2-絆という力

 GM(あんみつ) [2016/04/21 22:57:58] 
 

フレールの後ろか、ミリューの後ろか。

>「...あ......はい、あ、ありがとうございます。では、僕はミリューさんの後ろに......」

フィンがミリューの後ろに乗ろうとしたその時。

>「ジャーンぷ...むぎゅ!?」

エクセターがフレールの後ろにジャンプで乗ろうとしたものの。
跳躍力が幾分か及ばず――馬の装具に正面から激突する。
そんな様子にフレールは口をあんぐりと開き。
ミリューはすっと目を逸らした。

>「...ぴゅ、ぴゅい~♪ぷい~♪」

とりあえずごまかすかのように口笛を吹いてみせたエクセター。
何故かその口笛はそれなりに上手であった。

「よーし、大丈夫だぞ、エクセター。
 俺がちゃんと落ちないように乗せてやるからな。
 ――ん、見た目より重いな......」

フレールはそんなエクセターを持ち上げようかと試みたが。
思ったより重かったのか途中で諦めたようだ。

「まあ、いいさ。
 ほらちゃんと場所を開けてやるから乗りな。
 難しいなら手伝ってやるぜ」

結局フレールは主にエクセターに任せるつもりのようだ。
勿論サポートはしてくれるが。

一方フィンの方はというと......。

>「す、すみません!あの、乗るの手つだってください!それで、その、ま、前に乗せてください!」

涙目になりながらミリューに懇願していた。
勿論そこまで不憫な様子を見せるフィンに冷たくするような彼ではなく。

「別に構いませんよ......さあ、どうぞ」

そうやって自分の前にフィンのことを乗せてくれるだろう。

フレールの後ろにエクセターが。
ミリューの前にフィンが乗れば、さあ出発だ。

   *   *   *

馬に乗って丘を走ると――なんというか風が気持ちいい。
爽快感で気持ちもすっきりしてくるかのようだ。

>「妹さんのお住まい、丘の上なんですよね。ここから馬でどれくらいなんですか?」

馬に少し離れてきた頃フィンはミリューに聞いてみる。

「馬ならそうは時間はかかりませんね。
 本来はもっと早い時間から会いに行く予定でしたが......。
 突然狼の襲来があってこうして借り出されてしまったわけです」

ミリューの言葉を信じるならば、馬を使えばすぐにたどり着けるだろう。
もし誰かが危険な目にあっていてもきっとすぐに。

>「妹さん、きっとご結婚されてるんですよね。ミリューさんは妹さんのこと、心配してるってフレールさんが言ってました。フレールさんも、反対されてた、って。どうしてか、聞いてもいいですか?」

そしてフィンは更に質問を追加する。
今度はこの世界における彼ら――特に青髭の男の内情を知るために。

「兄が反対していたのは単に寂しいからですよ。
 僕が心配しているのも――主にきっと妹と離れているからなのでしょう。
 ただ、確かに引っかかる点がないわけではありません。
 あまり妹の夫のことを悪く言いたくはないのですが......。
 彼にはあまり良くない噂があるのです。
 青髭の妻になった女はいつの間にかいなくなってしまうっていうものですね。
 まあ紳士的ではありましたが、寡黙な男でしたので夫婦づきあいも大変なのでしょう。
 その点妹は多少マシかもしれませんが。
 ――実のところ、今回会いにいくのもそれが気懸りだというところもあります」

ミリューの話からすれば、青髭の妻となった女性は少なくとも複数人姿を消しているらしい。
尤も国に帰ったとか他の男に乗り換えたとか色々な風評があるらしいが。

>「ミリューさんは、3人きょうだいの真ん中なんですね。僕も、9人きょうだいの真ん中なんです。上に2人、下に2組三つ子がいて。兄さんはへんくつで、姉さんは心配性で、弟や妹たちはまだちっちゃくて、やんちゃだしマイペースだし......。僕がいなくなっちゃって、だいじょうぶかなってときどき思うんです」

少ししてフィンがミリューに語りかけたのは、さっきまでとは違うプライベートな話だった。

「九人ですか......流石にそれだけの人数は想像したことがありませんね。
 まあ僕の兄も妹もどちらかというと騒がしい方なので、いろいろと苦労はしましたよ。
 ......その分楽しいことも多かったと言えますがね。
 フィンさんにも楽しかった思い出の一つや二つあるでしょう?」

ミリューも真ん中としてそれなりの苦労をしてきたようだ。
でも、だからこその楽しさがあったことも付け加えた。
付き合いとは煩わしいこともあれば面白いこともよくあるものだ。

彼も最初よりかはフィンたちに気持ちを開いているらしい。
きっと面白い話を聞かせてやれば喜んでくれることだろう。

>「じつは、ポチには『丘の上を見てきて』って言ってあるんです。今ちょっとだけ、ポチの視界から風景を見てていいですか?」

そんな他愛ない話をしながらもフィンは忘れなかった。
勿論忘れていないのは――使い魔ポチのことだ。

「丘の上の様子ですか。
 まあ城が見えるだけでしょうけど......構いませんよ。
 ただ落ちないように気をつけてくださいね」

フィンがポチと視覚の共有をすれば――。
緩やかに丘の上を昇るように飛んでいるポチの視界とリンクできるだろう。
そこから見える景色の端の方では城のシルエットが徐々に近づいてくる。
もうすぐその傍まで至ることができるだろう。

   *   *   *

一方、エクセターはフレールの後ろに乗りながら丘を駆ける風をその身に受けていた。

「エクセターって変わっているよな。
 そんな小さいのにあんな戦いのテクニックを持っているしさ。
 エクセターもどこかの騎士か兵士の家の生まれなのか?」

馬で丘を走りながら、フレールはエクセターに聞く。
たぶん、彼の単純な興味から来る質問だ。

「俺の家も古くから騎士の家系でさ。
 剣や馬なんかは親父から学んだんだ。
 ミリューのやつはちょっと反抗期で魔法の勉強なんてしてたけどな」

フレールとミリュー、そしてその妹は代々騎士の家系の生まれらしい。

「そういえば、だからなのかな。
 スールが求婚されたのもさ。
 なんか騎士の家系ばかり青髭の妻に選ばれているんだってさ」

青髭が妻に娶ろうとするのは騎士やそれに近しい娘だという。
スールもだからこそ青髭の妻になったのではないか、と彼は推測する。

「まあ、俺ばっかり話しててもつまんないだろう?
 エクセターの話も聞かせてくれよ。
 家族のこととかさ」

フレールは魔動機という概念も知らない。
だからルーンフォークという存在も当然知らない。

これは単純に彼の興味から来る質問だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

こちらはエクセターとフィンの新しいカテゴリです。
今回からはこちらに投稿してください。

エクセターがすっ転んだシーンにCP1点差し上げましょう。

その後は馬に乗って色々とお話をしたり聞けるだけです。
基本的には文中にあることを聞くことができました。

このカテゴリに記事を投稿する際は、
カテゴリ『2-絆という力』にチェックを入れて投稿してください。

 フィン(雪虫) [2016/04/23 23:34:55] 
 

>「馬ならそうは時間はかかりませんね。
   本来はもっと早い時間から会いに行く予定でしたが......。
   突然狼の襲来があってこうして借り出されてしまったわけです」

 「襲来......街に、ですか?それとも、家畜かなにかをねらって?そういうこと、多いんですか」

 僕はてっきり、獲物を追ってきた狼の群れが街にちかづきすぎたから、それを追いはらう任務をふたりが任されたのかと思っていた。
 狼は、脚で獲物を追いつめる生き物。むやみに人間のたくさんいる街におそいかかったりはあまりしないはずだ。
 けれど、頭のいいリーダーのいる群れなら、野生の獲物よりも簡単に狩れる家畜を襲うのはありえることでもあった。

 草原にはさわやかな風がふいていて、ミリューさんは僕をかかえるようにして手綱をあやつっている。
 不安なことなんてなにもないはずなのに、「突然の狼の襲来」っていう事件に僕はひっかかりをかんじで、ちょっと胸の底のほうがざわついた。

 妹さんの結婚に反対した理由をたずねた僕に、ミリューさんはていねいに答えてくれる。

 >「兄が反対していたのは単に寂しいからですよ。
   僕が心配しているのも――主にきっと妹と離れているからなのでしょう。
   ただ、確かに引っかかる点がないわけではありません。
   あまり妹の夫のことを悪く言いたくはないのですが......。
   彼にはあまり良くない噂があるのです。
   青髭の妻になった女はいつの間にかいなくなってしまうっていうものですね。
   まあ紳士的ではありましたが、寡黙な男でしたので夫婦づきあいも大変なのでしょう。
   その点妹は多少マシかもしれませんが。
   ――実のところ、今回会いにいくのもそれが気懸りだというところもあります」

 「いつの間にか、いなくなってしまう...。すでに、その、旦那さんは何人もの奥さんと、結婚されていて...、その奥さんたちが次々に...ということですね。心配...ですね」

 心配してるお兄さんたちにはわるいけれど、これは僕の知っている『青ひげ』と共通している。
 できれば、奥さんたちのゆくえについては共通していないでほしい。

 しばらく、僕はいろんなことを考えながら馬の背にゆられていた。


 兄弟のことをなんとなく話したぼくに、ミリューさんはこうたずねた。

 >「九人ですか......流石にそれだけの人数は想像したことがありませんね。
   まあ僕の兄も妹もどちらかというと騒がしい方なので、いろいろと苦労はしましたよ。
   ......その分楽しいことも多かったと言えますがね。
   フィンさんにも楽しかった思い出の一つや二つあるでしょう?」

 「そうですね。僕の兄さんは村でも評判の気むずかし屋で......。農業技術者としては若手でいちばん、って言われてるんですけど、あんまり弟たちをかまったりはしないんです。僕のすぐ下の三つ子のうちふたりは男の子で、もうやんちゃできかん坊で......」

 僕は家族のみんなの顔を思いうかべていた。

 「弟たちが英雄ごっこをするときは、いつも僕が悪者役をやっていたんですけど、いちど僕が熱をだして寝こんでいたことがあって。居間からすごい音がして、弟たちの泣きわめく声が聞こえてきたから、なにかと思って見にいったんです」

 そしたら、それはもう、すごいことになっていた。

 「ふたりとも、『マースにいがこわいー!』って泣きながら飛びついてきて、どうしたのかと思ったら、外套のそでを首に結びつけてマントみたいにした兄さんがひとつだけ無事に立ってる椅子のうえに仁王立ちして、母さんがつかう布団たたきを持ったままなんともいえない顔をしてて......」

 あとの椅子はぜんぶ蹴りたおされて、ついでにじゃがいもの木箱もたおれて部屋中芋だらけになってた。 
 
 「兄さん、まじめなので。弟たちが英雄なら、自分は魔王にならなくちゃ、ってがんばったらしいんです。それでやりすぎちゃって...」

 僕はミリューさんに話しながら、思わずふふっと笑いをもらした。
 そのあとは、みんなで部屋をかたづけるやら、泣いてる弟たちの背中をさするやら、姉さんは自分よりひとつ上の兄さんに本気でお説教をするやら、兄さんはすねて部屋にとじこもるやら、おなじ部屋の僕はベッドにもどれないやら、たいへんだった。
 たいへんだったけど、あの光景は今思いだしてもおかしい。 
 
 「とにかく大人数でちいさな家にぎゅうぎゅうになって暮らしてて......毎日どたばたしてて、楽しかったです」

 僕は農業とはちがう道をえらんだけど、それも認めてくれた家族みんな、大好きだって思える。
 ミリューさんとフレールさんが妹さんと離れていてさみしいという気持ちが、なんだかルキスラに来たばっかりのころの僕の気持ちとかさなった。
 ますます、このふたりが本の中の登場人物だなんて信じられない。


 僕がポチの眼からいちど丘の上のようすを見たいと言うと、ミリューさんはこころよく応じてくれた。

 >「丘の上の様子ですか。
   まあ城が見えるだけでしょうけど......構いませんよ。
   ただ落ちないように気をつけてくださいね」

 「はい。ちょっと、失礼しますね」

 僕はもぞもぞと体勢をととのえて、息をはきだした。ゆっくりと、はなれたポチへと意識をとばし、視覚を同調させていく。
 ポチは丘のてっぺんにもうすぐたどりつこうというところで、青い瓦の大きな建物が姿をあらわしたところだった。
 ポチの眼で風景を見ながら、僕はつぶやくようにミリューさんにたずねる。

 「妹さんのお住まい......青い瓦で、ずいぶん立派ですね」

 『青ひげはあたりでは並ぶもののないほどの富豪で、次々に美しい女性をめとっていたが......』

 その先を僕は思いうかべたくなかった。  

――PL(雪虫)より―――

まず、「狼の襲来」について軽く確認を。特定の群れが最近街のちかくをうろついている、などならばよし、急に狼が街を襲ってきた、とかならば、なんらかの意図を警戒します。
フィンくん家のおもしろエピソードは考えましたが、「兄弟」の話がいいかなと思って、へんくつな兄さんの残念エピソードを。悪い人じゃないけど不器用です。銀ぶちの眼鏡とかかけてそうな。
あとは、ポチビジョンから得られるだけの情報を得たいと思います。

 エクセター(あまとう) [2016/04/24 16:00:00] 
 

心地よい風が頬を撫でる。
馬上は普段とは違う、高い目線で遠くまで見渡すことが出来る。
それはもともと身長が低い自分にとっても同じか、それ以上に大きい影響を与える。

フレールに乗せてもらった最初の頃は落ち着かない様子で、
すごいすごいと騒いでいたけれど、数分も立たないうちにそれも落ち着いていく。

最終的には前に座るフレールの大きな背中に抱きつくようにしてしがみつき、
視線を横に向けて遠くの景色をぼんやりと眺めていた。

そうしているとフレールからこんな質問を受けた。

「エクセターって変わっているよな。
 そんな小さいのにあんな戦いのテクニックを持っているしさ。
 エクセターもどこかの騎士か兵士の家の生まれなのか?」

少し回答に困る質問だった。
そうであると言えるし、そうでないとも言える。
...生まれというよりは、生涯変わらない永遠の役割としてなら私は兵士だ。

「むー、なんて言えばいいんだろう。
 半分正解で半分ハズレかなー、そういうフレールはそうなの?」

少しだけ戸惑うように、話題を逸らすわけじゃないけど質問を返した。

「俺の家も古くから騎士の家系でさ。
 剣や馬なんかは親父から学んだんだ。
 ミリューのやつはちょっと反抗期で魔法の勉強なんてしてたけどな」

「へぇー、だからフレールはお馬さんの扱いが上手いんだねー
 エクセターあんまり詳しくないけど、ミリューのお馬さんより揺れが少ない気がする」

横目で時折フィンとミリューを気にするように見ていたけれど、騎獣の乗りこなしに僅かな差を感じていた。
素人から見てわかるのだから、きっとその筋の人から見れば大きな差になるのだろう。

こういったふうに騎獣を乗りこなせる仲間に複数覚えがあった。

その一人が同じ『レッドコート』として苦楽をともにしたグロスター。
騎兵隊の出身で、頑固で意地っ張りで高慢なところがあるけど、
それは自分の力と、その力に伴う責任を自覚しての物。
彼女は仲間を助けるために自らを顧みずに死地に駆け抜けた誇り高い騎士だった。

決して口には出さなかったけど、その清廉な誇り高さは私の中でも尊敬の的だった。
...最後のお別れは言えなかったけど、彼女はきっと最後まで意地を貫き通したのだろう。
そうであって欲しいと思うと同時に、それがたまらなく羨ましくも感じた。

「そういえば、だからなのかな。
 スールが求婚されたのもさ。
 なんか騎士の家系ばかり青髭の妻に選ばれているんだってさ」

この世界で唯一記憶という形で残った、グロスターの姿を回想していると不意にそんなことを言われた。
そういえば、フレールとミリューにはスールという妹が居て...それが青髭に嫁いだという。

グロスターの映像と切り替わるようにフィンに教えられた物語が脳裏で上映される。
謎の多い男「青髭」にまつわる奇怪な物語。
思えば私はその中に居るのだ、それを自覚すると、より油断してはならないという思いが募る。

「まあ、俺ばっかり話しててもつまんないだろう?
 エクセターの話も聞かせてくれよ。
 家族のこととかさ」

そうしているうちに、返事がないのを気にしてかフレールから話を催促された。
家族のこと...家族は大事だ。大事じゃない人はきっと居ないが、私にとってもそうなのだ。
けれど私は、あまり家族のことを人と話さない。

それは私の『家族』が、世間一般で言う『家族』とは少しだけ...違っているためだ...。

「ねぇ、フレール。フレールはお父さんとお母さんに最初にしてもらった事はなにか覚えてる?」

唐突な質問。

「例えば抱っこしてもらったとか、撫でてもらった。
 笑いかけてもらった、抱きしめてもらった。
 たかいたかいとか、キスをしてもらったかもしれないよね」

多くの子供達は生まれてすぐに父や母から、愛を送られる。
それはきっと、命というものが生まれて最初に送られるかけがえのないプレゼント。

「エクセターは覚えてるよ。エクセターは教えられたの。
 色々教えられたけど、最初に教えられた事はね。
 人を殺す方法だったよ」

私が送られたものとは、全く違うもの。

私はフレールの反応を待たず、話を続ける。

「どこかの騎士か兵士の家の生まれなのか?って聞いたよね。
 あれに半分正解って言ったけど、別にはぐらかしたわけじゃないの。
 エクセターは兵士だよ。国家に忠誠を誓った兵士」

「けどそれは目指したわけでもないし、なろうとしたわけでもない。
 最初から兵士だった、生まれたその時からそれ以外の期待はされなかった。
 だから殺す方法を、武器の扱い方を教えられたの」

ただ淡々と嘘偽りのない真実を語る。

「...厳密にはエクセターにはお父さんもお母さんも居ない。
 あえて言うなら国が父であり、母だったのかな...
 おかしいよね?でもエクセターにとってはこれが普通だった」

自分に血のつながった親は居ない。
死んだとか、見たことがない訳ではない。

休日に遊びに連れて行ってくれる優しい父親も
美味しい料理と笑顔で毎日迎えてくれる母親も
私には、私たちには居なかった。

最初から、存在すらしていなかった。

今、自分はどんな顔をしているのか。
体がかすかに震えていることがわかる、だからきっといい顔ではない。
きっとひどい顔をしているのだろう、そんな表情は誰にも見せたくない。

自然と背を抱きしめる力が強まっていく。
決してフレールが振りかえり、私の顔を見ようなどと思わないほどに。

「けどね、それは別に悲しくなかったよ。
 そもそも親という存在を知らなければ気にすることもないし、
 そうやって育てられたのはエクセターだけじゃなかったから」

話しているうちにある女性の姿が脳裏に浮かぶ。
強くて、綺麗で、賢くて、それで...私を初めて愛してくれた人。

「...ヨークって名前なんだけどね。
 兵士として教育を受けるときに出会ったんだけど、
 ある訓練を受けてる時に...言ってくれたの」

「私たちに親は居ないけど、それよりも大切な仲間はたくさん居る。
 それでも貴方が苦しいというなら、私がなるわ、貴方の家族に。
 エクセターのお姉ちゃんに、私がなる。これからはずっと一緒よ...って」

「すごく嬉しかった...本当に...」

彼女はヨーク・デヴォンポート
後期高性能指揮官型ルーンフォーク生産計画により生まれた第一号。
私はエクセター・デヴォンポート
後期高性能指揮官型ルーンフォーク生産計画により生まれた第二号。

あの出会いは定められた物だったのかもしれない。
姉というのも、ただの型番のつながりで言ってくれただけだったのかも知れない。
けれど、けれど、そうだったとしても。

私がヨークと過ごした時間も、共に闘いぬいた部隊の記憶も、家族という絆も。
作り物なんかじゃない、全部本物なんだ。誰にも否定なんかさせない。

「...今は離れ離れだけど、きっとヨークとはまた会えるからね。
 ちょっと寂しいけど、泣いたら心配かけちゃうから、エクセター頑張るよ。
 生きてればいつか良い事があるからね、エクセターは全然不幸なんかじゃないよ」

先程まで冷え切ったナイフのように鋭かった声色が、不思議と安らいでいくのを感じる。

私は決して哀れな存在ではない。
それは、どんな辛いことも乗り越えて幸福に生きてみせるという覚悟があるからだ。
こんなところで全てを投げ出してしまっては、先に逝った仲間たちに申し訳が立たない。

そして、それは今を共に生きる仲間たちにも言えることだ。

「それに今はね、仲間がいるよ。そっちのフィンと一緒に色々なお仕事をするの。
 危ないことも多いけど、エクセターは慣れっこだし技術が役立つから向いてるのかも。
 兵士の時と違って、いつでもお菓子が食べられるしね!」

話し始めて、久方ぶりとなる笑顔に雰囲気が少し和らいだ気がする。

それにしても自分がどうしてこんなことを話しているのか、少し不思議だ。
先ほど出会ったばかりのフレールだから話せることなのかもしれない。

「フレールもさ、この仕事が終わったら家族に会いにいけるんだよね?
 狼なんかぱぱーっと追い払っちゃってさ、会いに行こうよ!
 きっとフレールとミリューが来てくれたらスールも喜ぶと思う!」

家族との再開。
それはとても喜ばしい瞬間であるに違いない。
出会ったばかりのこのオルドル兄弟に関しても、私はわずかばかりの共感を抱いていた。

「そうと決まったらエクセターも頑張っちゃうよ!
 なんたってエクセターはぶんぶりょうどう...だからね!
 ...さいしょくけんびだったっけ!?」

最近覚えたばかりの言葉を使って知的なアピールをしようとしたが、どうにもまとまらない。
なんにせよ、私は仲間と合流したいという思いの外に
単純に兄弟二人が妹と再開して喜ぶところを見たいと思う。

「うん、頑張るぞー」

ぼそっと自分を勇気づけるように呟くと、再び風景を眺めることに集中することにした。
風景は眺める人の気持ちなんて知らないねっ、というふうに流れていってしまうのだから。

=======================
PL・実は意外と複雑な過去があるエクセター

生み出した国によってそんな目に合わされたエクセターですが、
国自体を憎んでは居ないし、それどころか誇りと愛国心すら持っています。
どんな形であろうとそこが居場所だったし、いい思い出もあります。
でも、自分が置かれた環境が異常であったことも今は知ってしまった。

それ故に兵士として冷徹に振る舞うことも、
過去を捨てて気ままに生きることも出来ない。
そんな葛藤を抱えていますが、とりあえずエクセターは今日も元気です。

急にこんな話を出会ったばかりの幼女から聞かされたフレールはどういう反応をするのか...!
なかなかにキラーパスな気はしますが、ワクワクして待つのです(*'ω' *)

 GM(あんみつ) [2016/04/24 18:43:04] 
 

まるで子供のような姿なのに、何故そこまで戦いの技術を持っているのか。
当然の疑問を真っ直ぐにぶつけてくるフレールに対し、エクセターはまずは質問で返した。

>「ねぇ、フレール。フレールはお父さんとお母さんに最初にしてもらった事はなにか覚えてる?」

それは子供としての自分が親からどう扱われたかの問いかけ。

「んー、昔の話だからな。
 俺もはっきりと覚えてるわけじゃねえけど。
 かなり優しくしてもらってたはずだぜ。
 とりあえず......温かかったな」

フレールから帰ってきたのは極々一般的な回答。
世界に生きる多くの人はその枠に収められるはずだろう。
だが、エクセターは例外の側であった。

エクセターは語る。
エクセターは兵士なのだと。
いや、兵士として生み出されたのだと。

フレールの背中にしがみつく力が強くなる。
彼は気に留めず、丘の上で馬を走らせていた。
風がエクセターの体を通り過ぎていく。

>「けどね、それは別に悲しくなかったよ。
> そもそも親という存在を知らなければ気にすることもないし、
> そうやって育てられたのはエクセターだけじゃなかったから」

ただそれだけがエクセターの全てではない。
彼女は冷たい兵士としてのみ生きてきたわけではないのだ。
姉のような存在が、仲間が、今だってフィンたちがすぐ傍にいるのだ。
内容に呼応するかのようにエクセターの声にも温かさが足されていく。

>「フレールもさ、この仕事が終わったら家族に会いにいけるんだよね?
> 狼なんかぱぱーっと追い払っちゃってさ、会いに行こうよ!
> きっとフレールとミリューが来てくれたらスールも喜ぶと思う!」

>「そうと決まったらエクセターも頑張っちゃうよ!
> なんたってエクセターはぶんぶりょうどう...だからね!
> ...さいしょくけんびだったっけ!?」

そして最後にエクセターはフレールに声をかけた。
付け足した言葉はちょっとだけ上手くは纏まらなかったが。

「俺はさ、あんまり勉強とか熱心にやってきたタイプじゃないからさ。
 エクセターの話も感覚でしか理解できねえんだ。
 それに騎士だから人の体や命を守る力は持っているとは思うけど。
 ――人の心を守る、まして救う方法なんて知らないんだ。
 だから俺からエクセターに言えることはこれくらいだ」

フレールは少しだけエクセターの方向に顔を傾けた。

「信じていればきっとエクセターもいつか姉さんに会える。
 未来を掴み取ることができるのは力でもないし知恵でもない。
 金や名誉でもない......未来を掴み取りたいと願う気持ちだって俺は思ってるからさ。
 こういうこと言うとさ、ミリューには馬鹿にされるんだけどな。
 俺は信じてるからいつだって守りたいって願い続けてる。
 街の人たちだけじゃなくて――ミリューとスールも。
 ......勿論今はエクセターだってそうだ」

それだけ言い切ってから再びフレールは前を向く。

「それに今俺がエクセターを乗せてるのはエクセターが都合のいい兵士だからじゃないぞ?
 ――まあも戦う力がなければ違う理由でここまでは連れては来ないけどさ。
 俺たちもエクセターがただ戦うだけの兵士でしかなかったら手伝って欲しいなんて思わない。
 少なくとも俺が今後ろに乗せてるのは、面白い奴だって思ったからだ。
 今までどう生きていたかなんか関係ない。
 俺は今のエクセターしか知らないからな、それだけは何も変わらない」

フレールの走らせる馬は止まることなく草の上へ駆け抜けていく。

   *   *   *

一方ミリューの前に乗せられながら、フィンも丘の上を駆けていく。
この世界について聞く中でフィンにはひとつ気になったところがあったらしく。

>「襲来......街に、ですか?それとも、家畜かなにかをねらって?そういうこと、多いんですか」

ミリューに早速問いかけてみた。

「街というよりは丘の辺り――もう少し外側ですね。
 時々こういう風に動物が凶暴化することがあるんですよ。
 今回もまた襲われた人がいたので、早急に対策を取ることになった訳です」

ミリューの話だと動物が凶暴化することはたまにあることだそうだ。
特に原因があるとは感じていないようだが。
どう捉えるかはそれぞれの感覚次第であろうか。

――ただ、二人はそんな緊迫した話だけをしていたわけではない。
兄弟の話をする中でフィンはかつてみんなで暮らしていた時の笑い話をしてみせた。

>「とにかく大人数でちいさな家にぎゅうぎゅうになって暮らしてて......毎日どたばたしてて、楽しかったです」

その時の情景を思い出してつい笑みを零しながら語るフィン。
ミリューの顔を見上げれば、彼の表情もまた自然な笑顔になっていることに気づくだろう。

「僕にも覚えはありますが......。
 大変だったことでも思い返してみれば楽しいこともあるものです」

少し左上の方をぼんやりと眺める彼の顔はとても柔らかな印象を覚えるものであった。

   *   *   *

>「妹さんのお住まい......青い瓦で、ずいぶん立派ですね」

フィンはポチを通して見た景色の感想を素直に述べる。

「そうですね。
 スールの嫁いだ先の相手は相当な富豪であるとの評判です。
 尤もスールにとってお金は一番大事なものではありませんが」

ミリュー曰く青髭の男が相当な富豪であることは間違いないらしい。
やはり物語と幾つか合致しているところもあるようだ。

――再度フィンがポチと視覚の共有を行えば城のすぐ傍まで見えることだろう。
大きいが、その巨大さが静かさと空白を増強し、寂しげな印象を掻き立てる。
城の周囲を飛んでも人の気配はあまり感じられない。

部屋の中によっては誰かの姿があるのかもしれないが。

   *   *   *

しばらく馬を走らせた頃。

フレールがエクセターを乗せたままミリューの馬まで少し寄せていく。

「そういえば、この辺りには花畑があったよな。
 スールは花が好きだしさ、ちょっと摘んでいかないか。
 俺たちからは贈り物を何も用意していないだろ?」

フレールは近くにある花畑に寄りたいようだ。
丘の上にいる妹に贈るのだという。

「馬鹿なことは言わないでください。
 僕たちはまだ任務の途中だっていうことはわかっていますよね?
 それにせっかく手伝っていただいてるお二人をお待たせするわけにはいきません」

ミリューはフレールの提案については反対らしい。
フィンとエクセターに迷惑をかけることを気にしているようだ。

「まあ......それもそうなんだけどさ」

フレールは理屈ではわかるようだが。
感情では受け止められはしないようだ。
二人だけだと簡単には話が決まらないかもしれない。
フィンとエクセターがちょっとだけどちらかを後押しすれば変わるだろうか。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

エクセターのフィンとルート進行です。
長文で答えてくれたエクセターにはTP1点
かわいいかわいいついでに兄弟もかわいいフィンにはCP1点差し上げましょう。

お二人は次の行動を選択してください。

具体的なものは以下の2つです。

・フレールの味方をしてみる
・ミリューの味方をしてみる

他にも何かございましたらお好きにどうぞ!

 フィン(雪虫) [2016/04/26 00:04:31] 
 

 >「そうですね。
   スールの嫁いだ先の相手は相当な富豪であるとの評判です。
   尤もスールにとってお金は一番大事なものではありませんが」

 お金よりも、だいじなものがある。
 そうお兄さんに断言させるだけのものが、妹さんにはあるんだろう。

 僕はさらにポチをお屋敷のちかくまで飛ばした。壁に沿うように外壁を一周する。
 大きな窓がいくつも見えた。豪華な調度品やカーテンがぼんやりすけて見えている。

 僕は目をこらした。

――PL(雪虫)より―――

カレンさんの行動をうけて、ポチから窓の向こうにカレンさんが確認できるかどうかのサブ進行をお願いしました。

確認できるといいなぁ。

 GM(あんみつ) [2016/04/26 00:17:10] 
 

ポチに城の外周をぐるりと回らせながら、フィンは様子を伺う。
全体的に寒色系な外観で、どことなく冷たい雰囲気が不安を呼ぶ。

ちょうど一階の付近をポチが飛んだ頃だろうか。
とまる部屋の窓の付近で白いものが見えた。

まさか......幽霊?
いや違う。
この白さは見覚えのある白さだ。

リルズの信徒――同じ時から来た仲間カレンである。
彼女は客間らしい場所にいるようだ。
少なくとも今のところは普通に饗されているらしい。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

こちらはサブ進行です。

カレンっぽい人が見えますね。
少なくとも見た目はカレンです。
まあ中身は遠くからじゃわかんないよね(*´∀`*)

 フィン(雪虫) [2016/04/27 22:12:43] 
 

 >「そうですね。
   スールの嫁いだ先の相手は相当な富豪であるとの評判です。
   尤もスールにとってお金は一番大事なものではありませんが」

 ポチの景色でお屋敷をながめながら、僕の耳はミリューさんの声を追っている。
 
 「......そういうの、素敵ですね。旦那さんって、どんな方なんでしょうか」

 ポチはお屋敷の外壁に沿ってぐるりとまわりはじめる。青い瓦と灰色の壁がなんとなく不安な気持ちをかきたてる。

 「スールさんが、旦那さんとのご結婚を決めた、その決め手って、なんだったんでしょう」

 「青ひげ」はこの世界でも富豪だけど、「お金よりも大切なもの」を持っていて、スールさんはそこにひかれたという。
 もしかしたら、「僕の知ってる『青ひげ』」と、「この世界の『青ひげ』」の違いを知ることができるかもしれない。
 僕はそう期待して、ミリューさんの答えを待った。

 ポチが、大きな窓のひとつをかすめるように飛んだ。
 その窓辺にたたずむ、真っ白な人影。これが、スールさん?いや、ちがう、これは。

 (カレンさん!)

 僕は動揺した。とたんに、目の前に草原の景色がとびこんできた。集中がみだれて、ポチとの視界共有が切れたんだ。

 (ポチ、ちかくの木に止まってそのまま待っていて)

 カレンさんが、青ひげの屋敷に。スールさんもいっしょだと思うけど、だいじょうぶなんだろうか。
 この世界の青ひげは、いったいどんな。殺人鬼なのか、そうじゃないのか。
 どうしたらいい。どうすれば......。

 ともかく、カレンさんのもとへ急ごう。狼退治をはやくすませて、青ひげの屋敷へ。
 
 そう思ったとき、フレールさんがエクシーを後ろに乗せて、僕たちのほうへ馬を寄せてきた。

 >「そういえば、この辺りには花畑があったよな。
   スールは花が好きだしさ、ちょっと摘んでいかないか。
   俺たちからは贈り物を何も用意していないだろ?」

 「あっ......。あ、えと」

 その提案はとても素敵で、ふだんの僕ならいちもにもなくうなずいただろうけれども。
 僕は困惑して、フレールさんを見て、エクシーを見た。

 >「馬鹿なことは言わないでください。
   僕たちはまだ任務の途中だっていうことはわかっていますよね?
   それにせっかく手伝っていただいてるお二人をお待たせするわけにはいきません」

 さっき、兄弟について語っていたミリューさんのおだやかな表情を思いだして、僕はとっさに「気にしないでください、お花つんでいきましょう」って言いそうになった。
 でも、ポチの眼から見えたんだ。青ひげの屋敷にカレンさんがいる。

 >「まあ......それもそうなんだけどさ」

 僕は背負い袋のなかみをごそごそとたしかめた。そして、もじもじと切り出した。

 「あの......。さっき、僕の使い魔の目線からお屋敷を見てみたんですけど、どうやら僕とエクシーの仲間がお邪魔してるみたいなんです......。カレンさん、っていう女性なんですけど」

 申しわけなさでちぢこまりながら、僕はなんとか続けた。

 「フレールさん、ミリューさん、ごめんなさい...。スールさんへの贈り物にできるようなもの、僕も持ってません。飾りもついてない手鏡や、地味なハンカチじゃよろこんでもらえると思えないし......。だけど、カレンさんもきっと、僕たちとおなじように、突然ここに迷いこんで不安に思っていると思うんです」

 どうしたらいい。どうするのがいちばん、いい?......どう、したい?

 「僕、カレンさんのそばに、早く行ってあげたいです。もちろん、任務のお手伝いはしっかりします。スールさんへのお土産なら、僕やエクシーが、すこしはめずらしい話をできると思います。僕たち、話、あんまりうまくないですけど......」

 そこまでいいかけて、だいじなことに思いいたった。

 「とても話の上手な仲間もいるんです。ネスさんっていって、楽器も占いも得意です。それから、国の精鋭部隊にも所属してる戦士のロセウスさんと......。彼らもきっと、どこかにいて、おたがいにおたがいを探してるんだと思います」

 エリックさんから見せられた本のページ。みんな、物語の概要はつかんでるはずだ。きっと、物語がつむがれていくなら、その舞台となるだろう「青ひげの屋敷」を目ざして集まるんじゃないかな。

 「僕たちが......みんなが、そろったら。きっとスールさんにも、フレールさんとミリューさんにも、もしかしたら旦那さんにも、花束に負けない贈り物ができると思うんです」

 僕はどうにかバランスをとると、まっすぐ顔をあげて、みんなを見た。

 「だから、すみません。今は、先をいそがせてください」

――PL(雪虫)より―――

PLの気持ちとしては、スールさんにお花をつんでいってあげたいフレールさんに賛成なのですが、青ひげ屋敷にカレンさんがいることがわかりました。
他のおふたりがどこにいるかはわかりませんが、とにかくカレンさんが心配なので合流したいフィンです。

最初の質問では、お兄ちゃん(ミリューさん目線)からでよいので、青ひげとスールさんをつなぐ絆がどういうものなのかを知る手がかりにを得られたらいいなと思います。

お花のかわりにお話をするよ!の提案ですが、やや大人組ネスさんとロセウスさんに投げっぱなした雰囲気もありつつ。
ネスさんだったらスールさんも楽しめるお話ができるだろうし、ロセウスさんとフレールさんって話が合いそうな気がします。

 エクセター(あまとう) [2016/04/28 00:39:26] 
 

「俺はさ、あんまり勉強とか熱心にやってきたタイプじゃないからさ。
 エクセターの話も感覚でしか理解できねえんだ。
 それに騎士だから人の体や命を守る力は持っているとは思うけど。
 ――人の心を守る、まして救う方法なんて知らないんだ。
 だから俺からエクセターに言えることはこれくらいだ」

「信じていればきっとエクセターもいつか姉さんに会える。
 未来を掴み取ることができるのは力でもないし知恵でもない。
 金や名誉でもない......未来を掴み取りたいと願う気持ちだって俺は思ってるからさ。
 こういうこと言うとさ、ミリューには馬鹿にされるんだけどな。
 俺は信じてるからいつだって守りたいって願い続けてる。
 街の人たちだけじゃなくて――ミリューとスールも。
 ......勿論今はエクセターだってそうだ」

鼻で笑われるような反応も、十分ありえた。
けれど、フレールは私の言葉を真剣に受け止めてくれた。
それが、それが嬉しい。どんな慰めの言葉より、対等に向き合ってくれることが嬉しいんだ。

私はあえて何も言わずに、フレールの言葉に耳を澄ませた。

「それに今俺がエクセターを乗せてるのはエクセターが都合のいい兵士だからじゃないぞ?
 ――まあも戦う力がなければ違う理由でここまでは連れては来ないけどさ。
 俺たちもエクセターがただ戦うだけの兵士でしかなかったら手伝って欲しいなんて思わない。
 少なくとも俺が今後ろに乗せてるのは、面白い奴だって思ったからだ。
 今までどう生きていたかなんか関係ない。
 俺は今のエクセターしか知らないからな、それだけは何も変わらない」

「...そっか、ありがとうフレール。
 こういう時にありがとうって言うのはちょっとおかしいのかな?
 けど、それでも言うよ...ありがとう」

その感謝とともに、私はある決意を固めた。

この誇り高い騎士がこれから遭遇するであろう苦難。
その苦難を乗り越える力を貸そう...と。

例え一瞬の交わりにすぎない出会いだったとしても、ともに戦おう。
その先に、どんな結末が待ち受けているとしても、最期の時までは。

不敵な表情を浮かべ、冗談を言うように笑う。

「ああ、そうそう。嬉しかったんだけど、一つだけ訂正することがあるよ。
 ――人の心を守る、まして救う方法なんて知らない...って言ってたけど
 エクセターは別に救ってほしいだなんて思ってないよ」

「エクセターは自分で這い上がるからね。
 さっきのお馬さんの時みたいに...そばに居てくれるだけでいいの。
 一人は嫌だけど、誰かが近くにいてくれるだけでエクセターは戦える、闘いぬく」

自らの考えを、思いを言葉にしてよりいっそう強いものにする。
闘いぬく、私はどんなことがあっても歩みを止めない。

「...それでもフレールがエクセターを守るって言うなら、エクセターもフレールを守るよ。
 フレールが守りたいものを、一緒に守るよ」

それだけは何も変わらない。

-----

しばらくして、フレールが何かを思いついたのかミリューの馬に寄せた。

「そういえば、この辺りには花畑があったよな。
 スールは花が好きだしさ、ちょっと摘んでいかないか。
 俺たちからは贈り物を何も用意していないだろ?」

この言葉を聞いて、ははぁなるほど...と感心する。
これから会いに行くのだから、なにか贈り物を用意するとはなかなか紳士的だと思う。
エクセターは花より、お菓子のほうが好きだけど。

「あっ......。あ、えと」

だが、フィンの様子がちょっとおかしい。
なにか言いたいことがあるといったふうな表情をしている。

「どうしたのー?お腹痛い?」

フィンを心配そうに見つめていると、頭の上辺りでちょっとした口論が始まってしまった。

どうやらミリューは花を探す時間があるなら、狼を探せと言いたいらしい。
こちらも納得の行く話だと思う、先ほどのように狼が誰かを襲う前に仕留めておきたい。

何方かに口添えをすれば、決着もつくのだろうか。
そう考えていると、フィンが口を開く。

「あの......。さっき、僕の使い魔の目線からお屋敷を見てみたんですけど、どうやら僕とエクシーの仲間がお邪魔してるみたいなんです......。カレンさん、っていう女性なんですけど」

「えっ、そうなの!?」

これには驚いた。
フィンがポチを飛ばしていたのは知っていたけど本当に見つけるとは思っていなかったからだ。
ごめんね、ポチ。すごいよ、ポチ。

フィン曰く、カレンはおそらく一人で青髭の館にいるようだ。
ロセウスや、ネスも一緒にいるのかもしれないけど合流できるならそれに越したことはない。
そういった理由で、先を急ぎたい。それがフィンの言い分だった。

「うん、カレンがもし一人ぼっちだとしたら早く会いに行かないとだね。
 というわけでエクセターも、先を急いだほうが良いと思うよ」

だが、カレンだけが理由ではない。
もちろん大きな理由ではあるが、それ以上に兵士としての矜持が理由だ。

「兵士として、民の為に狼を狩る。
 そう決めたのなら、他のことをやるのはそれからだよ。
 さっきの狼みたいに、誰かが襲われる前にやれることをやろう」

これで終われば、ただの叱責で終わる。
もちろんそれで終わるつもりはない、フレールの気持ちだって理解できるのだから。

「それにね、贈り物なんてなくてもきっと喜んで迎えてくれると思うの。
 だって世界にたった一人しか居ない大切な家族なんだもん。
 会えて嬉しくないわけないよ、絶対にね!」

その言葉に嘘はない。
フレールやミリューの人となりを見れば、仲が良いことは察せられた。
それならば、油断なく仕事を完遂した誇り高い兄として会いに行ったほうが良い。

...家族に対して、私ならそう振る舞いたい。

=====================
PL・投稿を待っていたと思っていたら
いつの間にか投稿をされていた。な、何を言ってry(F5不足)

フィンの言葉を後押しするように、エクセターも先を急いだほうが良いと賛成します。
理由としては、兵士として早く危険を排除しておきたいという気持ちと、カレンとの合流からっ

フレールと真面目な話をしている時のエクセターは周りから見ても10歳前後の子供というよりは、20代前半の女性のような凛々しい表情をしているかもしれない。(期待込み)

エクセターは意外とプライド高いし、対等な関係じゃないと嫌がるから割と気難しい子なのです。

 GM(あんみつ) [2016/04/28 07:21:54] 
 

>「...それでもフレールがエクセターを守るって言うなら、エクセターもフレールを守るよ。
> フレールが守りたいものを、一緒に守るよ」

一通りの話の後、エクセターは新たに一つの決意を胸に宿す。
フレールの力になる。
フレールの守りたいものを守るというものだ。

「ありがとな、エクセター。
 見た目は小さいけど、中身は全然小さくなかったな。
 エクセターは自分のために、誰かの為に戦える立派な騎士だ」

一方、フィンとミリューの方に視点を移せば。

>「......そういうの、素敵ですね。旦那さんって、どんな方なんでしょうか」

そうフィンがミリューに青髭について伺う。

「正直僕たちも数回あった程度なのであまり詳しくは。
 ですが、なかなか紳士的な方であったと記憶しています」

またフィンからはもうひとつ質問が。

>「スールさんが、旦那さんとのご結婚を決めた、その決め手って、なんだったんでしょう」

ミリューたちの妹スールが結婚を決めた理由についてだ。
ただこの質問は彼には簡単に答えられるものではないらしく。

「妹は少し変わっているところがあるんです。
 気になってしまうところがあれば一直線というか。
 だから実は僕にもあまりよくはわかっていなくて。
 きっとスールなりの良さを見出したんでしょう」

本人ではないミリューが言葉にあらわすのは容易ではないようだ。
だが、彼が語るには何らかの気になるポイントがあったからだという。
それは些細なことかもしれないし、大いなることかもしれない。

   *   *   *

少し馬を走らせてきたかという頃。
任務中であるものの寄り道として花畑に行こうと語るフレール。
ミリューは彼の意見について否定側だったが冒険者たちはどうかというと。

>「僕、カレンさんのそばに、早く行ってあげたいです。もちろん、任務のお手伝いはしっかりします。スールさんへのお土産なら、
僕やエクシーが、すこしはめずらしい話をできると思います。僕たち、話、あんまりうまくないですけど......」

青髭の屋敷に姿が見えたカレン。
彼女に早く会いたいとフィンが語る。
エクセターはフィンの言葉でカレンの居所を知ったことで彼に同調した。

ただエクセターが早く終わらせたいと思ったのはそれだけが理由ではなく。

>「兵士として、民の為に狼を狩る。
> そう決めたのなら、他のことをやるのはそれからだよ。
> さっきの狼みたいに、誰かが襲われる前にやれることをやろう」

兵士として生まれ、兵士として生きた彼女だからこその兵士としての矜持である。

>「それにね、贈り物なんてなくてもきっと喜んで迎えてくれると思うの。
> だって世界にたった一人しか居ない大切な家族なんだもん。
> 会えて嬉しくないわけないよ、絶対にね!」

最後に素直に思った言葉をエクセターが付け加えると。
フレールは大きく頷きながら。

「確かにミリューやエクセターの言う通りだよな。
 俺たちは人々を守るのが仕事だ。
 だから少しでも早く狼を狩る――当然のことか」

フレールはエクセターの言葉に納得してくれたようだ。
彼だって人々は守りたいという騎士の誇りはある。

「それにカレン......だっけか。
 フィンとエクセターの仲間がいるかもしれないっていうならそりゃ会いたいよな。
 ――よし、俺たちも早くスールに会いに行きたいし。
 ここはさっさと狼たちをやっつけに行っちまおうぜ!」

カレンの存在もあり、フレールの心は決まったようだ。

「当然ですよ、兄さん」

再度ミリューとフレールは馬を走らせていく。
さっきよりかもスピードが出ているように感じるのは気のせいではないかもしれない。

   *   *   *

「報告によると、この辺りで目撃情報があったのですが......。
 今は居ないみたいですね」

丘の上でも少し木々が密集して生えている場所の近く。
今四人と馬がいるのはそんな場所だ。
ミリューが調べたところではこの辺で狼たちの目撃情報があったというが。
――今はいない。

「足跡とかあったりしないもんかな。
 そういうのがあれば、探すの楽になるんだけど」

フレールは足跡が見つかることを期待しているようだ。
探してみれば、望み通りのものがあるかもしれない。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

エクセターとフィンのルート進行です。

二人が急ぎたいといったので寄り道はなくなりました。

今は狼の目撃情報のあったポイントに来ています。
探索判定11以上を出せば、狼の足跡らしきものを発見できるでしょう。

足跡が見つかれば、狼の居所がわかります。
見つからなければ、狼を探すのに時間がかかるでしょう。

ほかの部分はご自由にどうぞ!

 エクセター(あまとう) [2016/04/28 13:09:34] 
 

「報告によると、この辺りで目撃情報があったのですが......。
 今は居ないみたいですね」

しばらく移動をして、ついに狼の目撃されたという場所へ到達した。
しかし、その姿は見えない。

周囲には木や植物が多い、どこかに潜んでいるのかも。
そう考えると油断はできない。周囲を警戒し続ける必要がある。

「足跡とかあったりしないもんかな。
 そういうのがあれば、探すの楽になるんだけど」

「探そっか?」

その言葉にヒョンと答えながら馬を飛び降りる。
地面に着地し、目を凝らすと確かに足跡らしいものはいくつも確認できた。

「エクセターは国境の警備もやってたから、こういうのは慣れてるよ。
 ほら、ここと、ここに足跡がある...多分、狼の足跡だと思う」

雨が降っていたり、あまりにも生物の痕跡が多すぎると追跡は難しい。
けど今は雨は降ってないし、痕跡も多いわけじゃない。
見つけるのは簡単だった。

「ミリュー。発見された狼の特徴はどんな感じ?
 大きいとか、小さいとか、数が多いとか、少ないとか。
 それが分かればもっと絞れるよ、追跡もできる」

懐から取り出したダガーを片手にもち、地面に線を書いてゆく。
この線は予想線、途中で消えたり上書きされた足跡を周りの足跡の向きや深さから計算する。

私にこの技術を教えた人物いわく。
どんな無口で考えが読めない奴でも、足跡を観察すれば何を考えていたのかがわかるそうだ。
最初は眉唾だったけど、実際にやってみればその理論は正しいのだと実感した。

足跡を見れば歩いた生物の大きさが予想できる。
慣れれば性別も、どんな装備で歩いているのかも予想できる。

更にそれだけではなく、どんな気分で歩いていたかもわかるものだ。

怒っていたり、苛立っていると足跡は深く、乱雑になる。
怯えていたり、不安がっていると足跡は歩幅が小さく、そしてためらいがちになる。

どんな生物でも、足の裏にまで嘘をつくことはそうそう出来ないのだ。

「何度かうろついた跡がある...けど、これなら十分追える。
 追跡する?今なら十分追いつけると思うけど」

線を書いていたダガーを再び仕舞い込み、
GOサインが出れば、本格的に足跡の追跡を始めるつもりで待機をする。

個人的な気分の問題だけど、敵がどこから襲ってくるか分からない状態で怯えるよりは
こっちから追いかけて、追い詰めてやるほうがずっと気分は良い。

=======================
PL・エクセターの技術が冴え渡るー(*'ω' *)

というわけでちょっと危険感知をしてから馬を降りて、足跡の探索をします。
その後は馬を降りたまま、先導するかな?
それで遅くなったり、目安をつけるだけでいいならもう一度馬に乗りますが。

・ダイス
危険感知もしておこう 2d6+8 Dice:2D6[2,6]+8=16
狼の足跡 探索判定 2d6+8 Dice:2D6[2,5]+8=15

 フィン(雪虫) [2016/04/29 20:48:28] 
 

紳士的なひとらしいけど、「青ひげ」の人となりはミリューさんにもつかみきれていないらしい。 


 >「妹は少し変わっているところがあるんです。
   気になってしまうところがあれば一直線というか。
   だから実は僕にもあまりよくはわかっていなくて。
   きっとスールなりの良さを見出したんでしょう」

 「そ、そうですか......」

 『気になってしまうと一直線』という言葉に僕はほんのちょっとどきどきする。
 どうか、僕たちがたどりつくまで、スールさんが「例の部屋」のことを気にしませんように......。
 もし、お屋敷に物語どおりに「例の部屋」があったら、だけど。
 この世界の「青ひげ」......どんなひとなんだろう。会ってみるまで、どうにもわからないみたいだ。

※ ※ ※

 >「確かにミリューやエクセターの言う通りだよな。
   俺たちは人々を守るのが仕事だ。
   だから少しでも早く狼を狩る――当然のことか」

 先を急ぎたいと言った僕たちに、フレールさんはうなずいてくれた。

 >「それにカレン......だっけか。
   フィンとエクセターの仲間がいるかもしれないっていうならそりゃ会いたいよな。
   ――よし、俺たちも早くスールに会いに行きたいし。
   ここはさっさと狼たちをやっつけに行っちまおうぜ!」

 >「当然ですよ、兄さん」

 「ありがとうございます、フレールさん、ミリューさん」

 フレールさんは優しいひとだ。妹さんへの想いもあるだろうに、しっかりと僕たちの話を聞いてくれた。
 そして、ひさしぶりに会う妹さんへの贈り物をあきらめて、僕たちの意見を尊重してくれた。
 なにかお返しができるといいのだけど......。とりあえずは、狼退治をがんばろう。

 僕は右手の腕輪の重みをたしかめた。
 
※ ※ ※

 早がけの馬の脚がとまった。 

 >「報告によると、この辺りで目撃情報があったのですが......。
   今は居ないみたいですね」

 >「足跡とかあったりしないもんかな。
   そういうのがあれば、探すの楽になるんだけど」

 そう言葉をかわすふたりの言葉をききながら、僕はもぞもぞと後ろをむいた。

 「ミリューさん、あの、すみません、降ろしてください」

 そう言って手を差しのべる。
 なかなかに情けないけど、地面に降ろしてもらって、僕は地面や茂みのようすを見はじめた。

 「えっと......。あ、ここに痕跡......。獣の足あとですね。一定の間隔でひづめのあとが2頭分......ひづめ?」

 その足あとはきれいな直線をえがいて、フレールさんとミリューさんの馬の足もとまでつづいていた。
 なんともいえない空気がおちる。

 「ああああああの、あのっ、すいませんっ!」

 はずかしい。ど、どうしよう。
 僕がパニックにおちいっていたら、エクシーがひょいとフレールさんの馬からとびおりた。
 地面を見つめたり、体を低くして別の角度から見たりしているけど、その時間は長くなかった。

 >「エクセターは国境の警備もやってたから、こういうのは慣れてるよ。
   ほら、ここと、ここに足跡がある...多分、狼の足跡だと思う」

 >「ミリュー。発見された狼の特徴はどんな感じ?
   大きいとか、小さいとか、数が多いとか、少ないとか。
   それが分かればもっと絞れるよ、追跡もできる」

 こちらをふり向いたエクシーは、冷静な兵士の眼をしていた。

 >「何度かうろついた跡がある...けど、これなら十分追える。
   追跡する?今なら十分追いつけると思うけど」

 「彼女の眼はたしかです。追いましょう!」

 僕はミリューさんとフレールさんを見あげて叫んだ。

 「エクシー、すごいよ!」

 エクシーのそんな姿には、ほんのちょっぴり切ない思いをかきたてられるけれど、僕はそれをとりあえずしまいこんだ。
 彼女は僕の仲間だ。その力は信頼に足る。
 僕はエクシーに笑顔を向けた。

 「それでその、ミリューさん......たびたびすみません...。乗せてください...」

 僕はもういちどミリューさんに両手をさしのべた。ああもう、かっこわるいなぁ......。
 

――PL(雪虫)より――― 

フレールさんに申しわけないなーと思いつつ、先をいそぎます。
このあとの展開で、なにか埋め合わせができたらいいなと思います。  
探索判定にみごと失敗したので、フィン君渾身の小ボケをはさみつつ。
兵士・エクセターの姿にほんのすこしだけ切ない気持ちになりつつ、でもいてくれてよかった!って思いつつ。

フィンが徒歩でとことこついていくと確実に足手まといなので、ミリューさんの馬にふたたび乗せてもらおうと思います。

 
【判定結果】

雪虫@フィン ≫ 探索判定 狼の痕跡 2d6+6 <Dice:2D6[2,2]+6=10>
いちたりない...エクシーがいてくれてよかった......!

 GM(あんみつ) [2016/05/01 00:48:29] 
 

狼の目撃情報のあった場所へと四人は到着する。
何か獣の残した痕跡はないだろうか。

>「ミリューさん、あの、すみません、降ろしてください」

「降りたいのですか?
 それなら手伝いますよ」

フィンはミリューの手を借りて、何か痕跡がないか探すこととした。
彼は茂みの中で何かを見つけたようであったが。

>「えっと......。あ、ここに痕跡......。獣の足あとですね。一定の間隔でひづめのあとが2頭分......ひづめ?」

フィンは途中で己の犯していた過ちに気がつく。
今追っていたのは狼の足跡では決してなく。

>「ああああああの、あのっ、すいませんっ!」

フィンが己の失敗に対してパニックになっている一方で。
エクセターは何気ない態度で馬から飛び降りて、周囲の地面の様子を伺う。

>「エクセターは国境の警備もやってたから、こういうのは慣れてるよ。
> ほら、ここと、ここに足跡がある...多分、狼の足跡だと思う」

そしていとも簡単に足跡を見つけてみせた。

「本当か?
 やるじゃねえか、エクセター!」

エクセターの活躍にすぐ反応したのはフレールだった。
彼はエクセターを一人前として認識した上で讃えてくれた。

>「ミリュー。発見された狼の特徴はどんな感じ?
> 大きいとか、小さいとか、数が多いとか、少ないとか。
> それが分かればもっと絞れるよ、追跡もできる」

またエクセターがミリューにより詳細な情報を求めれば......。

「目撃したのは一般の方ですからね。
 狼の種別についてはあまり情報はありませんが。
 聞いた話では数は計六匹、先ほど一匹射ったので残りは五匹でしょうか」

ミリューから狼は五匹ほどいるであろうことを聞くことができる。
エクセターが足跡の数を数えれば、サイズの差はあれど計五匹分のものだと判別できる。

>「何度かうろついた跡がある...けど、これなら十分追える。
> 追跡する?今なら十分追いつけると思うけど」

足跡を辿れば狼の群れがいるかもしれない。
エクセターは二人の兄弟に追跡を提案する。

>「彼女の眼はたしかです。追いましょう!」

フィンの後追いもあり、二人から返って来た答えはというと。

「頼めるか、エクセター?」

「手がかりがあるのでしたら、使わない理由はありませんね」

二人共エクセターに追跡を頼みたいようだ。
エクセターが先導すれば、その後ろを馬に乗ってついて行くであろう。

>「それでその、ミリューさん......たびたびすみません...。乗せてください...」

勿論フィンが置いていかれることはない。
ミリューの手で再度馬上に小さな体が上がるだろう。

   *   *   *

エクセターの案内で狼の足跡を追いかけながら進んでいく。
ゆっくり確実に目標への距離は縮まっていき。

――ついに四人は狼の群れの姿を捕らえることができた。

「いるな、ちょうど五匹だ」

「まだこっちには気がついていないようですね」

ミリューの言葉通り五匹の狼どもはまだ四人に気がついていない。
茂みの向こう側の芝生でうろうろしているだけだ。

「隠れながらうまくやれば先手を打てるかもしれないな」

フレールはちらりとエクセターの方を見る。

「まあ正面から行っても問題はないと思いますけどね」

群れの構成としては通常の狼が三匹。
大きめの体躯の灰色の狼が一匹。
そして中心にいるリーダーらしき狼が一匹。
自分たちの技量から考えれば相手をするのは実に容易だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

エクセターとフィンのルート進行です。
足跡を問題なく追跡できることができます。

フィンは天使なのでCP1点獲得できます。
ミリューじゃなくて僕が馬に乗せて連れ去ってしまいたい(*´д`*)

追跡の結果、狼が五匹見つかります。
【パックリーダー】が一匹、【グレイウルフ】が一匹、【ウルフ】が三匹です。
それぞれ魔物知識判定に成功すれば正体がわかります。

戦闘は
・シチュエーション戦闘形式
で行います。

お二人はそれぞれ1D6ずつダイスをお振りください。
2つのダイスの平均の数字によって以下のものから戦闘の描写が決定します。

====================================

1:まさかの辛勝。4D6のHP・6D6のMPダメージを任意に振り分け。矢や弾丸を1D6消費。
2:多少のミスがある。3D6のHP・4D6のMPダメージを任意に振り分け。矢や弾丸を1D6-1消費。
3:一瞬だけ油断。2D6のHP・3D6のMPダメージを任意に振り分け。矢や弾丸を1D6-2消費。
4:ごく普通の勝利。1D6のHP・2D6のMPダメージを任意に振り分け。矢や弾丸を1D6-3消費。
5:余裕の勝利。1D6のMPダメージを任意に振り分け。矢や弾丸を1D6-4消費。
6:瞬殺。ノーダメージ。矢や弾丸を1D6-5消費。

====================================

目標値11隠密判定に成功すれば不意打ちが可能です。
その場合、最終的に決まった平均値+1に該当する数字の結果になります。

 エクセター(あまとう) [2016/05/03 15:58:06] 
 

時折背後を振り返りながら、足跡を追跡していく。
内心、フィンやフレールがエクセターのことほめてくれたのが嬉しかった。

だからこそ、これでミスをする訳にはいかない。
気を引き締めて追跡を続けていくと、どんどんその痕跡が最近の物になり...そして。

「いるな、ちょうど五匹だ」

「まだこっちには気がついていないようですね」

ついに見つけ出すことが出来た、数は5体。情報通りだ。

「隠れながらうまくやれば先手を打てるかもしれないな」

フレールの視線に、行動で答えるため奇襲の準備を整える。

「みんなはここで待機して、エクセターが横まで回って攻撃を仕掛けるから
 そのタイミングでフレールが突撃、ミリューはフレールの死角の支援を。
 エクセターは陽動攻撃の後に前進して挟撃、弱ってるやつから潰す」

ボディランゲージを交えて、仲間たちに手短に指示を飛ばす。
そうであると信じる人は少ないけど、これでも元小隊長、30人以上の部下を抱えていたのだ。
戦況の分析・指示はお手の物、それが指揮官型の強み。

が、そこまで考えたところでフィンになんと指示を出せばいいのかがわからなくなる。
よくよく考えて見れば受け持った部下の中に、純粋な魔術師というのは居なかった。

つまり、なんと命令すればいいのか全くわからない。ノウハウがないのだ。
ちょっと困ったような表情を浮かべながら、多少申し訳無さそうにフィンに告げる。

「フィンは...フィンは臨機応変に!」

そうとだけ告げて、そそくさと草むらに隠れつつ位置へと移動を始めた。
大した距離じゃないけど、これなら挟み撃ちとは行かなくても二方向から攻撃ができる。

射撃位置へと移動を完了し、SMLEのサイトを覗く。
サイト越しに、リーダーと思わしき狼の姿が直線上に浮かぶ。

「戦いの基本...奇襲の時は...」

今まで教わったことを、口に出して復唱する。

「奇襲の時は...まず...頭を潰す。
 指揮系統を混乱させて、後はかたっぱしから始末する」

これが基本。
合理的な理論を合理的な結果と変えるため、引き金を引いた。

乾いた発砲音が響いた、それと同時に首筋から血を吹き出してリーダーがばたりと倒れる。
それが戦闘の合図だ。

フレールが突撃したのを確認してから茂みから飛び出して、迅速に次の目標を狙い撃つ。
次の目標はフレールの攻撃によってすでに負傷していた狼だ、動きは早いがはっきり言って外すような目標じゃない。

再び発砲音が響くと、ドサリと狼が倒れる。これで残るは3体。

「残り3!」

そのセリフを言った直後にはもう2体倒れていた。
つまりはもう残りは1体。勝利が確定した。

そう思ってしまったから、心に油断があったのかもしれない。
もっと早く気がつくべきだったのだ、リーダーの死体が見当たらなかったことに。

首からドバドバと血を流す狼が、フィンに向かって突撃していく。
しまった、仕留め損ねた。そんな後悔を感じるのと体が動くのはほぼ同時だった。

「がっ...あぐぅ!大丈夫...?フィン?」

痛みに表情を歪ませながらも、背後の仲間の無事を確認する。

かばうように回り込み突き出した右腕からは、ドシャドシャと血が噴き出している。
跳びかかった狼の口に、敢えて右腕をあてがうことで噛みつかせ攻撃に割り込んだのだ。

だが、突き刺すような痛みが右腕に広がってゆく。
狼は血走った目で、今すぐお前の腕を引きちぎってやるとでも言うほどに睨みつけている。
このままでは本当に、フレームごと引きちぎられてしまうかもしれない。

「くっ!離れろ!
 こいつ噛みちぎる気だ...!」

空いた左手でダガーを取り出し狼の顔に何度も刃を突き立てる。
だが、いくら攻撃を行っても全く怯む様子がないどころかその牙の破壊力は徐々に増してゆく。

みちみちと、繊維が少しずつ引きちぎられる音がした。
駄目だ、このままじゃ本当に腕を引きちぎられる!

反撃を、反撃をしなければ。
しかしダガーの威力じゃダメだ、右手に持っているSMLEは今は使えない。
拳銃で撃ちぬくか?いや、まだ温存したい。これは切り札になる。
仲間に助けてもらうか?いや間に合わない、その時にはもう腕がずたずたにされている。

だったら...!

ほんの瞬間に、様々な行動パターンを予測する。
私はお互いに頭突きが出来そうなほど近い狼の先、その先の樹に目をつけた。
もっと言えば、木から突き出た鋭利な樹の枝に。

左手を腰の位置までダラリと落とす。
傍目には、私が力を失って諦めてしまったと思われるかもしれない。
だが、その逆だ。私はこの瞬間という瞬間に闘争本能を燃やしている。

それはこんなところで死んでたまるかという、生存本能でも有ったのだろう。

カチリ、左手でダイヤルを回した後、ベルトのボタンを押す。
その瞬間、私は...私と狼は宙を舞っていた。

これはチキンベルトの効果だ。
その効果により私は、私の腕をガッチリと噛んだ狼は前方20mへと吹き飛んでいる。
そして飛んだ先には待ち構えるように樹が、天然の針のように尖った樹の枝が待っている。

「喰らえぇぇぇぇ!」

体をグルンと捻るようにして、右腕を狼ごとスイングする。
そして着地、いや衝突と同時にスイングした狼の胴体が鋭利な樹の枝に串刺しとなった。
流石にこの一撃は堪えたのか、圧力が緩んだところでとっさに顎をこじ開けてぬけ出した。

狼はそびえ立つ樹の枝に、まつで百舌鳥の早贄のように串刺しになっている。
恐ろしいことにまだその目は闘志を失っていなかった。
しかし、それは私も同じこと。

コートの上からでも深い傷になっているのが分かる右腕に、
再び力を込めてSMLEを構え...そして引き金を引いた。

狼の眼差しは頭部ごと弾丸によって砕け散る。
もう、狼が動くことはないだろう。

「戦いの基本...奇襲は頭を潰す。
 ちょっと意味合いは違うけど、まぁ正解だったね」

右腕の傷を抑えながら振り返り、
きっと残りの狼を問題なく撃破しているだろう仲間の元へと歩み始める。

「みんなー!大丈夫?」

あまり心配をかけないように、努めて笑顔で帰還した。

==========================
PL・フリーダムに動かせていただきましたァン!

・ダイス・
エクセター
隠密判定 2d6+8 Dice:2D6[3,1]+8=12 成功 平均に+1
戦闘結果ダイス 1d6 Dice:1D6[2]=2

フィン
雪虫@フィン ≫ 隠密判定(レンジャー) 2d6+2 <Dice:2D6[1,2]+2=5>
雪虫@フィン ≫ シチュエーション戦闘ダイス 1d6 <Dice:1D6[1]=1>

結果、戦闘ダイスは「3」

あまとう@エクセター HPダメージ 2d6 Dice:2D6[4,6]=10
弾丸消費 1d6-2 Dice:1D6[5]-2=3
雪虫@フィン ≫ MPダメージ 3d6 <Dice:3D6[4,4,1]=9>

一瞬の油断ということで仕留め損ねたリーダー狼がフィンに襲いかかる
と、その瞬間にエクセターがかばいに入って負傷(HP10ダメージを全て受ける)
MPの消費は最初の1発と負傷した狼を狙った2発、最期のトドメの射撃で3発目。
それぞれクリティカルバレットを3発で消費MPは3(MP軽減)、弾丸も3消費。

リザルト「エクセター」
HP23/33 MP12/16 残弾数20/24

このような感じになりました。
MPはフィンが活躍できるように、6ポイントほど残しておきますね!

 フィン(雪虫) [2016/05/03 21:55:46] 
 

 エクシーの先導でしばらく進むと。

 >「いるな、ちょうど五匹だ」

 >「まだこっちには気がついていないようですね」

 遠目からでも、5匹の狼の群れが確認できた。さいわいなことに僕たちは彼らの風下に立っている。

 「......普通の狼が3頭、ひとまわり大きい灰色の狼は奴らよりすばしっこいので気をつけてください。大きいのがリーダーですね。群れを統率してます」

 僕は分かるかぎりのことをすばやく3人に伝えた。

 >「隠れながらうまくやれば先手を打てるかもしれないな」

 フレールさんがエクシーに視線を流す。それを受けとめたエクシーは、まぎれもない指揮官の顔をしていた。

 >「みんなはここで待機して、エクセターが横まで回って攻撃を仕掛けるから
   そのタイミングでフレールが突撃、ミリューはフレールの死角の支援を。
   エクセターは陽動攻撃の後に前進して挟撃、弱ってるやつから潰す」

 そこまで言って、一瞬はっとした表情になる。

 >「フィンは...フィンは臨機応変に!」

 「わかった」

 なんとなく感じられた。きっと、彼女の蓄積してきた戦術プランに「僕」を組みこむパターンが存在しなかったんだ。
 僕はできるだけ落ちついた表情になるように気をつけて、うなずいた。

 エクシーは草むらに身を隠しながらすべるように群れの横手にまわりこんでいく。
 フレールさんとミリューさんもそれぞれの武器をかまえた。

 僕はハーフマントのすそを払った。右手を一度ぎゅっとにぎってから、目の高さにかざす。
 こちらにはこれだけの戦力がそろっている。先手もとった。なら僕にできることは。

 風が止まった。

 エクシーのガンの発砲音とともに、ひときわ体の大きな狼が頸から血を吹き上げながらどさりと倒れる。

 フレールさんが馬を駆り、群れへと突っ込んでいく。ミリューさんはその動きを見ながら弓に矢をつがえた。

 僕は右手首の腕輪を通してマナを集中させ、空に魔法文字を描くと同時に発声をした。
 第三階位の衰、「麻痺」の魔法。これを、同時に2匹の狼に向けてはなつ。
 狙いはたがわず、灰色の狼と、群れの下っ端らしい狼の1頭を魔法の影響下におくことができた。
 こいつらを足止めできたら、十分なはず。 

 間合いにはいったフレールさんの剣が脚のにぶった灰色の狼を薙ぐ。間髪いれずに発砲音がふたたび響き、茂みから飛びだしていたエクシーが奴にとどめを刺したことを僕は知った。

 >「残り3!」

 エクシーの声が響く。

 あとは「麻痺」でろくに動けない狼1頭と、唐突にリーダーと仲間を失って混乱する狼2頭。
 ミリューさんの矢が飛んだ。フレールさんが剣をふるう。

 統率を失ってうろたえる狼2頭があっというまに倒れた。のこる1頭は自由にならない足であがいている。

 勝った。僕はその様子を見てそう思った。だから反応できなかった、大きな狼が、エクシーに狙撃されたはずの群れのリーダーが、首から血を流しながら僕めがけて突っ込んでくることに。
 目が合った。そこにあるのは純粋な殺意。

 ひゅ、とのどが鳴るのと、目の前に赤がひるがえるのは同時だった。

 >「がっ...あぐぅ!大丈夫...?フィン?」

 「っ...!エクシー!」

 僕はただ、彼女の名を叫ぶ。狼の顎にその右腕をみずから喰いこませ、勢いを殺して僕を救ってくれた。
 エクシーの右腕からは大量の血が噴き出している。

 狼をエクシーからもぎはなさなければ。僕は第四階位の「稲妻」の動作に入ろうとした。けれど、その向こうにこちらに駆けよるフレールさんの姿が見えた。このまま雷撃を放てば、彼を射線に巻き込んでしまう。
 だったら、第五階位「絶掌」......。僕は右手にマナを集中させ、エクシーに駆よろうとした。その数歩がひどく遠い。

 >「くっ!離れろ!
   こいつ噛みちぎる気だ...!」

 苦しげなエクシーが叫んだ。その声に打たれて僕は立ちすくむ。

 エクシーはダガーをいくども狼の顔に突き立てた。狼はひるむどころかますます牙を深く喰いこませていく。
 みちみち、ぶちぶちと嫌な音が聴こえた。

 「エクっ......」

 その瞬間、エクシーと狼の身体が宙にはじけ飛んだ。

 >「喰らえぇぇぇぇ!」

 起こったことを理解するよりはやく、叫びとともに中空でエクシーが体をひねり、前方の樹の幹に狼を叩きつけたのが見えた。
 彼女はそのまま着地したけれど、狼の体は樹の幹に磔になっている。大きな体から、とがった枝がまがまがしく突きだしていた。

 ぼろぼろの右腕にも構わず、エクシーは銃をふたたび構え......狼の頭部が乾いた音とともにはじけた。

 しばらくその様子を見届けていた彼女が、右腕をおさえながらふり向いた。

 >「みんなー!大丈夫?」

 「エクシー!腕は!?」
 
 ごめんね、ありがとう、僕が油断したせいで、そんな大けが、だいじょうぶなの、ごめん、痛いよね

 言葉たちは胸のなかで渦をまいて、うまく出てきてくれない。 
 僕はただ、彼女に走りよると、背負い袋からヒーリングポーションをとりだし、栓をあけてその右腕の傷にふりかけた。
 傷はあっというまにふさがっていく。でも、彼女が受けた痛みは消えたわけじゃない。

 「......ありがとう、エクシー。ごめんね。痛かったよね。それに......コート、いたんじゃったね」

 こんなときなのに間抜けなことしか言えない。

――PL(雪虫)より―――

あまとうさんの戦闘描写についていこうという努力のみ見ていただければ!(すみません......) 

フィンは戦闘突入直後、グレイウルフ、ウルフ(1体のみ)に対して、数拡大2倍の真語魔法3レベル「パラライズ」を使用します(消費MP3*2=6)。

【戦闘後フィンのリザルト】
HP35/35 MP34/40

戦闘終了後、エクシーにヒーリングポーションを1本使用します。
 
【判定結果】

雪虫@フィン ≫ エクシーにヒーリングポーション r20+5 <Dice:R20[4,5:7]+5=12>

回復量12なので、エクシーは全快です!かばってくれてありがとう!  

 GM(あんみつ) [2016/05/04 21:27:38] 
 

>「みんなはここで待機して、エクセターが横まで回って攻撃を仕掛けるから
> そのタイミングでフレールが突撃、ミリューはフレールの死角の支援を。
> エクセターは陽動攻撃の後に前進して挟撃、弱ってるやつから潰す」

狼たちとの戦闘はエクセターの指示と銃撃によって始まる。
彼女の指示の通りにオルドルの兄弟は動き、確実に数を減らしていく。
フィンの麻痺の魔法もあり、何事もなく終わるかと思われた狼狩りであったが。

>「がっ...あぐぅ!大丈夫...?フィン?」

銃弾を受けても生きていた狼のリーダーがフィンをかばったエクセターの腕に噛み付いた。
まるで噛みちぎろうとするかのような獰猛さを見せた狼であったが。
エクセターが自らの装備と機転を生かし、アクロバティックに撃退する。

   *   *   *

>「みんなー!大丈夫?」

リーダーを討ち取った後笑顔で帰ってくるエクセター。
その笑顔はフィン、そして兄弟たちに心配をかけさせないためだ。

>「......ありがとう、エクシー。ごめんね。痛かったよね。それに......コート、いたんじゃったね」

そんなエクセターの傷を癒したのはフィンであった。
所持していたポーションを使用し、彼女の傷を手当する。

「悪かったな......エクセター。
 俺がしっかり気を配っていれば、怪我なんてさせなかったのにさ。
 ――ただ上手く狩れたのはエクセターのおかげだぜ、ありがとな」

「そうですね、見事な作戦だったと思いますよ」

フレールはエクセターの側によって労いの言葉をかける。
ミリューは少し離れて立っていたが、感心しているのは事実なようだ。

「ひとまず任務は達成ですね」

ミリューは荷物の中から何かを取り出す。
彼が取り出したのは小さな人造の鳥であった。

「連絡用の小鳥型ゴーレムです。
 詳細な報告は帰ってからやるとしても......。
 任務が完了していることくらいは伝えないといけませんからね」

ミリューが掌を上に向けて広げると、その小さな鳥型のゴーレムは丘の向こうへと飛んでいった。

「報告ありがとな、ミリュー」

フレールはミリューの右肩をぽんぽんと叩く。
その流れのままで彼はエクセターとフィンに目線を合わせ。

「じゃあ、スールのところ......丘の上まで行くとするか。
 二人の仲間もいるかもしれないんだろ?
 早く会いに行こうぜ」

フレールは自らの軍馬に再度跨る。
すぐにでも出発できる準備は出来ているようだ。
エクセターが乗るためのスペースはちゃんと作られている。

「フィンさんも乗っていきますか?」

ミリューもフィンが馬に乗る手伝いをしてくれるだろう。
馬に乗っていけば丘の上まではそう時間がかからないだろう。
寄り道してしまうならばそれは別の話だが。


―――――――――――――――――――――――――――――――

あんみつ@GMより

フィンとエクセターのルート進行です。
戦闘に勝利できました。

戦利品の獲得や薬草の使用などされるようでしたらどうぞ。
ただ行った分だけの時間は経過することになります。

その後は丘の上まで向かうことができます。
もしほかの場所に行きたいなどございましたらそちらでも。

 エクセター(あまとう) [2016/05/05 15:49:35] 
 

「エクシー!腕は!?」

慌てた表情のフィンがこちらへと駆けて来る。
それに合わせて、私もトテトテと早足で歩み寄る。

「腕は大丈夫、ちゃんとくっついてる!
 でも...う~いたたたた...安心したら痛くなってきたかも...」

フィンに怪我はない、オルドル兄弟も無事なようだ。
一安心ではあるが、戦闘が終わったという実感が、半分ほど遮断されていた痛覚を呼び起こす。
戦闘中は気にする程でもなかった右腕の負傷の痛みに思わず表情が曇る。

痛みには慣れているけど、やっぱり何度も味わいたくはない。
この怪我の処置を考えていると、フィンが怪我を診てくれるというのでそっと身を預けた。

フィンのポーションを用いた治療は私の体に大きな治癒効果をもたらした。
牙の形に穴が空くほど、大きな負傷をしていた右腕の傷がぐんぐんと塞がり始めている。

「お~!すごい!
ちょっとひりひりするけど、もう傷が塞がっちゃった」

その手際の良さに驚きの表情とともに感嘆の声が漏れる。
もともと傷の治りが早い方ではあるが、やはり薬品とそれを適切に使える人はすごいのだと感じる。

「......ありがとう、エクシー。ごめんね。痛かったよね。それに......コート、いたんじゃったね」

「ううん、傷も治してもらったし、コートもまた手入れをしたら綺麗になるよ!
 それより、エクセターがきちんと倒せてなかったからフィンに怖い思いをさせちゃったから
 むしろ謝るのはエクセターの方だよ...ほんとにごめんね」

失敗したのはエクセターの方なのに、フィンはそれでもどこか申し訳なさ気だ。

そんなフィンを見て、やっぱりすごいなぁと改めて思う。

「フィンはすごいよ。
 ちょっと不器用で、かけっこもそんなに早くない。
 力だってエクセターの方がずっと力持ち」

「けど、それでもフィンにはかなわないと思う。
 フィンはエクセターが持ってないものをたくさん持ってる、
 いろんな魔法や、たくさんの知識もそうだけど、もっと違う何か
 だからエクセターよりずっとすごいし、尊敬出来るんだと思う」

今まで生きてきた中で、たくさんのものを見た。
弱い人も居て、強い人も居た。けどそれは戦場でのことだった。
だから、強いっていうのは敵を完膚なきまでに叩きのめせる力のことだと思ってた。

けど、フィンを見てると強いってことには色んな種類があるって気がついた。
だから今は叩きのめす強さより、フィンみたいな強さのほうが良いなって思う。

そっちのほうが、きっとみんな笑顔で暮らせる。
そんな気がするから。

「悪かったな......エクセター。
 俺がしっかり気を配っていれば、怪我なんてさせなかったのにさ。
 ――ただ上手く狩れたのはエクセターのおかげだぜ、ありがとな」

「そうですね、見事な作戦だったと思いますよ」

そう話していると、フレールやミリューたちもこちらへとやって来てくれた。

「ううん、エクセターも詰めが甘かったから仕方ないよ。
 二人共予想以上に強くて頼りがいが有ったから、ちょっと油断しちゃったかな?
 うん、反省反省。エクセターは反省してもっと強くなる予定だから、期待してね!」

ニコニコと笑いながら、お互いの健闘を褒め称える。
この作戦が成功したのは、ひとえに全員の頑張りが有ったからと確信している。
いくら作戦を考えても、それを実行できる実力がなければ意味が無い。

時間がどれだけ前に進んだとしても、たとえ逆行したってそれは変わらないだろう。

「ひとまず任務は達成ですね」

ミリューが小鳥を荷物から取り出した。
でも、なんか普通の鳥さんとは違うような気がする。

「わ、鳥さんだ。荷物の中でおやすみしてたのかな?」

首を傾げて見つめていると、ミリューが解説を入れてくれる。

「連絡用の小鳥型ゴーレムです。
 詳細な報告は帰ってからやるとしても......。
 任務が完了していることくらいは伝えないといけませんからね」

「へー、そうれい...魔法だっけ?しんご魔法?
 エクセターはどっちもお勉強してないからよくわかんないけど...」

便利なものもあるんだなーと素直に感心する。
エクセターはどうも魔法の類になると苦手意識が出て、あんまりお勉強したいと思えなくなる。
魔動機術はシンプルで、起動方法とキーワードさえ覚えれば誰でも使えるようになっている。
故に魔動機術に慣れた身からすると、身振り手振りとか複雑な詠唱が面倒極まりない。
...神官とか、妖精使いは論外だから別として。

でも、誰かが教えてくれたら頑張って覚えてみるのも良いかもしれない。
やっぱり魔法はちょっと憧れる、ほんとに空を飛び回ったり出来るのかな。
ロセウスに持ってもらって空を飛んだ事はあるけど、やっぱり自分で飛んでみたい。

「じゃあ、スールのところ......丘の上まで行くとするか。
 二人の仲間もいるかもしれないんだろ?
 早く会いに行こうぜ」

「おっけーい!とぁ!」

フレールの呼びかけに応じて、ぴょいんとジャンプで飛び乗った。

今度は綺麗なフォームで飛び乗ることが出来たので、満足げに微笑む。
満足ついでに、フィンがお馬さんに乗るまでにSMLEに弾丸を装填しておいた。

=========================
PL・フィンありがとう!

無事(無事?)勝利出来たのでε-(´∀`*)ホッ
エクセターのフィンへの尊敬度を高めつつ、魔法に対する考えをRPを行い
懲りずにジャンプに挑戦してみます。その後再装填も。

・ダイス
馬に飛び乗り軽業判定リベンジ 2d6+8 Dice:2D6[2,6]+8=16 今度はできた!

・ステータス
HP33/33 MP12/16 フィンの治療で全回復しました!

エクセターも色々悩んでますが、周りの影響で少しずついい方向に向かっている気がします(*'ω' *)
尊敬する人の言葉なのですが。

世の中を見渡してみると本当に『強い』人っていうのは悪い事はしない事に気づく。
「悪い事をする敵」というものは「心に弱さ」を持った人であり、 真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ。

という言葉を思い出しながら、RPをしております。
エクセターも心に弱さを抱えているけど、いつかほんとに強くなれるかもね。

 フィン(雪虫) [2016/05/07 22:21:20] 
 

  僕たちに笑顔を向けるエクシーが、怪我をした右腕をおさえる。

 >「腕は大丈夫、ちゃんとくっついてる!
   でも...う~いたたたた...安心したら痛くなってきたかも...」

 僕は無我夢中で処置をした。といっても、傷をいやすポーションを手順どおりに傷口に直接振りかけただけ。
 きっとこの噛み傷なら、飲んで体内に取り込むよりも治りがいい。

 >「お~!すごい!
   ちょっとひりひりするけど、もう傷が塞がっちゃった」

 やっぱり笑顔のエクシーに、妹みたいな彼女に、僕はごめんねを言った。戦いに慣れても、傷に慣れても、痛みを感じなくなるわけじゃない。どんなに痛かっただろう。そのことを思うと心がきしんだ。

 >「ううん、傷も治してもらったし、コートもまた手入れをしたら綺麗になるよ!
   それより、エクセターがきちんと倒せてなかったからフィンに怖い思いをさせちゃったから
   むしろ謝るのはエクセターの方だよ...ほんとにごめんね」

 びっくりしている僕に、エクシーはやさしい表情でつづけた。

 >「フィンはすごいよ。
   ちょっと不器用で、かけっこもそんなに早くない。
   力だってエクセターの方がずっと力持ち」

 >「けど、それでもフィンにはかなわないと思う。
   フィンはエクセターが持ってないものをたくさん持ってる、
   いろんな魔法や、たくさんの知識もそうだけど、もっと違う何か
   だからエクセターよりずっとすごいし、尊敬出来るんだと思う」

 「エクシー......」

 僕は言葉をうしなった。強いというならば......。エクシーのほうがずっと、強い。

 「そんなこと、ないよ......。君よりもすごいなんてこと、ない。僕は、弱いよ。こころも、からだも。けど、僕、決めたんだ。戦うって。目的にちかづくために、あきらめないって」

 自然とそんな言葉がこぼれた。
 そうだ。僕は、がんばるって、決めた。その先に、会いたいひとがいるから。

 さくさくさく、と草をふむ音が近づいてきた。

 >「悪かったな......エクセター。
   俺がしっかり気を配っていれば、怪我なんてさせなかったのにさ。
   ――ただ上手く狩れたのはエクセターのおかげだぜ、ありがとな」

 >「そうですね、見事な作戦だったと思いますよ」

 >「ううん、エクセターも詰めが甘かったから仕方ないよ。
   二人共予想以上に強くて頼りがいが有ったから、ちょっと油断しちゃったかな?
   うん、反省反省。エクセターは反省してもっと強くなる予定だから、期待してね!」

 エクシーのかたわらに立つフレールさん、すこしはなれて僕たちを見ているミリューさん。
 対照的なふたり。それでもわかる。彼らは僕たちを信頼してくれている。

 そして、まぶしい表情で微笑むエクシー。

 強さってなんだろう。僕は考える。
 僕は弱くて、ちっぽけだ。

 ただわかるのは、僕とともにいてくれるひとたちに悲しい思いをしてほしくないという気持ちがあること。
 口にはだせない、けど、いつも心にそっとにぎりしめている。いつか、「強さ」に変わればいい、ないしょだけど、そう思ってる。

 
 >「ひとまず任務は達成ですね」

 そう言ってミリューさんはちいさな鳥のすがたをしたものを荷物から取りだした。エクシーがびっくりしている。

 >「連絡用の小鳥型ゴーレムです。
   詳細な報告は帰ってからやるとしても......。
   任務が完了していることくらいは伝えないといけませんからね」

 >「へー、そうれい...魔法だっけ?しんご魔法?
   エクセターはどっちもお勉強してないからよくわかんないけど...」

 「ゴーレムを作りだしたり、操ったりするのは操霊魔法だね。エクシーの知るひとなら、ヴェンさんが得意な魔法だよ。僕の得意なのは、真語魔法。ふたつはよく似てるけど、それぞれできることがぜんぜんちがうんだ」

 そんなことを話しながら、小鳥の姿をしたゴーレムの飛んでいった方を視線でおいかける。これで、ふたりの狼退治の任務は無事にすんだのだろう。よかったな......。

 >「報告ありがとな、ミリュー」

 そう弟の肩をたたいたフレールさんが僕たちを見る。

 >「じゃあ、スールのところ......丘の上まで行くとするか。
   二人の仲間もいるかもしれないんだろ?
   早く会いに行こうぜ」

 >「フィンさんも乗っていきますか?」

 「はい。えと、おねがいします」

 僕はそううなずいて、ミリューさんに馬の上までひっぱりあげてもらうことにした。
 ちょっとおもはゆい、でも、素直に手をのばす。

 >「おっけーい!とぁ!」

 僕がもそもそとしているあいだに、エクシーがぴょんととび上がった。そのまま馬にぴょいとおさまる。

 「すごいねぇ、エクシー」

 僕はみじかい足に苦労しながら、ミリューさんの手につかまって、馬によじのぼった。

 「では、丘の上へ......。スールさんのお屋敷まで、行きましょう」

 カレンさんもきっとそこにいるはず。どうか、無事でいて......。
 丘の上を見あげる。きっとこの先には、青い瓦のお屋敷がそびえているはずだった。

――PL(雪虫)より―――

びびりのフィン君ですが、大事なひとたちのためならがんばれます。
旅に出る前、誰よりも大事だったのは師匠さんであり、今も彼に会うために戦うことに変わりはないですが、フィンの世界もすこしずつ変化をみせているのでした。

さきほどまでと同じく、ミリューさんの馬(の前)に乗せてもらい、丘の上のお屋敷をめざします!