1-楽団員を追いかけて
ネージャの依頼を受けてシィノヴィアはまず手近な1番街へと向かうことにした。
白磁のような壁をしたまんまるなホールが見える。
大きな入口の前にはかつての英雄の像が立っている。
歌政院と呼ばれるこの街の運営についての議論が行われる場所らしい。
まあ旅の音楽団が訪れるようなところではないだろう。
もう一つ1番街に存在しているのは幾つかの神殿である。
この街で一番大きな神殿はアステリアの神殿であるようだ。
花や草葉をモチーフとして屋根や壁、柱や扉、窓に至るまで装飾されている。
若干華美にすぎるような気もするが......ここは芸術の街であるゆえだろう。
芸術を愛でたと言われるアステリアの神殿は若い芸術家たちの姿が多くあった。
室内も優雅であるが皆それぞれにその身を飾っている。
彼らにとっては髪や頭部も重要なポイントである。
お洒落な帽子をかぶった者はいたが、少なくともフードを被った者はいないようだ。
他にこの区画にあったのは。
真面目で荘厳な雰囲気が漂うライフォスの神殿。
街の衛兵たちの詰所と隣接するザイアの神殿。
華やかで麗らかなリルズの神殿。
そして少しサイズは小さくなるが暖かくお洒落な雰囲気のニールダの神殿がある。
残念ながらシーンの神殿はこの区画にはないらしい。
話によれば5番街で孤児院と併設されて存在しているとのことだ。
さて、1番街の神殿の幾つかを回って行ったものの。
ヴォイスや、その他のネージャの探し相手の姿は見つからなかった。
最後に残った神殿はキルヒアのものである。
見た目の派手さやインパクト、さらに新しい表現方法などが好まれやすい事も有り、
この街においてトップクラスに信仰されている対象ではないが......。
古典や理論を学び芸術を表現する一派にとっては、交流の場として使われているようだ。
音楽や文学について幾人かで意見を交わしている姿も見える。
そんなキルヒアの神殿の傍で気だるげに座り込んでいる男の姿があった。
大きめなフードを深くかぶっているようでその顔は伺い知れない。
だが壁に立てかけられている大きなケースは楽器のものであろうか。
形状的には弦楽器に類するものであるらしい。
「旅でいろんな街を訪れて剣の力には多少慣れたつもりだが......。
やっぱり嫌なものは嫌なもの、か。
仕方ない......これも俺という存在にとっての宿命というものだ」
どうやら見たところ、少し休憩をしているようだ。
彼はそのままゆっくりと空を見上げて。
「空はいいな......俺も空になりたい。
広くて大きくて......そして自由で気分屋で。
――あ、なんとなくいいメロディーが浮かんだ」
そう呟いてから軽く鼻歌を歌い始めた。
今彼が思いついたものであろうか。
爽やかで軽やかで、でもどことなく切ない旋律だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
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1番街の風景はこんな感じです。
【分類:地名】に【歌政院】を登録しておきます。
残念ながらシーンの神殿は前に出した時にここには設置しなかったのです。
とりあえずキルヒアの神殿付近でフードをかぶった男性を見つけますね。
真偽判定で14以上を出せば、ただフードをかぶっているだけでないと感じ、
彼の素性に若干の違和感を覚えるでしょう。
あとのところについてはおまかせします。
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フードのついたローブ姿の者が多いのでは、という考えは杞憂だった。
この街で有力なのはアステリア神らしく、この区画でも着飾った者が多い。
頭部も、きれいに整えた髪を見せているか、洒落た帽子をかぶった者が多く、フードという簡素なかっこうの者はいない。
いくつかの神殿を回ったが、ネージャ嬢の探し人は見あたらない。
それから、シーン神殿も。
途中で人に尋ねると、べつの区で孤児院と並んでいるらしい。
あとで訪ねよう。
最後に訪れたキルヒア神殿は、ほかと違って落ちついた雰囲気の建物だった。
人が多くにぎやかなほかの神殿と違い、何か熱心に言葉を交わす声が小さく聞こえるだけ。
そこで、ようやくフードをかぶっている者を見つけた。
側には、何やら大きな荷物がある。
大きさは違うが、形はアルフェイト殿が使う楽器のケースに似ている。
静かな場所を好む、フードをかぶった音楽家。彼だろうか。
フードは大きくゆったりと頭を覆っているが、角があるかもしれないと思って見てみると、たしかに少し形が歪かもしれない。
確かめるために近づいていくと、その人は鼻歌を歌いだした。
邪魔をしてしまうようで、なんとなく声をかけづらくなった。
しかたないので、建物に寄りかかって待つ。
目を閉じて聞くその音は、耳に心地よく流れていく。
風のようだと思う。
―*―*―*―
彼の歌がひと段落したところで、改めて近づいた。
「いい歌です。なんという曲ですか」
ああ、まずは名乗らなければ。
「失礼しました。シィノはシィノヴィア。
人を探しています。あなたはヴォイス殿ですか」
――――PL――――
フードの彼がヴォイスさんだと確認してから、ネージャ嬢からの伝言渡します。
21:09:13 紫乃@シィノ ≫ 真偽判定 2d6+8 <Dice:2D6[2,4]+8=14>
キルヒアの神殿のそばでネージャの探している相手らしき人物を見つけたが......。
彼は急に鼻歌を歌い始めてしまう。
シィノヴィアはそうした彼が歌い終えるのを待ってから。
>「いい歌です。なんという曲ですか」
彼女はフードの男性に話しかけた。
「......君は?」
ゆっくりとした速度で男性の方はシィノヴィアの目を見つめるために顔の向きを変える。
その瞳は空のように青い色だった。
>「失礼しました。シィノはシィノヴィア。
> 人を探しています。あなたはヴォイス殿ですか」
シィノヴィアが自らの素性を明かし、目的を語り、男性について尋ねれば。
彼は得心したかのようにこれまたゆっくりと頷いた。
「俺を探しているっていうことは......ネージャに頼まれたのか?
そうか、ネージャはもう着いたんだな。
他のメンバーは見つけたのか?」
彼がヴォイスで間違いないらしい。
確かにネージャの言葉にあったらしく白い髪だ。
見たところ黒い色のメッシュが入っているようだが。
「......おそらくまだだろうな。
あいつらは想像以上に自由な奴ばかりだから。
残念ながら、俺も人のことは言えないがな」
シィノヴィアがどんな返答をしようと彼はその結論に辿り着く。
「せっかく来てくれたのに申し訳ないが......俺はまだ宿に向かう気はないんだ。
もう少しこの街の息吹を感じてから今日のステージに立ちたい。
ただ君がわざわざ来てくれたことを無駄にはしない。
そうだな......君にこれを渡しておこう。
他のメンバーを全員見つけたらこれを吹いてくれ。
君の音が聞こえたら俺は宿の方まで飛んでいこう。
――誇り高い翼は残念ながら持ってはいないが」
ヴォイスが言うには、彼はまだ宿まで向かうつもりではないらしい。
だが帰らないというわけでもない。
彼がシィノヴィアに渡したのは小さな銀製の笛である。
それは恋人の呼び笛と呼ばれる代物であり、ある特定の相手にだけ聞こえる音を鳴らすというものだ。
この音を合図として使うつもりらしい。
「それじゃあ俺は行こう。
ああ......そういえばリズムが南に行ったのが見えた。
行ってみればもしかしたら会えるかもしれないな」
ヴォイスは楽器のケースを背負って街の奥へと歩き出していった。
ちょうどコンチェルティアの西側へと向かっているところのようだ。
「あ、もうひとつ忘れてた」
だが数歩行ったところで立ち止まり、彼は振り返った。
「君は......さっきの歌の名前を聞いただろ?
名前なんて全く考えてなかったが、今さっき急に思いついた」
どうやら一番最初にしたシィノヴィアの質問にいまさら返してれるようだ。
そして――その名前とは。
「――シィノヴィア。
いい名前だと思わないか?」
彼は恥ずかしげもなくそう言ってから再びその場を去っていく。
シィノヴィアはこの後どうしようか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
【NPC:男性】に【ヴォイス・ハイロック】を足しておきます。
というわけで一人目を見つけましたが、素直に向かってはくれないようです。
シィノヴィアは【恋人の呼び笛】を受け取ります。
知名度8の宝物鑑定判定に成功すれば価値が、セージなら効果までわかります。
次回の進行でシィノヴィアが行く場所を【分類:コンチェルティア】から選択してください。
向かうエリアは隣接しているところでなくとも構いません。
フードの男性はたしかにヴォイス殿だった。
シィノが声をかければ、詳しく語るまえに用件を察する。
>「せっかく来てくれたのに申し訳ないが......俺はまだ宿に向かう気はないんだ。
> もう少しこの街の息吹を感じてから今日のステージに立ちたい。
> ただ君がわざわざ来てくれたことを無駄にはしない。
> そうだな......君にこれを渡しておこう。
> 他のメンバーを全員見つけたらこれを吹いてくれ。
> 君の音が聞こえたら俺は宿の方まで飛んでいこう。
> ――誇り高い翼は残念ながら持ってはいないが」
渡された小さな笛を口に当て、ひゅっひゅ、と吹いてみる。
聞こえているかどうかヴォイス殿に確認して、ポケットにしまった。
>「それじゃあ俺は行こう。
> ああ......そういえばリズムが南に行ったのが見えた。
> 行ってみればもしかしたら会えるかもしれないな」
「ありがとうございます。行ってみます」
メモを出す。
リズム嬢。派手な帽子。
どこにいるか予測できないのだが、南か。
大通りを下って広場を通り、まずは3番街を目指そう。
>「あ、もうひとつ忘れてた」
去ろうとしていたヴォイス殿が振り返る。
>「君は......さっきの歌の名前を聞いただろ?
> 名前なんて全く考えてなかったが、今さっき急に思いついた」
なるほど。さきほどの歌は即興だったのか。
なんとなくヴォイス殿のまとう雰囲気に合う歌だとは思ったが。
少し言葉をかわしてからそれを知ると、あの歌はますますヴォイス殿に似合う。
と、そんなことを考えていたものだから。
>「――シィノヴィア。
> いい名前だと思わないか?」
それが、歌の名前だと理解するまでに時間がかかった。
「もったいない」
たまたま聴いていただけの者の名をつけるなど。
異議を唱えようにも、その背中はすでに遠のいていて。
何もないところから音を見出すような人は、発想も常の人とは違うものなのだろうか。
しかし、気に入った歌にシィノの名を付されて悪い気はしない。
機会があれば、またあとで聞かせてもらおう。
――――PL――――
やだ、ヴォイスくんてばキザ(´ω`*)
恋人の笛&受音器は、宿に戻ったメンバーがいたらネージャ嬢に吹いて知らせてもらうために、買おうかどうかPLが悩んだ物ですなw
まあ、シィノが見つける前に宿へ戻るメンバーはいないだろうと踏んで、買わなかったんですが。
まさかシィノが持たされる側になるとはw
派手派手帽子を出がかりに大通りを南へ。
人だかりができているところ、パフォーマンスとかしてるぽいところをチェックしながら、広場経由で3番街方面へ行きます。
シィノヴィアは大通りを経由して広場を通りながら3番街を目指す。
道中、多数の観光客と出会ったが......。
どうにもネージャやヴォイスの仲間で有りそうな人物は見つからなかった。
――そしてたどり着いたのは3番街。
元々は宿場街であったのだが、次第に冒険者たちが集いだしたことで。
冒険者たちの街と呼ばれるようになった場所だ。
そしてその中でも一番大きな冒険者の店こそが七色の調べ亭である。
エリックが部屋をとってくれているのもこの宿だ。
シィノヴィアはブラブラと歩いているうちにここまでたどり着いていたらしい。
綺麗な木の香り漂う店の前になんだか人だかりができているようだ。
中心にあるのは一つの鉄製のテーブル。
それを挟み込むようにひと組の男女が対峙していた。
一人は筋骨逞しいやや大柄な男性だ。
頭には角がある事からおそらくナイトメアであろう。
晒していられるのもここが冒険者の区画だからであろうが。
もしかしたらそれなりに優秀である人物かもしれない。
もう一人の女性は一際目立つ黄色い大きなつばのある帽子を被っている。
よく見れば黄色い花飾りがついているようだ。
女性にしてはしっかりと筋肉がついているが。
無駄なところはなくスタイルはなかなかのものだ。
そしてそのよく張った胸部を強調するような服装をしている。
さて、この男女はただテーブルについて睦まじく話しているというわけでなく。
よく見れば、どうやら力比べをしているようではないか。
いわゆる腕相撲、というやつである。
状況は意外にも女性の方が優勢のようである。
ただ彼女がミノタウロスの血を引くのであれば......あながちわからなくもないかもしれない。
「へ、女のくせになかなかやるじゃねえか」
「当然だって、舐められたら困るっての」
二人の短い会話のあと。
――ついに決着の時が来る。
テーブルの上に先に触れたのは男の方の腕だった。
つまり、勝者は派手な帽子の彼女だ。
「よっしゃ、あたしの勝ちだな!
でも、芸術の街だって聞いたからひょろいのばっかだと思ってたけど。
あんた相当骨があったよ、思ってたよりやばかったかも」
彼女は再度、ナイトメアの男の方へ手を伸ばす。
今度は戦いのポーズではない。
握手......友好のポーズだ。
「ったく、力に関しては少しは自信あったんだけどな。
そっちこそ相当なもんだぜ。
俺は七色の調べ亭所属の冒険者グラディウス。
名前、そっちはなんていうんだ?」
男の方もがしっと力を込めてその手を握る。
彼はグラディウスというコンチェルティアの冒険者らしい。
そして他方の彼女はというと。
「あたしはリズム。
んー、うまく説明するのは難しいけど。
旅の演奏家......みたいなもん?」
彼女の名前はリズムというらしい。
その外観的特徴も踏まえ、まず間違いなくネージャの探している相手だろう。
握手を終えた後、軽く挨拶をしてからグラディウスは建物の中へ戻っていく。
一人残されたリズムは周りにいる人たちの姿を眺めた後、高らかに言った。
「よーし、他にあたしと勝負したい奴はいない?
今なら一個だけそっちの言うこと聞いてやるよ。
――まあ、物によっては拒否るけど。
あと、頭使う勝負はなしだから」
今のところオーディエンスの中に勝負に乗る相手はいないようだ。
声を上げたり、手を伸ばせばきっと目立つはずだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
【NPC:男性】に【グラディウス・ボーグ】を、
【NPC:女性】に【リズム・ハードビート】を登録しておきます。
リズムは勝負相手を求めているようです。
もし勝負したければ、好きな内容で挑んでも構いません。
勿論普通に話しかけても構いません。
1番街から大通りに出て、広場を抜ける。
それらしき人は見つからないまま、3番街まで来てしまった。
多くの宿があり、冒険者らしい姿の人もよく見かけるようになる。
意識しなくても目に入る、ひときわ大きな建物。
ここが、シィノの滞在中の宿か。
シィノには少し、にぎやかすぎる気もする。
この人だかりが原因か。
一時的なものであればいいと願って、その中心をのぞく。
......立派な体躯の男性と、こちらも美しく鍛えられた体の女性が、
テーブルの上で手を組んでいる。
なんだ、これは。
どうやら、互いに相手の手を押し倒そうとしている。
力比べか。
ところで、あの派手な帽子。
無駄な肉のない体を惜しげもなく魅せる服装。
そして力自慢。
>「へ、女のくせになかなかやるじゃねえか」
>「当然だって、舐められたら困るっての」
けっきょく、女性のほうが勝った。
二人は楽しげに言葉をかわす。
>「あたしはリズム。
> んー、うまく説明するのは難しいけど。
> 旅の演奏家......みたいなもん?」
見つけた。
>「よーし、他にあたしと勝負したい奴はいない?
> 今なら一個だけそっちの言うこと聞いてやるよ。
> ――まあ、物によっては拒否るけど。
> あと、頭使う勝負はなしだから」
おもしろそう。
「一手、お相手願います」
――――PL――――
どうせならちょっとでも仲よくなりたいので、ショーブショーブ!
とりあえず腕相撲のつもりですが、ほかに提案されたらそれでもいいです。
2d6振っておくので、適宜ボーナス足してくだしぃ。
この出目じゃダメだなw
20:53:50 紫乃@シィノ ≫ 勝負 2d6 <Dice:2D6[1,4]=5>
20:53:57 紫乃@シィノ ≫ 予備 2d6 <Dice:2D6[3,2]=5>
リズムと名乗った女性が次の対戦相手を求める中。
>「一手、お相手願います」
彼女の挑戦にシィノヴィアは乗ることに決めた。
「お、ノリいいじゃん!
あんたもこの街の冒険者?
ってか結構身軽そうではあるけど、力の方は大丈夫なの?
言っておくけど、女に二言はないよ」
シィノヴィアが通りやすいようにギャラリーが道を開ける。
リズムのいるところまではすらすらとたどり着けただろう。
机の上で腕を組めば。
勝負の時間は始まりだ。
店の冒険者が楽器の弦を弾けば、それがスタートの合図。
「さ、勝負だ......!」
リズムの腕に力が入るのがわかる。
シィノヴィアも負けてはいられないだろう。
* * *
勝負の結果はリズムの勝ちであった。
序盤はなんとかシィノヴィアも粘ることこそ出来たであろうが。
そこからは筋肉の差によってぐいぐい押し負けていった。
こうして腕を組んでいる間、シィノヴィアは悟ることができただろう。
リズムはこういった勝負事での力の使い方もよくわかっている。
ただの旅の演奏家、というわけではないのだろう。
「おっしゃ、またあたしの勝ちだ!
あんたもテクニックはなかなかだけど。
やっぱりもうちょっと筋肉つけなきゃダメダメ」
そして、先ほど同様リズムは握手を求める。
そこにあるのは勝者の余裕ではなく。
いい試合を繰り広げた者を称える気持ちである。
「さっきも聞いてたかもしんないけど、あたしはリズム。
あんたの名前も教えてよ」
リズムとはまず間違いなく、ネージャの探していた一人で間違いないだろう。
彼女はだいぶ腕相撲をした仲であるシィノヴィアに対してだいぶ気を許しているらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアルート進行です。
とりあえず短めではありますが、一旦ここまで。
勝負は冒険者レベル+筋力Bを基準値にすることにしました。
その結果シィノヴィアは12、リズムは15だったのでリズムの勝ちでした。
リズムからは握手を求められていますが、お好きにどうぞ。
ほかにも話したいことがあれば、今なら聞いてくれそうですね。
=============================
22:01:09 あんみつ@GM うでずもう 2d6+9 Dice:2D6[1,5]+9=15
>「お、ノリいいじゃん!
> あんたもこの街の冒険者?
> ってか結構身軽そうではあるけど、力の方は大丈夫なの?
> 言っておくけど、女に二言はないよ」
「無論」
さきほどしていたように、テーブルに肘をついて手を組む。
開始の合図に耳を澄ませる。
腕の筋肉は、少しの刺激で跳ねるほどに緊張させて。
>「さ、勝負だ......!」
シィノにとっては最初が最も肝心。
できるだけ早く反応して、押せるところまで押す。
出だしは悪くなかった。出だしは。
けっきょく、リズム嬢の純粋な筋力に圧され、最後はぱたりと負けた。
>「おっしゃ、またあたしの勝ちだ!
> あんたもテクニックはなかなかだけど。
> やっぱりもうちょっと筋肉つけなきゃダメダメ」
「はい。さすがに勝てませんでした」
今度は握手のために出された手に、力の入らない手で触れ返した。
>「さっきも聞いてたかもしんないけど、あたしはリズム。
> あんたの名前も教えてよ」
「シィノはシィノヴィア。
リズム嬢は音楽家とのことですが、どのような楽器を?」
「ネージャ嬢に頼まれて、メンバーを探していました。
伝えたいことがあるので、艶花亭へ来てほしいそうです」
「ここへ来るまでに会えたのはヴォイス殿だけなのですが、
ほかの方の行き先を知りませんか」
勝負を終えて、握手を交わす二人。
リズムの顔に笑みが広がる。
>「シィノはシィノヴィア。
> リズム嬢は音楽家とのことですが、どのような楽器を?」
シィノヴィアは自らの名前を名乗った上で、リズムの得意とする楽器について聞いてみる。
尋ねられたリズムは軽く腕を組みながら。
「なるほど、シィノね、ありがとう。
んで、あたしの楽器だっけ?
見てもらえばわかりやすいんだけど、あたしボキャブラリー少ないからな。
とりあえず、太鼓みたいなものかな」
リズムが得意とする楽器は太鼓のようなものらしい。
多分ちょっと違うのだろうが、彼女はあまり説明がうまくないと自負しているようだ。
>「ネージャ嬢に頼まれて、メンバーを探していました。
> 伝えたいことがあるので、艶花亭へ来てほしいそうです」
また、シィノヴィアがそもそもの本題へと話を移せば。
「あ、なんだ。
もうネージャこの街についてたんだ。
んじゃ、あたしもちゃんと話聞きに行かなきゃ駄目か。
いつも一発じゃネージャの言ってることわかんないし。
教えてくれてありがと、シィノ」
リズムはすぐに劇場の艶花亭まで向かってくれるようだ。
ヴォイスはふらふらしているようなので。
これでようやく一人目、というところだろうか。
>「ここへ来るまでに会えたのはヴォイス殿だけなのですが、
> ほかの方の行き先を知りませんか」
最後にヴォイス以外の行き先を尋ねてみれば。
リズムは少し考え込みながら答えてくれる。
「ソリッドとプレイヤはこの街の芸術に興味があるって言ってたっけ。
二人共どっちかっていうと古いものよりは新しいものに興味あるんじゃない?
なんてったって、あたしたち若いし」
ソリッドとプレイヤの二人はどちらかというと新しい芸術に関心があると思うようだ。
理由は若いからなどという不確かなものでこそあるが。
「スラップはまたどうせ女の子のところでしょ。
この街に来るときもトップクラスの女優さんの一人や二人の唇を奪おうとか言ってたし。
ホント馬鹿みたいだよね、男って」
またスラップについては女優を口説き落とすという目標を聞いていたらしい。
「あ、でもスラップに会うときは気をつけてね。
あいつ、マジで見境無いから。
シィノも見た感じ全然悪くないし、たぶん絡まれると思うよ。
そうだなあ......もし困ったらさ。
スラップにあたしがこう言ってたって伝えといて」
ただスラップはそれなりに要注意人物であるようで。
リズムは彼に対する秘密の言葉を教えてくれる。
その内容はというと......。
「シィノに迷惑かけるようなら、後で思いっきりぶん殴る」
――なんとなく関係性が伺えるワードである。
「んじゃ、あたしは艶花亭に向かってるから。
後でシィノも来るんでしょ?
そん時、またなんか話そう」
リズムはシィノヴィアに向けて大きく手を振りながら北東の方へと歩き出す。
艶花亭のある2番街への方角だ。
気がつけば二人を囲んでいたギャラリーはいなくなり。
3番街は通常の様相を取り戻していた。
ヴォイスを除けば残りはあと三人。
シィノヴィアは次にどこを目指すべきだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
リズムから質問へお返し。
リズムは素直に艷花亭へ向かってくれます。
とりあえず正式に戻ったメンバーはこれで一人目になります。
次回の進行でシィノヴィアが行く場所を【分類:コンチェルティア】から選択してください。
向かうエリアは隣接しているところでなくとも構いません。
>「なるほど、シィノね、ありがとう。
> んで、あたしの楽器だっけ?
> 見てもらえばわかりやすいんだけど、あたしボキャブラリー少ないからな。
> とりあえず、太鼓みたいなものかな」
「太鼓」
試合などのドラならわかるが、音楽に使うものはよくわからない。
ただ、なんとなく似合うと思った。
「きっと、力強くて軽やかな音でしょう」
リズム嬢はこのまま艶花亭へ行ってくれるようだ。
別れる前にほかのメンバーのことを訪ねると、答えてくれた。
ソリッド殿とプレイヤ嬢は、新しい芸術のあるところ。
芸術の新旧は見分けられない。
この街に該当する場所があるかどうか、街の人に聞いてみなければ。
スラップ殿に関しては......。
「女性のところ」と言うが、街の人の半分は女性だ。
本当に女優とやらに会いに行っていることを願う。
>「あ、でもスラップに会うときは気をつけてね。
> あいつ、マジで見境無いから。
> シィノも見た感じ全然悪くないし、たぶん絡まれると思うよ。
> そうだなあ......もし困ったらさ。
> スラップにあたしがこう言ってたって伝えといて」
「はあ」
シィノはこのようなかっこうなので男性に間違われることもあるくらいだ。
そもそも、これだけ華やかな姿の女性が多い街で、
わざわざ愛想のない(自覚はある)シィノに構う物好きはいないだろう。
しかし、リズム嬢の好意はありがたい。
何らかの理由で艶花亭へ行くのを渋られたときにも役に立つだろうと思い、
「ぶん殴る」という不穏な合言葉を黙って受け取った。
>「んじゃ、あたしは艶花亭に向かってるから。
> 後でシィノも来るんでしょ?
> そん時、またなんか話そう」
「はい。後ほど」
小さく手をふり返して、リズム嬢の姿を見送った。
さて、次はどこを探す。
メモを見てみると、隣の4番街は劇場が多く集まっている場所。
まずは「女優」という手がかりから追ってみようか。
「すみません。
この街で有名な女優がいる劇場はどこですか」
街の人に尋ねて、行き先を決める。
そろって行動していると思われる赤と青の2人はともかくとして、
スラップ殿は女性にも見える外見をしているようなので気をつけて探さなければ。
――――PL――――
ちょうどお隣ですし、4番街へ行きましょう。
道順をちゃんとしたほうが、シィノが街を歩いてる感があっていい。
>「すみません。
> この街で有名な女優がいる劇場はどこですか」
シィノヴィアは4番街を目指しながら尋ねてみる。
「んー、有名な女優か......誰のことだろう。
今ちょうどアステリア第一劇場で、稽古をしている人もいるって聞いたけど」
少なくとも有名そうな女優はアステリア第一劇場というところにいるらしい。
もしかしたらスラップもそこにいるのだろうか。
* * *
アステリア第一劇場は4番街の中心にある。
幾つか存在する劇場の中でも最も古い建物であり、
<大破局>からほどなくして復興のシンボルとして修繕されたようだ。
その名の通り、この街で主に信仰されているアステリアに捧げられた劇場でもある。
見た目も若干荘厳で神聖な感じがするのも、そのためだろうか。
「ほんと君は......最高だったよ」
劇場がもうすぐ目の前に来るかというとき。
メインロードから少し入った路地の方から歩いてくる二つの影があった。
露出度の高い青い踊り子衣装を身につけた可憐な女性と。
長い銀色の髪をした人物。
すらりとしたスタイルの事も有り、女性のようにも見えなくもないがその立ち振る舞いは男のものである。
「じゃあ、これからも頑張って。
君なら大丈夫さ、だってこのオレをこんなにも夢中にさせているんだから。
......オレは君の咲かせた赤い花を決して忘れない。
いつまでも応援してるぜ、愛しのマイハニー」
背中から腰にかけて回した手をそっと抱き寄せて。
女性の頬に軽いキスを。
顔を少し赤らめている彼女からゆっくり手を離し、銀髪の男性は送り出す。
赤い衣装の女性は軽く頭を下げてから、シィノヴィアの傍を通り過ぎていった。
さて、そうやって一人になった男性は、一旦もときた道へ引き返そうとして。
――途中で何かに気づいたかのように振り向いた。
そのままシィノヴィアのすぐ傍まで駆け寄ってくる。
「オレとしたことが、危うく大きすぎるミスを犯すところだった。
君の、君だけの魅力を見落としてしまいそうになるなんて」
つまるところ、彼は遠目だとシィノヴィアを男性と勘違いしたのだろう。
しかし、ちゃんと判別をつけてわざわざ戻ってくるあたり、ある意味流石というところか。
「オレはスラップ。
流浪のミュージシャンさ。
よかったら君の名前を教えて欲しいな。
――オレの全てに刻み込んでおくから」
彼こそが、スラップである。
ネージャやリズムが言っていたのはこういうことなのだろう。
彼の視線は熱い。
「それにしても、一日で二人も素敵な女性に会わせてくれるなんて。
オレは今日は月の女神に感謝しながら眠らないといけないな。
――君もオレの部屋で一緒に祈りを捧げるのはどうだ?」
どうやら他にシャドウの女性と顔を合わせているそうだ。
ついでにシィノヴィアに対して熱烈なアプローチをかけてくる。
「ああ、でもその格好だと君は冒険者かな。
もしかして今お仕事中だった?
それならごめん、謝るよ。
デートも君の仕事が終わってからで構わないぜ。
オレは......君のためならスケジュールを開けておくのを厭わないからさ」
とりあえず何らかのアクションを起こさない限り、彼は諦めないだろう。
ちょっと断るくらいではあの手この手で攻めてくるだけだ。
必殺技があるなら、面倒でないうちに繰り出すのも構わない。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
現在は4番街の劇場前まで移動しております。
【分類:地名】に【アステリア第一劇場】を登録しておきます。
シィノヴィアがいるのはこの劇場へ至る道のそばです。
【NPC:男性】に【スラップ・ブラッディ】を登録しておきます。
スラップからモーションをかけてきていますが、
対処についてはシィノヴィアらしく返して頂ければ問題ございません。
その他の部分についてもお好きに描写されて構いません。
劇場に近づいたころ、それらしき人を見つけた。
この人がスラップ殿だろうか。
取込み中のようなので、待ちながら観察する。
長い銀の髪。
女性のようにも見える姿。
言動は男性のものだし、実際に女性と並んでいるので、それなりに区別はつく。
そして、のべつまくなく紡がれるその言葉。
よくあれだけすらすらと褒め言葉が出る。
......ふむ、終わったようだ。
女性はシィノのほうへ来る。
すれ違うときに目で礼を返して、スラップ殿かもしれない男性のほうへ向かう。
男性は来た道を戻ろうとしている。
まずは声をかけ―――。
「............」
とつぜん、男性が振り向いた。
そのまま駆けてくる。
先ほどの女性を追うのかとも思ったが、どうやらシィノのほうだった。
>「オレとしたことが、危うく大きすぎるミスを犯すところだった。
> 君の、君だけの魅力を見落としてしまいそうになるなんて」
見落としたままでよかったのだが。
>「オレはスラップ。
> 流浪のミュージシャンさ。
> よかったら君の名前を教えて欲しいな。
> ――オレの全てに刻み込んでおくから」
スラップ殿。間違いない。間違いようがない、ともいう。
「シィノはシィノヴィア」
>「それにしても、一日で二人も素敵な女性に会わせてくれるなんて。
> オレは今日は月の女神に感謝しながら眠らないといけないな。
> ――君もオレの部屋で一緒に祈りを捧げるのはどうだ?」
「宿はもう決まっているので。
しかし、シーン様に感謝するのはいいことです。
できれば"今日は"などと言わず、毎日でも」
それにしても、よくしゃべる。
よくしゃべるのはアルフェイト殿も同じだし、
にぎやかさならラキアスのほうがずっと上なのだが。
スラップ殿の場合は、また違う。
いずれにしろ、これだけのべつまくなく褒め言葉を紡げるのは、もはや才能だ。
おそらく女性限定ではあるのだろうが。
>「ああ、でもその格好だと君は冒険者かな。
> もしかして今お仕事中だった?
> それならごめん、謝るよ。
> デートも君の仕事が終わってからで構わないぜ。
> オレは......君のためならスケジュールを開けておくのを厭わないからさ」
ふむ。スラップ殿に、急ぎの用事はないようだ。
「ありがとうございます。
では、これから艶花亭へ行っていただけますか。
ネージャ嬢がお待ちです。
お暇であれば、ソリッド殿とプレイヤ嬢を探すのを......
いえ。宿で待っていてください」
手伝ってもらえるか、と聞こうとしたが、やめた。
ともに行動しても、女性を見かけるたびに足を止められては面倒。
手分けをしたところで、ふたたびスラップ殿を探しに来るはめになりそう。
それを言うならば、艶花亭までまっすぐ行ってくれるかどうかも危ないが。
そういえば、ヒエラルキーなるものがありそうな。
「ここへ来る前、リズム嬢に会いました。
先に戻っていると思うので、あまり待たせないほうがよろしいかと」
――――PL――――
楽しい。
>「シィノはシィノヴィア」
名前を聞かれたシィノヴィアは素直に応えた。
彼女がまず答えてくれたことにスラップは満足そうに頷いて。
「そうか......シィノヴィア。
飾らないようでいて、それでいて女性らしさを忘れないいい響きだ。
きっとセンスのあるご両親だったんだろう。
是非挨拶に行かせてもらいたいな」
まあ彼からしたら素直に気持ちを吐露しているだけだろう。
シィノヴィアの親や故郷について、彼が知るはずもないのだから。
>「宿はもう決まっているので。
> しかし、シーン様に感謝するのはいいことです。
> できれば"今日は"などと言わず、毎日でも」
「そうだな、君といつまでもいられるなら。
オレは毎日どころか毎秒だって感謝し続けても構わないぜ」
そんな感じで止めどなくアプローチをかけていたスラップであったが。
>「ありがとうございます。
> では、これから艶花亭へ行っていただけますか。
> ネージャ嬢がお待ちです。
> お暇であれば、ソリッド殿とプレイヤ嬢を探すのを......
> いえ。宿で待っていてください」
そんな風にネージャが艷花亭で待っていることを告げると。
「仕事ってもしかしてネージャからなわけ?
申し訳ないな、君みたいな娘にそんなつまらない仕事をやらせちゃって。
そんなくだらない仕事なんて後回しにしてオレともう少し話そう。
――オレがシィノヴィアを心から楽しませてやるから」
スラップから返って来た答えはこんなもの。
つまるところ、まだ艷花亭には向かいたくないというわけだ。
同じ女性でもネージャは多少彼からして扱いが違うようだ。
「別にオレはどんなことでもいいさ。
食事でも観光でも、お仕事でも、勿論ベッドの上でも。
君と一緒にいられることができればそれだけで充分」
先程のシィノヴィアの願いだけでは言うことを聞かないスラップ。
だが、彼女はスラップたちの関係性において少しだけ知っていることがある。
>「ここへ来る前、リズム嬢に会いました。
> 先に戻っていると思うので、あまり待たせないほうがよろしいかと」
その名前を出せば、スラップは一瞬だけショートする。
ちょっとだけもともと青白い肌の血の気が引いて見えた。
「は、リズム......?
あいつもう帰ってんの?
無駄に人情派っていうか、いい子ぶるっていうか......そういうところあるからなあ」
やっぱりリズムに対してはちょっと思うところがあるらしい。
「でも、あいつ馬鹿だから......オレが遊んでても気づかないだろ。
けどなあ、ちょっと暴力は喰らいたくないな」
シィノヴィアやさっきの女性とは違って、リズムに対しては遠慮がない。
ある意味それが親しさ、仲間らしさの表れとも言えるのだろうか。
ただ彼には彼なりの鬱憤が溜まっていそうではあるが。
「はあ......帰るか......」
大げさすぎるほどに方をがっくりと落とすスラップ。
逡巡した結果、帰ることに決めたようだ。
シィノヴィアにとっては朗報だろうか。
「ネージャの手伝いしてるって言うんなら......。
シィノヴィアは当然オレたちのステージを見に来てくれるんだろ?
そん時はオレだけ見てて欲しい、他の奴らなんてどうでもいい。
オレもシィノヴィアのためだけに弾くぜ。
そしてステージが終わったら二人で夜を過ごそう」
去り際に軽く投げキッスをしてからスラップは東へ向かう。
一応2番街のある方角である。
おそらく彼は艷花亭に向かってくれることだろう。
――さて、これで残ったのはヴォイスを除いて二人だ。
ネージャ曰く、共に行動していそうとのことだが。
いったいこの街のどこにいるのだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアのルート進行です。
リズムの名前を出せばスラップは艷花亭に戻ります。
これで二人目ですね。
毎度のことですが、シィノヴィアが行く場所を【分類:コンチェルティア】から選択してください。
向かうエリアは隣接しているところでなくとも構いません。
>「そうか......シィノヴィア。
> 飾らないようでいて、それでいて女性らしさを忘れないいい響きだ。
> きっとセンスのあるご両親だったんだろう。
> 是非挨拶に行かせてもらいたいな」
1日のうちに名を褒められるのは、これで2回目。
良い名、なのだろうか。
親につけてもらったのかどうかさえ知れないモノだけれど。
紛れもなくシィノの一部なので、褒められるのは嬉しい。
ネージャ嬢からの頼みを伝えても、あまり乗り気ではなさそう。
しかし、リズム嬢の名前は効果があった。
なんだかんだ言いながらも、一目置いているのだろうか。
>「はあ......帰るか......」
「ありがとうございます」
>「ネージャの手伝いしてるって言うんなら......。
> シィノヴィアは当然オレたちのステージを見に来てくれるんだろ?
> そん時はオレだけ見てて欲しい、他の奴らなんてどうでもいい。
> オレもシィノヴィアのためだけに弾くぜ。
> そしてステージが終わったら二人で夜を過ごそう」
「後半はともかくとして、ステージはぜひ」
聞いているのかいないのか、スラップ殿は最後まで同じ調子で去って行った。
あと2人。
芸術が溢れるこの街で、「芸術の勉強」ができそうなところを探すのは大変。
リズム嬢は「新しい芸術」と言っていた。
どういうものだろう。
考えてばかりいても仕方がない。
動いて探すのがいちばん。
そういえば、隣の5番街にはシーン神殿があるはず。
ちょうどいいので立ち寄って行こう。
――――PL――――
ソリッド、プレイヤを探しつつ、シーン神殿に向かいます。
シィノヴィアは4番街から北上して5番街へと向かっていく。
聞いたところによると、シーンの神殿はここにあるという。
ここの雰囲気は4番街とは打って変わって庶民的な雰囲気だ。
3番街などに比べて静かではあるが、1番街とも2番街とも違う静けさ。
朝起きて、お昼に働いて、夜に眠る。
そんな普遍的なサイクルがこの場所では繰り返されているのだ。
――少なくとも探している残りのふたりはここにはいないようだ。
探したり人に聞けばシィノヴィアは神殿をすぐに見つけられる。
雰囲気を壊さないようコンパクトに建造され、1番街の神殿に比べると質素である。
ただその分、住民たちに愛され......彼らが足繁く通う場所となっているようだ。
近づいていけば、子供たちの声がする。
隣に建てられている孤児院からだろうか。
どうやら朗読の時間らしい。
「むかしむかし......みっつのつるぎがありました。
ひとつめはさわやかなかぜをはこぶつるぎ。
ふたつめはきよらかなみずをはこぶつるぎ。
みっつめはあたたかなひかりをはこぶつるぎ。
みっつのつるぎをあつめれば、どんなけがれでもはらうことができるのです。
いまではそれぞればらばらになってしまったみっつのつるぎですが。
ばらばらのばしょでこのまちをまもっているのです」
コンチェルティアに伝わる昔話だろうか。
子供たちに読み聞かせているのはエルフの女性のようだ。
* * *
「お祈りですか?」
神殿の方からシィノヴィアに声がかけられる。
シィノヴィアと同じくシャドウの女性だ。
だが、彼女はゆったりとした衣を身に纏っている。
ここの神官の一人なのだろう。
「でしたら、歓迎させていただきます。
どうぞ中へお入りになってください。
......それとも他のご用事でしょうか?」
お祈りに来た旨を告げれば、中へ案内してくれる。
中に入れば飾りこそ少ないものの、綺麗に整えられた聖堂の奥に。
――月神シーンの像を見ることができるだろう。
何か聞きたいことがあるならついでに彼女に聞いてみてもいいかもしれない。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアルート進行です。
5番街には探している相手はいませんが、
シーンの神殿は見つかります。
お祈りなりご質問なりあればご自由にどうぞ!
4番街から5番街へ入ると、とても静かに感じる。
2番街の静謐さではない。
人の生活の気配がする、いうならば「日常」の穏やかさ。
歩きながら赤と青を探すも、さすがにいない。
そうしているうちに、シーン神殿に着いた。
2番街の華やかな建物に比べて、こちらは馴染みのある雰囲気。
神殿に近づくと、隣の建物から子どもたちの声がする。
あちらが孤児院か。
>「お祈りですか?」
声をかけてきたのは、シャドウの女性だった。
ここの神官のよう。
シィノが出会ったシャドウはみな武器を持って戦いに身を置く者ばかり。
こういう生き方もあるのか。
>「でしたら、歓迎させていただきます。
> どうぞ中へお入りになってください。
> ......それとも他のご用事でしょうか?」
「1番街に行きましたが、こちらにあると聞いて来ました」
女性について中に入る。
いちばん奥に据えられたシーン様の像の前に立った。
穏やかな顔を見あげたあと、目を閉じる。
蛮族の依頼を受け、穢れを持つ者たちを探しているところ。
はじめは少し迷ったが、大丈夫。
シィノはシーン様のお顔をまっすぐ見れる。
彼らは蛮族ではあるけれど。
音楽というもので、人とつながろうとする心がある。
ならば、届く手は差し伸べようと思う。
目を開けて、先ほどの女性を探す。
「失礼します。人探しの途中で、寄らせていただきました。
この街で、『新しい芸術』はどこにありますか」
――――PL――――
シャドウ神官嬢に聞いてみましょう。
たぶん6番街なので、そっちに行きます。
もうちょっとお話できるなら、してから行く。
>「1番街に行きましたが、こちらにあると聞いて来ました」
5番街にあるシーンの神殿でシャドウの神官に声をかけられたシィノは応える。
「なるほど、わざわざいらしてくださったのですね。
あなたの祈りはきっとシーン様に届くことでしょう」
その口ぶりは相も変わらず穏やかであるが。
彼女はシィノヴィアの言葉を聞いてなかなかに嬉しそうだ。
彼女に案内されるがままに、神殿内に向かっていったシィノヴィア。
奥でシーンの聖像に祈りを捧げてから表に出てきた後。
>「失礼します。人探しの途中で、寄らせていただきました。
> この街で、『新しい芸術』はどこにありますか」
先ほどのシャドウの神官を探して新しい芸術について尋ねた。
「新しい芸術ですか?
それならば......6番街で見られると思われます。
あの区画は各地から若い芸術家が訪れる場所ですから」
シャドウの神官はあまり考えもせずにシィノヴィアに6番街を勧めた。
この街で新しい芸術といえば、6番街を想像するのが当然なのかもしれない。
少なくとも若い芸術家たちが集まる場所とのことである。
リズムやスラップらも比較的若く見えたので、彼らの仲間である二人も若いかもしれない。
であれば、彼らもそこにいるかもしれない。
「5番街から6番街まではすぐですから、迷うことはないかと思いますが。
せっかくですし、ご案内させていただきますね。
ちょうど軽い散歩にでも出ようかと思っていた頃ですので」
シャドウの神官の女性はシィノヴィアを案内してくれるらしい。
彼女の言葉からすれば、散歩のついでらしいが。
* * *
「その格好からして、冒険者でいらっしゃるんでしょう?
先程あのような質問をされたからにはこの街の方ではないと思いますが。
どのようなご用事でいらっしゃったのですか?」
二人は住宅街を横切っていく。
のどかな空気感がただただ流れていくのを感じる。
「シーン様を信仰されていらっしゃるのですね。
私も両親を幼い頃に戦で失い彷徨い歩いていたところを拾われて以来......。
あの神殿で全てを捧げて生きています」
歩いていくと少しずつ賑やかになっていく。
街の向こう側からの音が漏れ出しているのだろうか。
「私は人はそれぞれ全てを捧げる対象があると思います。
それが力であったり、知恵であったり、富や名誉であったりするのでしょう。
私にとってはシーン様の教えが全てです。
あなたにもきっと全てを捧げられるものがありませんか?
もし今はなくともきっと導かれることでしょう。
それは誰かであったり、あなた自身であったりに......」
前方の色彩が色鮮やかになっていく。
もうすぐきっと、たどり着くことであろう。
「ここから先が6番街になっています。
では、私はここまで。
またいつか神殿によっていただけると嬉しいです」
彼女はそう言って曲がり角を曲がっていった。
シィノヴィアはまっすぐ進んでいけば......。
* * *
6番街にたどり着く。
見た目の華やかさというより派手さにおいてはどの街よりも強烈だ。
ヘンテコな格好をした人々。
鳴り止まぬ合唱、合奏、喧騒。
前衛的なアトリエの姿。
これらがいずれはこの街のように花開くのかどうか。
それは神すらも知りえないかもしれない。
「なかなか勉強になりましたね。
......正直言うとちょっとついていけないとこもあったんですけど」
「そう......?
意味がわからないのも......それはそれで面白かったわよ」
向こう側からこちらに向けて歩いてくる二人の姿がある。
青髪の青年と赤髪の女性だ。
「まあ、プレイヤさんの感性も結構独特ですからね。
というかはっきり言いますと、僕とネージャさん以外は変ですから、みんな」
「そんなこと言ってるけど......。
ソリッドもヤバイ時は怖いくらいにヤバイじゃない」
「いやいや、そんなことないですってば」
「本気......?」
前方から来る二人からよく知ってる音が聞こえてくる。
ようやく見つけられたのだろうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアルート進行です。
5番街から6番街に向けて進行させました。
それぞれの場面での会話はご自由に!
神官の女性は、シィノの問いに6番街だと答えた。
隣の区画。
>「5番街から6番街まではすぐですから、迷うことはないかと思いますが。
> せっかくですし、ご案内させていただきますね。
> ちょうど軽い散歩にでも出ようかと思っていた頃ですので」
「ありがとうございます」
―*―*―*―
>「その格好からして、冒険者でいらっしゃるんでしょう?
> 先程あのような質問をされたからにはこの街の方ではないと思いますが。
> どのようなご用事でいらっしゃったのですか?」
「今はルキスラにいます。今回は、護衛の仕事でこの街に」
依頼人に差しさわりのない程度で答える。
世間話というものは苦手だ。
何を話したらいいのかわからない。
ただ、彼女が言葉をつないでくれるおかげで、会話らしいものになっていた。
静かな口調が耳に心地いい。
>「シーン様を信仰されていらっしゃるのですね。
> 私も両親を幼い頃に戦で失い彷徨い歩いていたところを拾われて以来......。
> あの神殿で全てを捧げて生きています」
「信仰と言えるほどかどうか。
ただ、シーン様に顔向けできなくなるような生き方はしたくないだけです」
だから時々、月光のもとで、あるいはシーン様の像の前で、己を顧みる。
――後悔はしていないか? やり残していることはないか?
シィノと形は違うのかもしれないけれど、彼女にとってもシーン様は指標なのだろう。
>「私は人はそれぞれ全てを捧げる対象があると思います。
> それが力であったり、知恵であったり、富や名誉であったりするのでしょう。
> 私にとってはシーン様の教えが全てです。
> あなたにもきっと全てを捧げられるものがありませんか?
> もし今はなくともきっと導かれることでしょう。
> それは誰かであったり、あなた自身であったりに......」
何も言わず、うなずいた。
シィノがシィノの全てを捧げるもの。
あるかもしれない。ないのかもしれない。
ただ、彼女の言うように、いつかわかるのだろうとなんとなく感じた。
>「ここから先が6番街になっています。
> では、私はここまで。
> またいつか神殿によっていただけると嬉しいです」
「コンチェルティアを訪れたときには、必ず。
案内、ありがとうございました」
―*―*―*―
6番街を表す言葉を、シィノは知らない。
色。人。音。におい。
あらゆるものが調和など無視し、それぞれの存在を主張している。
まともな絵なのか落書きなのかわからない。
あれは声か、歌か。
お洒落なのか、仮装なのか。
目が回りそうだ。
そして、とてもエネルギーにあふれている。
これらがすべて、人の頭の中から生まれ出たものとは。
>「まあ、プレイヤさんの感性も結構独特ですからね。
> というかはっきり言いますと、僕とネージャさん以外は変ですから、みんな」
>「そんなこと言ってるけど......。
> ソリッドもヤバイ時は怖いくらいにヤバイじゃない」
街の様子に気をとられていた。
知っている単語が聞こえてこなければ、見逃していたかもしれない。
「失礼します。シィノはシィノヴィア。
ネージャ嬢に頼まれて、あなた方を探していました」
――――PL――――
最後の2人はっけーん!
声をかけて、ネージャ嬢のとこへ行くように言います。
>「失礼します。シィノはシィノヴィア。
> ネージャ嬢に頼まれて、あなた方を探していました」
6番街の派手派手しさに圧倒されながらも......。
残りの二人組と思われるものを見つけ、彼らに話しかけた。
「ネージャさんに頼まれて......?
つまりネージャさんがこの街に到着して僕らを探していたということでしょうか?
えっとそうですね......おそらく僕たちが探されている相手で間違いありません。
それは悪いことをしました、僕らも早めに宿へ向かうべきでしたね。
シィノヴィアさんにもご迷惑おかけしました」
青髪の青年――ソリッドは礼儀正しく頭を下げて、シィノヴィアに謝った。
今まで探してきた相手に比べれば、幾分か普通である。
「それより、他の連中は見つけたの?
......自由を絵に描いたようなものばかりだし」
続いて話すのは赤髪の女性――プレイヤだ。
人間の女性の姿にしては背が高めで、どことなくダウナーな声の響きだ。
「ああ、そうですね!
特にヴォイスさんとかスラップさんは適当にうろついていそうだし。
僕らもお手伝いしましょうか?
なんとなくどこにいるか想像できますし」
二人の懸念点は残りのメンバーの居場所なようだ。
バラバラに行動していたからシィノヴィアが既に見つけていることなど知りもしない
のだろう。
彼らが最後の二人だと知れば、おそらくすぐにでも艷花亭へ向かうだろう。
そうすればシィノヴィアの仕事はほぼ達成だ。
後は呼び笛でヴォイスに合図を送ればいい。
約束通りなら彼はきっと応えてくれるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
あんみつ@GMより
シィノヴィアルート進行です。
前回が少し長めだった分今回は短めに。
【NPC:男性】に【ソリッド・キャスター】を
【NPC:女性】に【プレイヤ・メロディボード】を登録しておきます。
彼らに戻るよう告げれば、素直に艷花亭に向かってくれるでしょう。
ヴォイスに【恋人の呼び笛】で合図するならお好きなタイミングで。
シィノが声をかけた2人は、ソリッド殿とプレイヤ嬢で間違いなかった。
>「それより、他の連中は見つけたの?
> ......自由を絵に描いたようなものばかりだし」
>「ああ、そうですね!
> 特にヴォイスさんとかスラップさんは適当にうろついていそうだし。
> 僕らもお手伝いしましょうか?
> なんとなくどこにいるか想像できますし」
「大丈夫です。あなた方で最後なので」
先にこの2人を見つけることができていれば、もっと早く全員集まったのかもしれないが。
これはこれで、いろいろと街の中を見て回れたので、いい。
「あとはネージャ嬢に報告するだけです。
艶花亭まで、ごいっしょさせていただきます。
中央の広場を通って行ってもいいですか」
ヴォイス殿にもらった笛の音が、どこまで届くのか知らない。
街の中央で吹けば、どこにいても聞こえるだろう。
――――PL――――
2人と一緒に、艶花亭へ向かいます。
笛は途中で吹いていきまーす。