4-アナザーバード
3番街から2番街の方角――つまり北を目指して飛んでいく鳥。
どことなく光の力を感じたそれを。
>「少しの間喋るな、舌をかむよ」
ティキは追いかけることにした。
心配そうな顔のアイリを抱き上げて。
――行き交う冒険者や旅人の合間を縫って駆け出した。
* * *
3番街を北上し、ティキは2番街へ駆け込む。
頭上を飛ぶ鳥はスピードを緩めず、更に北へと進んでいく。
見失うことこそないものの、その距離は少し、また少しと開いて見える。
空を自由に飛んでいることもあり、相手側の速度の方が若干速いのだ。
とはいえ、2番街はどちらかというと落ち着いた雰囲気で。
人通りの多さも先程に比べれば若干少ない。
多少スピードを上げてティキも走っていけるはずだ。
完全に引き離されることはないだろう。
――このまま行けば次にたどり着くのは。
* * *
コンチェルティアの1番街。
最も歴史のある建物が多く立ち並ぶ区画だ。
神殿の数が多いことでもよく知られている。
屋根に隠れて、なんとか見えていたかという透けて見える鳥は。
ある場所まで行けば、くるりと旋回し......急降下していく。
まるでどこかの建物に向かっているかのようで。
鳥が目指していた建物。
それはコンチェルティアで最も大きな神殿。
アステリアを祀る神殿であった。
急降下していく鳥はそのまま神殿の窓から内側へとすり抜けていった。
「び、びっくりしました......。
急にどうしたんですか?」
ティキが目的地までたどり着いた頃。
ようやくアイリが反応を返した。
若干混乱しているらしい......無理もないが。
アステリアの神殿は広く市民に門を開いている。
それは勿論観光客にも同様だ。
「もしかして、お祈りがしたくなったんですか?
そうなら、そうって言ってくれればよかったのに」
いきなり振り回されてアイリはほんのちょっとだけ不満そうだ。
まあ子供らしい口の尖らせ方ではあるが。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
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鳥からは多少離されそうになりますが、見失うことはありませんでした。
最終的にはアステリア神殿に到着します。
着いたあとはお好きな行動をどうぞ。
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>「び、びっくりしました......。
急にどうしたんですか?」
「ごめんね、いきなり」
ゆっくりアイリを地面へおろし、神殿の方を見た。あの鳥のようなものは中から出てくる様子はない。
>「もしかして、お祈りがしたくなったんですか?
そうなら、そうって言ってくれればよかったのに」
「そういうわけじゃなくてね―」
私はアイリに事情を説明した。
まあ要は、こういうおかしなものを見つけたから追ってきた、ということ。
しかし、何となく恥ずかしい。必死こいて追ってきたのに、妖精が入っていったのは妖精神の神殿。何のことはない、ただ神官か誰かが妖精魔法を行使していたのに過ぎないのだ。
「本当にごめん。折角だから、ちょっとだけ神殿の中でもみていこう。後で甘いものでも何でも、ご馳走するから」
もう一度謝って、神殿へ入るよう促した。ついでだから、どんな妖精だったかも見てやろうか。もしくは、飾ってある彫像でも見ようか。
PL
ご機嫌取りできるかな?
神殿はまあ、折角なので入ってみましょう。
残金 952G
いきなり担がれた状態で走り出されて。
少し不満そうな表情のアイリ。
>「そういうわけじゃなくてね―」
そんな彼女に対してティキは一通り説明してみることにした。
透明の鳥を追いかけてここまで来たことを。
「透明な鳥?
そんなの居たんですか?
ティキさんよく見つけられましたね......冒険者ってやっぱりすごいんですね」
一通り説明を聞いたら、とりあえず納得してくれたようだ。
ちゃんと理由があるならそれ以上怒らないほどには子供でないらしい。
それに先ほどの鳥はティキにしか見えていないようだった。
そういえば他に気がついていそうな者もいなかったような気がする。
>「本当にごめん。折角だから、ちょっとだけ神殿の中でもみていこう。後で甘いものでも何でも、ご馳走するから」
「約束ですよ!
絶対ですからね!
楽しみにしますから!
......えへ、それじゃあ神殿の中に入りましょうか」
ティキが甘いものをご馳走するといえば。
アイリはころりと表情を変えていく。
今から楽しみで仕方ないようだ。
* * *
アステリアの神殿の中はまるで花畑にいるようであった。
柱や天井の縁などは四季折々の花々の彫刻で飾られている。
椅子や台座などは白で統一され、カーブするフォルムが優美である。
床に敷かれた絨毯にはアステリアだろうか、一人の女神を中心にして......。
三つの妖精の姿が描かれている。
――よく見れば、その内のひとつはテンペストに似ているような気がしなくもない。
そして神殿のメイン区画たる聖像の周囲には。
生きた花が植わっており、丁寧に整えられているため、色鮮やかだ。
中央に佇むアステリアの聖像もまた美しい。
聖像の前に佇むのは淡い桃色のドレスのようなローブを身に纏った......。
これまた整った顔つきの長い金色の髪をした女性である。
その彼女の前にいるのは......。
透明な体をした鳩である。
鳩は何かを伝えようとするかのように女性の体をつつく。
透明の鳩の気持ちに応えようと女性は振り返り。
「すみません......もしよろしければなのですが。
少しだけお時間をいただいてもいいでしょうか?
私、この神殿の高司祭のダフネ・ルクスと申します」
ティキに話しかけた。
彼女はこの神殿の高司祭であるという。
おそらくコンチェルティアのアステリア神殿の代表者だ。
「いえ、たいしたことではないのです。
少し貴女と話したい者がおりまして」
どうやらティキと少しでも話したい者がいるようだ。
その話したいと思っている存在とはおそらく......。
「特に他に聞かれては困る話ではありませんので、ご一緒でも構わないですが。
別段面白い話でもございませんし。
そちらのお嬢様にはここの者が預からせていただくこともできます」
ついでにもし話をする場合でも、アイリのことは一時的に預かってくれるとのことだ。
現に今もアイリはちょっと置いてけぼりをくらっているせいか、少し落ち着きがない。
「失礼ながら、その前に一つだけ確認させていただいてもよろしいでしょうか。
貴女は......テンペストという名前に聞き覚えはありますか?」
最後に彼女は言った。
テンペストという響きを聞いたことがないか、と。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
【NPC:女性】に【ダフネ・ルクス】を登録しておきます。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の3つです。
・アイリを連れて話を聞きに行く
・アイリを預けて話を聞きに行く
・そもそも話を聞きに行かない
他にも何かございましたらお好きにどうぞ。
>「透明な鳥?
そんなの居たんですか?
ティキさんよく見つけられましたね......冒険者ってやっぱりすごいんですね」
説明には納得してくれたようで、疑問に思いながらも理解してくれたようだ。お詫びも喜んで受け取ってくれそうだ。
......しかし、見えづらそうな姿とはいえ、結構な人通りだというのに私以外に気づいていた者は居無さそうだったな。
***
神殿の中は、とにかく美麗だ。柱やいすの一つ一つにも気が使われて、そのどれもが芸術品である。
「すごいね、美術館並みだよ。寄ってよかったかもね」
しかし。
「......ん?」
その一つである絨毯を見たとき、気づいた。絵の中心にいるアステリア神、その周囲に描かれた三体の妖精......その一つは、もしかしてテンペストではないか?
伝承にうたわれていた妖精ではあったようだが、まさか神代からの古い妖精だったのだろうか。しかし最近、古のものによく会う。
ありがたいことだが。
神殿の中心たる聖像の周辺に来たとき、あの透明な鳥を見つけた。それは、聖像の前にたたずむ美しい女性の前にいた。
「あっ、あの鳥......」
そして彼女は、振り返るなりこんなことを言う。
>「すみません......もしよろしければなのですが。
少しだけお時間をいただいてもいいでしょうか?
私、この神殿の高司祭のダフネ・ルクスと申します」
聞けば、私と話したいものがいるのだそう。話を聞くなら、その間アイリは預かっていてくれるらしい。いてもいなくても構わないらしいけれどつまらない話だったら気の毒だし、もしかしたら仕事の話かもしれない。
「構わないけれど、ではその間この子を預かっていてほしい。お茶とお菓子でも出してあげて欲しいな」
言ってから、アイリの頭をなでる。
「私に会いたい人がいるんだって。ちょっと話を聞いてくるから、しばらく待っていてね」
>「失礼ながら、その前に一つだけ確認させていただいてもよろしいでしょうか。
貴女は......テンペストという名前に聞き覚えはありますか?」
「ある。あるどころか、あの大妖精となら会って話したこともある。今日この街に来たのも、土産を持ってまた会いに行くためで......」
話の内容とは、あの妖精についての事なのだろうか。
PL
アイリを預けてお話を聞きに行きます。どんな話か聞かれたら後で要点だけ伝えてあげればいいかなと。
>「すごいね、美術館並みだよ。寄ってよかったかもね」
神殿の中の造形を眺めながらティキは感嘆の声を漏らす。
「はい、この神殿はコンチェルティアの自慢の一つですから。
街の芸術家さんたち勿論よく来ますけど。
観光客の皆さんもわざわざ立ち寄っていかれるんですよ?」
ティキに応えるアイリの表情は誇らしげだ。
この街の人々にとってアステリアの神殿は大切な宝物なのだろう。
* * *
さて、神像の傍でダフネから話があると告げられたティキであった。
気になるのはアイリの処遇についてだ。
彼女は少しだけ考えたあと......。
>「構わないけれど、ではその間この子を預かっていてほしい。お茶とお菓子でも出してあげて欲しいな」
アイリを少しの間預けておくようにしたようだ。
「......え。
そんな、ティキさんひどいですー!」
置いていかれるという言葉だけを聞いて。
ティキの服の裾を引っ張って抵抗しようとするアイリであったが。
>「私に会いたい人がいるんだって。ちょっと話を聞いてくるから、しばらく待っていてね」
ティキが改めてアイリに話しかけると。
少しだけ床の方を見ながらではあるものの。
「わかりました。
あまりティキさんにご迷惑おかけしたくないですし。
でも......でも、なるべく早めに帰ってきてくださいね!」
ひとまずティキと離れることを了承してくれた。
傍にいた女性の神官に付き添われて、来客用の部屋まで向かうようだ。
アステリアの女神像の前に残っているのはティキとダフネ、あと鳩が一匹。
「それでは、私たちも参りましょうか」
まず一番最初に口を開いたのはダフネであった。
彼女はティキをある場所へ連れて行くようだ。
ダフネが移動すればまるで当然のことかのように鳩もついていく。
聖像の更に向こう側にある扉。
その奥へと......。
* * *
扉の向こうはあまり広くはないが。
外からの光が美しい色とりどりの硝子模様越しに差し込む清浄な部屋であった。
「ここは......栄光の間と呼ばれております。
この部屋には......コンチェルティアの守護精がおります。
その守護精こそ......」
「――私よ」
ダフネがこの栄光の間について説明してくれる。
その栄光の間にいるという守護精こそ。
ティキがここまで追いかけてきて、今天井めがけて羽ばたいている透明の鳩である。
眺めていれば透明の鳩の内側から金色の光が広がり。
光の中で鳥の姿は人の姿へと変わっていく。
透き通る乳白色の白い肌。
髪の色は光にきらめく栄光あるゴールド。
そして背中には妖精であることを主張する宝石細工のように美しい翅。
光の中に現れたのは、女性型の妖精の姿だった。
「私はグローリア。
神代からの盟約において、この地を穢れから守っているわ。
......まあ少し昔みたいなあまりにも強大すぎるものだとどうしようもないけれど」
彼女の名前はグローリア。
その風貌や力からして、光の妖精に類する者であろう。
グローリアはコンチェルティア周辺の守護精として街を守り続けているらしい。
流石に第二の剣が使われたかもしれないと言われる<大破局>では力が及ばなかったようだが。
「貴女、街の中で私のことが見えていたでしょう?
そのことがとても気になっていたのよ。
透明になった私を感知できるとしたら......そうね。
私か私に似たマナの流れを知っている者だけだから」
ティキは気づいていたかわからないが。
透明な鳩の姿で空を飛んでいたグローリアはティキが追いかけていることに気づいていたようだ。
本来グローリアを追いかけることなどできないはずのため、気になったらしい。
「でも、さっき実際に貴女に近づいてみてわかったわ。
貴女には僅かだけどテンペストの魔力の残滓がある。
そのお陰で私の姿を曖昧にでも捉えることができたのね。
テンペストと私はそうね、姉妹みたいなものだから。
私、テンペスト......そしてあと一人はアステリア様に生み出された三剣の精なのよ」
グローリア曰くテンペストと彼女は姉妹のようなものらしい。
先ほどの絨毯に絵が書かれていた三精がそれであろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
アイリは預かられました。
【NPC:女性】に【グローリア】を登録しておきます。
あとの部分はお任せしちゃう。
>「ここは......栄光の間と呼ばれております。
この部屋には......コンチェルティアの守護精がおります。
その守護精こそ......」>「――私よ」
目の前に現れたのは、輝く女性の姿をした妖精だった。しかも先ほどまで追いかけていたあの鳥こそが、その正体であったのだ。そしてその姿は、先に見たあの絨毯に描かれていた三体の妖精。あのうちの一つのようだ。
>「私はグローリア。
神代からの盟約において、この地を穢れから守っているわ。
......まあ少し昔みたいなあまりにも強大すぎるものだとどうしようもないけれど」
「私はティキ・ラウリ、冒険者をやっているよ。―いい街だね、ここは」
>「貴女、街の中で私のことが見えていたでしょう?
そのことがとても気になっていたのよ。
透明になった私を感知できるとしたら......そうね。
私か私に似たマナの流れを知っている者だけだから」
>「でも、さっき実際に貴女に近づいてみてわかったわ。
貴女には僅かだけどテンペストの魔力の残滓がある。
そのお陰で私の姿を曖昧にでも捉えることができたのね。
テンペストと私はそうね、姉妹みたいなものだから。
私、テンペスト......そしてあと一人はアステリア様に生み出された三剣の精なのよ」
そうだったのか。それなら道行く人が誰も気づかなかったのもわかる。それに、強い力と古い経歴についても。
「テンペストとは、少し前に知り合ったんだ。依頼人の頼みを聞いてもらうのに骨を折ったっけ......私がこの街に来たのは、彼女があんまり暇してるっていうらしいんでお土産持って会いに来たから」
「......そういえば、姉妹と言ってもやはり違うね。テンペストはもっとこう......自分の欲を第一に行動してるようだったけど」
やはり、同じ神から生み出された妖精でも随分と違うものだ。テンペストは極めて享楽的で、グローリアは己の使命に忠実だ。
......しかし本当に最近、古のものによく合うな。
盟約、か。
かの境界の竜の名を、思い出した。
「あなたに会えたのは、幸運だったな。テンペストに会った時に、土産話にするよ......さて、そろそろ戻らなきゃ。あの子を待たせてるんだ、甘いものを奢る約束をしているんだよ」
そこで、はたと思いついた。理由も何もない、ただの思い付き。
「あ。あなたも来る?」
PL
その場の思い付きで食べ歩きについてこないか誘っちゃいます。
ティキの心臓が強くなりすぎて多少の事では動じなくなってきました。
だいたいあんみつGMのセッションのせい(おかげ)。
>「私はティキ・ラウリ、冒険者をやっているよ。―いい街だね、ここは」
グローリアからの挨拶に応え、ティキも自己紹介を返す。
「そう、ティキって言うのね。
テンペストだけじゃなく......私ともよろしくお願いね?
私も華やかなこの街のことは好きよ」
お茶目な表情を作って笑う。
それでもテンペストの笑い方とは結構違うようだ。
>「テンペストとは、少し前に知り合ったんだ。依頼人の頼みを聞いてもらうのに骨を
折ったっけ......私がこの街に来たのは、彼女があんまり暇してるっていうらしいん
でお土産持って会いに来たから」>「......そういえば、姉妹と言ってもやはり違うね。テンペストはもっとこう......
自分の欲を第一に行動してるようだったけど」
そんな違いが気になったのか。
ティキは疑問を言葉に出して言ってみる。
「まあ、それぞれの役割が違ううえに......司る力も違うものね。
でもテンペストはああ見えて、この地を守ってはいるのよ。
街の北部で蛮族の出現があまり見られないのは......。
テンペストの力が及んでいるからだもの」
グローリアが語るには、由来が同じでも役割や司る属性が違うから当然らしい。
だが、事実としてテンペストのおかげで街の北側は蛮族の被害が少ないようだ。
――とりあえず、グローリアと軽く話し終えたところで。
>「あなたに会えたのは、幸運だったな。テンペストに会った時に、土産話にするよ......さて、そろそろ戻らなきゃ。あの子を待たせてるんだ、甘いものを奢る約束をしているんだよ」
ティキはアイリの待つ場所へ向かおうとする。
>「あ。あなたも来る?」
だがそこで一つ思いついたことがあったようで、彼女は口に出してみた。
それはグローリアを食べ歩きに誘うというもの。
この地の守護精であるという彼女に対しては結構な物言いな気もしなくもないが。
「あら、私甘いものには目がないのよ。
誘ってくれるなら是非ついていくわ。
今更嘘でした、なんて言わないわよね?」
そしてティキに誘われたグローリアはというと。
どうやらその誘いに乗り気なようだ。
むしろ一度話してしまったら意地でも来るつもりらしい。
「でも、甘いものを食べに行くにはどんな格好がいいかしら。
こんな格好?」
誘いに乗った彼女がまず気にしたのは自分の姿だ。
流石に妖精の羽根を生やしたままでは歩き回れない。
そこで彼女は自らの姿を光で包み、その中で見た目を変える。
現れたのは概ねディテールは変わらず、人間の姿になったグローリアだ。
「それともこんな格好がいいかしら?」
次に光の中から姿を現したのは、だいたいアイリと同年代の少女の姿。
白い肌と金色の髪は変わらないが。
「あえてこんな格好も面白いかもしれない」
また次に変わった姿は肌の色や髪色、全体の雰囲気は残しているが。
その容姿は確実に男性のものだ。
すらりとした体型の高身長で、なかなかの美形だ。
「どんな格好がいいと思う?」
再度元の姿に戻ったグローリアはティキに問いかけた。
彼女の気に入った格好にするつもりらしい。
* * *
人の姿になったグローリアを連れてティキはアステリア神殿の外に出る。
建物の傍にはアイリの姿があった。
ティキたちより少し先に出ていたらしい。
「もう、遅いですよ?
まあ、甘いもので許してあげますけど」
アイリの口調は怒っているというよりかは冗談めいたものだった。
現に口元がほんのり笑っている。
「あれ、後ろにいるのはどなたですか?」
アイリは少ししてティキの後ろにいる人影に気づいたようだ。
今グローリアが見せている姿によって。
彼女の反応もある程度変わることだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
グローリアはティキたちの食べ歩きについていきます。
その際の格好についてはお好きなものでどうぞ。
本文に出ていない姿にも変身できます。
一応肌色と髪色も変えられるは変えられます。
入口ではアイリが待っていました。
次は甘いものでも食べに行きましょうか。
あなたも来るかと問うてみたらば。
>「あら、私甘いものには目がないのよ。
誘ってくれるなら是非ついていくわ。
今更嘘でした、なんて言わないわよね?」
グローリアは随分フランクな性格らしい。それはもう乗り気である。
>「でも、甘いものを食べに行くにはどんな格好がいいかしら。
こんな格好?」
グローリアは自らの体を光に包むと、羽根のない人間の格好で現れた。そしてこれがいいか、これがいいかと次々に姿を変えて見せる。結構な高等術だと思うのだが、実にあっさりやってのけるものだ。
「どんな格好がいいと思う?」
「うーん......最初のが一番素敵かな。そのままでいいと思う」
私は彼女が最初に変身した、彼女の元々の姿に近い恰好を推した。
......とはいえこれはまた、ナンパの心配をすべきかも。
* * *
>「もう、遅いですよ?
まあ、甘いもので許してあげますけど」
良かった、機嫌を損ねているわけではなさそうだ。
「ごめんね、アイリ。何かお目当てのものはある?それを食べに行こう」
出発を促すと、アイリは私の後ろをのぞき込み、こんなことを聞く。
>「あれ、後ろにいるのはどなたですか?」
ああ、と振り向いて、アイリにグローリアを紹介した。
「この方は、グローリアさん。普段はこの街を守る仕事をしてらっしゃるんだって」
妖精であるという事は伏せておいた方がいいと思ったし、こんなものでいいだろうか。神殿仕えや衛兵なんかと勘違いしてくれれば御の字。嘘はついてないし。
続いてアイリをグローリアの方に紹介。
「この子はアイリ。今私とデート中なんだ」
そしてまたアイリに向き直り。
「約束の甘い物、この方も一緒にいいかな?彼女も甘い物が大好きなんだって」
PL
グローリアの格好は、最初の羽だけない姿のものにしてもらいます。
そしてGMにお願い。
甘味屋目指して街を歩く道中、どーしても買いたいものがあります。
ルートに服飾店あったりしないでしょうか?あると回答頂けたら、次回進行で勝手に寄ってお買物しようかと思います。
>「うーん......最初のが一番素敵かな。そのままでいいと思う」
「あら、思ったより保守派なのね。
まあいいわ、私はどんな姿でも構わなかったもの」
ティキが一番最初の姿。
つまり元々に限りない姿がいいと言えば、彼女はその姿に変化した。
この姿で街を歩くことにしたつもりらしい。
「というわけでダフネ、私出かけてくるからよろしくね。
後お金ちょっと借りていくわよ」
栄光の間を出る際にグローリアはダフネに向けて軽く手を振って行った。
* * *
ティキとグローリアが神殿の外へ出ると。
そこにはアイリがティキの帰りを待っていた。
>「ごめんね、アイリ。何かお目当てのものはある?それを食べに行こう」
アイリに待たせたことを謝りながら、何か食べたいものがあるか聞いてみたら。
「わたし、最近6番街で流行りのケーキが食べたいです。
かわいい動物の形をしてるんですよ?」
彼女の表情は実にキラキラとしたものであった。
アイリのお目当ては6番街で流行のスイーツらしい。
かわいい動物の形というのは、女の子にとって魅力的だろう。
――そんなアイリが気になったのはティキの後ろにいたグローリアだ。
彼女の正体を尋ねる問いかけに対して。
>「この方は、グローリアさん。普段はこの街を守る仕事をしてらっしゃるんだって」
ティキが答えれば、後ろでグローリアがチャーミングに微笑む。
>「この子はアイリ。今私とデート中なんだ」
そのままティキはグローリアの方へと振り返り。
アイリについて簡単に説明する。
「こんにちは、アイリちゃん。
彼女が説明してくれた通り、私はグローリア、よろしく。
デート中だなんて、もうすっかり大人の仲間入りね?」
グローリアはティキの説明に頷いたあと、しゃがみこんでアイリに挨拶する。
「はい、よろしくお願いします。
グローリア、さん」
アイリの方は最初は若干緊張していながらも。
大人扱いされたことが嬉しいのか、笑顔で素直にグローリアへの言葉を返す。
>「約束の甘い物、この方も一緒にいいかな?彼女も甘い物が大好きなんだって」
二人の挨拶が終わったあと。
ティキは改めてアイリに向き直り、グローリアが同行していいか許可を取る。
「私は構いません。
グローリアさんはティキさんの知り合いなんですよね。
それに、グローリアさんもティキさんに負けず素敵ですし」
とりあえずアイリはグローリアの動向を許可してくれたようだ。
* * *
三人はひとまず6番街へ向かうことにした。
1番街からは大通りを横切っていけばすぐだが。
別に少しくらい遠回りしてみても構わないだろう。
服飾店を探すなら、色んなところにその姿を発見できる。
* * *
「ここ、ここですよ!」
6番街に着いた後でアイリが駆け寄った先にあったのは。
可愛らしいオレンジ色の屋根をした建物であった。
最近オープンしたばかりの焼き菓子屋らしい。
店内はそれなりに人が多いが、上手いくらいに一席確保することができた。
三人が店内奥側の席に着いたとき。
「ねえ、アイリちゃん。
よかったらおすすめのお菓子三人分買ってきてくれないかしら?
お金はこれで払っていいわ。
ティキ、あなたもいいわよね?」
グローリアは自分の......より正確に言えば神殿の財布を取り出した。
これで三人分アイリに買ってきてもらいたいようだ。
アイリに話しかける一方でグローリアは軽くティキに目配せする。
ティキに話したいことでもあるのだろうか。
「わたしは構いませんけど。
ティキさんもそれで大丈夫ですか?」
アイリはグローリアから財布を受け取ったまま。
ティキの顔を見つめていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
服飾店はルートの途中で訪れても構いません。
場面は6番街のお店に移動しております。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・アイリにお菓子を買ってきてもらう
・アイリとお菓子を買いに行く
他にも何かございましたらお好きにどうぞ。
「......あ」
目当てのお店による途中、ふと目に入った服飾店。
「ごめん、ちょっと寄らせてもらうね。買いたいものがあったんだ」
そういって店に入って、
「うーん。んー」
軽く悩んでから、これとこれを、と店員に渡す。
それは二つの帽子。色は白のものと黒のもの、つばが広くて柔らかな形。私の趣味なのでやはり華美でないが、生地の良い物。無地のようであるが、ワンポイントで小さく花の装飾があしらってある。
「丁度帽子が欲しいと思ってたんだよね。ほら、アイリにも」
代金を支払った後、白い方の帽子をアイリに被せた。我ながらよく似合うものを選べたと思う。
「プレゼント。セットで買って安くしてもらったし、お金は気にしないで」
子供の帽子にするには少しだけ大人っぽい気がするが、そこはアイリも気に入ってくれるのではないだろうか。
「あなたもどうかな。これなんか似合うと思うんだけれど」
折角だから、グローリアにも勧めてみるのだった。
......言ってから思ったが、姿を変えられる彼女には必要なかったかもしれない。
***
>「ここ、ここですよ!」
アイリがはしゃいで駆け寄ったのは、目を引く色の焼き菓子屋。アイリの話だと、動物型のケーキが売りなんだったか。
混み合っているように見えたが、意外にすんなり座れた。今日はついている日なんだね。
>「ねえ、アイリちゃん。
よかったらおすすめのお菓子三人分買ってきてくれないかしら?
お金はこれで払っていいわ。
ティキ、あなたもいいわよね?」
席に着くと、突然グローリアがそんなことを言う。同時に私に向けてした目配せは、明らかに何らかの意図ありきのものだった。
私はごくわずかな動きで頷いてみせてから、グローリアの言葉に同意した。
「もちろん。―アイリ、悪いけどお願い。支払いもその方が混まなくていいしね......あ、お菓子はアイリのセンスにお任せするよ」
お菓子を買いに行くアイリを見送って、少し居住まいを正す。
何か二人でなければできない話があるのだろうか、彼女の言葉を待った。
PL
買いたいものは帽子でした。
グローリアに勧めたのは白のオプティモ。お金はティキが払うつもりがあったり。
お菓子はアイリに買ってきてもらい、グローリアの話を聞きます。なんだろう。
帽子二つで50ガメルほどのものにします。
>「ごめん、ちょっと寄らせてもらうね。買いたいものがあったんだ」
アイリおすすめの菓子屋に至る道中。
服飾店を見つけたティキは少し寄っていくことにした。
>「丁度帽子が欲しいと思ってたんだよね。ほら、アイリにも」
その店でティキが購入したのは二つの帽子だった。
黒い帽子は自分のために。
もう一つの白い帽子は......。
>「プレゼント。セットで買って安くしてもらったし、お金は気にしないで」
アイリの頭にちょこんと被せてやる。
彼女は両手を挙げてつばの部分にそっと触れてから。
嬉しそうにティキに向けて笑った。
「いいんですか、嬉しい!
えへ......ティキさんとお揃いだ......へへへ」
アイリは帽子を深く被りながらくるりと一回転する。
その表情はとても満足そうだ。
ティキとお揃いで、大人な気分を味わっているらしい。
>「あなたもどうかな。これなんか似合うと思うんだけれど」
ティキはグローリアにも声をかけてみる。
手近な場所に彼女に似合いそうな帽子を見つけたのだ。
「ふふ、ありがとう......でも遠慮しておくわ。
私はあんまり帽子というものが好きでないの。
せっかくの日差しは、浴びないと損というものでしょう?」
グローリアは残念ながら帽子が好きではないらしい。
その理由は光の妖精らしいものかもしれないが。
* * *
席に着くと早々、グローリアはアイリにおつかいを頼む。
>「もちろん。―アイリ、悪いけどお願い。支払いもその方が混まなくていいしね......あ、お菓子はアイリのセンスにお任せするよ」
ティキもアイリに頼むことにしたようだ。
グローリアの気持ちを汲んだとも言えるだろう。
「任せてください!
美味しくて可愛いの選んできますからね!」
二人に頼まれたアイリはとても張り切っているようだ。
グローリアから財布を受け取って、商品が陳列された棚の方へと向かっていく。
グローリアは軽くアイリの行動を見届けたあと。
「ティキ、貴女に一つ頼みがあるの。
私にはこの地を守る役目があることは言ったでしょう?
例えば、私は穢れの動向を常に見張っているの。
だからつい最近、私は幾つもの穢れがこの街に入ってきたことを感じた。
僅かばかりの穢れなら多いとは言わないけれど、この街にも以前から見られたわ。
......でも今回のものはそれよりも少し濃度が高かった」
グローリアがティキに話したこと、それは......。
最近決して弱くない穢れが、幾つか街に流れ込んできたことについてだった。
ティキには心当たりはあったりするのだろうか。
「そこでテンペストの知り合いで冒険者である貴女に頼みががあるの。
出会うことがあればその穢れがこの街にとって害となるかどうか確認して欲しい。
ただ、もし害があった場合でも貴女は何もしなくてもいいわ。
教えてくれるだけでいいの、対処するのは私たちの仕事だから」
そんなことを話していたらアイリがトレイを持って戻ってくる。
三つのお皿の上には焼き菓子が一つずつ乗せられていた。
「貴女の気持ちに任せるわ。
どうするか、全てをね。
......じゃあアイリちゃんが持ってきてくれたお菓子頂くわね。
ありがとう、噂の通り可愛らしいわね」
グローリアが取ったお皿に乗っていたのは、蝶の形をしたケーキだ。
どことなくレモンの香りがするそれは、見方によっては妖精の羽に見えるかもしれない。
「はい、とても可愛くて美味しそうです。
ティキさんにはこれ、どうぞ!」
アイリが差し出したのは可愛いお皿と上にちょこんと乗ったケーキ。
ぶどうの匂い香る紫色のデフォルメされたドラゴンの形だ。
「どれがいいか迷ったんですけど。
ティキさん竜が好きって言ってたし。
あ、でも食べるのは......ちょっと違ったでしょうか?」
そう話すアイリの目の前のお皿にあったのは。
白い鳥の形をしたお菓子だった。
* * *
「うん、程よい酸味と甘味で大人の味だったわ。
さすがアイリちゃんね」
グローリアが食べ終えた感想を述べる。
それを聞いたアイリは恥ずかしそうにはにかむ。
ティキが食べたケーキもぶどうの味が程よく。
甘すぎないしっとりとした風味であったことだろう。
「私のも、美味しかったです。
砂糖が甘くて、それに可愛い鳥の形......」
そこまで口にしたところでアイリは話すのをやめてしまう。
なにか思い出したようで、悲しそうな表情だ。
「シュガー、どこに行っちゃったの?。
もしかして、帰ってたりとか......しないかな」
やっぱりシュガーのことを。
飼っていた小鳥のことを思い出したのだろう。
「ねぇ、ティキさん一度家の方まで戻ってみてもいいですか?
シュガーったらお腹がすいて帰ってるかもしれないし」
アイリはこの店を出たら5番街に戻りたいという。
あまりシュガーが帰っている可能性は高くないだろうが。
鳥の形のお菓子を食べてしまって、抑えてた気持ちが表に出てきてしまったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
帽子はアイリは受け取ってくれます。
グローリアは帽子は好きじゃないようですね。
お食事についてはお好きにどうぞ。
ケーキの形についてはアイリが適当に選びました(・∋・)
食べ終えた後アイリは5番街に帰ってみたくなったようです。
どうするかはティキにおまかせします。
アイリは私のプレゼントを、とても気に入ってくれたようだ。
グローリアには受け取ってもらえなかったが、気持ちは伝わっただろう。
***
>「ティキ、貴女に一つ頼みがあるの。
私にはこの地を守る役目があることは言ったでしょう?
例えば、私は穢れの動向を常に見張っているの。
だからつい最近、私は幾つもの穢れがこの街に入ってきたことを感じた。
僅かばかりの穢れなら多いとは言わないけれど、この街にも以前から見られたわ。
......でも今回のものはそれよりも少し濃度が高かった」>「そこでテンペストの知り合いで冒険者である貴女に頼みががあるの。
出会うことがあればその穢れがこの街にとって害となるかどうか確認して欲しい。
ただ、もし害があった場合でも貴女は何もしなくてもいいわ。
教えてくれるだけでいいの、対処するのは私たちの仕事だから」
グローリアが語ったのは、私への頼み事だった。その内容は、街へ入ってきた穢れの、害の有無の調査。
「......実はその穢れの正体について、もう心当たりがある。今この街に蛮族の楽団が来ている、そして私はその公演のチケットを持っている。見極める機会があるんだ」
早口気味に喋る。ちらりとアイリの方を見た。そろそろこちらへ戻ってこようかという頃合いだ。
>「貴女の気持ちに任せるわ。
どうするか、全てをね。
......じゃあアイリちゃんが持ってきてくれたお菓子頂くわね。
ありがとう、噂の通り可愛らしいわね」
アイリが持って来てくれたのは、自分に鳥型のケーキ、グローリアに羽型のケーキ、そして私にドラゴンのケーキ。
「アイリ、知ってたの?いや、知ってるはずないけど。ニコデムスは--私の竜は、紫紺の鱗なんだ。これ、私にぴったりだよ」
アイリのチョイスに感心しながら、ケーキの皿を手前に寄せる。
そしてフォークでソースを少しとり、グローリアに見えるよう皿に『承知した』と手早く書き、ケーキで拭って口へ運んだ。
***
>「うん、程よい酸味と甘味で大人の味だったわ。
さすがアイリちゃんね」
「私のも。ちょうどいい甘さで深い味だったよ」
>「私のも、美味しかったです。
砂糖が甘くて、それに可愛い鳥の形......」
ケーキの感想を言い合っていると、突然アイリがしゅんとした顔になる。
「アイリ?」
>「シュガー、どこに行っちゃったの?。
もしかして、帰ってたりとか......しないかな」
ああ、やはり気にしていたのだ、この子は。
分かっていたことだが、どうしても心の中ではシュガーのことを忘れられなかったのだろう。
「いいよ、戻ってみよう。一度親にも顔を見せておかないと、昼も帰らず出歩いちゃったから心配しているだろうしね」
PL
5番街のアイリ宅に戻ることを選択します。
そろそろちゃんと顔出して説明しとかないと、捜索願出されかねない!
グローリアがティキに話したかったこと。
それはコンチェルティアに入り込んだ穢れの集団についてだ。
>「......実はその穢れの正体について、もう心当たりがある。今この街に蛮族の楽団が来ている、そして私はその公演のチケットを持っている。見極める機会があるんだ」
ティキはその集団について心当たりがある旨を告げ。
ステージを見に行くことで彼らについて見極められる機会があることも。
「蛮族の楽団か......純粋に音楽をやるために来ているのならいいけれど」
グローリアの口調はどことなく心配そうだ。
それだけこの地を守りたいという意思があるのだろう。
そうこうしているうちにアイリが戻ってきて。
ティキには葡萄味のドラゴン型のケーキを持ってくる。
>「アイリ、知ってたの?いや、知ってるはずないけど。ニコデムスは--私の竜は、紫紺の鱗なんだ。これ、私にぴったりだよ」
「え、そうなんですか?
わたし......たまたま選んだだけなんですけど......。
これでティキさんが喜んでくれるなら、嬉しいです!」
ティキの言葉を聞いたアイリは、嬉しそうに頬を染めた。
一方、ティキからグローリアへ向けられた合図はちゃんと彼女に伝わったらしく。
グローリアは「頼むわね」と音を出さず、口を動かしただけで返した。
* * *
美味しいケーキの時間を過ごしたはずが。
アイリの表情は明らかに暗い。
どうやらシュガーのことを思い出したらしい。
>「いいよ、戻ってみよう。一度親にも顔を見せておかないと、昼も帰らず出歩いちゃったから心配しているだろうしね」
もしかしてシュガーが戻っているかもしれない。
そんな僅かな望みから5番街の家に帰りたいとアイリが語れば。
ティキは一旦アイリの家に向かうことに承知した。
「ティキさん......ありがとうございます」
まだ晴れない顔でアイリは感謝の意を示す。
一方ケーキを食べ終えたグローリアはというと。
「私は神殿で仕事があるから帰ることにするわ。
何があったのかはよく知らないけど、アイリちゃん元気出して。
――ティキ、貴女に後のことは任せたわよ、全部ね」
彼女は神殿に戻るつもりらしい。
守護精として、何かしなければいけないことでもあるのだろうか。
「......はい、わかりました。
さようなら、グローリアさん」
アイリの見送る手にも力がない。
今まで閉じ込めていたものが一気に出てきてしまったのだろうか。
* * *
5番街へ向かった後もアイリの足取りは重い。
入口を抜けて。
公園を抜けて。
住宅街の方まで歩いていく。
すると見えたのは小さな人影。
銀色の髪の少年、アポロである。
「アイリ!」
彼はこちらの方まで駆けてくる。
その顔には笑みが浮かんでいた。
「......アポロ?」
アポロを見たアイリは驚いた顔、怒った顔、悲しそうな顔へと表情を変えていく。
シュガーについてアポロに対しては複雑な思いがあるのだろう。
ただそんなことはお構いなしにアポロはアイリの手を取って言った。
「アイリ、おれシュガー見つけたんだぜ!
街中走り回ってさ!
......じゃなくて」
勝手に走る言葉を止められないかのように言葉を紡ぎ続けていたアポロだったが。
なんとか途中で言葉をせき止めて、少し真面目な表情を作ろうとする。
「ごめんな、シュガー逃しちゃったりして。
おれ、もう二度としないからさ......その。
アイリ、許してくれるか?」
ぺこりと頭を下げるアポロ。
アイリはというと、彼が何を言っているのか把握しきれていないようだ。
「シュガー......見つかったの?」
それでもなんとか言葉を発すれば。
「そうよ、アポロが見つけてきたの。
ほら、ここにいるでしょう?」
アポロの向こう側からどことなくアイリの面影を残す女性がやってきて答えた。
アイリの母親であろうか。
彼女の手には鳥籠が......中には大人しく佇む鳥の姿があった。
「......シュガー!」
アイリは鳥籠を視界に捉えるや否や、その傍まで近寄って。
籠越しに鳥の姿を見つめた。
「よかった......もうシュガーに会えないかと思ってた......。
また会えて......よかった......」
少し涙声になっている気がした。
鳥籠を持った女性はアイリの頭を優しくなでる。
「あのさ、アイリ。
......おれ、アイリにプレゼントがあるんだ。
アイリって音楽好きだろ?
おれ、チケット二枚もらったから一緒に行こうぜ」
そんなアイリにこわごわとアポロは近づいて。
チケットを一枚差し出す。
ティキにとってはどこかで見覚えのあるチケットだ。
「......え、チケット?」
アイリはまずそのチケットを受け取って。
反対の手で涙を拭った。
「......アポロって本当にドジだよね。
わたし、同じチケットもう持ってるの」
アイリの言う通りだ。
アポロがアイリに差し出したのは、トゥルー・ソウルズのチケットである。
少し前に長髪の男から受け取ったものと同じだ。
「えー、そんなあ......」
アポロはアイリの態度に残念そうにうなだれる。
期待していた返答とは異なっていたのだろう。
「でも、気持ちだけはもらっておいてあげる。
わたしも行くつもりだったし、一緒に行ってもいいよ。
ただ勘違いしないでね、アポロと行きたかったわけじゃないんだから。
わたしはティキさんと行きたかっただけなの」
それでもアイリは誘われたこと自体は嬉しかったのだろう。
さっきまでの暗い表情とは打って変わって、楽しそうな顔に戻っていた。
......言葉の終わりに言い訳がましく、付け足した部分もあったが。
「お、おれもアイリと行きたかったわけじゃないぞ!
ヴェンが渡したらどうだって言ってたから渡しただけだもん!」
子供のアポロはそんな付け足した部分がつい気に障ってしまう。
そして不必要に反撃してしまうのだ。
「なによ!」
「なんだよ!」
だから、こうなってしまうのも仕方がない。
せっかく喧嘩が終わったかと思えばまた新たな喧嘩が生まれそうになっていた。
「まあまあ、二人共落ち着きなさい。
落ち着かなかったら、今度からおやつ抜きだからね!」
そんな二人を仲裁するのはアイリの母である。
どうやらおやつ抜きは二人には聞いたらしく、それ以上の応酬はなくなった。
そのまま彼女はティキの傍に寄ってきて。
ティキに向かって話しかけた。
「あなたがティキさんでよろしいかしら?
どうやらうちのアイリが懐いてしまったみたいで。
ご迷惑かけていたらごめんなさいね。
それにこの後一緒にステージを見る約束までしてるみたいで。
大変でしたら断っても構いませんからね?」
アイリを預かってもらったことへの感謝と謝罪を示したかったようだ。
ついでにこのあとに予定している公演についても確認したかったのかもしれない。
スケジュールを把握していないと、外出している娘のことが心配なのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
ティキルート進行です。
まずは5番街まで移動します。
移動する時点でグローリアとは別行動になりますね。
5番街に戻れば、アポロとシュガーを連れたアイリの母親が待っています。
ティキは次の行動を選択してください。
具体的なものは以下の2つです。
・トゥルー・ソウルズの公演に行く
・トゥルー・ソウルズの公演に行かない
公演に向かう場合は時間を進ませますので、
それまでにやりたいことがもしございましたら行っておいてください。
他に関してはお好きにどうぞ。
>「私は神殿で仕事があるから帰ることにするわ。
何があったのかはよく知らないけど、アイリちゃん元気出して。
――ティキ、貴女に後のことは任せたわよ、全部ね」
グローリアの言葉に、私はゆっくり頷きを返した。
***
重い足取りを導くように、手を引いて歩いた。そろそろアイリ宅に着こうかという時、家の方から走ってくる小さな人影が。
>「アイリ!」
あの少年はアポロか。朝に会った時とはうって変わって生き生きとした表情をしている。これは、もしかすると......
>「アイリ、おれシュガー見つけたんだぜ!
街中走り回ってさ!
......じゃなくて」
やっぱり。やるじゃないか、少年。
その後アポロは、謝るべきことをちゃんと謝り、頭を下げた。そしてアイリの母の持つ籠の中には、確かに白い鳥の姿があった。
>「......シュガー!」
アイリは抑えていたものがあふれだしてしまったらしく、その声は涙声。
「よかったね、アイリ。シュガーが見つかって」
そしてアポロは詫びにとなのか見覚えのあるチケットを取り出した。もしかしてあれは、トゥルー・ソウルズのチケットではないか。
>「......アポロって本当にドジだよね。
わたし、同じチケットもう持ってるの」
が、あいにくとそれは私が二人分持っているのだ。
そして二人は口論へ。
それをアイリの母が厳しく諭す。
その光景にけらけら笑っていると、彼女は私の方へ歩いてきて、話しかけてくる。私はそれに笑顔で応えた。
>「あなたがティキさんでよろしいかしら?
どうやらうちのアイリが懐いてしまったみたいで。
ご迷惑かけていたらごめんなさいね。
それにこの後一緒にステージを見る約束までしてるみたいで。
大変でしたら断っても構いませんからね?」
「迷惑など!むしろ、あちこち案内を頼んで随分連れまわしてしまいました。あの子にはとても感謝しています。―改めまして、ティキ・ラウリといいます。こんななりですが、本来は冒険者を生業としています」
「それと、公演にはもともと私も行くつもりでしたから、よければこのまま引率しましょう。開演は日暮れからのようですから、子供には送り迎えが必要です......ああ、というか」
袋からチケットを二枚取り出す。
「アポロは自分の一枚と余分に一枚。そして私のはここに二枚。一枚余ってしまうので、折角ですからご一緒にどうですか?」
何にしても、子供二人だけで向かわせるよりは、私が引率として同行した方が親は安心できるだろう。
「アポロ、私も君が一緒で構わないよ。トゥルー・ソウルズの公演、楽しみだね」
PL
もうあらかたやりたいこともできたので、いよいよ公演に向かいます。
チケットに一枚余りがあるので、アイリの母を公演に誘います。
アポロとアイリが口喧嘩をしている間のこと。
アイリの母親がティキに話しかける。
>「迷惑など!むしろ、あちこち案内を頼んで随分連れまわしてしまいました。あの子にはとても感謝しています。―改めまして、ティキ・ラウリといいます。こんななりですが、本来は冒険者を生業としています」
まずは自分の娘が迷惑をかけたのではないかと聞く彼女に対して。
ティキは特に迷惑とは感じなかったことを語る。
「そうですか、それを聞いて安心しました。
あの子は自分では大人びているつもりのようだけど......。
まだまだ誰かに甘えたい子供の部分も沢山ありますし」
彼女の視線の先にいるのはアイリとアポロ。
少し大人しくなったかと思えば、二人は違う原因からまた喧嘩をはじめている。
ティキといた頃よりもその表情はずっと子供らしく見えた。
>「アポロは自分の一枚と余分に一枚。そして私のはここに二枚。一枚余ってしまうので、折角ですからご一緒にどうですか?」
また、アポロがチケットを二枚持ってきたことで現在ではここに四枚集まったことになる。
その一枚余ってしまった分について、ティキはアイリの母を誘うために使った。
「せっかくのご好意甘えたいところなのだけど。
私は家の用事を済ませる必要があるから遠慮しておきますわ。
その代わり、アイリにちゃんと内容を聞かせてもらおうかしら。
......とにかく二人のことよろしく頼みますね」
彼女は家事をしなければならないため、見に行くことはできないらしい。
残念そうではあるが、仕方のないことでもある。
そうこうしているうちにひとまず喧嘩は落ち着いたようだ。
そんなアポロに対してティキは声をかける。
>「アポロ、私も君が一緒で構わないよ。トゥルー・ソウルズの公演、楽しみだね」
「ん、よろしくな。
おれ音楽とかあんましわかんねーけどさ。
チケットくれた兄ちゃん変だけどいいやつだったんだ。
だから兄ちゃんがどんな演奏するのか、結構楽しみだぜ!」
アポロはどうやらトゥルー・ソウルズのメンバーの一人。
それも男のメンバーからチケットをもらったらしい。
でもなんとなく、ティキとアイリがチケットをもらった相手とは違う気がする。
そう、なんとなくだが......。
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あんみつ@GMより
ティキルートちょっとだけ進行です。
お母さんはお母さんなので残念ながらいきなりお出かけできません。
本進行は新しいカテゴリにて用意します。