らないのか?
えっとな......砂漠を言った先に泉があるんだ。
そこの泉に溜まった水はちょっと魔力を持っててな、動力源になったりするわけ。
だから街まで持って帰れば、いいパンと交換してくれるのさ」
青年の話では砂漠を進んだ先に魔力を帯びた泉があるという。
その泉の水を持ち帰れば、何やらいいパンと交換してくれるとのことらしい。
ただそんな彼から受け取ったパンは決して美味いものではなかった。
素材や焼き方などもろもろがよくないのか味も悪いし無駄にパサついている。
>「ごっそさん。美味かったぜ。俺にできることなら協力するぜ」
しかしデニッシュは不満を出来の悪いパンと一緒に飲み込んで。
わざわざ分けてくれた彼に対しては礼を言う。
>「いいぜ。俺はデニッシュだ。よろしくな」
協力の証としてデニッシュが右手を差し出せば。
弓を持った彼も右手を差し出して握手を交わす。
「デニッシュか、オレはベーグル。
泉の方までよろしく頼むぜ」
へへ、とはにかみながら、ベーグルは自己紹介を返す。
デニッシュが同行してくれることを素直に喜んでいるようだ。
「にしてもさ、あのパンがうまく感じるくらい腹減ってたのか?
......だったらちょっと悪いことしたな、まあオレも手持ちはあんまないんだけど。
あれは街に住んでる奴に配られる最低ランクのパンだぜ。
ちゃんとしたパンや美味しいパンはそれなりの対価を払わなきゃもらえないんだ」
どうやらベーグルはデニッシュが美味しいと言ったことを素直に受け止めたらしい。
彼曰く、あのパンは一般に流通する最低ランクのパンのようだ。
「まあ最低ランクのパンとは言え、オレたちが少しでも生きていくには大切なんだけどな。
この砂漠には動物も植物もいない。
まともな食糧になるものは何もないのさ。
オレたちが生きていけるのは、中央パン工房が作っているパンがあるからこそだ。
――パン自体はどうやって作ってんのか、詳しくは知らねえけどな。
泉の魔法の水を欲しがってたりするし、魔法の道具でもあるんだろ」
だけどそんな不味いパンでもこの不毛の砂漠で生きていくには大切らしい。
確かに見渡しても植物や動物の姿を全く感じない。
灰色の空と灰色の砂がどこまでも続いていくこの世界。
たとえ不味くても、今日を生き延びるための貴重な糧なのだ。
「まあ......こんな場所で長話してても始まんねえか。
さっさと泉まで行こうぜ、腹が減って動けなくなる前にさ。
ただたまにうろついてる遺物には注意な、見境なく襲ってくるし」
砂漠は不思議と熱くも寒くもない。
現実の世界とは違うからだろうか。
斥候の技術も持つデニッシュが探索しながら進めば。
砂漠の中で何か見つけるものがあるかもしれない。
もしかしたら逆に何かに見つけられてしまうかもしれないが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
【NPC:男性】に【ベーグル】を登録しておきます。
見識判定の結果は最初の部分に書いておきました。
また【分類:地名】に【中央パン工房】を登録しておきます。
ベーグルから幾つか話を聞いたあと、砂漠に進むことができます。
デニッシュは探索判定を一つ振っておいてください。
目標値は不明ですが、高ければ高いほどよい結果となることでしょう。
他にも何かあればご自由にお書きください。
>「なんだ、お前......泉を知らないのか?
えっとな......砂漠を言った先に泉があるんだ。
そこの泉に溜まった水はちょっと魔力を持っててな、動力源になったりするわけ。
だから街まで持って帰れば、いいパンと交換してくれるのさ」
これがいいパンだってのか!?
>「デニッシュか、オレはベーグル。
泉の方までよろしく頼むぜ」
こんな最悪なパンのためにわざわざ泉になんていく気にならねーよ...
と思っていたら、
>「にしてもさ、あのパンがうまく感じるくらい腹減ってたのか?
......だったらちょっと悪いことしたな、まあオレも手持ちはあんまないんだけど」
どういう意味だ?
>「あれは街に住んでる奴に配られる最低ランクのパンだぜ。
ちゃんとしたパンや美味しいパンはそれなりの対価を払わなきゃもらえないんだ」
なんだとコノヤロウ...
反射的にベーグルの顔面をぶん殴りそうになるのをなんとか堪えた。
こいつはそんな最低ランクのパンしか持ってなかった状態から俺に分けてくれたんだ。怒るのは筋違いだ。落ち着け...落ち着け...
>「まあ最低ランクのパンとは言え、オレたちが少しでも生きていくには大切なんだけどな。
この砂漠には動物も植物もいない。
まともな食糧になるものは何もないのさ」
お前らなんでそんなとこにわざわざ住んでるんだよ...
つーか、動物も植物も無いって、肉も野菜も無しでパンだけで生きていけるわけねーだろ。
夢やお伽噺にありがちな適当な世界設定だな。
>「オレたちが生きていけるのは、中央パン工房が作っているパンがあるからこそだ。
――パン自体はどうやって作ってんのか、詳しくは知らねえけどな。
泉の魔法の水を欲しがってたりするし、魔法の道具でもあるんだろ」
魔法でパンを作る中央パン工房か...
普段の俺ならワクワクしてきそうなワードだが、この状況下だと不信感しか湧いてこねー。
他に食うものが無い環境で生命線としてのパンをちらつかせて民に過酷な労働を強いる。働きの悪い者にはくそ不味いパンのみ。
「地獄かここは...!」
流石は夢の中だ。まるでお伽噺の世界のように現実味がない。
>「まあ......こんな場所で長話してても始まんねえか。
さっさと泉まで行こうぜ、腹が減って動けなくなる前にさ。
ただたまにうろついてる遺物には注意な、見境なく襲ってくるし」
現時点での俺にとっての最優先事項は決まっていた。即ち、
『可及的速やかに美味いパンを手に入れる』
ということだ。そのために俺が取れる行動は三種類。
①泉に行って魔法の水を手に入れ、『美味いパン』とやらと交換する。
②薪か炭かそれに替わる燃料を手に入れ、自分でパンを焼く。
③中央パン工房を襲撃する。
「よし、それじゃ行くぞ」
......とりあえず①か。『植物も無い』なんて普通に考えてありえねー場所じゃ、②は望み薄だ。
③は...最後の手段として心に留めておこう。
俺は周囲に注意して歩きながら、唯一の情報源であるベーグルに色々質問した。
「それで、『遺物』ってのは何なんだ?魔道機械の類いか?」
だとしたら、ベーグルの持ってる弓矢は効果が薄いだろうな。
「この辺じゃ薪になるようなもんはねーのか?まさか火を使わないなんてことはねーよな?」
現実ならともかく、夢の中だとあり得るよな...
つーか、いい加減俺もこの状況がただの夢じゃないと薄々気付いていた。
この地獄から抜け出す為には、とにかく何らかのアクションを起こさなければ成らない。さっきの白い奴が言っていたあれだ。敵はどこだ?
――――――PL
パンの材料なら全部揃ってるのに、本来なら外でどこでも手に入る筈の物が無いという極限状況で、かなりイライラしてきております。
モンスターが出たら殺して薪にしそう...
18:17:11 ヨ太郎@デニッシュ 周囲の探索判定 2d+6 Dice:2D6[5,4]+6=15
これなら何か見つかるかも?
ベーグルから砂漠の街の現状を聞いたデニッシュは。
>「地獄かここは...!」
素直に感想を言葉に現した。
彼の言葉にベーグルはうんうんと頷いてから続ける。
「地獄か......あながち間違っていないかもしれないな。
実は街の中で誰かが死ぬと、いつの間にか死体が消えちまってるんだ。
ここが本当に地獄だとすれば......強ちそんなことが起きてもおかしくないしな」
ベーグルの言葉だと街で誰かが命を落とせば。
弔いを終える前に死者が姿を消してしまうのだという。
>「それで、『遺物』ってのは何なんだ?魔道機械の類いか?」
また出発前、ベーグルが語った遺物について尋ねると。
「遺物っていうのは、かつての文明の遺産。
正確に言えばゴーレムの類だな。
昔は魔法文明の王国があったとかいう噂だぜ。
今となっちゃ魔法なんて何もない、ただの灰色の砂漠だけどな。
ちょっとだけ便利な遺物が砂漠にあったりはするもんだが」
彼は遺物について教えてくれる。
その正体は魔動機というよりかはゴーレムに類するらしい。
尤も今ではそういった魔法の類はほとんど伝わっていないという。
あるとすれば......かって使われていた魔法の道具くらいだそうだ。
>「この辺じゃ薪になるようなもんはねーのか?まさか火を使わないなんてことはねーよな?」
パンを焼くには炎が必要だ。
デニッシュは炎を灯すのに必要な薪などがないか尋ねてみたが。
「ここは常に熱くも寒くもねえんだ、まるで空気っていうものが死んじまったみたいに止まっている。
だから暖のために炎を使うことはないし、食料がないから料理に使うこともねえ。
水も貴重だから風呂を沸かしたりもしねえし......正直火なんて使ってる奴は滅多にいねえ。
ただ炎を燃やす遺物が幾つか残っているらしくてさ、使う奴はそれを使っているみたいだ」
どうやらこの世界ではほとんど炎が使われていないらしい。
だから薪のようなものもそう簡単には見つからないだろう。
* * *
デニッシュとベーグルは泉を目指して砂漠を歩く。
視界は極めて良好。
というよりかは何もない。
熱くも寒くもなく日照りも風の動きもないのは不気味ではあるが。
ある意味では進む上で邪魔になるものがないとも言える。
異物たるゴーレムと出会うこともなく、デニッシュたちは魔法の泉までたどり着いた。
「ふぅ、無駄に体力使わずに済んだか。
パンしか食えねえんだから、なるべく体力は温存したいもんだぜ」
ベーグルは軽く伸びをしてから自ら袋の中から瓶を取り出し。
その中に魔法の水を注ぎ込んでいく。
デニッシュも水を入れる袋などがあれば、魔法の水を持ち運ぶことができるだろう。
「ん、デニッシュの足元になんか落ちてねえか?」
水を入れ終えたベーグルがデニッシュの方を見たとき。
彼はデニッシュの足元になにか落ちているのを見つけたらしい。
デニッシュが拾い上げてみれば、それはどうやら古びた箱のようだ。
側面には不思議な文様が描かれている。
「......それ、昔の文明の遺物じゃねえか?
やったな、デニッシュ。
たぶんそいつも持っていけばいいパンと交換して貰えるぜ!」
ベーグルが調べたところ、その模様が魔法文明時代のものであると気づいたらしい。
デニッシュも詳しく調べてみれば、この箱の価値がわかるだろう。
「んじゃ、いいみっけもんもしたし。
とりあえず街に帰るか!
あー、早く上手いパン食いてえなあ」
一通り水を瓶に入れ終えたベーグルは街に戻るつもりのようだ。
デニッシュも一仕事終えれば、戻るといいだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
前半部ではデニッシュの質問に回答しておきました。
後半部では魔法の泉に到着しております。
水袋など持っていれば、持ち運ぶことができるでしょう。
デニッシュの足元に落ちていた箱について宝物鑑定判定が可能です。目標値は10。
成功すればそれなりに価値がありそうなものだと判断できます。
ベーグルは用事は終わったので街まで戻るつもりなようです。
デニッシュはお好きな行動をどうぞ。
>「地獄か......あながち間違っていないかもしれないな。
実は街の中で誰かが死ぬと、いつの間にか死体が消えちまってるんだ」
まあ、夢だしな。その辺はあんまし重要じゃない。
>「異物っていうのは、かつての文明の遺産。
正確に言えばゴーレムの類だな。
昔は魔法文明の王国があったとかいう噂だぜ。
今となっちゃ魔法なんて何もない、ただの灰色の砂漠だけどな。
ちょっとだけ便利な遺物が砂漠にあったりはするもんだが」
ゴーレムか...
よく知らねーが、生き物じゃないなら食えねーことには変わりないな。
まあ、それもそれほど重要じゃない。
むしろ最も重要なのは...
>「ここは常に熱くも寒くもねえんだ、まるで空気っていうものが死んじまったみたいに止まっている。
だから暖のために炎を使うことはないし、食料がないから料理に使うこともねえ。
水も貴重だから風呂を沸かしたりもしねえし......正直火なんて使ってる奴は滅多にいねえ」
だと思ったよチクショー!!!
なんつーデタラメな世界だ!
できないとわかると、尚更パンを焼きたくてしょうがなくなってきた。
>「ただ炎を燃やす遺物が幾つか残っているらしくてさ、使う奴はそれを使っているみたいだ」
「...! そいつはどこにある!?」
それこそが最も重要だ!
泉までの道程は、拍子抜けするほどあっさり到達した。これといった障害もなく...つーか本当に文字通り何もない道程はむしろ精神を消耗させた。
なんなんだこの世界は!?
暑くも寒くもなく、危険な動物も山賊も話に聞いたゴーレムすら出ない。
「お前らなんでこんなとこに住んでんだよ...」
夢だとわかってもその理不尽に突っ込まざるを得ない。
とにかく、早く水を汲んでこんなとこはさっさとおさらばしよう。
たとえ怪しい街でも、目に優しくない灰色一色世界よりはましだ。
>「......それ、昔の文明の遺物じゃねえか?」
「...お?」
ベーグルに言われて足元を見れば、何やら紋様の入った箱が落ちていた。
>「やったな、デニッシュ。
たぶんそいつも持っていけばいいパンと交換して貰えるぜ!」
確かにこいつはなかなかの価値がありそうだ。用途はさっぱりわかんねーけどな。
>「んじゃ、いいみっけもんもしたし。
とりあえず街に帰るか!
あー、早く上手いパン食いてえなあ」
「同感だ。これでまともなパンが食えなけりゃ暴れるぞ...」
というか、俺のフラストレーションはそろそろ限界だ。
①まともなパンが食えない。
②パンが作れない。
③拳を叩き込む敵がいない。
①食欲と②創作意欲と③破壊衝動。
俺にとっての三大欲求が満たせないこの状況は、まさしく俺にとっての悪夢そのものだ。
この遺物で、パンよりも火を手に入れる方向で考えた方がいいかもな。
もしくは力ずくで火を手に入れるか?
そうすれば奇しくも①②③をまとめて満たせるな。
思考が段々物騒な方向へ進んでいる俺は、無意識に指をボキボキと鳴らしていた。
「そういや、結局パンの借りは返してなかったよなぁ?」
敵とも出会わなかったし、俺のやったことといえば、ベーグルと一緒に泉の水を汲みに行っただけだ。
クソ不味いパンとはいえ、他に食うものが無い世界での生命線を分けて貰った対価としては割に合ってない。
なら俺はベーグルに何をしてやるべきなのか?
考えるまでもない。パンの借りはパンで返す。
たとえそのパンがクソ不味かったとしてもだ。
――――――――PL
パン作りが好きなのに、日々の糧を得る手段として迷わず『冒険者』という道を選んだデニッシュは決して温厚な性格ではありません。
気に入らない奴を拳で粉砕することは、パン作りの次に大好きです(笑)
泉の水は《冒険者セット》にある水袋で汲んで、とりあえず街に着いたら美味いパンと交換してから、遺物と引き換えで火を探す方向で行動します。
「どうせ夢だから」とかなり大胆になっているので、気に入らない態度の相手には無言でグーパンを叩き込む勢いで聞き込みをします。
22:01:13 ヨ太郎@デニッシュ 宝物鑑定判定 2d+6 Dice:2D6[5,5]+6=16
22:01:46 ヨ太郎@デニッシュ 遺物の価値が分かった!
この灰色の世界では基本的に炎は使われないが。
決して例外がないわけではないとベーグルは語る。
>「...! そいつはどこにある!?」
デニッシュはその言葉を決して聞き逃さなかった。
それほどまでにパンを作りたくして仕方なかったのかもしれない。
「悪いが場所についてはオレもよく知らねえんだ。
噂で聞いたくらいだからな。
でも、中央パン工房にはあるんじゃないか?
実際にパンを作ってるわけなんだし」
残念なことに、ベーグルも炎灯す遺物については噂レベルでしか知らないという。
だが、彼の言う通り中央パン工房には存在しているのかもしれない。
少なくとも工房でパンが作られているのは事実なのだ。
* * *
デニッシュとベーグルは何事もなく泉までたどり着いた。
泉から採れる魔法の水は美味しいパンと交換してもらえるらしい。
ベーグルは今からその味に期待しているようだ。
>「同感だ。これでまともなパンが食えなけりゃ暴れるぞ...」
デニッシュもどうやらそろそろ不満が高まってきているようだ。
「まあ、まともなパンを食えることは期待していいぜ。
オレが前に交換してもらったときはちゃんといいパンと交換してくれたからな。
......あー、思い返せば涎が出そうだ」
以前ベーグルが交換してもらった時はそれなりのパンと交換してもらえたそうだ。
であるならば、多少は期待してもいいのかもしれない。
>「そういや、結局パンの借りは返してなかったよなぁ?」
デニッシュには一つ気になることがあったようだ。
パンを受け取って同行したはいいものの。
敵と戦ったわけでもなくただついてきただけになってしまったことが気になるらしい。
「ん、パンの借り?
いいぜ、そんなん別に気にしなくてさ。
このまま何事もなく帰れんならそれだけで十分だ」
ベーグルは別に気にする必要がないと言っている以上。
あとはデニッシュ側の気持ちの問題だろうか。
* * *
二人は灰色の砂漠を抜け、街の中へとやってきた。
街に人通りはほとんどない。
皆家の中に篭ってしまっているのだろう。
体力を補うためのものがパンしかないから仕方がないのだろうか。
「寂しい街だろ?
でも、オレたちはここから出られない。
あの砂漠を越えようとした奴らは何人もいたが全員断念したんだ。
冗談抜きでどこまでも続いているらしいぜ」
ベーグル自体もこの街は寂しい街だと考えている。
ただそれでも、彼らはこの街から出ることができないのだ。
「あれが......中央パン工房だ」
街の中心を目指していくと、大きなドーム状の建物が現れる。
外観だけだと何の建物かはよくわからないが......あれこそが中央パン工房であるらしい。
正面側にはカウンターらしきところがある。
あそこでパンの交換と配給を行っているのだろう。
「とっとと交換しに行こうぜ。
早く旨えパン食いたいしさ」
ベーグルに急かされるままカウンターに向かえば。
魔法の水はシンプルなロールパンと、砂糖をふんだんに使ったパン。
更にはチーズの練りこまれたパンの三つと交換できた。
拾ってきた魔法の箱は、野菜やハムの挟まれたサンドイッチと交換できる。
動植物は全滅したとの話ではあるのだが、工房内では野菜や肉類を使用できるようだ。
「焼きたてのいいパンの香りだな。
これだから泉の水を諦められないんだ。
せっかくだし、どっか適当な場所で食っていこうぜ」
ベーグルもカウンターでパンを受け取ってホクホクとした顔だ。
早速パンを食べないか、とデニッシュに対して提案してくる。
勿論デニッシュはベーグルの誘いに乗るのもいいだろう。
だが、デニッシュは工房の奥へと宙を滑る存在があることにも気づいていた。
それは夢の始まりに見た白い光を反転させたような黒い少年の形の影。
あれこそが、デニッシュにとって倒すべき敵なのだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
デニッシュルート進行です。
デニッシュたちは街に戻ってきて工房でパンと交換して貰えます。
デニッシュは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・黒い少年の影を追いかける
・黒い少年の影を追いかけない(ベーグルとパンを食べに行く)
他にも何かあればご自由に行動ください(*´∀`*)
>「悪いが場所についてはオレもよく知らねえんだ。
噂で聞いたくらいだからな。
でも、中央パン工房にはあるんじゃないか?
実際にパンを作ってるわけなんだし」
結局は中央パン工房か...
襲撃は冗談としても、マジで忍び込んでみるか?
>「ん、パンの借り?
いいぜ、そんなん別に気にしなくてさ。
このまま何事もなく帰れんならそれだけで十分だ」
なんつーお人好しだ...
「そんな調子だと、他人にいいように食い物にされるだけだぞ」
こんな荒んだ世界でそういう良識は邪魔でしかない。ベーグルが長生きできるとは思えねーな。
俺か?俺はいいんだよ。 強いからな。こうなりゃ何がなんでもパンを焼いて食わせてやる!
そうしているうちに灰色の街に着いた。
まあ、予想はしていたが、案の定活気の無い街だ。
>「寂しい街だろ?
でも、オレたちはここから出られない。
あの砂漠を越えようとした奴らは何人もいたが全員断念したんだ。
冗談抜きでどこまでも続いているらしいぜ」
まさしく悪夢の世界だな。
こういうのは、逃げるんじゃなく立ち向かわなければ話が進まないもんだ。
そしてついに件の中央パン工房に到着した。
ベーグルに急かされながらカウンターに向かいながらも、周囲にさりげなく視線を巡らせ内部の様子を探る。
警備兵らしき奴の姿は見当たらない。
忍び込むだけならできそうか?
などと考えながら、カウンターで水をパン3つと交換した。
その場でロールパンを一口食べてみる。
「美味ぇ...」
悔しいが美味い。超一流とまではいかないが、俺でもこれだけの味はいつでも出せるとは思えない。
しかしこれで確信した。
ここにはパンを焼くための火がある!
>「焼きたてのいいパンの香りだな。
これだから泉の水を諦められないんだ。
せっかくだし、どっか適当な場所で食っていこうぜ」
ベーグルはパンを手に入れてご満悦のようだが、俺にとってはこれからがスタートだ。
どうやって工房内部に忍び込もうかと考えていた矢先のことだった。
「...悪りぃ、ちと野暮用ができたわ」
残ったパンの袋をベーグルに押し付け、俺は迷わず駆け出した。
工房の奥に滑るように向かう黒い影を見かけた瞬間に、俺は既に行動を決めていた。
驚いて立ち竦む?こっそり後を尾行して様子を見る?
アホぬかしてんじゃねー
敵(っぽい奴)が手の届く距離に現れたんなら、やることは一つだろ。
雄叫びをあげるなんてこともせず、無言で一直線に進んで距離を詰める。呼吸法で両の腕と目に気を巡らせ、今の俺の最大限の攻撃を黒い奴に叩き込んだ!
――――――――――PL
セージ技能持ってないんで相手の回避値がわかりません...
一発目が命中したかもわかんないんで、描写できるのがここまでとなります。
20:45:14 ヨ太郎@デニッシュ 《マッスルベアー》&《キャッツアイ》使用。MP12→6
20:46:10 ヨ太郎@デニッシュ 黒い影との距離を詰めて《全力攻撃》×3
20:47:49 ヨ太郎@デニッシュ 1回目命中判定 2d+10 Dice:2D6[5,3]+10=18
20:48:03 ヨ太郎@デニッシュ 命中しましたか?