B3_ぶらり街散歩
奏での広場に踏み入ったばかりのフィンは背後からの危険を察知した。
――もっとも危険とは言っても猪のように突っ込んでくる少年のことであったのだが。
ただ少なくともフィンが受け止めきれず弾き飛ばされるほどの勢いはあったようだ。
フィンとの衝突によって辺りに散らばった菓子を拾いながら。
>「だいじょうぶ?怪我はない?こんな広場で走ったらあぶないよ...」
「だ、だいじょうぶに決まってんだろ。
拾ってくれてありがとな」
ゆっくりと体を持ち上げながら、少年はフィンから受け取る。
フィンは他にも羊皮紙など手に取って、彼に返す。
>「これ、大切な文書?なくしたら、たいへんだよ。何が書いてあるの?」
「ひみつだよ!ひーみーつー!」
フィンが羊皮紙の内容を尋ねてみると、子供みたいに頑なに答えてはくれなかった。
だが、書いてあることは少なくなかったため、大まかな内容は読み取ることができた。
――そこには崩れた交易共通語の文字でこうあった。
『重要!
アポロのひみつきち!
大人は絶対に入るな!
アイリははきてもいいよ!』
アポロ――とはもしかしなくてもこの少年の名前だろうか。
アイリという名には流石に心当たりはない。
>「ねぇ、どうしてそんなに急いでいたの?お年寄りにでもぶつかったら事故になるところ
だったよ。何かあったの?」
少しずつ本来の調子を取り戻してきたフィンが彼に何かあったのか尋ねると。
「...へ?
なんもないよ、だって走った方が早いじゃん。文句あんのかよ」
――何もないらしい。
気持ちが逸れば考えるより前に体が動き、頭が体に追いつかないタイプなのだろう。
あと......若干フィンは彼になめられているようだ。
冒険者だとは言っていても見た目と雰囲気の影響の方が強いのだろう。
>「元気が良いのは何よりだけど
> もう少し周りを見ておかないと怪我をしてしまうよ?」
そんな二人のそばに二ェストルがやってくる。
その手の中に緑色のガラス玉を隠して。
「え、あ......その......。
ごめんなさい......次から気をつける」
二ェストルが少年を諭した場合は効果があったようだ。
穏やかな物腰でもやはり背の高い大人の男は怖いのだろうか。
「あれ......おまえ、おみやげのキャンディ買ってるじゃん。
もしかしてこの街を見に来た感じ?」
少年が目ざとく見つけたものは、フィンがつい先ほど購入したキャンディだった。
ぶつかった時の衝撃で顔を出したのかもしれない。
「しょうがねぇなぁ......ぶつかったおわびに、おれが案内してやるよ!
街の中だったらどこだって連れて行ってやるぜ?
おれもヒマじゃないから、特別だぞ!」
どうやらフィンのために街案内をしてくれるらしい。
暇ではないとは言っているが、先ほど急いでいる訳でもないと言っていたので。
――つまるところ、暇なのだ。
「おれはアポロな!
おまえの名前も教えろよ。友達になってやるから!」
やはり少年の名前はアポロであったようだ。
アポロはフィンの名前を聞きながら――ちらちらと二ェストルの方を見る。
怖いのだろうか。気になるのだろうか。それとも両方だろうか。
もし、二ェストルが一緒に案内を頼めば連れて行ってくれるだろうか。
怖いなら、怖いので頼みは聞くし。
気になるなら、気になるので頼みは聞くのだ。
両方の場合も然りである。
――ちなみにガラス玉のことは特に気がついていないようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
こちらは二ェストルとフィン用の新しいカテゴリです。
ここからの2人のPCの日記はこのカテゴリにご記載ください。
ぶつかった後の続きの場面です。
【アポロ・カリス】を『演者の一覧』に登録しておきます。
フィンと二ェストルは次の行動を決定してください。
主な選択肢は2つです。
・コンチェルティア(1?6番街・大通り・広場)を案内してもらう
・無視する
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。
上記の通り二ェストルが声をかけると共に案内してくれます。
案内してもらう場合は8ヶ所から任意の場所を選んでください。
このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『B3_ぶらり街散歩』にチェックを入れて投稿してください。
> 「あ......、だ、だい、だいじょうぶ、です」
>「え、あ......その......。
> ごめんなさい......次から気をつける」
「うん 怪我がないなのならなによりさ」
ふむ、上から声をかけたれたら萎縮してしまったのかな?
見るかぎり二人とも大きな怪我をしていないようだし、
これ以上 お小言をいうのはおかしいね。
>「おれはアポロな!
> おまえの名前も教えろよ。友達になってやるから!」
>――ちなみにガラス玉のことは特に気がついていないようだ。
「私はニェストル、見ての通り旅の者」
そこまで話し終えると膝をおり、アポロを手招く。
「...落し物を拾ったお礼に街を案内してもらえると嬉しいな」
茶目っ気たっぷりに微笑んで、ガラス玉を持ち主の掌に返した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PLより
特にリアクションがなかったのでガラス玉はお返しいたしますー。
しかし、ネスの茶目っ気はアポロに伝わるのだろうか...。
>あんみつGMへ
行動は【コンチェルティアを案内してもらう】です!
PCがいる時間から案内してもらうと何箇所くらい回れるのでしょうか?
>雪虫さんへ
見て回れる回数によりますが、案内してもらう先は
1ヶ所なら2番街、2ヶ所なら2、3番街、3ヶ所なら2、3番街+アルファで
よろしいでしょうか?(順番は適当に。。)
アポロと仲良くなるなら最後に彼をお家まで送ってみるのも
いいかな?と思っております。
>「だ、だいじょうぶに決まってんだろ。
拾ってくれてありがとな」
ちらばったお菓子をひろって渡したら、銀の髪をした男の子はちょっと生意気な口調で、それでもお礼を言った。
落ちていた羊皮紙の内容は
>「ひみつだよ!ひーみーつー!」
って教えてくれない。だけど、ちらっと見たときに読みとれた。
>『重要!アポロのひみつきち!
大人は絶対に入るな!アイリははきてもいいよ!』
この子の名前はアポロかな......。秘密基地か、なつかしいなぁ。
そんなに走って、いったいどうしたのか聞くと、男の子はちょっときょとんとして、それからあごをひいて上目づかいになった。
>「...へ?
なんもないよ、だって走った方が早いじゃん。文句あんのかよ」
口をとがらせてちょっとすごんでみるこのかんじ。うちの上の弟たちとよく似てる。
仕方ないなぁ、と僕はちょっと困って、いちおう言ってみた。
「人の多いところでは、走っちゃだめ。あぶないよ」
わかった?って念をおすけど、あんまり効果はなさそうだ。うん、どこの男の子も、この年ごろはだいたい同じ。
きっと、僕がなさけない様子だとかそういうのとはちがう、はず。
>「え、あ......その......。
ごめんなさい......次から気をつける」
おだやかにシャドウの男のひとががたしなめると、男の子はしゅんと体をすくめた。
>「うん 怪我がないなのならなによりさ」
......単に僕がなさけないとか、そういうことじゃ、ない、ない......はず......。
>「あれ......おまえ、おみやげのキャンディ買ってるじゃん。
もしかしてこの街を見に来た感じ?」
そう言われて背負い袋からはんぶん飛びだしていたキャンディの瓶をいそいでたしかめる。よかった、割れてない。もういちど背負い袋に押しこみながら答えた。
「うん、ルキスラから観光にきたんだ」
>「しょうがねぇなぁ......ぶつかったおわびに、おれが案内してやるよ!
街の中だったらどこだって連れて行ってやるぜ?
おれもヒマじゃないから、特別だぞ!」
僕の返事もまたずにつづける。
>「おれはアポロな!
おまえの名前も教えろよ。友達になってやるから!」
僕は思わず笑いだしてしまった。かわいいなぁ。
くすくす笑いをかみころしながら、僕もちゃんと名のる。
「フィン。フィン・ティモシーだよ。この子は友達のポチ。ありがとう、よろしくね、アポロ」
>「私はニェストル、見ての通り旅の者」
やりとりを見ていたシャドウのひとが、やわらかく名のる。そしてアポロと目線をあわせるようにひざを折り、
>「...落し物を拾ったお礼に街を案内してもらえると嬉しいな」
緑色のガラス玉みたいなものを小さな手のひらに手わたした。口もとにはいたずらっぽい笑みをうかべている。旅人と名のった彼の独特の雰囲気は、この街にとてもなじんでいるように見えた。よく見ると、大きな弦楽器を背負っている。これはたしか、独特の旋律をかなでる異国の楽器だ。
そういうことなら、と僕はうなずいた。
「アポロ、僕たちふたりを案内してくれないかな。......ちょうど僕が通りすぎてきた3番街に、宿がたくさんありました。そのあたりにご用ではありませんか?えと、にえ...、ニェ、ニェシュっ、ねす、...トル、さん」
耳慣れない発音に口がまわらない。ぼくはほんとに申しわけなくて、おずおずと問いかけた。
「あの...、すみません。ネスさん、とおよびしてもいいですか......?」
それから、僕はもうちょっと考えてみる。4番街には劇場がたくさんあったけど......。せっかくこの街をよく知る地元の子が案内してくれるんだ。観光客でも行けそうな場所はあとで自分たちで行けるから。
「2番街に、古くからの芸術の支援者が多く住まいを構えているそうです。もしかしたら」
あとは言葉を切ってヴェールのむこうのネスさんの目を見る。「うまい仕事があるかもしれません」とは、ちょっとアポロの前では言いづらかった。
それにしても、ネスさんを前にしたアポロのようすは若干おどおどして、落ちつかない。僕に話しかけながら、目のはしでネスさんの動きを見ているようだった。
こわいのかな。ネスさんがこわいのか......。それとも、「知らない大人のひと」がこわいのかな......?
アポロの持つ羊皮紙の内容をもう一度反すうしてみる。
>『重要!
アポロのひみつきち!
大人は絶対に入るな!
アイリははきてもいいよ!』
「大人は」、入るな。「アイリは」来てもいい、か。アイリ...。アポロの友達だろうな。ちいさな女の子かな。...それとも、アポロにとって特別な、「大人」のひとなのかな......?
アポロのようすはちょっとふしぎだった。僕には屈託なく話しかけてくるくせに、ネスさんにはかなり、びくびくしているように見える。
自分が他のひとたちからどう見えるかは、一応わかっているつもり。どうにも迫力がなくて、ぼんやりおどおどしてて、成人してるみたいには見えないらしい。
と、いうことは。僕は耳を片方たおして頭をめぐらせる。
大人に見えない僕はこわくないけど、大人のネスさんはこわいのか。ネスさんが...?もしかしたら、「大人」がこわいんじゃないだろうか。
まさか、「秘密基地」で、なにか大人に怒られるようなことでもしてるのかな。アポロは元気な子みたいだから、ちょくちょく怒られてはいそうだけど、この「大人」にたいする委縮ぶりは、すごく気になる。
―――きっと、なにか隠してる。
これは9人きょうだいの3番目としての、僕の勘だった。
>「なんでもさ、人殺しらしいよ。人殺し。
しかも一回じゃないんだってねぇ......ほんと怖いわねぇ」
キャンディ屋さんのおばさんの言葉が、ふと頭のなかでくり返される。
人殺し。それも続けて何回か。おばさんの口ぶりからするに、きっと、いや、ぜったいにまだ解決はしてない。
「あ、あぶっ...」
あぶないじゃない、アポロ!大人に隠れて秘密基地ごっこするのはしばらく中止!
って僕は叫びたかった。でもそんなことしたら、きっとこの子をむやみに怖がらせてしまう。それに、もしもすごく危ないことをしてたり、重大なことを隠してたら困る。アイリという名前も気になった。
「あ、あの、ネスさん、靴ひも、ほどけてます......」
不自然きわまりないけど、僕はネスさんの服のすそをひっぱって、かがんでくれるよううながした。位置が低くなった彼の耳にできるだけすばやくささやく。
「コンチェルティアで今、殺人事件が起きているそうです。複数件です。それ以上のことはわかりません。アポロの前で不用意に口にできるほどのことは、何も。でも、僕はこの子をひとりにしたくありません」
事件について、アポロに聞いてしまうこともいっしゅん考えたけど、それはまだ後にしたい。今、とても微妙な心のかけひきが起ころうとしているような気がしたから。
そして、ちょっとひきつってたかもしれないけど、にっこり笑ってこう言った。
「ね、アポロ。どこか、ぜったいに大人に見つからない、いい場所を知らない?じつは僕、今とってもめずらしいおいしいお菓子を持ってるんだ。でも少ししかなくて......。子どもだけで、こっそり内緒で食べちゃおうよ」
僕はこういうの、上手じゃないんだ。これでひっかかるだろうか......。
背負い袋のなかの「温泉饅頭」のことを考えながら、僕はアポロの答えをかたずをのんで待つ。
ネスさんには、こっそり目であやまった。人殺しのことは伝えたけど......。もし秘密基地に行けることになったら、すぐにネスさんに伝えなくちゃ。この子が今、大人の目の届かないところで友達と遊んでいるらしいこと。
彼が僕につきあってついて来てくれるかはわからない。けれど、僕は、このままアポロを放っておきたくなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PL(雪虫)より
アポロと仲良くして、まずは「3番街と2番街」を案内してもらいたいと思います(すみません、相談所で3番街と4番街を勘ちがいしてしまいました)。
ネスさんの目的に沿うかと思われますし、ことによると他ルートのPCとも接触できるかも。
その後、何番街にあるかわかりませんが、「秘密基地」に案内してもらえるよう頼んでみます。
そしていつになく発揮されるフィンの「お兄ちゃん力」なのでした。
>飛龍頭さん
ネスさんの「大人力」に注目して考えてみた結果、アポロの態度と「大人」というワードが引っかかりました。
秘密基地に、その辺の鍵があるかもしれないと考えてRPしてみました。
>あんみつGM
すみません、ご許可いただいた件、追記しました。ネスさんと殺人事件の発生について情報共有します。「秘密基地」に案内をしてもらえるかどうかの答えを聞いてから、と思い、まだアポロには訊ねていませんが、流れ次第ではアポロから話を聞くこともあるかと思います。
【判定結果】
見識判定 シタール 2d6+8Dice:2D6[2,6]+8=16
知ってるんじゃないかな...。どうかな...。
>「フィン。フィン・ティモシーだよ。この子は友達のポチ。
> ありがとう、よろしくね、アポロ」
アポロと名乗った少年は、年相応に溌剌として微笑ましく、
名乗り返したおそらく魔法使いのタビット『フィン』もそう思ったのだろう
楽しそうに笑みをかみ殺している。
>「アポロ、僕たちふたりを案内してくれないかな。......> ちょうど僕が通りすぎてきた3番街に、宿がたくさんありました。
> そのあたりにご用ではありませんか?
> えと、にえ...、ニェ、ニェシュっ、ねす、...トル、さん」
>「あの...、すみません。ネスさん、とおよびしてもいいですか......?」
あぁ 長くこの名と付き合っているが、どうにも呼びにくくていけないね。
「いいよ フィン きみの呼びやすいように、ね?」
呼ばれることのない名などなんの意味もないのだから。
>「2番街に、古くからの芸術の支援者が多く住まいを> 構えているそうです。もしかしたら...」
軽く自己紹介を済ませ、これからの立ち寄り先についてを相談し、
宿を求めて比較的新しい区画と、古くからの有力者が住んでいる区画を周ることにした。
おそらくは既に何人かお気に入りを抱えているだろうけれど、後々のため
顔を売っておいて困ることはないだろう。
なにより、知り合ったばかりの私の心配までしてくれている好意に
わざわざ異を唱える必要もない。
「...ふむ そうだね じゃあお願いしてもいいかな?アポロ」
* * *
― 街で起きている殺人事件。
犯人の目的も分からずにおきているなら子どもを一人で
遊ばせておくの事に思うところがあったのだろう。
申し訳なさそうに目だけで謝ったフィンにこの場で
彼だけが分かるよう『気にすることはないよ』と答えた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PL:飛龍頭より
フィンの投稿を受けて、加筆と修正です。
まもちき(ファミリアー)について 2d6+5 Dice:2D6[2,5]+5=12
これで使い魔を連れていることが分かると思いましたので、
最後の「イインダヨー」は魔法文明語で小さく発声しています。
>GMへ
殺人事件についてフィンから情報共有があったものとしてRPしていますが、
不自然と思われるようでしたら。
「何か子どもを一人にしたくないんだろうなー」位の気持ちで見守っていることにします。
>「フィン。フィン・ティモシーだよ。この子は友達のポチ。ありがとう、よろしくね、アポロ」
まず、アポロにフィンが挨拶し。
>「私はニェストル、見ての通り旅の者」
>「...落し物を拾ったお礼に街を案内してもらえると嬉しいな」
続いて二ェストルがそれに続く。
その手には先ほどアポロが落としたガラス玉を持ちながら。
「あ、それおれのだ!
拾ってくれたの?――ありがとー!」
アポロの二ェストルへの態度は先程までと大きく変わっている。
子供というものは基本的に現金なものである。
「んで、ネス兄ちゃんも案内して欲しいの?
しょーがないなー、案内してあげちゃうぜ!」
いつの間にかフィンに習ってネス――しかも兄ちゃん呼びである。
子供というものは基本的に可愛いものである。
二ェストルが実はガラス玉を隠していたことなど全く気付いていないようだ。
* * *
一方のフィンはというと店のおばさんから聞いた殺人事件の噂が気がかりらしく。
>「ね、アポロ。どこか、ぜったいに大人に見つからない、いい場所を知らない?じつは僕、今とってもめずらしいおいしいお菓子を持ってるんだ。でも少ししかなくて......。子どもだけで、こっそり内緒で食べちゃおうよ」
アポロがどこかに隠れて作っているという秘密基地。
その所在を確かめようと、ゆさぶりをかける。
「んー、知ってるっちゃ知ってるけど......。
おれ、あそこアイリにしか教えてないしな。
アイリが教えていいって言ったら、教える」
アイリというアポロと親しい人物に許可が取れれば、教えてくれるそうだ。
少なくとも、今はまだ言えないらしい。
「それよりさ、ふたりとも泊まるところ決まってるの?
3番街には色々といい店あるぜ!
連れてってやるよ!」
そう言い終わった瞬間には、アポロは走り出していた。
まさしく猪突猛進なタイプである。
「おーい、フィン!ネス兄ちゃーん!
早く来ないとおいてくぜー!」
* * *
コンチェルティアの3番街は先ほどフィンがちらっと見えたものとは少しだけ雰囲気が違っていた。
すぐ近くで眺めて見ると、気がつくのは深刻な表情、苛々とした表情、苦々しい表情。
それら皆――冒険者らしきものたちの顔つきである。
「最近ここら辺ちょっと空気悪くてさー。
かんべんしてほしいよなー」
ぷくっと一瞬だけ頬をふくらませてからアポロはずんずんと街の中を進んでいく。
「安く泊まりたいなら、啄木鳥の三弦亭とか。
美味しいものいっぱい食べたかったら、桃色の子豚亭とかあるよ。
黒銀の鍵盤亭はいい宿だけどめっちゃ高くて泊まれないんだ」
歩きながら説明するアポロだったが、一件の宿の前で止まる。
「あ、ここは七色の調べ亭。
そういやフィンって冒険者なんだろ?なんかすごいことしたことある?
ここは冒険者の店でもあるから、冒険者いっぱいいるぜ!」
七色の調べ亭。
コンチェルティア最大の冒険者の店である。
一般客用にも部屋は開かれているので、二ェストルたちが泊まることもできる。
「でもさー、ちょっと聞いた話なんだけどこの店で......」
――瞬間。響いたのは何かが割れる音。
そしてドタバタと何かが暴れているかのような異音。そして怒声。
音の発生源は3人の目の前にある七色の調べ亭だ。
周囲には何事かと人がぞろぞろと集まってきて。
「うわー、すげえ音。なんだろ。
ケンカかな?
――おれ、見てくるよ!」
アポロはささっとドアを開け、店の中へとするっと入っていってしまった。
取り残されたのはフィンと二ェストル。
そして、使い魔やペットたち。
近くに見えるのは、アポロがおすすめしてくれた宿だろうか。
看板の名前を読み取ると、そのようである。
人の注目が七色の調べ亭に集まっている今ならばカウンターで予約も取りやすいかもしれない。
もっとも、アポロは既に店の中であるが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
コンチェルティアの3番街に到着しました。
アポロは今は秘密基地を教えてくれないようです。
【七色の調べ亭】について見識判定が可能です。
目標値は14。成功すれば『出立の曲目』に記されたことがわかります。
フィンと二ェストルは次の行動を決定してください。
主な選択肢は2つです。
・アポロを追う
・宿をとりに行く
他に起こしたい行動がございましたら、そちらでも構いません。
>「おーい、フィン!ネス兄ちゃーん!
>早く来ないとおいてくぜー!」
道案内を快諾したアポロは出会った時と同じように
まっすぐに走り出す。
「はいはい そんなに走らないくても宿屋は逃げたりしないよ」
* * *
流れる空気は重たく、とても苛立っているように見えた。
目に入る冒険者達の表情も一様に険しく、街でおきた事件は如実に
影を落としている。
力の弱い子どもは生き残るため空気を敏感に感じ取る。
きっとアポロもそうなのだろう。
>「最近ここら辺ちょっと空気悪くてさー。
>かんべんしてほしいよなー」
>ぷくっと一瞬だけ頬をふくらませてからアポロはずんずんと街の中を進んでいく。
それからしばらく宿の説明を聞きながら、一番大きな店の前で足を止める。
>「あ、ここは七色の調べ亭。
> そういやフィンって冒険者なんだろ?なんかすごいことしたことある?
> ここは冒険者の店でもあるから、冒険者いっぱいいるぜ!
> でもさー、ちょっと聞いた話なんだけどこの店で......」
アポロが話を続けようと口を開きかけたその時、
宿の中から何かが割れる音とともに、暴れているかのような異音、
そして怒声が響いた。
>「うわー、すげえ音。なんだろ。
> ケンカかな?
> ――おれ、見てくるよ!」
「待ちなさい!
あぁ、仕方ないな......」
人ごみの混乱に乗じて、"小さな友人"に声をかける。
「...これでこのまま話ができるよ」
後ろにいるフィンに声をかけ、物好きなバンビーノを
捕まえるため七色の調べ亭に入った。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PLより
ネスの次回の行動は【アポロを追う】です。
騒動の中にいれば周囲の音声が自動で集まりますので、
必要に応じて聞きなおして検証したいと思ってます。
七色の調べ亭について
17:29:01 飛龍頭@ネス 見識判定(バード) 2d6+7 Dice:2D6[6,4]+7=17
フェアリーウィッシュ(風)行使
23:52:26 飛龍頭@ネス フェアリーウィッシュ行使 2d6+5 Dice:2D6[6,2]+5=13
【MP】28→27
ネスさんがガラス玉を見せたとたん、アポロの顔がかがやいた。
>「あ、それおれのだ!
拾ってくれたの?――ありがとー!」>「んで、ネス兄ちゃんも案内して欲しいの?
しょーがないなー、案内してあげちゃうぜ!」
僕はちょっとだけがくっと力がぬけた。ネスさんにびくびくしていたのは、ほんとに単に知らない男のひとを警戒してただけだったみたい。
隠れて作っているという「秘密基地」に連れていってもらえないかなと思って、お菓子のことを持ちだしてみたんだけど、
>「んー、知ってるっちゃ知ってるけど......。
おれ、あそこアイリにしか教えてないしな。
アイリが教えていいって言ったら、教える」
と、すぐには教えてくれなかった。ほんとに、あぶないことをしてなければいいんだけど...。
「アイリ」がいいと言ったら教えてくれるらしい。
「ありがと、アポロ。アイリって、アポロの友達?」
どんな子なんだろう。どんなひと、かもしれないけど。とりあえず、秘密基地のことはあとまわしになりそうだった。
>「それよりさ、ふたりとも泊まるところ決まってるの?
>3番街には色々といい店あるぜ!
>連れてってやるよ!」
アポロはそう言うなり、かけ出す。
>「おーい、フィン!ネス兄ちゃーん!
>早く来ないとおいてくぜー!」
「ま、待ってよアポロー!」
僕、かけっこは苦手なんだけど...!
>「はいはい そんなに走らないくても宿屋は逃げたりしないよ」
落ちついたようすのネスさんといっしょに、ひょいひょいと人波をさけて走っていく銀色の髪の毛を追いかけた。
いそいで追いながらも、ネスさんにアポロの「秘密基地」のことを説明する。
「アポロは、街のどこかに、大人に隠れて、『秘密基地』を作って、いるそうです。アイリ、っていうひと、だけが、出入りしてて...。事件のことも、あるし、あぶないこと、してなきゃいいんですけど...」
息をきらせながら、ようやくのことでそう伝えた。
※ ※ ※
さっきヴォルディーク通りからながめたときは気づけなかったけど、3番街はずいぶんぴりぴりした雰囲気につつまれていた。
冒険者とおぼしきひとたちが、みんな一様にいらだち、神経をとがらせているみたいだ。
>「最近ここら辺ちょっと空気悪くてさー。
かんべんしてほしいよなー」
アポロが言うに、この雰囲気はここ最近にはじまったものらしかった。
>「安く泊まりたいなら、啄木鳥の三弦亭とか。
>美味しいものいっぱい食べたかったら、桃色の子豚亭とかあるよ。
>黒銀の鍵盤亭はいい宿だけどめっちゃ高くて泊まれないんだ」
アポロが何件かの宿を紹介してくれる。どんなところがいいかな......。ちょっと思案していると、ふとアポロが一件の宿の前で足をとめた。
>「あ、ここは七色の調べ亭。
>そういやフィンって冒険者なんだろ?なんかすごいことしたことある?
>ここは冒険者の店でもあるから、冒険者いっぱいいるぜ!」>「でもさー、ちょっと聞いた話なんだけどこの店で......」
と言いかけたとたん、ものすごい音がひびいた。それから人のどなり声。この宿のなかで、何かあったんだ。
おもわずおどろいて間口をのぞこうとしたとたん、銀色の髪の毛がするっと目の前を通った。
>「うわー、すげえ音。なんだろ。
ケンカかな?
――おれ、見てくるよ!」
「アポロ!」
ひきとめようとしたけど、間に合わない。
>「待ちなさい!あぁ、仕方ないな......」
ネスさんが足早に店内に入った。僕も急いで転がりこむ。
もう、これだからちいさい子は油断しちゃいけなかったんだ。アポロみたいな子はとくに。
僕は必死になって店内を見回した。どうしよう。ネスさんに呼びかけようようとしたとき、耳元で前を向いたままの彼の声がきこえた。
>「...これでこのまま話ができるよ」
妖精魔法だ。僕はびっくりしたけど、
「わかりました。アポロを、つかまえなきゃ」
緊張しながら、そう返した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PL(雪虫)より
フィンの次の行動も、ネスさんと同じく【アポロを追う】です。
アポロには「アイリ」についてたずねています。
ネスさんとアポロの「秘密基地」について情報を共有します。
【判定結果】
見識判定 七色の調べ亭 2d6+8 <Dice:2D6[3,3]+8=14>
>「ありがと、アポロ。アイリって、アポロの友達?」
アイリと言う名の人物。
自分の秘密基地を教えるほどなので、そこそこ親しい間柄であろうが。
「アイリ?......あんなの友達じゃねーよ。
おれのとなりに住んでるから仲良くしてるだけだって。
いつもすましてやがるんだから、ほんとムカつくぜ」
口ではこう言ってるが――いわゆる素直になれないお年頃なのだ。
* * *
コンチェルティア3番街で突如巻き起こる混乱。
幼き少年の好奇心とは抑えの効かないものである。
フィンと二ェストルの隙をついて、アポロは建物の中へと転がり込んだ。
>「待ちなさい!
> あぁ、仕方ないな......」
>「わかりました。アポロを、つかまえなきゃ」
そんなアポロを追いかけて、二ェストルとフィンの二人も店内へ飛び込む。
一方、ヴォルディーク邸を抜けてきたプリアーシェも3番外でこの騒動を目にするであろうか。
* * *
店の内部はひどい惨状だった。
料理を出すための机と椅子がひっくり返っている。
床には割れた皿とグラスの破片が散乱している――先ほどの音の原因はこれか。
店の中央には仁王立ちの男。
拳をわなわなと震わせている彼は、少々この街には似つかわしくない様相だ。
骨太の高身長で筋骨逞しい肉体、その太い腕は大剣でも易易と扱えるだろう。
優美だが無駄な飾り気など決してなく、最低限のみの服装。
よく見れば、その頭には穢れを意味する角が見える。
「つまり、このまま放っておけっていうことかよ?
この店の中に犯人がいるかもしんねえのに、黙って見過ごせってか?ああ?」
憤りの詰まった大きな怒声。
投げかけられた先にいたのは、金色の髪をした優男だ。
おそらく、目の前の男につき飛ばされたのだろう。
彼は弱々しく、その腰を持ち上げた。
「違うよ、君は間違っている。
たまたまこの店のエンブレムが現場にあっただけで、それが事件と関わっている証拠はない。
――それに、あの事件はもう終わりかけているじゃないか。
静まりかけている事件を今になって掘り起こす必要はないだろう?」
突き飛ばされた彼も簡単に退くような男ではないようだ。
対照的に優美に飾り立てた姿でありながらも、芯の通った強さがある。
それは、自らに対する自信からくるものであろうか。
「だから、言ってんじゃねえか。
俺だって、何でもかんでも疑ってるわけじゃねえ、むしろ信じてんだよ。
だからこそ、犯人探しを徹底させろっつってんだ。
もしお前が依頼人だとして、殺人犯がいるかもしれない店に頼めんのか?
ごまかしてほっといたって、それは単純に先送りにしてるだけだろうが」
再度、男が掴みかかろうとしたところを......。
「あんたたち、いい加減にしなさいな。
これ以上暴れるなら店の外――いや、街の外でやりなさい」
凛とした声色は力強いわけではないがよく通る。
気がつけば、三人が入ってきたドアから、一人の女性が姿を見せていた。
「私はあんたたちに大喧嘩させるために店番を頼んだわけじゃないのよ」
ずかずかと店内に入り込んだ彼女が一直線に目指すのは――掃除箱だ。
「はい、散らかしたなら後片付けなさい――勿論、二人共よ」
「でもよぉ、アンネの姉さん」
逞しい男の方が何かを言おうとする前に、間髪入れずに。
「グラディウス、黙ってやるのよ。
リオン、勿論貴方もよ」
アンネと呼ばれた女性が店内に入ると、荒れていた店内の空気も徐々に収まっていく。
確か、この店の女主人の名はアンネと言ったはずだ。
つまり、今この場を収めた彼女こそ――七色の調べ亭の店主なのだろう。
アンネはひと仕事終えたあとで、カウンターに着く。
プリアーシェが話を振りに行くのであれば、ちょうどいい頃合だろうか。
* * *
店内の様子をぼうっとみつめていたアポロであったが。
「なんつーか、つまんなかったな。
こんなところはもういいからさっさと行こーぜ!」
入ったらすぐに飽きてしまったようで、大きな欠伸をしていた。
「3番街にさー、うまいお菓子を売ってる店があんだよ。
そっち行こうぜ、そっち!」
アポロは二ェストルの裾とフィンの耳を引っ張った。
結構力が強い......というよりは遠慮がない。
* * *
プリアーシェが店内の様子を改めて探ると、
銀色の髪の少年を連れたシャドウとタビットの姿があった。
もしかしたらルキスラで彼らの姿を見たことがあるであろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
七色の調べ亭は喧嘩の真っ最中でした。
プリアーシェは好きなタイミングで登場できます。
【アンネ・セプティア】について演者の一覧に登録しておきます。
【グラディウス・ボーグ】について演者の一覧に登録しておきます。
【リオン・ルシフェレス】について演者の一覧に登録しておきます。
フィンと二ェストルは次の行動を決定してください。
主な選択肢は大きく分けて2つです。
・アポロと店を出る
・もうちょっとこの店にいる
店を出るならどこに行きたいか明言しておいてくださいませ。
例)どっかの宿屋、お菓子屋、2番街など
七色の調べ亭にもう少しいるならば何をするか明言しておいてくださいませ。
例)アンネ(グラディウス、リオン)に話しかける、今夜の宿を取るなど
他に何かしたいことがあればそれでも構いません。
プリアーシェはフィンと二ェストルの二人とは、
知り合いとしても初対面としていただいても構いません。
もし判定するのであれば冒険者レベル+知力で目標値12を超えると、
少なくともルキスラで見たことがある冒険者かな、とはわかります。
プリアーシェは協力を取り付けてすぐ店を出るだけなら、
次の行動をお書きくださいませ。
勿論たくさん話してくよ!とのことであればそれでも構いません。
アポロを追って入った店内はずいぶんと酷いありさまだった。
惨状の原因と思われる二人は店に所属している冒険者だろうか?
「これは...ずいぶんと派手にやったね
報酬の取り分で内輪揉めって訳じゃないだろう?」
中央の二人とは直接かかわりのなさそうな、けれど
慎重に状況を見守っているであろう宿の人間に話しかける。
>――それに、あの事件はもう終わりかけているじゃないか。
> 静まりかけている事件を今になって掘り起こす必要はないだろう?
あの"事件"というのはフィンから聞いた連続殺人の事なのだろう。
しかし話をしようにもこの騒ぎをお開きにしてもらわないとどうにもならない。
どうしたものかと思案していると ―
>「あんたたち、いい加減にしなさいな。
> これ以上暴れるなら店の外――いや、街の外でやりなさい」
店主の登場とその一声で、荒れていた空気が徐々に収まっていく。
店内の様子をぼうっとみつめていたアポロは飽きてしまったらしく
大きな欠伸をしていた。
>「3番街にさー、うまいお菓子を売ってる店があんだよ。
> そっち行こうぜ、そっち!」
「うーん...ついて行きたいのはやまやまだけど、今夜の宿を
取らないといけないからねぇ」
ゆるゆるとフィンの耳からアポロの指を外し、
その手に少しばかりの銀貨を渡す。
「さぁ、これはプレゼント選びの練習だ
アポロが考えるとびっきりのお土産を頼むよ?」
フィンにだけ聞こえるよう小さな声で『危ないと
感じたらすぐに戻ってきなさい』と伝え、その後
「宿はここに決めてしまおうと思うのだけれど いいかな?」
>「はい。それじゃ僕は、アポロといっしょにお菓子屋さんまで行ってきますね
>「あの、ネスさん...。この子、ポチ...ふつうの鳥じゃないんです。
>ネスさんに預けていきます。万一何かあったら、ポチを通じてネスさんにお知らせしますから」
「分かった 知らせがあったらすぐに向かうから できるだけ安全なところに隠れておくんだよ?
もちろん そんな場面ならないことが一番だけれどね」
>「行ってきますね!...だいじょうぶ、ちょっとしたおまじないだから。じゃ、行こうか」
「うん、二人ともあまり遅くならないうちに戻っておいで」
* * *
>アンネはひと仕事終えたあとで、カウンターに着く。
「...バタバタしているときに申し訳ないのだけれど
今夜 こちらに部屋の空きはあるかな?
できればシングルを二部屋がいいのだけれど 難しいかな?」
―――――――――――――――――――――――――――――――
PLより
とりあえず、宿を取るために受付(でいいのかな?)に
話しかけるところまで。
夜襲とか物騒なことが起こらないとも限らないので、隣どうしの
シングル二部屋か、なければツインを。
日数は...一週間で借りたほうが安あがりですが、はっきりしないので
最初に連泊になる可能性を話しておき、具体的な所はGMにおまかせしますー。
んで、フィンの宿代(+食費)はネスがもとうかなって思ってます。
空きがないようなら七色の調べ亭から別のお宿を
紹介してもらいたいですー。
握らせた金額は、アポロたちの回る先が分からないので
ぼやーっと書いています。(5から15G位が妥当かなぁ)
10/18 追記
>Lainさん
あらためまして、よろしくお願いいたしますー。
エンブレムの類を持っていないので、プリアーシェとの会話はフィンに
お任せしてしまいました。
>ワイドスノーさん
合流はちょっとだけ少し先になりそうですが、よろしくおねがいしますー。
今回のPCは無駄に派手だけど引かないでくださいね!
...はっ!!よく考えたら、私だれも知り合いがいなかったYO!
[出費について仮計算]
一日の食費:30G(5.10.15で計算)二人で60G*7 420G
一週間シングル・スタンダードを二部屋 300G(ツインならもうちょっと安いかも?)
合計が720G(二人分)なので、ぎり賄えるはずー。
むー...、あと10Gくらいなら上乗せできそうかな。
> 「七色の調べ亭だ。
> 3番街で一番大きな店だから、すぐにわかるだろう」
「わかりました、ありがとうございます」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
> 「だいたいのことは、言われなくともわかっていたつもりさ。
> ただ、俺と協力したことであの家が――ヴィクトリアが巻き込まれていくのは見たくなかった。
> 力を借りるべきであることは分かっていても、気持ちが許さなかった」
人間というのは不思議なものだ。
最適解を把握しながら、あえて最適でない行動をすることがある。
人に近づくということは、つまり、そういった欠点も含めて近づくということでもある。
そのあたりを、私を作ったひとたちはどう考えていたのか。
今となっては知るすべもない。
しかし、『あえて最適でない行動をとりうる』というのが人の特性であるならば、人として振る舞え、ということは、そういうこと――必ずしも最適でない行動をとりうるということを想定に入れた上で己の行動を選択せよ、ということでもあろう。
シミュレーションとしては要素が複雑化しすぎて先を追いきれない。
わからないことをわからないままで意思決定せよ。
あるいは、想定外の事態に対応できるバッファを用意しておけ。
ひとまず私に理解・解決可能な形に命題を置き換え、そういうものなのだなと心にしまう。
> 「プリアーシェさんが仰ったように、キャピレット邸へとこれから向かいますね」> 「これから、調査の方に行かれるんですよね。
> ――どうかお気を付けて」
「お手間をかけますが、よろしくお願いします」
キャピレット邸へ向かうというミハイルさんと玄関前で別れ、私は冒険者の店へ――七色の調べ亭へ向かった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
冒険者の店はすぐに見つかった。
なるほど、大きな店構えだ。
けれど、なにか様子がおかしい。
賑わいというのではなく、どちらかといえば騒ぎ。有体に言えば争う物音と声。
> 「つまり、このまま放っておけっていうことかよ?
> この店の中に犯人がいるかもしんねえのに、黙って見過ごせってか?ああ?」
> 「違うよ、君は間違っている。
> たまたまこの店のエンブレムが現場にあっただけで、それが事件と関わっている証拠はない。
> ――それに、あの事件はもう終わりかけているじゃないか。
> 静まりかけている事件を今になって掘り起こす必要はないだろう?」
店内で対峙するふたりの冒険者が主張しあう。
なるほど意見が割れているか。たしかに、いずれ過ぎ去る嵐であれば、頭を低くしてやり過ごすという手段もありうる。
まあ、実際そうであれば楽なのだけれども、ミハイルさんやエミールさんの話を聞く限り、そうは思えない。
割って入るには自信がないし、そもそも私は余所者だし、ご主人にお話を――と思っていたら、よく通る声が聞こえた。
> 「あんたたち、いい加減にしなさいな。
> これ以上暴れるなら店の外――いや、街の外でやりなさい」> 「私はあんたたちに大喧嘩させるために店番を頼んだわけじゃないのよ」
この口ぶり。場を収めたのが、どうやらこの店のご主人のようだ。
> 「でもよぉ、アンネの姉さん」> 「グラディウス、黙ってやるのよ。
> リオン、勿論貴方もよ」
女主人がアンネ、ナイトメアがグラディウス、優男がリオン。
なるほど、と心に留めておく。
ふと周囲を見回すと、目に留まったものがあった。
銀髪の少年と、そしてふたりの冒険者。
ふたりともルキスラで会ったことがある。たしか同じ宿の冒険者。
名は、なんといったかしら。
一人の――タビットのほうが、手羽先亭のエンブレムを身に着けているのを確認して、記憶に間違いがないことを確かめる。
「こんなところで同じ店の方とお会いできるとは思いませんでした。
プリアーシェといいます。仕事の話で来たのですが、ひどい有様ですね」
会釈して近づき、そう声をかけた。
場が収まったところで、2人はここに宿を取るつもりのようだ。
そういえばこの銀髪の子は誰なのだろう。依頼人、というわけでもなさそうだし。
「では、私はこちらの御主人とお話がありますので。
よろしければ、また後程」
もう一度会釈して、カウンターへ向かった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「この店の御主人はあなたでしょうか。
仕事のお話があります。ヴォルディーク家からの――カイル・ヴォルディークからの要請です」
言いながら、信任状をカウンターに置く。
「用件についてはおわかりでしょう。
コンチェルティアを騒がす事件の解決について、です。
カイルさんは、この店に協力を依頼したいと考えておられます。
申し遅れましたが私はプリアーシェ。ルキスラの冒険者の店、火竜の手羽先亭の冒険者です。
今回、故あってカイルさんの使者を務めています」
店の片付けをしているふたりにちらりと視線を送り、続ける。
「先ほどのお二方のお話、聞かせていただきました。
カイルさんは、残念ながら、事件はまだ終わっていないと考えています。
理由は――今は、ある筋から得た情報により、としか申し上げられません。
この店は第4の事件で名誉を汚された。そのような中、5件目が起きたらどうなるか、想像するのは容易いことかと存じます。
そして、グラディウスさんがおっしゃったとおり、今この店はよくない立場に立たされています。
例のエンブレムが本物であるにせよ偽物であるにせよ、汚名を雪ぐにはこの店の手で犯人を挙げるか、少なくとも解決に協力したという世評を得る他ない、と考えます。
問題は、解決に必要な情報ですが――私の見るところ、情報の入手にも苦労されるのではありませんか?」
衛兵からにせよ、聞き込みにせよ、犯人の一味と疑われた店の冒険者に協力的な態度を取る者がどれだけいるか。
「ヴォルディーク家が提供するのは情報と、そしてあなた方が解決に向けて協力をしたという風評です。
この店に提供していただきたいものは人手――それも、腕利きの冒険者という人手です。
私たち――ヴォルディーク家と七色の調べ亭の利害は概ね一致すると考えますが、いかがでしょうか?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
一旦話を区切ったあとで、私は重ねてアンネさんに問いかける。
「エンブレムについて、少し教えてください。
この店のエンブレムは、例えば、番号を刻印するなどして真偽や持ち主が特定できる種類のものでしょうか。
あるいは、形を似せてしまえば外見から真偽を判断しがたい種類のものでしょうか」
「もう1点、4件目の事件から現在まで、連絡の取れていないエンブレムの持ち主はおられますか?」
言葉を切り、反応を確かめてさらに続ける。
「私もカイルさんも、この店の冒険者が犯罪に関わったとは考えておりません。
エンブレムを偽造されたか、あるいは正当な持ち主から奪ったエンブレムか、といったところと考えています。
そのあたりについて手がかりが得られれば、と思うのですが」
ああそれと、と付け加える。
「聞き込みその他の情報収集に人手が入用なら、他の店の冒険者を臨時で雇われてはいかがでしょう。
先ほど宿を求めた冒険者の二人組は、ルキスラの同じ店に所属する冒険者で、私の顔見知りです。
少なくとも身許は確かですから、もしお困りでしたら、そういった手段もあると心に留めていただければ」
■PLから
◆前回分の行動宣言追記
- 前金の配分:プリアーシェ500/クーガ1500
- ピアス:プリアーシェ/クーガ、ヴォルディーク家/キャピレット家(ミハイルに渡す)、予備1組(プリアーシェが所持)
宣言してなかった気がしますのでここで確定させておきます。すみません!
◆やること
- お仕事の話を堂々とカウンターでやります。べつに聞かれて困らない範囲。
- グラディウスとリオンにはむしろ聞かせる気で話してます。
- 要約すると「あんたら自分の手で犯人挙げないと詰むけど情報も入手苦しくね?情報渡す&事後処理サポートするから協力してくんない?」というお話です。
- エンブレムについて質問「偽造防止措置は取られているか」「シリアルで持ち主は特定可能か」「エンブレムの持ち主で事件以降連絡が取れない奴はいるか」の3点です。
- ついでに「聞き込みとかの人手が要るならそこにルキスラの冒険者おるで」と軽くご紹介しておきます。
■ダイス
Lain@プリアーシェ ありばど見識判定:七色の調べ亭 2d6+8 Dice:2D6[6,5]+8=19
Lain@プリアーシェ ありばど判定:フィンネスと顔見知り? 2d6+9 Dice:2D6[1,4]+9=14
Lain@プリアーシェ 知ってる、顔見知り(''
アポロはすぐに見つかった。人とひとのあいだを何とかすりぬけて、ちいさな肩をつかむ。
「あぶないじゃないか!もしももめ事に巻き込まれたらどうするの!」
思わず声が大きくなる。
店内はひどく荒れていた。店の中央ではなにやら言い争いがおこっている。
――事件?犯人が、このなかにいるかもしれない......?
キャンディ屋さんで聞いた、人殺しの件だろうか。この店のエンブレムが殺人の現場にあった、ということらしい。
僕は必死に知っていることを頭のなかで組み立てようとした。すこしずつ、なにかが姿をあらわそうとしている。でも、まだピースが足りない。
※ ※ ※
>「こんなところで同じ店の方とお会いできるとは思いませんでした。
プリアーシェといいます。仕事の話で来たのですが、ひどい有様ですね」
そこに、とても冷静な声がかかった。すっと頭の芯がおちつくみたいな声。振りむいたら、琥珀色の髪をした女のひとが立っていた。まとう空気がとてもきれいだ。
「あ...、こんにちは」
『同じ店』という言葉にいっしゅんぽかんとするけど、左胸につけているエンブレムのことを思い出した。このひとも、手羽先亭の冒険者......?
「あ、ええと、フィン・ティモシーといいます。えと、お察しのとおり、僕も【火竜の手羽先亭】所属の冒険者です。コンチェルティアには観光で来たんですけど......」
僕は、広場でアポロとネスさんに出会ったこと、今夜の宿をもとめてここまで来たことを簡単に彼女に話した。
「この子は、コンチェルティアに住んでいる地元の子です。街の案内をしてくれています」
ほら、アポロごあいさつ、と言って背中をとんとんたたく。
>「では、私はこちらの御主人とお話がありますので。
よろしければ、また後程」
プリアーシェさんはそう言うと、カウンターへと歩みよっていった。
「......プ・リ・アー・シェ、プリ、アー、シェ、...さん」
思わず口のなかで彼女の名前をくりかえす。音節ごとにくぎって発音してみた。僕がいままで見聞きしてきたどの言語の人名ともちがう、ふしぎな響きだった。
それにしても、手羽先亭の冒険者がコンチェルティアに仕事...って、いったいなんだろう。コンチェルティアにだって、冒険者はたくさんいるのに......。
一様にいらだつこの街の冒険者たちの様子とあいまって、僕は不安な気持ちになった。そういえば、さっきアポロがなにか言いかけていたっけ。
「ねえアポロ、さっき言ってた、『この前ここであったこと』って何?何があったの?」
>「あんたたち、いい加減にしなさいな。
これ以上暴れるなら店の外――いや、街の外でやりなさい」> 「私はあんたたちに大喧嘩させるために店番を頼んだわけじゃないのよ」
この店のおかみさんとおぼしき「アンネさん」が「グラディウス」と「リオン」にしずかな、でも反論をゆるさない口調で言う。場がだんだんおさまるのを感じながら、僕はアポロに問いかけた。
※ ※ ※
>「なんつーか、つまんなかったな。
こんなところはもういいからさっさと行こーぜ!」
とたんに、ぎゅ、と頭の皮がひっぱられる感覚がした。
>「3番街にさー、うまいお菓子を売ってる店があんだよ。
そっち行こうぜ、そっち!」
「いたたたた、痛い痛いアポロ!」
>「うーん...ついて行きたいのはやまやまだけど、今夜の宿を
取らないといけないからねぇ」
じたばたする僕の耳からアポロの手をやさしくはがしつつ、ネスさんがおだやかに言う。
「あ、ありがとうございます、ネスさん。...アポロ、僕のこれは耳だからね、きみだって耳をひっぱられたら痛いでしょ。そんなこと、しちゃダメだよ」
わかった?ってアポロにもう一度言って、耳のつけねをさすった。けっこう痛かった......。
>「さぁ、これはプレゼント選びの練習だ
アポロが考えるとびっきりのお土産を頼むよ?」
ようすを見ていたネスさんが、アポロに銀貨をわたす。なんていうか、すごく大人だ。『危ないと感じたらすぐに戻ってきなさい』と僕にささやき、
>「宿はここに決めてしまおうと思うのだけれど いいかな?」
と問いかけた彼に、僕はうなずいた。
「はい。それじゃ僕は、アポロといっしょにお菓子屋さんまで行ってきますね」
だけど、3番街か...。ここ3番街には殺気立った冒険者がたくさんいる。殺人事件もおきてるし......。右手首の銀の腕輪をおもわずたしかめた。
「あの、ネスさん...。この子、ポチ...ふつうの鳥じゃないんです。僕、真語魔術師で、この子は僕の使い魔で。簡単な命令なら、はなれていても果たせるんです」
僕はポチを友達だと思っているから、「命令」っていう言葉をつかうのはちょっとひっかかったんだけど、そこにこだわってたら話が進まない。
思いついたとおり、持っている羊皮紙を手近なテーブルに広げて、交易共通語をおぼえるときに使う文字表を書いた。アポロが飽きる前に、早くしなきゃ。
「ポチをネスさんに預けていきます。万一何かあったら、ポチを通じてネスさんにお知らせしますから」
さっきみたいに飛びだしていかないように、アポロの右手を左手でがっしりつかむ。
「行ってきますね!...だいじょうぶ、ちょっとしたおまじないだから。じゃ、行こうか」
ネスさんとアポロにそう笑いかけると、戸口へ向かって歩きだした。
※ ※ ※
「お菓子屋さんって、ここから近いの?」
街の雰囲気はぴりぴりしていて、おちつかない。耳がひくひくする。
「......『人を襲う事件』が起こってる、ってさ、僕、コンチェルティアについたばっかりなのに、街のひとから聞いたんだ。アポロ、お家のひとから何か聞いてる?子どもだけで出歩いちゃいけないとか、どこかに近づいちゃいけないとか、言われてない?」
この話はあんまりアポロとしたくなかった。でも、なにもわからない状態ではこの子を守ることもできない。いくらこまっしゃくれてても、生意気でも、まだちいさなこの子を守れるのは、今、僕しかいないんだ。
あたたかい手をにぎる左手におもわず力がはいる。
僕たちは話をしながら街並みにそって歩く。かなりがんばって、気になっていたことを会話にすべりこませたりしながら。
「アポロのお家はどのへん?5番街かな?」
一般の住宅街は5番街だって聞いてる。そういえば、たったひとりだけ「秘密基地」を共有してるっていう「アイリ」は、となりの家の子だって、言ってたっけ。
「いつもおすましのアイリって、アポロよりもお姉さんなの?」
あんまりあれこれ聞くと、アポロを意味なく不安がらせるかもしれない。
はっきり言わなきゃいけないことは言わなきゃいけない、でも、いつでも誰にでも、何を言ってもいいとも思えない。
僕はアポロのようす見ながら慎重に言葉をえらんだ。
「ねぇ、さっき言ってた『大人にみつからない場所』に、僕も行ってみたいな。いいな、そういう『秘密基地』みたいなの。かっこいいな。アポロとアイリだけが知ってるんだよね?」
もしも危ないことをしてるようなら、それとなく止めて、せめて今日はもう家にかえそう。
僕は3番街を行きかう人たちの表情をながめながら、アポロの話に耳をかたむけた。
――PLより―――
フィンは【七色の調べ亭】での情報収集をネスさんとプリアーシェさんにおまかせし、アポロと同じ3番街のお菓子屋さんへと向かいます。
道すがら、
「アポロの家はどこか(どのような家庭か推測します)」
「アイリはアポロと同じ年ごろの女の子か、それとも年長者か」
「『秘密基地』はどこにあるのか、連れていってもらえるか」
を意図した質問をします。
危険と判断したら、ポチと視界共有をして文字表を指し、ネスさんにお知らせします。
(引用記号を追記しました)
【判定結果】
見識判定 アンネさん 2d6+8 <Dice:2D6[5,1]+8=14>
彼女のようす、人となりなどが感じ取れれば
>「こんなところで同じ店の方とお会いできるとは思いませんでした。
> プリアーシェといいます。仕事の話で来たのですが、ひどい有様ですね」
七色の調べ亭を訪れたプリアーシェは目聡く二ェストルとフィンの姿を見つけ、軽く挨拶をする。
>「あ...、こんにちは」
>「あ、ええと、フィン・ティモシーといいます。えと、お察しのとおり、僕も【火竜の手羽先亭】所属の冒険者です。コンチェルティアには観光で来たんですけど......」
フィンはプリアーシェの言葉に返してからその流れで、
>「この子は、コンチェルティアに住んでいる地元の子です。街の案内をしてくれています」
アポロの背中をぽんぽんと軽くたたく。
アポロはちょっとうるさそうに体を揺すりながらも。
「おれ、アポロって言うんだ。フィンの友達だぜ!
ネス兄ちゃんの案内もしてやってんだぞ」
どこか偉そうな態度で自分の名前を名乗ってくれる。
銀色の髪のこの少年がアポロだということをプリアーシェの頭脳は記録できるだろう。
フィンは何故ルキスラの冒険者であるプリアーシェがコンチェルティアに仕事に来ているのかが気になったようだ。
一番考えられるものは――アポロの話にあった事柄。
>「ねえアポロ、さっき言ってた、『この前ここであったこと』って何?何があったの?」
「おれ、そんなこと言ったっけ?
ま、いいや......この前ここで何かあったっていうかさ。
この店の冒険者が事件の犯人らしいって噂があったんだ、やばいよな!」
アポロが知っているのはこの店の冒険者が殺人事件の犯人だという噂があることくらいらしい。
3番街に入った時の冒険者らしき者共の違和感。
この店に初めて入った時の状態。
少なくともそのような噂があったことは事実なのだろう。
* * *
>「いたたたた、痛い痛いアポロ!」
フィンの耳を力強く引っ張っていたアポロの耳を。
>「うーん...ついて行きたいのはやまやまだけど、今夜の宿を
> 取らないといけないからねぇ」
二ェストルはやんわりと引き剥がした。
>「あ、ありがとうございます、ネスさん。...アポロ、僕のこれは耳だからね、きみだって耳をひっぱられたら痛いでしょ。そんなこと、しちゃダメだよ」
耳の付け根を摩りながらフィンはアポロに注意する。
「だってさ、掴みやすかったんだもん。
悪かったよ......ごめん」
アポロはしゅんとした顔で俯いた。
>「さぁ、これはプレゼント選びの練習だ
> アポロが考えるとびっきりのお土産を頼むよ?」
そんなアポロの手にそっと二ェストルは銀貨を握らせる。
つまりは大人から子供へのお駄賃である。
「ありがとう――ネス兄ちゃん!
やっぱネス兄ちゃんは大人だぜ、フィンとは大違いだな!
よーし、これ持っていこうぜ、早くー!」
不憫なフィンである。
アポロは店のドアの前でぴょんぴょんと跳ねている。
フィンが早くこっちに来るのを待っているようだ。
フィンはアポロを遠目に見ながら、自らの使い魔であるポチを二ェストルに託す。
いざという時は交易共通語の文字表を利用して連絡を取るつもりだ。
一通り話を終えたあとフィンはアポロの手を掴む。
「わ、なんだよ!おれ子供じゃないんだぜ!」
思いっきりぶんぶんと腕を降るその姿はまさしく子供のそれであるが。
それでも流石にタビットとはいえ、思いっきり引き剥がすほどの力はない。
>「お菓子屋さんって、ここから近いの?」
「ちょっと歩くけど同じ3番街だし、遠くはない。
安くて美味しいお菓子がいっぱいあるんだぜ、超いいだろ?」
アポロおすすめの駄菓子屋はここからは数分歩いた程度にあるようだ。
駄菓子屋なので大したお金もかかることもないだろう。
>「......『人を襲う事件』が起こってる、ってさ、僕、コンチェルティアについたばっかりなのに、街のひとから聞いたんだ。アポロ、お家のひとから何か聞いてる?子どもだけで出歩いちゃいけないとか、どこかに近づいちゃいけないとか、言われてない?」
「ホント迷惑な話だよなー。
おかげで昨日まで勝手に出歩いちゃダメってうるさいんだぜ。
こっそり出ようとしたらアイリに見つかって、すぐチクられてめっちゃ怒られたし。
今日からやっと外で遊んでオッケーって言われたばっかなんだ」
どうやらアポロは家から出てはいけないと言われていたようだ。
勿論律儀に守るアポロではないが件のアイリはそれを見越して動いてるらしい。
フィンとぶつかった時に無駄に急いでいたのは、久しぶりに遊び回れる喜びが大きかったかもしれない。
>「アポロのお家はどのへん?5番街かな?」
>「いつもおすましのアイリって、アポロよりもお姉さんなの?」
「おれは5番街に住んでるぜ。
うちの近くにはちっちゃいスペースがあってさ。
そこでいっつもボール蹴ってんだ」
アポロの住居は5番街にあるそうだ。
すぐ側には小さな空き地があるという。
「アイリは確かにおれより一個上だけど......。
だからって俺より偉いなんて認めてないからな!」
アイリは確かにアポロよりも年上らしい。
たった1歳の差ではあるが。
>「ねぇ、さっき言ってた『大人にみつからない場所』に、僕も行ってみたいな。いいな、そういう『秘密基地』みたいなの。かっこいいな。アポロとアイリだけが知ってるんだよね?」
「うん、まあ確かにそうだな。
あとでアイリに会いに行って許可を貰えたら教えてやるよ!」
フィンがアポロを家まで送る時に、アイリに許可を取ってくれるらしい。
許可を取れればすぐに、秘密基地まで案内してくれるだろう。
「楽しみだなー、へへ」
アポロはもう頭の中にはお菓子のことしかないらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
とりあえず各PCが分かれるまでの簡単な処理を(*´∀`*)
続きは次のカテゴリで行いますね!
二ェストルは5~15Gで適当な額でアポロにあげてください。
もし何か返しがあればここに記載しておいてください。