3-籠の外の小鳥
――ことのはじまりはティキが妖精からある話を聞いたことであった。
内容は簡潔に言うと......こうだ。
妖精ネットワークで聞いた話によるとテンペストが最近暇らしい。
なので面白い土産話を要求しているとのことだ。
別に大きな事件ではないのだが......。
ティキには翼の王国から帰ってから特に重要な仕事はなかった。
そこで同じくテンペストと邂逅したことがある仲間であるヴェンデルベルトと共に、
久方ぶりにコンチェルティアの街を訪れたのであった。
別にすぐに森を訪れても良いのだが。
約束しているわけではないし、急ぎの要件でもない。
よって二人は一度街で休んでから森へ尋ねることとした。
休むと決めたからには重要となるのは宿探しである。
どこか泊まれる場所はないかと久々の景色を眺めながら歩いていた二人がたどり着いたのが......。
5番街の中央部にある小さな公園であった。
* * *
お昼前の公園は静かであった。
晴れた朝ののんびりとした住宅街。
まだ住民たちは家でゆっくりしているのだろうか。
ティキとヴェンデルベルトが街並みを過ぎ去ろうとしていたその頃。
公園に向かって走ってくる二つの影が見えた。
前を走っているのは明るい茶色の髪をした女の子。
その後を追っかけているのは女の子より少し背が小さい銀色の髪をした少年だ。
「お、おい......!
待てってば、なあ......アイリ!」
息を切らせながら少年は少女に向かって声をかける。
アイリと呼ばれた彼女は一旦止まって振り返る。
雰囲気からしてどうやら銀髪の男の子に対して怒っているようだ。
「ねえ、ついて来ないでくれる?
アポロのことなんてもう知らないんだから!
はあ......ほんと信じられない。
もうアポロとは絶交よ!」
そういえばこのアポロという少年にはほんの少しだけ見覚えがある気がする。
あの日テンペストと出会ったあとに飛ばされていった先にいた少年だ。
彼の名前も確かアポロなどと呼ばれていたような気がする。
「だから、ごめんって言ってるじゃんか!
これからあいつのこと探すつもりなんだろ?
おれも手伝うからさ、頼むよ、許してくれよー!」
結構激しく当たられているアポロは少し泣きそうな表情になっていた。
けれどアイリの気持ちは収まらない。
「悪いと思っているならわたしの邪魔しないで!
わたし、本当に怒ってるんだからね......!
アポロは一人で遊んでなさいよ、それじゃあバイバイ!」
もうちょっとだけアポロに当たり散らしてからアイリは5番街の向こうへと走り去った。
公園に残されたのはがくっと頭を下げたかわいそうなアポロだけである。
「なんだよ、アイリのやつ。
おれが悪いのもわかってるけどさ。
許してくれたっていいんじゃんかよ......ん?」
ちょっと顔を上げたところで、アポロはティキとヴェンデルベルトに気づいたらしい。
「どっかで見たことあるよーな......ま、いっか。
はあ......どうしたら許してくれるのかなあ」
アポロはほんの一瞬だけ二人のことを気に留めたようであるが。
すぐにまた落ち込み始めてしまった。
アポロの方も二人についてよく知らないのだろう。
例えばティキとヴェンデルベルトが困ったときの助けになる冒険者であることも。
――尤も冒険者の側にも助けるか助けないかの選択の余地はあるのだが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
こちらティキとヴェンデルベルト用のルートです。
二人の投稿はこちらのカテゴリにお願い致します。
【NPC:女性】に【テンペスト】を登録しておきます。
二人はテンペストの暇つぶしに付き合うという名目でコンチェルティアを訪れています。
テンペストはおそらく本筋には絡みませんが......。
希望があればエンディングやその他にちょっとだけ出てくるかもしれません。
【NPC:男性】に【アポロ・カリス】を
【NPC:女性】に【アイリ・ネイヴァー】を登録しておきます。
お二人は次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の3つです。
・アポロに話しかける
・アイリを追いかける
・二人とも無視していく
他にも何かございましたらお好きにどうぞ!
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カテゴリ『3-籠の外の小鳥』にチェックを入れて投稿してください
最近、朝の支度にちょっとしたことが加わった。
ベッドサイドテーブルに置いてあるカード。ミスティックカードと呼ばれるそれを1枚めくる、そういう動作だ。
ちょっとした縁があって身に付けたそれは、今日のラッキーカラーを占う、という単純かつ曖昧なもの。
知識の信徒たる私には似つかわしくないような、けれど何かがしっくりくるような。
知らないことを知る、という点では、どちらも同じか、と思っているそれに従って、私は今日付けるスカーフ留めを決めたのだった。
◇ ◇ ◇
「テンペストが暇。はぁ、そうですか」
ティキから聞かされたのは、以前あったことのある風の大妖精の話だった。
面白い土産話を、と言われても得には思いつかず、ティキととりあえず、とばかりにコンテェルティアに向かうことになった。
「一度街へ行きましょうか。急ぎでもないことですし」
何せ、話す話のタネがない。それに前回この街をちゃんと観光もしていない。正式な依頼ではないのだから、これくらいの寄り道は許されるだろう。
泊まるところを探して、5番街と書かれた通りを進み、小さな公園に着いた時だった。
「お、おい......!
待てってば、なあ......アイリ!」
子供特有の高い声にそちらを向けば、どこかで見たような少年が走っていた。どうやらその前を走る少女を追いかけているところのようだ。
子供の喧嘩だろうか?何となしに見守っていると、少女は何かを探しており、そのことで少年に憤っているようだった。
アポロ、と呼ばれた少年と、アイリ、と呼ばれた少女。
はてさて。これはもしや何かしらの話のタネになるのではないだろうか。
物語はこうして、一見何のことは無い日常の風景から始まったりするのかもしれない。
私は一度ティキを見上げ。
「アポロ君、ですよね。こんにちは。
お元気そうで何より、と言いたい所ですが何かお困りのようですね?探し物ですか?
良かったら、話してみませんか」
そう、話しかけてみたのだった。
______________________________
PL柑橘
行動選択は
・アポロに話しかける
で!
あと本日のラッキーカラーに従ってスカーフ止めの色を決めます!洒落者お爺ちゃん!(U`・ω・´)シャキーン
00:42:04 ヴェンデルベルト@かんきつ 本日の占い 2d+5+2
Dice:2D6[5,1]+5+2=13
代償MP3-1(MP26)
《テンペストが?》
《そう。ヒマなんだと》
鑿の手を止めたのは、以前会った大妖精の名を聞いたからだ。
私の問いに答えたのはサラマンダー。蜥蜴の姿をした火妖精だ。私の家の土間で、腹を地面にぺったりとくっつけて休んでいる。
私は上がり框に腰かけて、指物づくりに勤しんでいた。
《彼女は基本的に暇なんじゃなかったかな。どこで聞いた?》
《この前、イフリートから。イフリートは遺跡の同族から、その同族は別の妖精から。大元は知らない。―ところで》
サラマンダーはだるそうに体を伸ばし、そばに置いてある木材を見て言う。
《燃やしていい?》
《駄目。そのまま寝そべっててくれ》
不服そうにさらに脱力して、平べったい頭も床につけた。それでも目を離さない木材は、この間の大雨で湿気てしまっていたものだ。彼の体から発する熱気は、乾かすのに丁度いい。"燃やしたがり"な種族の性が面倒だが。
「久しぶりだが、会いに行ってみるか。最近、私も暇を持て余していたからな......あの時一緒にいた面子にも声かけてみよう」
仕事道具を片して立ち上がり、木くずをまとめてかまどへ放り込む。サラマンダーは待ってましたとばかりに景気よく火の息を吹きかけ、それらをみんな消し炭にしてしまった。
* * *
「とりあえず荷物を置きたいですね。武器と鎧と、大きめの荷物位は。あと着替えたい」
コンチェルティアの五番街。まだ人通りはあまりなく、澄んだ空気に満ちている。街を抜けようと歩いていくと、向こうから男の子に追いかけられて、女の子がかけてくる。
その言い争いを聞く限り、どうやらアポロというらしい男の子が、このアイリという子を怒らせてしまったらしい。
>「悪いと思っているならわたしの邪魔しないで!
わたし、本当に怒ってるんだからね......!
アポロは一人で遊んでなさいよ、それじゃあバイバイ!」
言いたいことを言うと、きびすを返して向うへ走って行った。取り残されたアポロは、うなだれてぶつぶつと不満を漏らし、それからこちらに気づいた。
>「どっかで見たことあるよーな......ま、いっか。
はあ......どうしたら許してくれるのかなあ」
この顔、私の方にも見覚えがあった。前回この街に飛ばされて来たとき、会ったような気がする。名前はお互い名乗ってすらいない。むしろ、よく顔だけでも覚えていたものだ。
何にせよこの時点で、私はどうするか決めた。諦めるのでなければ、力くらい貸してもやろう。ヴェンさんも、そのように思ったのだろうか。近寄って、声をかけていた。
>「アポロ君、ですよね。こんにちは。
お元気そうで何より、と言いたい所ですが何かお困りのようですね?探し物ですか?
良かったら、話してみませんか」
私もそれにならい、声をかける。
「聞いてきてやろうか?」
アイリはどんどん遠くへ走って行く。私の足なら追い付けるだろうが、自己紹介している暇はないだろう。どこで会ったか、これだけいえばわかるだろうか。
「紫紺の竜の背に乗っていた者だよ。―ヴェンさん、これ任せます」
赤の槍―「ビーク・バーガンディ」。それから土産などの入った大袋を地面に置いた。
こつこつとつま先を地面にぶつけ、肩をぐっと伸ばす。
ごく軽く体をほぐしたのち、全速力で駆けだした。
PL
まずはGMあんみつさん、それにPLの皆様、よろしくお願いします。一葉さんはセッションでご一緒するのは今回初めてなので、その点もとても楽しみにしています!
私の行動は、アイリを追いかける を選択します。
土産を持ってきているのでエンディングでテンペストにちょっとだけでも会いたいですね。
ヴェンデルベルトは今日の運勢を占った。
果たして彼を導くのはいったいどのようなものか。
カードをめくり、結果を導き出そうと試みた。
だが、結果は残念ながらやや曖昧なものだった。
白か灰か......色味が薄いものがいいのかとなんとなく感じるくらいである。
* * *
そんなヴェンデルベルトとティキがコンチェルティアの公園で出会ったのは。
アポロという少年とアイリという少女である。
アイリは怒っている様子で向こうへ走ってしまい。
公園の真ん中でアポロはうなだれているというところだ。
>「アポロ君、ですよね。こんにちは。
> お元気そうで何より、と言いたい所ですが何かお困りのようですね?探し物ですか?
> 良かったら、話してみませんか」
まずヴェンデルベルトがアポロに話しかけた。
「おれのこと知ってるってことは――やっぱどっかで見たことあったんだ。
もしかしてフィンと知り合い?」
ヴェンデルベルトの方へ力なくアポロは顔を向ける。
どうやら彼はフィンのことはよく覚えているらしい。
こんなことを尋ねるのはヴェンデルベルトと彼が同族であるからだろう。
そういえばフィンはあの場所にもいた。
前回の際にそれなりに関わっているのかもしれない。
>「紫紺の竜の背に乗っていた者だよ。―ヴェンさん、これ任せます」
一方のティキは荷物をヴェンデルベルトに預け、この場を去っていく。
どうやらアイリを追いかけてみるつもりなようだ。
――そういうわけで公園に残されたのはアポロとヴェンデルベルトである。
「な、なあ......」
走っていくティキの姿をぼんやりと見つめていたアポロだったが。
今度はヴェンデルベルトの方に視線を戻し、ぼそっと話しだした。
「話、聞いてくれるの?」
顔を上げたアポロの目は若干泣きそうであった。
下を向いたりバツが悪そうにしているのも恥ずかしいと思っているからであろう。
「さっき走っていったの......アイリって言うんだけど。
おれの隣に住んでて仲良くしてたつもりなんだ。
――もう嫌われちったかもしんないけどさ」
アポロとアイリはこの5番街のお隣さんなようだ。
彼の言葉からすると、本来は仲がいい二人であるようだが。
どうして今回のようにこじれてしまったのか聞いてみると。
「アイリ、白い鳥を籠に入れて飼ってたんだ。
よくおれと遊んでるときもその鳥の話しててさ、大事にしてるんだなーって思ってんだ。
でも、今日の朝おれがアイリの家に行った時......ちょっと事故で籠の扉を開けちゃったんだ。
そしたらアイリの鳥がびっくりするくらい勢いよく飛んでって......。
それをアイリが見てておれに言ったんだ。
おれが逃がした......最悪で大嫌いだってさ。
――おれ、そんなことするつもりなかったのに」
どうやらアポロがアイリの飼っていた小鳥を誤って逃がしたのが原因らしい。
大切に育てていた相手が逃げ出してしまったアイリの気持ちを察するのも容易だが。
アポロはアポロで自分がやってしまったことに深く傷ついているように見えた。
「おれさ、アイリに見つけるから許してって言ったんだ。
でも見つかるはずないよな。
だって鳥なんて空を飛べちゃうんだから。
......おれ、もうアイリに許してもらえないのかな」
またアポロは俯いてしまう。
どこからどう見ても泣きそうだ。
* * *
一方アイリを追いかけていったティキは5番街を少し抜けたところでその姿を発見できる。
劇場やホールらしき建物の姿が散見される。
4番街の方へと到着したのだ。
彼女は何かの姿を探すかのように空を見上げ。
途中で思い出したかのように地面の様子を伺い。
がっかりしながらまた空を見上げる。
そんなプロセスを何回か繰り返した後。
大きくため息をついてアイリはある劇場傍のベンチに腰掛ける。
「まあ、見つかるわけないよね。
かわいかったのになあ......わたしのシュガー」
ベンチに座りながらアイリは足をぶらぶらとさせる。
たぶん気持ちが収まらないのであろう。
「はあ......本当信じられない馬鹿アポロ!
なんてことしてくれるのよ。
わたしが大事にしてるって知ってたはずなのに。
ああ、もう絶対一緒に遊んであげないんだから......!」
そしてぷりぷりと頬を膨らまなせながらアポロに対しての不満を口に出している。
「でも......ちょっとかわいそうなことしたかなあ。
なんか泣きそうになってたし......」
ただ、一瞬だけ後ろめたそうな顔になる。
どちらかというと彼女は優しいタイプなんだろう。
「ううん、違うわ。
全部アポロが悪いんじゃない。
もうあんなわんぱく馬鹿なんて知らないわ!」
アイリは特にティキに対して、気を留めないようだ。
まあアポロとは違ってアイリに対しては全く面識がないのだから仕方がないか。
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あんみつ@GMより
ヴェンデルベルトとティキそれぞれのルート進行です。
ミスティックは自分を占う場合は-4のペナルティを受けるため、
【幸運の星の導きを知る】の達成値は9になり、ぎりぎりわからないんですよね。
ただせっかくなので、色味が薄いものがおすすめらしいよ、とおまけでなんとなくわかることにします。
ヴェンデルベルトはアポロに対して、
ティキはアイリに対してアクションを起こすことができます。
どうするかは基本的にお好きにどうぞ。
ただアポロは若干ヴェンデルベルトの顔を覚えていたのに対し、
アイリはまったくティキのことは知りません、というところですね。
少年は力なくうなだれたまま、こちらへ顔を向ける。
「おれのこと知ってるってことは――やっぱどっかで見たことあったんだ。
もしかしてフィンと知り合い?」
その言葉にしかりと頷いてやりながら、地面に置かれた槍と荷物を持ち上げた。
良かった。少女の方にはティキが行ってくれるようだ。
任せる、と返事を聞かずに駆けて行った後ろ姿を見送って、大切な槍を託されたことにくすぐったくなりながら。
「な、なあ......
話、聞いてくれるの?」
「えぇ、勿論。
さ、まずは立ち上がってください。あちらのベンチへ行きましょう?」
近づいて、立ち上がるのに手を貸し、ハンカチを差し出してベンチへ誘う。
へこんでいる人間に威圧感を与えない自分の容姿が、こういう時には役に立った。
アイリと言う少女のこと。
彼女の飼っている小鳥を事故で逃がしてしまったこと。
「おれさ、アイリに見つけるから許してって言ったんだ。
でも見つかるはずないよな。
だって鳥なんて空を飛べちゃうんだから。
......おれ、もうアイリに許してもらえないのかな」
泣き出しそうなその声に、ぽんぽんと背中を叩きながら、私は口を開く。
「そうですねぇ。このままこうしているだけでは、許して貰えないでしょうね」
俯いたその顔を覗き込んで、私はひどいことを言った。けれどおそらく真実である。
「ねぇ、アポロ君。君はアイリ嬢に言ったんでしょう?
『見つけるから許してほしい』と。それなのに何故諦めているんです?
鳥が空を飛ぶから?だから見つけられるはずがないと努力すらせずに?
やる前から諦めている人を、どうして許せると言うのですか?」
ぽんぽん、と一定のリズムで背中を叩きながら、私は続けた。
「その小鳥、どんな種類の小鳥でしたか。
鳥は種族によって生態が違いますから、それが分かれば行先もある程度絞れます。
もしかしたら、その小鳥を見かけた人がいるかもしれません。
特徴を書いた紙を用意して、人通りの多いお店に配って歩けば、誰かが見つけて連絡してくれるかもしれません。
木々の多い公園の管理人に、こんな小鳥が来たら教えてください、と頼みに行くのも良いでしょう。
門番さんにもお願いしたら、この街から出て行ったかどうかが分かるかもしれません。
小鳥が家の場所を覚えていて、戻ってくるかもしれませんから、ご近所の方が保護してくれているかもしれません」
観賞用の鳥は遠くへ飛んで逃げられないように風切り羽根を切られていることもあると聞く。ならば、見つけられる可能性は0ではない。
ぽん、ぽん、と柔らかく。
「ここでうなだれて泣いているより、やるべきことがあると思いませんか?」
ね、今なら暇人のタビットがお手伝いしますよ、と。
「アポロ君。君はどうしたいですか?」
そう、私は彼の背中に手を置いて、尋ねたのだった。
______________________________
ミスティックの-4素で忘れてましたΣ(U*´ω`)
ではお爺ちゃんの今日のスカーフ留めはムーンストーン(白)ですね!
と言うわけで今後の行動としては
・アポロ君がどうしたいか聞く
で、小鳥を探すことになったら
・アポロ君に鳥の特徴を聞く。知らなかったらアンリちゃんちに行って特徴聞いてくる。
・↑を白紙の本に書く(ビラ作り)
・ご近所、商店街、公園、門番さんなどにお願いしに行く
な、感じで!でも主体はあくまでアポロ君で!
「......いた」
五番街を抜けた先、アイリは四番街で見つかった。
彼女は何か探しているかのように視線を動かすが、その目線はほとんどが何もない空。うなだれてはまた空を見上げ、ついにベンチに腰掛けた。
>「まあ、見つかるわけないよね。
かわいかったのになあ......わたしのシュガー」
その後も彼女はアポロへの恨み言を口にし、後悔したりまた怒ったり、どうにも気分のいい様子には見えない。
シュガー......というのはペットか何か、だろうか。そうと考えれば、なんとなく事の顛末が見えた気がする。
ふうっと息をついて、歩いてアイリに近寄った。
「何か探し物?」
声をかけるのと一緒に、アイリの正面にすとんと腰を落とす。
「ごめんね、今の独り言が聞こえちゃったから。それにあんな顔で走って行くもんだから、どうしてもほっとけなくて」
落ち着いて話せるよう、努めて優しい声でゆっくり話す。
「私、ティキ。ちょっと観光みたいなもので、この街に来てるんだ。本職は冒険者だから、何か力になれるかもしれないよ。―名前、なんていうの?」
そう言って、にっこり笑う。
こういうのはあんまり似合わないかもしれないが。
この子は優しく、強い子だ。自分の怒っている相手でも気遣ってあげられる。
そして、強い子には力になってあげたいのだ、私は。
PL
まずはお互いまだ何にもわかってないので、まず自己紹介から。名前は
いきなり隣に座って話しかけたら怖いよねってんで下からの目線。事情を話してもらって、何をするかはそれからですね。まず仲良くなんないと。
>「えぇ、勿論。
> さ、まずは立ち上がってください。あちらのベンチへ行きましょう?」
話を聞いてくれるのか、と尋ねるアポロに対し。
ヴェンデルベルトはそっとハンカチを差し出しながら彼をベンチの方まで導いた。
「あ、ありがと......」
アポロは軽く目をハンカチで拭ってから、ベンチの方まで向かっていく。
* * *
ベンチに座って泣き言を言うアポロ。
>「そうですねぇ。このままこうしているだけでは、許して貰えないでしょうね」
そんな彼に対してヴェンデルベルトがかけた一言は決して優しいものではなかった。
俯いていたアポロは傷ついた顔をしてヴェンデルベルトの顔を見上げる。
その瞳は――真っ赤だ。
だが、傷つけて終わりのヴェンデルベルトでは勿論ない。
だって彼は小さいタビットの体ではあるが......立派な紳士なのだ。
アポロの背を優しく叩きながら彼は言う。
まずは動かない者が決して許されるはずがないということ。
次に鳥の特徴について......これはもし探すならきっと必要になる。
――そして最後に決めの一言。
>「アポロ君。君はどうしたいですか?」
大事なのは、アポロ自身が動くかどうかである。
彼の出した答えとは......。
「おれ、やっぱりアイリの鳥を見つけたい。
だって......アイリに許してもらいたいもん」
彼の気持ちは固まったようだ。
「えっと、アイリの飼っていた小鳥についてだっけ。
白い鳥だよ、種類は分かんないや。
雲みたいに真っ白なんだ。
目は黒くて、くちばしの先だけほんのちょっと赤いんだ。
かしこいやつでさ、アイリがえさをあげる時間はちゃんとわかってるんだ。
すっごく懐いててさ......なんでいなくなっちゃったんだろ」
アポロからアイリの飼っていた鳥について少し聞くことができる。
ヴェンデルベルトの知識の中に該当する鳥の種類は見つかっただろうか。
類似した特徴を持つ種にスノウホワイトというものがいる。
フェンディル地方の森に主に生息しているという鳥だ。
その名はある物語のヒロインから取られており、懐きやすいが臆病な性格をしているらしい。
「とりあえずおれにできることがあるならやる。
やるったら、やるぞ!」
アポロはすっかりやる気を出したようだ。
もう泣くつもりはないだろう。
さて、果たして鳥はどこへ行ってしまったのか。
近場を探してみるか、遠くへ行ってみるか。
正解はどれであろうか。
* * *
一方、ティキは4番街でベンチに腰掛けているアイリに話しかける。
>「何か探し物?」
突然やってきたティキにアイリは少しびっくりしたようだ。
まんまるくその目を開いている。
ティキはというと、そのままアイリの隣に腰掛ける。
>「ごめんね、今の独り言が聞こえちゃったから。それにあんな顔で走って行くもんだから、どうしてもほっとけなくて」
アイリはびっくりしたようだが、ティキが女性であるからか......。
それほどの抵抗感は抱いていなようだ。
「あ、あなたは......誰ですか?」
ただ、見知らぬ相手の正体を知ろうとしただけ。
>「私、ティキ。ちょっと観光みたいなもので、この街に来てるんだ。本職は冒険者だから、何か力になれるかもしれないよ。―名前、なんていうの?」
その問いに答えるかのようにティキは自らの名を明かし、そして彼女の名を尋ねる。
「わたしですか?
アイリ・ネイヴァーといいます。
はじめまして、ティキさん」
さっきまでぷんぷん怒っていた時の顔はどこへやら。
とても礼儀正しくまっすぐティキの顔を見つめながらアイリも応える。
どうやら少しマセた子なのかもしれない。
「探し物は、ほんのちょっとだけしていました。
でも、もういいんです。
なくしちゃったものにばっか構ってても時間の無駄だもの」
アイリは確かに探し物をしていたらしいが。
もう諦めてしまっているようだ。
でもちょっとだけ、気持ち的には落ち着いてはいないようだ。
だからアイリはティキにこんなことを頼むことにした。
「でも、ちょっとだけ寂しくて悲しくて怒っているんです。
ティキさんって冒険者さんなんですよね。
ちゃんとしたお礼はできないけど頼みがあるんですけど......いいですか?」
アイリは冒険者だと聞いたティキに対して一つ頼み事をする。
その内容は......。
「もしよければ、わたしとデートしてくれませんか?
一人だとなんだかムカムカするし......かといって今は家に帰りたくないんです。
ティキさんが観光をするのならそれにお付き合いしますし。
その......どうですか?」
なんとこのコンチェルティアでデートして欲しいというものだった。
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あんみつ@GMより
ヴェンデルベルトとティキそれぞれのルート進行です。
次回から内容が大きく分かれるのでカテゴリを分割しようかと思います。
アポロはヴェンデルベルトとアイリの鳥を探すつもりのようです。
【分類:生物】に【スノウホワイト】を登録しておきます。
見識判定で14以上を出せば、その鳥について知っています。
ティキはアイリにデートという名の気晴らしに誘われました。
ヴェンデルベルトがアポロを手伝う場合、
またティキがアイリの気晴らしに付き合う場合は、
【分類:コンチェルティア】にある各箇所から、
いきたいところ、調べたいところをピックアップしてください。
勿論現在の場所でやりたいことがある場合は移動しなくても構いません。
他にも何かございましたらお好きにどうぞ(*´∀`*)
>「わたしですか?
アイリ・ネイヴァーといいます。
はじめまして、ティキさん」
名を問うた私に対して、アイリは随分しっかりとした態度で返答をした。育ちがいいのか大人びているのかー
>「探し物は、ほんのちょっとだけしていました。
でも、もういいんです。
なくしちゃったものにばっか構ってても時間の無駄だもの」
いや、どちらかというとませている子らしい。
何というのか、大人らしい言動を意識しているというか......本当なら、もう少しはわがまま言ってふてくされているような年に見えるけれど。
アイリはその後もしっかりとした態度で頼み事をしてきた。しかし、その頼み事というのが......
>「もしよければ、わたしとデートしてくれませんか?
一人だとなんだかムカムカするし......かといって今は家に帰りたくないんです。
ティキさんが観光をするのならそれにお付き合いしますし。
その......どうですか?」
「はあっ!?」
デートと言う単語があんまり突飛だったもので、思わず声をあげてしまったが。要は、気晴らしに付き合ってほしいというのだ。
くっくっと笑いが出てくる。
かわいいものだね、何だか。それを何とか抑えながら、その頼みごとを了承した。なにもお礼できないといったって、別に何かとるつもりもない。
「こんな可愛い子とデートできるんだから、私もお洒落しなくちゃね。ちょっとここで待っててもらえる?戻って着替えて、お財布も取ってくるから」
ベンチから立ち上がって、アイリの頭をぽんぽんと撫でた。
* * *
広場へ戻ってくると、ヴェンさんとアポロの二人は少し移動してベンチにいた。私はそこへ駆けて行って、アイリが何と言っていたかを伝えた。
「―それでアイリからデートに誘われてしまいましたよ、気分転換がしたいみたいです。本当はまだ、シュガーのことは諦めきれていないと思うんだけれど......」
「アポロ、アイリは君に怒りすぎたかもしれないと言っていたよ。本気で気持ちを示せば、きっと許してくれるさ」
それを伝えてからは預けていた荷物を受け取って、最寄りの宿に荷物を預けてくることと、観光に並行してこちらでも鳥を探す旨を伝え、その場を立ち去った。
***
「アイリ、お待たせ。どう?」
アイリの元には、持ち物は背負い袋一つという身軽な恰好で戻った。宿には槍や盾や鎧を預け、所持金は全部持ち歩くことにした。他にはお菓子や、一応スカウトツールにナイフ、救命草など。
今着ているのは持って来ていた着替え。華美なものではないが、それなりにしっかりとしたいい生地のものだ。というか華美な宝石飾りに大きな石のイヤリングもしているのだからこれで十分だろう。
とりあえず私は、行ってみたい場所を挙げてみることにした。そして、いなくなった鳥についても触れてみる。
「こう見えて、私は指物作りなんかやるんだよ。だから木工細工や彫刻なんかがたくさんあるところとか、あと絵画なんかも見られるところに案内して欲しいな」
「それとシュガーについてだけど、一応特徴なんかも私に教えておいて。もしかしたら、偶然目に入ることもあるかもしれないよ」
そう言って、私は宝石飾りを手に取った。探し物なら、幸運を借りておくといいだろう。
「それに、私には心強い味方がいるからね。―見てて」
宝石飾りの翡翠に指をあて、合言葉を唱える。「門」が開かれ、ふわりとした優しい風とともに妖精が姿を現した。「久しぶり」と声をかけると、小さな声で「ひさしぶり」と返してくれた。
「これ、エコー。ちょっと引っ込み思案だけど、私たちの言葉でも話しかければちゃんと応えてくれるよ。......さあ、行こうか」
PL
デートだ!
ヴェンたちにアイリの様子を伝え、荷物整理して再びアイリの元へ。
まずは彫刻や絵などが多いところに移動して調べてみます。
また、フェアリーウイッシュでエコー呼びます。アイリの反応が楽しみ。怖がるようなら引っ込んでてもらいます。
00:54:07 キャスパー@ティキ フェアリーウィッシュ行使 2d+7 Dice:2D6[2,3]+7=12
私の言葉に、彼はしっかりと応えてくれた。
小さいながらもちゃんと男だということのようで、大変に結構である。
身体は白く、目は黒く、そして嘴の先がほんの少しだけ赤い鳥。
観賞用になるほどの大きさで、賢く、人に懐くもの。
「とすると、スノウホワイトかもしれませんねぇ」
頭の中の本をめくると、フィンディル地方の森に生息している鳥がそのような特徴であったことが『書いて』あった。
懐きやすいが臆病な性格だと言うから、突然の出来事に驚いて窓から飛び出してしまったのかもしれない。
「とりあえずおれにできることがあるならやる。
やるったら、やるぞ!」
「ええ、その意気ですよ。では手始めにアイリさんのお家を訪ねてみましょうか。
餌の時間を覚えているなら、いつも食べている餌を少し頂いておきたいですし」
アポロ君がちゃんと小鳥を探している、と言う事がアイリ嬢の家人に知れれば、味方してくれる事もあるかもしれない。
責められる可能性もあるが、それは負うべきものであろう。
それに、籠の鳥であったなら、そんなに遠くへは行かないと思うのだ。彼(もしくは彼女)にとって、外の世界は知らないことばかりで恐ろしいものであるだろうから。
逆に言えば小鳥が遠くに行ってしまったならそれ相応の出来事があったと言う事になる。
テンペストに話すネタにするならばその方が良いかもしれないが、この小さな紳士の為に穏やかに済むことを願った。
まずはアイリさん家で餌をゲットしましょう!そして近くを探してみます!
23:50:50 柑橘@ヴェンデルベルト 小鳥見識判定 2d+5+5 Dice:2D6[3,4]+5+5=17